2020/08/16 のログ
ご案内:「大時計塔」に227番さんが現れました。
■227番 > ふと意識が戻ってくると、真っ暗な場所にいる。
「……またここか」
どこかの巨大な時計塔だ
相変わらず、頭痛がするが、前ほどではない。
……街をしっかりと見てみようか。
■227番 > しばらくの間、金色の瞳が街を見下ろす。
……わかったことは、一部区画に見覚えがあることだった。
見覚えの無いと思っていたが、単に上から見たことがなかっただけであった。
「……落第街」
真っ暗な区画。その向こうには、穴と呼ばれる場所がある。
「あっちは……研究区かな」
いくらか明かりがついている。
見たこと有る建物も、ある。研究所は健在なのだろうか?
ご案内:「大時計塔」に紫陽花 剱菊さんが現れました。
■紫陽花 剱菊 >
其れは一種の"虫の知らせ"とも言うべきものだった。
幽世に漂う一時の夢。あの時計塔に"居る"と思った。
少女が見下ろす最中、其の付近にふわりと舞い降りた人影一つ。
迸る紫電が僅かに弾ける音を立て、男は静かに立ち上がり……。
「……なな」
少女に目を合わせ、其の名を呼んだ。
■227番 > 紫電に気づいて意識をそちらに向ける。
そして、声をかけられた。ずきりと頭が痛む。
「……私は227番だ。なな、ではない」
ワンピースの裾をふわりとひるがえし。そちらに向き直る。
金の瞳がそちらの姿を捉えた。
■紫陽花 剱菊 >
「……今宵は如何許りか、余裕が在るようだな……。」
あの時の様に頭痛に苛まれている様子は無い。
そして、彼女は己の呼び名を否定し、其の数字を口にした。
金色の瞳。忘れもしない瞳を、水底の黒が見据える。
「……私の事を、覚えているか……?」
■227番 > 「そう。理由はわからないけどね」
声を聞くたびに頭にビリビリと痛みが来る。
一体何だというのだ。
だがこの程度、表情を歪めるまでもない。
「コンギクでしょう。また、私を"助け"にきたの?」
■紫陽花 剱菊 >
其れを良し悪しの判断は今は早計だ。
今"眠っている"であろう少女の、本来の姿がこれなのか、或いは……。
ともかく、少女には幾何か理性が見える。
頷きはせず、静かな仏頂面が少女を見下ろしていた。
「……覚えているので在れば、名乗りの手間が省ける。
……其方が望むので在れば、私は何時でも其方に手を貸すつもりではある」
元より、其れが在り方。
そして、今だからこそ聞くべき時だ。
「……然るに、其方の事を良く知るべきだと、私は思っている。『227番』」
「其方は……何者だ?」
其処に眠っているであろう少女ではなく
今、目の前にいる金色に言問う。
■227番 > 「別に何も望みやしないよ。
私達にそんな権利は無いから」
視線を街に戻す。
「私が何者か?何者だろうね。
被検体、暗殺機械、組織の懐刀、いろいろ言われたよ」
視線は相変わらず、街を見ている。
「どういうわけか指令もなしに外に居る……。
って、あなたに言っても意味はないね」
■紫陽花 剱菊 >
「…………」
ともすれば、此れは夢だ。
街を見下ろす少女、遥か追憶よりの橋渡し。
其の無機質さ、嗚呼、成る程。
「……かつての私も、斯様な姿をしていたのか……」
命令のままに振るわれる兇刃。
断片的言葉だけで判断すればまさに、其の名は道具の番号に過ぎず
いわんや生命の扱いには程遠い。
夢より来たりし少女は、夢を見る事は無い。
「…………二二七」
故に、静かに名を呼んだ。
「其方は、"自由"に憧憬を抱く事は在ったか……?」
■227番 > 「はじめの頃はあった……と思う」
金の瞳には、夜中でも消えることのない街の明かりが映る。
「あんまり覚えてないんだ。多分記憶もいじられてる。
自由だったはずの、元の生活も朧気だし」
手を爪を立てる形にする。
少女が持つ、刃。
「しっかりと覚えてるのは、これの使い方だけ」
■紫陽花 剱菊 >
いみじくも、道具に其れ等は必要なく
錆び付かぬ刃さえ在れば、其れで良い。
相違無く、正しき使い方。なんと、因果な。
「……左様か」
そして其の絶念も覚えが在る。
剱菊は静かな足取りで、少女の隣へと歩み寄る。
「……幽世の朧月。此方より彼方へと……
……二二七。其方が見ているのは其の垣間。
是より、其方の願いは既に成就している……
……是非を問えば、証明しようがないのも事実だ。」
彼女の底に眠る少女に直接聞きだす他は無し。
然れど、此方と彼方は交わらぬ。
■227番 > 「……そうだろうね」
少なくとも自分を支配していた存在は機能していない。
そうでなければ、自分は今も白い部屋のベッドの上だから。
それに。
「あなたは違う私を知っているようだし」
"青い瞳"がそちらに向き直った。
「ひとつ教えてあげる。
この金の目は、"私"のものじゃない」
■紫陽花 剱菊 >
「……知っていたか……」
余計な世話を働いたか。
……否、そうじゃない。
彼女は賢い。だからこそ、そう言えるのだ。
向けられた青い瞳に、僅かに目を見開いた。
「…………」
「では、其の目は一体、何処から賜ったものだ?」
訝しげに訪ねた。
■227番 > 「あなたが知っている、私のもの。
"私"は似たようなものの使い方を知っていたにすぎない。
正しい使い方じゃなかったようだけど」
青のままに瞳が輝く。
「おかしいとは、思ってたんだ。
私の知らない力だから。
新しい実験かと思ってたけど、違うみたいだし」
■紫陽花 剱菊 >
「…………」
輝く青の瞳は一体何を思うのか。
少なくとも、其の力は彼女は知らないと言った。
少女の忖度を推し量る事が出来ない。
彼女は今、何を思っているのだろうか。
「……其方は、其の様に酷使され続けていたのだな。
では、言問うが、正しき使い方とは……?其れと……」
「憚りながら、関係無いと承知で尋ねる。
私は、"其方"の事も知りたい。
如何様に生きて来たか、其の生に、些か興味が在る」
■227番 > 青い瞳がもとに戻る。
「要は、多分、私が異能に目覚めつつあるってこと。
使い方はわからないから、私に見つけさせて」
そして、また街を見下ろす。
「私のこと?
