2021/11/03 のログ
■リスティ >
「半分正解。そっちの用事は終わっちゃった」
実際眺めは良い。また来てもいいと思うぐらいには。
ゆっくりと歩いて……そちらの手が届くだろう距離まで近づく。
ちょっと近すぎるかもしれない。
「もう半分は人とお話したくて。最近起きたばかりでさ……。
此処が丁度いいかなって。君みたいな人が来るわけだし。
人がたくさん居ても話しづらいしね」
敵意はないが、どこか妖しく赤く光る瞳が見上げる。
それから、ふうと息を吐いて。
「にしても、すごいね、ここ……島全体が学校だなんて」
どうやら新参者らしい言い方をする少女の目は、じぃ…と貴方を観察しているようだ。
■追影切人 > (…何か距離感近くねぇか?この金髪幼女。)
訝しげに僅かに目を細めつつも、敵意や殺気の類は無い。
加えてその見た目――で、甘く見たら早死にするのがオチだ。
単純にナチュラルに他者との距離感が近いだけ、というのも有り得る話ではあるが…。
「…話?最近起きたばかり?…何だ、どっかで封印でもされてたのか?」
彼女の言葉に怪訝そうに尋ねつつも、会話の合間に紫煙を燻らせつつ。
ちなみに、彼女が近づいてきたのでそちらに煙が流れないように、微妙に煙草の角度を口で調整していたりする。
妖しく光る赤い瞳――灰銀の右目と、何処か違和感のある金色の左目で見返しつつ。
「…つっても、学園ぽさがあるのは学園街とその周辺くらいだけどな。
――ってか、さっきからジロジロ見てるが俺の顔を見ても面白いモンはねーぞ?」
彼女の視線――矢張り敵意や殺意は無い。だが、こちらを”観察”するような。
…どっかの”同類”を思い出したのかびみょーに一瞬だけ嫌な顔をしつつ。
■リスティ >
「ちょっと長いお休みをね。100年ぐらい寝てたみたい。
なんだかいろいろ変わっちゃっててびっくりしちゃった」
文字通りの大変容だ。少女が知る世界はもう何処にもない。
「確かに、見渡した感じほとんど街だね……生活には困らなさそう。
ここだけで完結してて本当にすごい。悪いところもね?」
にっと笑う。見ていれば尖った歯が視えるだろう。
それから、面白いものがないと言われれば。
「そうだねぇ、世界の事は気にはなるんだけど……」
もう一歩近寄って。
「ねえ君、人間?それとも、こっち側だったりする?」
根拠があるわけではないが、気になって問いかけてみた。
少女は言葉からも行動からも、自分が人間ではないことを隠しもしない。
■追影切人 > 「…100年寝てたら、時差ボケっつぅかカルチャーショック?が凄そうだなオィ。」
実際に100年立てば”景色”はそりゃ様変わりするものだろう。
彼女にとっての大変容は――100年後のこの世界の事かもしれない。
にっと笑う彼女の尖った歯を眺めれば直ぐに思い浮かぶ単語があるが――…
「――あ?生まれは知らねーが人間だぜ。ただまぁ…。」
そこで一度言葉を切れば、素肌の右手とは対照的な――黒い包帯じみた物が巻かれた左手を軽く見せる。
指先まで巻かれたそれは、服で見えないかもしれないが肘の辺りまで巻かれており。
更に、よく見れば何かの封印術式の文字がびっしりと刻まれているのが分かるかもしれない。
――そして。そこから微かに漂うのは紛れも無く人ならざる者の気配だ。
「――ま、この通り怪異に現在進行形で”侵食”されてるっつー訳だ。」
彼女が人間か人外かを尋ねてきた原因は、紛れもなく”これ”だろう。
■リスティ >
「それこそ異世界に来たような気分だね。寝る前に覚悟はしてたけど」
語調には常に余裕が漂っている。
悲観してるわけでもないし、なんなら適応できると思っているのだ。
「へぇ……そういうのもあるんだ。
怪異による侵食。吸血鬼の眷属化とは違うのかな?
