2020/09/09 のログ
ご案内:「大時計塔」に御白 夕花さんが現れました。
■御白 夕花 >
夏の終わり、とても静かな夜。島を一望できる塔の上でひとり過ごす。
見上げた星空の方が明るく見えるほど───草木も眠るって言うんだっけ、こういうの。
誰かに見つかったら怒られそうな時間と場所だけど、ここで見た景色が忘れられなくて。
寝苦しかったのも手伝って、つい寮を抜け出して大時計塔に足を運んでしまっていた。
「ふぅ……風が気持ちい……」
涼しい風が頬を撫でる。まだまだ残暑の続く9月初頭、夜の方が過ごしやすい。
流石に昼間と同じ格好のままじゃ肌寒いから、薄手の上着が必要だけれど。
一瞬、白マントを羽織って出掛けそうになったのはギリギリ踏み止まった。
■御白 夕花 >
ぼんやりと、何を思うでもなく夜空の星を眺める。
そうしている間も、頭の隅では背後を警戒したり人に見つかった時の対処を考えてしまう。
並列思考。私をどこにでもいる普通の女子高生でいさせてくれない要素の一つ。
眠っている時以外は常に頭を働かせているようなものだから、気が休まらないというか……とにかく疲れる。
甘い物が一段と美味しく感じるくらいしかメリットのない能力だ。
───あれ? それって結構なメリットなんじゃ?
■御白 夕花 >
夏休みに入る前は、これと言って好きなものと呼べるものがなかった。
だけど、夏休み中にいろんな出来事があって、いろんな人と出会って……
気が付けば、星を眺めるのと甘いお菓子が好きになっていた。
どっちも友達の影響。私ってこんなに人に影響されやすかったんだなぁ、としみじみ思う。
悪い気はしないというか、好きを共有できるのは喜ばしいことだ。
灰色だった人生がじわじわと色付いていくような、そんな充実感がある。
西の方にはまだ夏の大三角が見える。北に見えるのは不動の北極星。
私とナナちゃん、他にもたくさんの縁を結んでくれた星たち。
いつか、私もあの星のように人と人を繋げるような存在になれるかな?
■御白 夕花 >
「んぅ……」
あっ、まずい。うとうとしてきた。
よく回る方の頭が寮に帰らないとって慌てだしてももう遅い。
夜風の心地良さに任せて、体が眠る準備をし始めている。
まぁ……ここなら滅多に人もこないし、いいか……
「……………………すぅ……」
ご案内:「大時計塔」から御白 夕花さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」に黒髪の少年さんが現れました。
■黒髪の少年 > やってきた。
もう慣れてきた、その目深にフードを被ったぶかぶかのローブ姿。
…まだ正式に学生に戻ったわけではない。
ただ、自分の心はもう決まっていた。
「………はー。
ここには随分世話になった………気がするし。」
ここに来たのは、思い出を取り戻すこと。
それと、……少し黄昏たくなっただけ。
風に煽られたローブがはためく、どこかぱたぱたと忙しない。
見下ろせば常世の島が一望できるその場所で、手すりに身を乗り出すように、独りぼんやりと過ごしていた。
ご案内:「大時計塔」に阿須賀 冬織さんが現れました。
■阿須賀 冬織 > 一度やると枷というのは外れるもので。夏に訪れて以来時々来るようになった。
迷いなく立ち入り禁止の文字を無視して階段をのぼる。ただの気分転換だ。
「……んあー、立ち入り禁止ってあるけどやっぱ来る人多いんだなあ。」
のぼった先には人影が。自分もそうなのであまり人のことを言えないが、立ち入り禁止の意味はあるのだろうか。
来たことを告げるように声を抑えずに独り言ちる。
先客はフードを被っていて、夜の暗さもあってかその容姿はよくわからなかった。
■黒髪の少年 > 「…………。」
誰か来た。
その声色が……覚えてなさそうで、覚えてそうで。
自分の脳裏に引っかかる。
…少なくとも、誰だとはっきり言える相手では、まだない。
それは箱の中に残った誰か…のはずだろうから。
「ここ、立ち入り禁止のはずだけど。」
振り向きもせずに、答える。
自分の立場は棚に上げたまま。
■阿須賀 冬織 > 聞き覚えのある声だ。そして、それは彼の中では聞くことはもうないと思っていたものだ。
「そっ、そういうお前だってここにいるじゃねーか……。」
声が震えた。聞き間違いだろうか、よく似た誰かだろうか、それともあの人か、それと同じような何かなのだろうか。
きっと違うのに。それでも、どうしても確かめたくて、顔を見ようとその人物の方へと近づく。
■黒髪の少年 > 「………。
僕はいいんだし、学生じゃないんだから。」
どうやら引いてくれるわけでもなさそうだ。
フードを目深に被ったままではあるが、振り向きざまに確認してみようか。
「そーいうおめーは………―――」
目の前の彼からは見えないだろう、隠された眼が見開いた。
その姿、見て思い出さないわけがない。
…いや、そんな。でも……
「……ッ、ストップ。」
自分の脳裏に蘇るイメージを余所に、片手を上げて掌を見せる。
まるで、そこで静止しろ。と言わんばかり。
■阿須賀 冬織 > ストップと言われて立ち止まる。やっぱり、声も言葉も……彼だ。フードに隠された顔はまだ見えない。
同じ場所で、同じような状況になってなければ、きっと止まらずにフードを脱がせようとしていたのだろう。
「……戻って、きてたのか……?」
なんて声をかけるべきなのか。心は彼だと言っているけど、頭はそんなはずないと言っている。
……とりあえず、この言葉であれば彼と、関係する人以外の可能性は弾けるだろう。
■黒髪の少年 > 「……………。」
彼の質問には答えずに、黙ったまま。
いや、まあ、思い出してきたけど。
でも、なんというか、彼は……絶対に重い方向に捉えていたに違いない。
下手なことを言えば激情を煽ることになりそうだった。
とはいえ、あまり余計な感傷にひたらせるのも、気が引ける。
考えろ、考えろ、自分はなんと彼に答えればいい?
悩みに悩んで、出た結論は…
「おめー、彼女とは最近どうなわけ?」
キラーパスを飛ばすことだった。
■阿須賀 冬織 > 「ゲホッゲホッ……っー……! 今んな話してねーじゃん! ……ってかそれはおめーの話と等価交換だっつっただろ!」
思いもよらぬ言葉にむせかえる。さっきまでの考えは吹き飛んだ。
ああ、こういったやりとりもちょっと前のはずなのに懐かしいな……。
「……まあ、言いたいことは色々あるけどさ。」
聞きたいことではなく言いたいこと。でもまあその中でも最初に言うべきはこれだろう。
■阿須賀 冬織 > 「おかえり、レナード。」