白い部屋に繋がれて、指令のときだけ外に出られる実験動物かな……。
成功例だから、重ねての実験はしないって言ってた気がする」
はぁ、と一息。
「ねぇ、コンギクさん。
私、望んでもいいのならひとつお願いがあるんだけど」
■紫陽花 剱菊 >
「……異能……」
彼女自身の異能。
如何なる能力かは図りかねるが
"当の本人"が言うのであれば、言及するわけにも行くまい。
そも、彼女が知っているかどうかも、定かでは無いだろう。
「……故に、其の名、と……
此の島で、実験していたのか?」
少女と共に、幽世の街を見下ろした。
「……私で良ければ、聞こう。」
■227番 > 「この島みたいだね。
そしてその機関はおそらくもう無くなってる」
そう思う理由は言う必要はないだろう。
そして、少女の願いは──
「……名前を、思い出したい。私が探すのを手伝ってあげて」
視線を空へ。見つめるは北極星。
少女の願いと、少女の願いが重なる。
■紫陽花 剱菊 >
「左様か……」
無いものは探す事も出来まい。
何故ないのかは、憶測で良いなら察しも付く。
願いを口にした少女を一瞥し、見上げる先に視線を移した。
「……遍く星の様に、か……嗚呼、承った」
是は是で困難の道だろう。
だが、斯様な願いで在れば断れるはずも無い。
「……だから、安心してくださって結構だ……」
探し物は、公安の十八番。
元より、そうでなくても少女の願いを無碍には出来まい。
剱菊の手がそっと、少女の頭に伸びる。
何時もの様に、優しく、慣れた手つきで頭を撫でようとするだろう。
■227番 > 答えを聞けば、初めて笑顔を見せる。
「ありがとう。
これ言うのも、久しぶりだな……」
撫でられれば満足そうに目を細める。
そうしてる間に、日が昇り始める。
白んでいく空が、星の輝きを塗りつぶしてゆく。
それに応じるように、少女の体から力が抜けていき、やがてくずおれるだろう。
もちろん、支えても構わない。
■紫陽花 剱菊 >
「……礼を言うには、些か早い。
其方の名を見つけし時、改めて……」
そう言う頃には、夜明けが近づいてきた。
東雲が朱に染まる。夜の終わりだ。
少女の体は、当然其の体で支えた。
あの時と同じように、しっかりと支え
「────おやすみ、二二七」
夜の帳へ消えていく少女へ、囁いた。
■227番 > 言葉に答えるように、うすっらと笑顔をつくり。
数秒後にはそれも無くなった。
やがて……
「……こんぎく?」
聞き慣れた、気弱そうな少女の声がするだろう。
■紫陽花 剱菊 >
今一度眠りに付くと良い。
次会う時が如何なる時かは図りかねる。
然れど、己は何時でも其方を受け入れる。
名も知らぬ夜の少女よ、今は眠ると良い。
「……ん、なな」
己の名を呼ばれれば、静かに返事をした。
穏やかな表情で、少女をあやす様に其の頭を撫でる。
「……具合は如何だ?」
■227番 > 「……なんか、眠い……」
自覚のない、夜中ずっと起きていたかのような眠気。
夢をみていた…前のときと同じような反応だ。
■紫陽花 剱菊 >
「……成れば、帰ろう。また、送っていくよ」
あの時と同じように彼女の体を抱き抱えた。
優しく、落とさないように、子をあやす様に。
冷たい鉄のゆりかごで今は眠ると良い。
それを許してくれるなら、剱菊は静かに少女と立ち去るだけだ。
■227番 > 「…うん、ありがとう、こんぎく」
自分で動く気力も湧かない。
言葉に甘えてその身を預ける。
ここちよいひんやり感も相まって、度々意識を落とすのだった。
ご案内:「大時計塔」から紫陽花 剱菊さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から227番さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」にレナードさんが現れました。
■レナード > 「………。」
ぼんやり、誘われるままにここに来た。
不思議とほわほわした意識だ。どこか、気持ちよささえもある。
ここの雰囲気が、好きだった。
今となっては懐かしさがある。
眼下を見やれば、せわしない人々の生活の様子が見て取れた。
「………さて、どれだけいられるかな……」
何をするわけでもなく、少年はぼんやりとそこに佇んでいる。
ご案内:「大時計塔」に修世 光奈さんが現れました。
■レナード > 「…………。」
自分の中から、少しずつ、アクセスできない思い出が増えている。
昨日のこととか。
昨日のこと。
昨日…
ドラゴn……うっあたまが。
別の意味で頭痛がする気がした。
これは確かに触れない方がよさそうだ。
「……はぁー………
何人かに、お別れメールだけでも送っておくのが筋…かなあ。」
■修世 光奈 > 大時計塔は、基本的に立ち入り禁止だ。
だから、『探し人』が居る今でも、避けては居たのだが…
以前、ここに上っていく生徒を見た。
ということは…その『探し人』も上って何かの痕跡を残しているかもしれない。
そんな思いで、そー、と。
教師に見つからないように時計塔を上っていくと。
その頂上に、何やらため息を吐く生徒…?が居る。
ぎぃ、と扉が開く音がしたから、きっと気づかれてしまうだろう。
「あ、と。えっとー…。こんにちは?」
もしかすると、目の前の男の子は風紀委員で怒られたらどうしようと思うが。
ひとまず挨拶を。
本当ならそっと帰っても良かったのだが、何かため息をついているのが見えてしまった。
自殺とか考えてないかな…と少し心配になったのだ。
■レナード > 「…………。」
ぼんやりしていると、声を掛けられた。
変な独り言聞かれてないかな、なんて、思いながら。
その音源に、静かに振り返る。
不思議と、とても落ち着いた心地で、やってきた彼女と相対する。
「こんにちは。おめー、一人で来たわけ?
