2020/08/23 のログ
ご案内:「大時計塔」にスノーウィーさんが現れました。
スノーウィー > 「コホッ、ケホッ」

ふと立ち入り禁止になっている場所が気になってやってきた。
空気を吸うと埃が少しだけ喉に入って小さな咳払いをする。

人のいない時計塔内部は小さな咳払いが大きく耳に響くような気がして少しだけ
特別感...というか孤独感を助長させた。

ここ数日。
体調を崩して学校を休んでいた。
とはいえ、まだあまり絶好調というわけではないのだけれど。
ただ体調が悪い人間。いや人間ではないけれど特有のさみしさ。というか
家に居たくない気分でふらふらと歩いてきたのだった

スノーウィー > それにしても、ここは…

「なんだかさみしい場所」

せき込む喉を整える様に。
自分の手で口元を覆ってはぽつり、とつぶやいた。
それでも。今はこんな静けさとさみしさがちょうどいいかもしれないな、なんて
想いながらそっと時計塔を進んでいく。

鐘のある場所は外が一望できる、と聞いている。
まだ無茶をするわけにはいかないけれど、少しだけ気分転換したら帰ろう
誰に言うわけでもない言い訳を心の中でして、美しい景色が見える場所へと歩いていく

スノーウィー > 「ついた」


―――さぁ、っと風が抜ける。

暑くてしけった気持ちの悪い今日この頃とはいえ
この高くて開放的な場所を抜ける風は強く、そして涼しささえ感じる。
普段から体を出したくなくて。勿論人ではないからこそ
体の中にある体温を感じないから冬と同じ厚手のセーターを着ている少女でさえも
この街を一望し涼しい風を運んでくるこの感覚を心地いいと感じる。

「…。風が気持ちいい。」

この体は外からの温度は感じるのか。
自分の体のことすら知らない少女は自分の新たな発見に小さく驚いた

スノーウィー >  
美しい景色を眺めて10分程。
そういえば、と自分が胸に抱えていた本に目を落とす。
此処に来るときに読みかけの本をそのまま持ってきていたのだったと思い出す

そのまま、ストンと壁に寄りかかる様に座り込む。
風は幾分かさえぎられるとはいえ、不快な湿気も何もなく
あぁ、ここは穴場なのだと頭の片隅で理解する前に読みかけの本をめくった

「---あぁ、その気持ちをなんと表すのか。」
「あぁ、××。貴方のその気持ちは私が答えていいものではない」

ぽつり、ぽつり。頭の中で繰り返す小説のセリフ。
普段であれば知識を詰め込むのにもっと違うものを読む。
けれどこんな体調の日は何も考えず、この秘密基地で本の世界に入り込むのもいいのではないだろうか。
もしかしたら、その心地よさに少しだけ瞳を閉じてしまうかもしれないけれど。
それは、それで。とてもいい時間の使い方かもしれない

スノーウィー >  
カクン――!

ふっと、意識を失ってしまってから少し経った。
どうやらそのまま瞳を閉じていたらしい。
あたりをキョロキョロ見渡すとそこそこ時間がたっていた

「帰らなきゃ」

少しだけ体調が悪化したかもしれないけれど
それでもいい気分転換になった気がして

「…クシュン」

少女はそのままゆったりとした足取りで帰っていった――

ご案内:「大時計塔」からスノーウィーさんが去りました。