ここ、結構高いし。ぜってー怖い奴だし。」
いつもの調子、いつもの雰囲気。
変わらない彼がそこにいる。彼女にそれを、知る由はないが。
■修世 光奈 > 「あはは…ちょっと用事で
確かにここ、滅茶苦茶怖いかも…。そーいうキミこそ、怖くないの?」
嘘は付いていない。
用事は確かにあったが、一旦それは置いておいて。
僅かに聞こえた、お別れメール、というのがこの場所と相まって気になってしまった。
ゆっくり近づいて、少しスペースを空けて立とう。
見ると、身長も自分と変わらず華奢な体だから同い年くらいかな?と判断し、緩い口調で話しかけよう
「あのー、それと、………と、とびおりー、とか考えてない…よね?」
勿論、相手のいつも通り、など知るわけもないが。
見てしまった以上、飛び降りしようとするなら止めるつもりではある。
だからすぐに腕を伸ばせる隣に来た、というのが理由だ。
■レナード > 「………飛び降り?」
きょとん、とした。
飛び降りなんて発想、言われるまで出てこなかったから。
「あっはははは!
んなわけねーじゃん。
…確かにちょっと怖いところはあるけど、もう来慣れた…し。」
来慣れた。
来慣れた……?
自分が来たのは、いつが最初で、いつが最後だったっけ。
首を振って、頬をぱしぱし。気付けをする。
「ともかく!自殺志願者だと思われてるわけ?
そんなら心外だし。」
彼女が心配しているのがそれならば、この場で否定しておこう。
「死んだ後は誰だろうと等しく仲良く同じ肉の塊に早変わりだし。
……でも、死に様を選ぶこと自体は、尊厳だと僕は思ってる。
まあ…僕はまだそんなこと、微塵も考えてないけどさ。」
■修世 光奈 > 「…?、あ、えと…それなら、いいのかなぁ。一応ここ立ち入り禁止だけど…」
飛び降りでない、と言う相手にほ、とする。
雰囲気も明るいと言えば明るいし、それは本当なのだろうとわかる。
けれど、急にぱしぱし気付けを始めるのは流石に不思議に思えた。
場所については用事があるとはいえ立ち入った自分も共犯だ。
今この場に教師が来ると二人とも追い出されるのは確実だろう。
「……。死に様って大げさだなあ…、それなら、どうしてここに?
あ、と、私、修世 光奈。よろしくー」
死の形について聞くと、どうしてもフラッシュバックする光景がある。
『頭』が無くなった死体。
…それを振り払うように、少し、ぎゅ、と目をつぶってから。
明るい笑顔を前面に出して、ここに居る理由と…言外に名前を聞いてみよう。
■レナード > 「………どうして、ここに…か。」
一つ、ため息を吐く。
その質問への、明確な答えを持っていない…そういう表情だ。
「レナード・ウォーダン・テスラは考えたし。
僕はどうしてここにやってきたんだろうか、って。
……正直なところ、僕にもわからないわけ。」
言葉の中に、自分の名前を入れることで、自己紹介の代わりとしながら。
「………でも、そうだなあ……」
その背面…塔から見下ろせるその光景を、視界に…
「ここからの光景が、好きだったから……かも、ね。」
小さく笑った。
■修世 光奈 > (詩人みたいな人だなあ…)
相手の話し方が、そう思える。
少し大仰で、考えることも自分と比べてスケールが大きい気もする。
もしかすると、自分より年上なのでは、と思うも。
時すでに遅し。相手も怒ってはいないようだから、良しとしよう。
「…………えっとー…」
聞きたいことがぽつぽつ出てくる。
光奈がもう少し大人なら、適当にうなずいたりしたのだろう。
けれど、気になることは、聞いてしまう。
何も、事情を知らないから。
「レナード君…でいいかな。
…好きだったって。今は嫌いなの?」
首を傾げて、素直に疑問をぶつけていく。
寂しそうな笑みが、酷く気にかかった。
光奈の考えでは、過去形にするということは…今は違う、と言っているように聞こえたから。
■レナード > 「今は、か。
………もう、よくわからないんだ。」
悲しいような、諦めているような、それでも笑って前を向くしかない。
彼女に向けて、そんな笑みを向ける。
少しずつ、少しずつ、自分の思い出が消えていく。
…それに痛みがないことは、幸せなことなのかもしれない。
「気が向いたら、ここに来てた。
…それが真相なわけ。
で、何で来たのかなーって思ったら……それくらいしか、理由がなくてね。」
それが、真実なところなのだろう。
誘われるようにここにきた。自分の足が、ここに来ることを選んだ。
ぼんやり霞みがかった脳とは別に。
そういえば、悩んでいた時にはいつも来ていたっけな……
あれ? 何について、悩んでたりしたんだっけ……?
「ま、僕の話はこの辺にして。
……おめーこそ、なーんでこんなとこに来たわけ?」
胡乱な自分の話はそろそろ切り上げて、彼女の話を聞こう。
そうしよう。
■修世 光奈 > 読心術など持っていない光奈には、その懊悩は理解できない。
寂しそうで諦めが滲む笑みの理由も察することはできない。
「…つまり、来たかったから来た…って感じですか?
そうは見えなかったけど…あ、私は人を探してるんです。このところ、ずっと」
この辺にして、と言われても少し納得はできなかったが。
とりあえずは答えよう。
「その人が、結構特殊な異能持ってて。
会っても、記憶も記録も…あった人側のそれが消えるの。
記憶に残るのは名前ぐらいしかなくて。でも、探す依頼を受けたから、絶対探してあげたくて」
ふぅ、とため息を吐く。
難航しているのだ。
当然ではあるが、どこを探しても名前しか見つからない。
それ以上の手掛かりが見つからなければ、進展しようがない。
「だから、こういうところに隠れたヒントとかあるかなーと思って、探しに来た…ってわけで」
あはは…と自分でもかなり厳しいとわかっているのか苦笑い。
「レナードくんも、何か探し物があるなら、いつでも受け付けるよ!
ちょっと人探しの合間になっちゃうけど」
その苦悩を振り払うため、端末を取り出して。
いつも自分が使っている探し物掲示板を見せる。
何件も『済』マークが付いており、結構な数の生徒が光奈を頼っていることがわかるだろう
■レナード > 「………ほぉー……探し物、ね……」
探し物。
探し物……
しいて挙げるなら、ぼんやりと見えない自分の記憶…
と言いかけて、止める。そんなこと、脳をいじれる人でもないとできないことだ。
そういう仕事とは縁が遠そうな彼女に頼むのは、可哀想になる。
「ま、足で探すってのは正解だと思うし。
僕も、分からないことはずーっと…自分の足で歩いて、歩いて、探していたからさ。」
ほんの少し、その言葉に哀愁が篭る。
長い長い旅路の果てに見たものは、自分の想定を裏切るものだったから。
…ただ、今はそれも腑に落ちる。
自分は本当に、誰かを愛したことがなかったんだな、と、少し物悲しくもなった。
「……僕については、大丈夫かな。たぶん。
そーいうこと、こんな初対面の奴でも問題ないくらい…誰それ構わず聞いてるわけだろうし?
その掲示板を見ても、かなりの数の依頼をこなした後が見えるし。」
それに、と後に続ける。
「……本当に探したいものは、自分の手で見つけたいから、さっ。
でも…手軽なものがなくなったときは、お願いしちゃっていいわけ?」
■修世 光奈 > 「あはは…私には、探し物が得意―っていうのと、これくらいしか異能もないし。
後は、探すとすると足になっちゃう」
ぽ、と光奈の顔の横に一つ。
青色の光球が出現する。
熱も何も感じないのに、光っているそれは光奈の異能だ。
ふよふよとそれを漂わせながら、話を続ける。
「もちろん。これ、私のライフワークだからね!
…そのわからないこと、も…見つけるんじゃなくて、手伝いくらいならできるかも?
ほら、見て。恋人探したい、とかー…絵がうまくなる方法、とかの依頼も受けてるんだよ」
踏み込んでいいか、少し躊躇いは見せるも。
探し物そのものを見つけるのではなく、探し物を見つけるための手段。
それを探すことも、できるのだと言って。
前者には、同じように恋人を探す人を集めた場所を。
後者には、あらゆる方向から見て、依頼人に合う専門書や道具のカタログを探した。
「依頼したくなったら、いつでも言ってよ。連絡先、教えて置く『し?』」
少し相手のイントネーションをマネしてくすくすと笑い。
自分の連絡先をホロ表示して教えよう。
■レナード > 「………へえ…」
彼女の異能。何もないところから現れた光の玉。
熱を感じないのに淡く光るそれは、確かに探索にはうってつけだろう。
それに、彼女はそれを、楽しんでさえいるように見え、聞こえた。
誰かのために、そして自分のために、生業としていること。
…そういうのが、きっと好き子なんだなあ。って、彼女を見ていて思った。
「ん。」
連絡先を、教えてもらった。
…そういえばこれも借り物だったっけ。
戻ったら返さなくっちゃな、と、ぼんやり思いながら…彼女と連絡先を交換する。
「……………。」
ああ、そうか。
彼女は探し屋。自分が今依頼してなくても、きっと誰かが依頼するだろう。
そして、きっとその中には、もしかしたら、いつか………
ならば、今のうちに手を打っておくのも、悪くはないかもしれない。
決意新たに、彼女に向き直った。
「ねえ。ちょっと思いついたことがあるんだけどさ。
一つ、頼まれてくんない?」
■修世 光奈 > 下を見るのがかなり怖いけれど。
この場所にも少し慣れてきた。
風が強いため、スカートじゃなくて良かった―とも思う
「ん?何か思いついたー?」
ぽちぽち連絡先を交換し、レナードくん、と登録して。
先程は何か思いついたら、という感じだった相手から頼み事と聞けば…ぱ、と表情が明るくなる。
「なんだろ?あんまり危ないのとかは断るかもだけど…」
流石に単独で落第街や黒街に行くのは不可能だ。
けれどそういったもの以外なら頑張りたい、と意気込んで先を促そう。
■レナード > 「………いつか。
きっと、いつか。僕を探して、君を頼る誰かが、現れるかもしれない。」
これは、ここに残しておくべきか…迷ったものだ。
だが、彼女に託してしまおう。
視えなくなりゆく思い出の糸を、必死に手繰って綴った手紙を。
簡素な封筒に入れたそれを、取り出して。
「………その時は、これを渡してほしい。」
彼女に、差し出す。
■修世 光奈 > 「…え?」
言われたのは予想外の依頼だった。
そんな大事なモノを預かっていいのか。
初対面なのに、悪戯とは思えない真剣な声音。
「……えっと。…レナード君を探す人に、渡せばいいんだよね。
……わかった。でも、一個だけ。…答えられないなら、答えなくてもいいけど…」
風に飛ばされないように、しっかりと両手でその封筒を受け取る。
そうして、じ、と相手を見つめ。
「どうして、レナード君から渡さないの?」
■レナード > 「…………。」
彼女からの、問い。
一度、問いの意味をかみしめる様に俯き…瞼を閉じて。
少し間を空けたのちに、ゆっくりと頭を上げて彼女を見つめ直し、薄く笑った。
そして、口を開く―――
「……もう、僕はここにはいないからだよ。」
■修世 光奈 > 「………?」
意味が、わからなかった。
封筒をしっかり握ったまま…相手を見続ける。
居るじゃないか、ちゃんと、と
「それって、どういう…幽霊とかじゃない…ですよね?」
夏祭りの会場で、幽霊のような人と会ったこともあるから。
少し心配になり…封筒を飛ばさないように力はしっかり込めたまま、片手を相手に伸ばして感触を確かめようと。
■レナード > 「ちげーし。」
いや夏だけど。お盆だけど。
その片手は、容易に彼の身体に届いて、触れられる。
ちゃんと暖かくて、華奢で仄かに柔らかい。それでも、男の身体だと分かるだろうか。
「足もちゃんとある!鏡にも映る!なんだったらダブルピースで写真撮ったっていいし!?
キュウリだかナスビだかに乗ってきたわけでもねーし!そもそも僕お化けとかそーいうの嫌いだし!!」
マジな雰囲気だったのに、パァです。
「おほん。」
一つ、咳払い。頬もぴしぴし両手で叩いて、改めて気付け。
ちゃんと空気を戻そうね、頑張ろう。
もう一度彼女へと向き直った。
「……君に捜索の依頼が来る頃には、僕は門の向こうってこと。」
■修世 光奈 > 良かった。ちゃんと生きてる人だ、と再確認。
時計塔の亡霊から手紙を貰った、なんてこの島でもぞっとする。
「じゃあ、後でダブルピースの写真撮ろうよ。
手紙だけだと伝わらないこともあるし…」
あ、怖いんだな…と思える慌てぶり。
逆に光奈は少し冷静になった。
しかしダブルピースの写真はどうなのか。
「……門。……って、あれだよね、えっとー向こう側、とか異邦人の人達が来る…
レナード君は異邦人だったの?…猶更、自分で渡した方がいいと思うけど…」
うろ覚えの知識だが、そう言って。
「…でも、わかった。…伝言とかは要らないの?…探すってことは、誰かがレナード君を必要としてる…んでしょ?」
しかし、それが依頼なら受けよう、と頷く。
ついでに、何かあればと聞いてみよう。
■レナード > 「ぜってーにやだ。」
■レナード > それだけはヤダと固辞しました。
そりゃそうだ。
万が一そんなのが遺影扱いされたら本当に死んでも死にきれなくなってしまう。
「……もう、親しい人には送ってあるよ。」
ただし、自分が既に経った後に時間差で届く仕組みにしている周到ぶりだ。
阿須賀君を始め、仲良くした諸君らには、申し訳ないなあと思い…
………。
…あれ、……阿須賀って……、………?
いや、いいか。
気のせいだ。きっと、少し前の自分はうまいことやったはずだ。
そう祈ろう、うん。
「だから、気にしなくていーわけ。
それとも、内容が気になってしまうんだったら…見てもらってもかまわねーし?」
あっけからんと、そう答えた。
■修世 光奈 > 「冗談だけどね。………ん。わかった。中身は見ないよ。ぷらいばしーだからね!」
何となく、それは。
終活、などと呼ばれるモノに感じられた。
身辺を整理して、どこか遠くへ行く。
それを止める手段を、光奈は持ち合わせていない。
だって、彼とは初対面なのだから。
しかし、初対面だからこそ、相手は封筒を託してくれたのだろうことも、またわかる
「…じゃあ、私は今回、郵便配達員だね。
それとこれ、一通でいい…?。いっぱい来たら誰に渡したらいいかわからないけど…最初に来た人でいいんだよね」
どういう事情かもわからないため、聞けることは聞いておこう。
■レナード > 「そ。ま、いいけど。
見ないなら見ないで、中に変なのは入ってないから安心しろし?」
身辺整理は、ほとんどバジル先生が済ませてしまった。
後、自分に残されたのは…残った時間を、せめて有意義に過ごすことだけ。
だからこうして、ここにやってきてしまったんだろう。
「いっぱい来るわけねーじゃん?だって、親しい人には送ったんだから。
そこまで切羽詰まるような相手には、既に手は打ったんだ。」
そう。既に手は打ったんだ。心配することはない。
だが、それでも……
「…それでも、万が一、取りこぼしがあったら……
そう思った時の、これは保険だったわけ。
だから、最初に来た人で、いい。
もし後が続くようなら、僕はこの島を去った事実だけを伝えてくれればいい。」
最初に必死になってくれた人に、それを贈ろう。
自分の言葉でしたためた、その手紙を。
■修世 光奈 > 「火薬とか入ってないならいーですよ」
くす、と笑って。
「いや、誰か人が居なくなるって…それ、すごい重大な事ですからね?
依頼でも、探し人が一番しんどいし…」
親しい人に送ったとは言っても、探す人、は多いかもしれない。
そう予想した言葉だったが、その心配はいらないらしい。
手紙じゃなく、言葉でもいいと言われれば、こく、と頷いて。
「……しょーじき、事情とかよくわかんないけど。
知ったら、何も深く知らないのに、止めそうだから。えっとー…戻ってくるんだよね?」
この世界に関する知識はそれほど深くない。
だから、止めるつもりはないが…一応、聞いてみる。
誰かがこの封筒を貰いに来た時に、場違いな反応をしたくないから。
■レナード > 「えー?
人一人消えるのって、落第街とかスラムとかだと日常茶飯事だろーし。
ま、人の命に価値つけるようでアレだけどさ。
……そういうのと、結局は変わらねーし。」
命の価値。スラムや落第街では、日常茶飯事。
きっと、自分がいなくなることも、同じような"日常のうち"に処理されると思っていた。
…そんなに大事になるのかな?なるかな。なってくれたら、ちょっと……嬉しいかもしれない。
そして彼女から、戻ってくるかと問われると。
「……………。」
寂しそうな笑顔で、ただ見つめた。
それが、答えになるだろう。
■修世 光奈 > 「そっち方面は詳しくない『し』」
詳しくは無いが、一応は"知って"いる
あんなに簡単に、人が死ぬことを。
だから、戻ってこない、と笑顔で示されれば。
「そーですか!ほんっとにもう…。はい、ちーず」
んー、と悩む。
止めるつもりはないが…戻ってこないなら…この封筒を渡した相手がどんな反応をするか。
考えただけで、頭が重くなる。
だから、少しお節介を焼こう
唐突に、端末を向けて、ぱしゃり。
一枚、どんな状態でも写真を撮ろうと。
もちろん、手で遮ったりすることでほぼ無意味にすることもできる。
「…戻ってこないなら、適当に加工して恥ずかしい写真にしてもいーですよね?」
例え、何も映っていなくてもそう言って。
少しでも…不可能だったとしても、戻ってきたい、と思わせる材料を作っておこうと。
■レナード > 「えっ?!」
「いやっ、ちょ、まっ、そんな心の準備がまdあーっ!?」
やられた。不意を突かれた。
本当にやるだなんて、まったく思ってなかったから。
だがそれ故に、とても自然で…少し儚げで、どこか悲しい…そんな笑顔が、きっと撮れたことだろう。
「おっ、おめー!!!
やめろし?ぜってーやめろし?!
そんなのが遺影扱いになってたらほんと死んでも死にきれねーし?!」
お尻から蹴りたくなりそうな言い回しだが、きっと他意はない…はず。
■修世 光奈 > 「………戻ってこないとか、死ぬとか。嫌いなんですよ」
本当に、事情は何も知らない。
ただ、自分が嫌なだけだ。
怒られても仕方のない肖像権の侵害である。
ついでに、保護までして画像を保存する。
しかし。
「ふっふーん。…ならそーいうのは無しで。
封筒は特別サービスで最初の一人に渡しておくけど、『戻ってくる』って言ってた、とも添えるからね
戻ってこなかったらばらまくから」
完全に脅しだ。
…あんな光景が、一瞬脳裏に浮かんでしまったから。
もう誰かと会えないなんて、そんな人はできるだけ見たくない、と。
事情を知らないが故に、強気に出れる特権を振り回す。
■レナード > 「……………。」
ああ、厭だなあ。
これだから、あまり込み入った話をしたくなかったんだ。
でも、彼女も善意の内にやっている。それは、尊重してあげないといけない。
薄く笑いながら、そう思う。
だから……
「……ああ……戻ってくるよ。」
自分に、嘘を吐いた。
それは、厭になるくらいに、今までやってきたこと。
なのに、ここに来て心が痛むのは、どうしてだろうか。
悲しそうな笑みは、消えてくれなかった。
■修世 光奈 > 「………そーですか」
もう、何も光奈にできることはない。
今できそうで、思いつくことはできた。
後は、その言葉を…信じるしかない。
嘘だとわかっていても…追及することはできない
「…手がかりもないみたいだし、私は先に降りるね」
そう、元々は。
自分は人探しに来ていたから。
少し、光奈も寂し気に笑ってから、扉をまたぎぃ、と開けて、去っていこうと。
■レナード > 「………。」
彼女が去るのを、何も言わずに見守っていたが……
扉を開けて、その身体が、展望台から消えようとした、その際。
「ありがとう。」
そう、彼女に聞こえるくらいの声量で、はっきりと言葉にした。
■レナード > そして、静寂が戻ってくる。
僅かな夏の暑さを伴う風が、頬を撫でた。
「………。
さて、次は………」
もう、ほとんど思い出せない。
だけれども、まだ、時間はある。
もう一か所くらい、巡ろうか。
彼も遅れて、扉から展望台の外へと出ていった―――
―――彼が、彼女…「修世 光奈」に託した手紙。
そこには彼の直筆でこう、綴られている。
■レナードの手紙 > 僕を探す、誰かへ。
この手紙を読んでいるということは、僕はもうこの島にはいないだろう。
それもそのはず。何故なら、門の向こう側へ、僕は行く決心をしたからだ。
どこへ行けるのか、どこへ繋がるのか、それはさっぱりわからない。
だけども、旅とは得てしてそういうものだと割り切ってほしい。
僕の旅は、まだ終わらないわけ。
楽しかった。
楽しかったんだ。
ここでの生活は、楽しかった。
色々あったけれど、今ならきっとこう振り返られるはずだ。
でも、僕はもうこの常世島にはいられない。
理由を綴れないことを、どうか許してほしい。
本当は僕が知り合い全員に説明すべきだったのに、こんな形で明かすことになって、申し訳なく思う。
この手紙をわざわざ探し出したということは、そういうことなんだろう?
この手紙で以て、どうか、探索を打ち切ってほしい。これ以上はきっと、何も見つからないから。
それと今、この常世島に、僕の古い知り合いがやってきている。
名前はアーテル、長い赤髪の男だ。彼とは、事前に多少話をしてある。
彼とは入れ替わり気味になるけど、人当たりはいいヒトデナシだから、きっとみんなとも仲良くなれるはず。
僕との思い出を、彼との話のタネに使ってくれたら嬉しい。
最後に、一つだけ。
仲良くしてくれてありがとう。僕は、幸せだった。
さようなら。
もう思い出せない…大切な誰か。
レナード・ウォーダン・テスラ
ご案内:「大時計塔」からレナードさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から修世 光奈さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」に窮戯さんが現れました。
■窮戯 >
匂う 香る
人の匂い 人の香り
「生徒は立ち入り禁止。
なのにたくさん悪い子が入り込んでるのねぇ」
夏の風が黒髪と、大きな尻尾の毛並みを揺らす
空いた時間に学内を物色中、そういえばこの場所には立ち寄っていなかったとやってきた狐
思いのほか多くの人間が出入りしているようで、たくさんの『匂い』が残っている
常世の町々を見渡せば、この島が思いのほか大きく、多くの人間の鼓動が息づいていることを感じ取れた
「…ふふふ」
その笑みは何に対してのものか
■窮戯 >
「…歪な島」
ぽつりとそう零し、壁へと寄りかかる
「なぜこんな島に…? ううん、この島だから」
焦点の見えない、自問自答
ゆっくりと腕を組み上げ、顎先に手を持ち上げる
「こんなに大きな玩具があるのに、自分は玩具の歯車になるだけ、なんて…。
勿体ない。なんて勿体ないのかしら」
クスクス。愉しげに狐は笑う
血の色のような赤い瞳は、島全体を見渡すようにして
■窮戯 >
「おもちゃは、弄んで、玩んで、翫んで…」
「最後には壊してしまうものだっていうのに……」
壁を背にしたまま、右手を伸ばす
細く長い指の、大きな手
視界に収まる常世の町並みを、まるでその手の平に包むように
「──良い遊び場だっていうのは、否定しないけれど」
■窮戯 >
「……なーんて」
手を戻す
ゆったりと腕を組み直して
「そんなことなんかより、来期の授業計画、立てないと…」
やれやれ、先生って思ったよりも忙しい
これで部活まで面倒を見ている教諭の方々はどれだけ自分の時間を犠牲にしているのやら
ご案内:「大時計塔」に持流 童男さんが現れました。
■持流 童男 > 「うーん・・うーん・・・・」
そう言って大時計塔を上がってくるパーカの男
この男、青春らしいことが、わからないのである・・!!
そして扉を開けて中に入れば、窮戯殿がいた。一瞬驚くが丁度いいと思い
「窮戯先生・・・こんには。少し相談があるんですが」
そう相談を持ちかけた。
■窮戯 >
「…あら?あなたは確か」
保健室で出会った生徒
名前は確か…
「どうしたのかしら童男クン?
此処は一応、生徒は立入禁止のはずなのだけど…?」
クスクスと薄い笑みを浮かべている
■持流 童男 > 「あの・・・先生、お恥ずかしながら・・ってうっかりしてた!ここ立ち入り禁止だ!一度考えると周りが見えなくなるのが、僕の悪い癖・・・」
しょんぼりしながらも、言ってから
「窮戯先生、・・・先生って青春と、こう・・・心の底から愛した、恋愛ってしたことってありますか?ラブコメで見たんですが。なかなか某恋愛漫画みたいなことなくて・・・おかしいな。曲がり角で美少女に出会うのが定番だと聞いたんですが。なかなか起きなくて。」
そう言って悩みながらも言った。
■窮戯 >
「…ま、いいわ。危ないことしに来たのでもないのだろうし…大目に見てあげる」
ゆらゆらと尻尾が揺れる
別段、厳しく言及するつもりもないようで、その声は軽やかだった
「恋愛?随分とまた突飛な相談ねぇ…。
心の底から愛した…フフフ。それはもちろん、女だもの。
身を焦がす程、焦がれて焦がれて…そんな想いだって、したことがあるわよ?」
そう答えながら、
ラブコメを例にした経験のなさを語られれば苦笑を浮かべる
「事実は小説より奇なり…。
なんて言うでしょう?そんなこと、早々には起こり得ないし。
実際に曲がり角で美少女と激突したって、貴方の体格じゃ相手に怪我をさせるだけじゃない」
■持流 童男 > 「!!??!?!??!?!?!!????!!」
凄まじく驚く、メッチャクチャ驚く、目が飛び出す勢いで驚く
「せ・・先生にもあったんですね!愛したことがそれは!まァ!先生、綺麗ですからね!!!・・・・焦がれるのは辛いですよね・・・ぬおおお」
そうしてぬおおおといって、悶た後に
また驚愕しながらも
「ウッソだろ!?・・でも確かに窮戯先生のいうとおりだ・・!うおおおこの体格が憎い・・!!多分美少女が5メートル先に飛んでいく・・!そしてヤムチャするでござる・・!!」
そう嘆く。そして一筋の光を求めるように窮戯さんに問いかける
「じゃ・・じゃあ・・お風呂に入ってるときに全裸の美少女が現れる展開は・・・!」
■窮戯 >
「あら、そんなに意外だった?」
童男のオーバーリアクショに小さく首を傾げつつ
「誰だって恋をすれば焦がれるもの…恋が実って、初めて得る感情が愛。
それを求めていたんだ、ということに気付く。そんな瞬間でしょうね」
フフ、と口元に指を当て、笑う
「童男クンは、男性が入っている湯浴み場に突然裸で入ってくるような情緒も羞恥もないような女が好きなのかしら…?
そもそも、一緒に住んでいる異性でもいない限りは起こり得ないと思うけれど」
■持流 童男 > 「いや!?情緒はあってほしいでござるな・・!羞恥も少しはあってほしいでござるな・・!無いでござるかぁ・・!」
そう言って、こう、ぬおおと四つん這いんになってショックを受けた後に、ヨイショと立ち上がって、そしてフフンとなりつつも
「窮戯さんは・・・・ 恋が実ったことってあるんでござるか?いやちょっと興味本位で聞いてしまったんだ。嫌なら答えなくていいけども」
申し訳無さそうにしながら言う
■窮戯 >
「ええ。もちろん。…でも童男クンの場合は…まだ恋を探している状態なんじゃないかしら?」
クス、と笑みを深める
だったら、自分の話をしたところで余り意味はないだろう
「それとも誰かに恋をしている…?
もしくは…それがわからない状態、かしらね…」
■持流 童男 > 「うおお!そう!恋をしてるんでござるよ・・!叶わぬ恋だと思うんでござるけどね。こう・・・正直1%にも満ちてないでござる」
そう言って窮戯さんに応える
うぬぬぬぬと思って言いながらも
「いやぁ、ちょっと・・・ちょっと?こう・・なんだ・・・なんていえばいい・・色が多い子、えーっとまぁ!そういうことが好きな子に惚れてしまって。今のままだと普通に駄目なんだよね。多分、凍てつく波動で体ばらばらにされる。1%どころか、今0%なんだ。」
と言って窮戯さんに両手を合わせてお願いする
「玉砕する可能性のほうが多いけど、1%にするために。どうか助言をいただきたいでござる・・!」
■窮戯 >
「力づくで貴方のモノにすればいいんじゃないかしら」
即答する狐
「貴方のものにして、誰にも渡さなければずっと貴方のものよ?
それで一気に100%、フフフ。問題解決ね」
■持流 童男 > 「とんでもねーこと言い出したよこの狐の先生!!!!」
思いっきりツッコミを入れる。
そして驚いてから
「びっくりしたよ!!斜め上から来たよ!死角から攻撃されたよ!」
そう思いっきりツッコミを入れる。
そして窮戯さんの目を見てから
「むー・・・某、こう・・NではじまってRで終わることは、はちょっと」
「・・あ!逆にそういうことされるのはいいでござるけどね!全力出してね!・・・駄目じゃねーーか!もう!女性をそういう事するのは、駄目でござるよー。窮戯先生ー」
そう冗談めかして窮戯さんに笑いかける
■窮戯 >
「冗談で言っているつもりもないのだけど」
嗤う
「生徒の悩みに冗談で答える先生がいるわけないでしょう?
愛は束縛すること。そして愛に応じるとは束縛されても良いと思えること。
貴方がその子にそう思わせられない限りは恋は愛に発展しないわ」
ゆらり、尻尾が揺れて
黒い狐が一歩、近づく
「自身が心から欲するならば奪いなさい?
奪った側も、奪われた側もそれを受け入れるくらいに強く…。
もともとこの世は奪い合いでしょう。
迷っている間にその子を他の誰かに取られても良いというのなら、話は別だけれど…
…その場合は、その子が不幸になる可能性を"部外者として"受け入れることになるのよ?」
■持流 童男 > 「まさか冗談ではなかったとは。確かに・・・窮戯さんの話は、説得力あるね・・うーん、たしかになぁ 」
そう考える。愛は束縛して、束縛されてもいいと思えるか。
「うーん、そうなんだよね。・・うん、振られても、彼女が幸せになるならいいけど、不幸に成るのは嫌だなぁ。強く奪うかぁ。・・・うーんありがとう!窮戯先生。だけど・・まぁやれるだけやってみるよ。」
そう輝く笑顔で笑う、窮戯先生なら一歩近づかれても大丈夫だろうと思い動いていない
「うん?どうしたの?窮戯先生」
■窮戯 >
「想い人が不幸になるのはイヤでしょう?
そんなことを他人の男に任せられる?
貴方が力づくでも奪って、命をかけて必ず幸せにする道こそが、正道でしょう」
血の色のような眼が覗き込む
どこか妖艶で、不安を覚えるような赤い色だ
「何も迷うことなんてないのよ童男クン。
誰かに恋をしたのなら…その子を幸せに出来るのは自分だけだと思いなさい。
そのくらいの"覚悟"がないと…誰かの幸せを背負うなんてこと。できないのだから」
一歩、また一歩と歩み寄り…横を通り過ぎる
長い髪と、黒い尻尾がふわりと横切って、蠱惑的な香りを残す
「私は仕事が残っているからもういくわ。貴方も立ち入り禁止の場所にあまり長くいないようにね」
クスクスと悪戯めいた笑顔を見せて、そのまま黒い狐は時計台から姿を消した
ご案内:「大時計塔」から窮戯さんが去りました。
■持流 童男 > 「うーん?窮戯さん。だけど、未だちょっと迷ってるよ・・!僕に”覚悟”があるのか、幸せを背負うことができるのかって。だけど、ありがとう!!!相談に乗ってくれて!」
真剣に去っていった窮戯さんを振り返ってからそう叫ぶ
そう笑ってからいい匂いがするなーって思ってから
「やっべ!!そうだった!とりあえず、保険の、ビシュク先生?にも相談してみよう!。恋ってむずかしい・!!」
そう言って階段から脚をふみはずして 思い切り転げ回ってからそれでもピンピンした様子で時計塔を後にする
「うーんビシュク先生にも相談してみるか。
ご案内:「大時計塔」から持流 童男さんが去りました。