異能の存在が一般化しちゃったのも驚いたけど、これはこれは……」
興味深げにその左手を見る。
確かにそれは人ではないもののようで。
「うーん?よくわかんないな……」
封印のせいだろうか、その実態はうまくつかめない。
ほぼ無意識に、その左手に触れようと手が伸びる。
禍々しい様相に対しての畏怖はないらしい。
■追影切人 > 「つーか、むしろ現代を楽しんでる感じにしか見えねーぞお前。
まぁ、そりゃ100年もブランクありゃ、何処もかしこも物珍しいものばかりだろーよ。
特に、こんな色々とごちゃ混ぜで何でもありな島となりゃ尚更によ。」
と、一度夜景に視線をちらりと向けてから金髪幼女へと視線を戻して緩く肩を竦めて。
「あー、前に何度かやりあった怪異が居て、その因子?みてーなのが体内に入り込んだらしい。
んで、それが徐々に侵食してきて今は左腕はほぼ怪異になりつつあるって感じだな。
ま、このまま全身に行き渡れば完全に怪異に成り果てるっつーのは間違いねーだろうよ。」
亜種怪異や準怪異など呼び名は幾つかあるが、既に人間からやや外れつつあるのは事実で。
吸血鬼、という単語から彼女がソレなのだろうと確信を得つつも。
「おい、好奇心旺盛なのは良いが少しは用心とかしとけよ吸血鬼幼女。
――まぁ、人外ならこの呪符もどきに触るくらいなら問題はねーだろうがよ。」
あくまで内部の怪異の侵食を遅延さえる封印式なので、外から触れる分は然程問題は無い。
ただ、布を解いてしまうと怪異が勝手に”展開”されるので触るだけに留めさせようとするが。
もし触れたなら、イメージとして月と獣――狼…そして最後に刃が朧気に浮かぶかもしれず。
■リスティ >
「それはそうだよ、沈んでても仕方ない。
あ、身分証とか用意しないと携帯とやらも契約出来ないし、
その辺どうにかならないかな?何かいい方法知らない?」
あんまり期待はしていない。
手に入らなければ、他の方法をさがすまで。
「ふーん?腕切り離したりはしないんだ?
受け入れちゃってる感じ?それとももう手遅れとか?」
そう言いながら、遠慮なく触れる。
それはもう、べたべたと。つついてみたり、握ってみたり。
話が終わってしまうかもしれないから、解こうとしたりはしないが。
「へぇ、面白いね……」
両手で左手を握ったまま、じっと目を見上げ。小さく舌なめずりをした。
吸血鬼という情報があれば、何を考えているか…予想できるかもしれない。
■追影切人 > 「あ?身分証が欲しいなら学園で手続きして正規の学生になるか――…。
あるいは、落第街で偽造学生証手に入れるかだな。
ま、正規の学生になった方が面倒毎は少ねーだろうが。」
そもそも、異邦人街というファンタジーな世界の連中が暮らす街がある。
簡単にだがそんな街がある事を彼女に語りつつも、携帯は――…
「携帯は普通に身分証明書が必要になるから、学生証とかを手に入れるのが先の方がいいかもな。
まぁ、落第街とかなら違法改造した携帯とか普通に出回ってるだろうが…。」
そもそもこの吸血鬼幼女、現代貨幣を持っているのだろうか?と、いう問題が。
その間も腕をやたらと突いたり触られたりしているが、明確な変化は無い。
「いや、取り敢えず自分で一回切断したけどあっさり再生した。」
と、既に自分からバッサリやった事を何でもないかのように答えつつ。
矢張り侵食されかけているとはいえ、怪異の再生力は伊達ではないようで。
…で、何時の間にか軽く幼女が両手でこちらの左手をホールドしているんだが。
しかも、何か舌なめずりをしているのだが。流石にこの先の流れは読めた。
「…一応聞いておくがよ?まさか俺の血を吸いたいとかじゃねーよな?」
彼女が吸血鬼だと分かった時点で、こうなる流れはある程度確定路線だったかもしれない。
とはいえ、実は吸血行為そのものは別にそこまで忌避感は無い。
ただ、こちらにどういう作用が起こるかのリスクがちょいと気になるだけだ。
■リスティ >
「やっぱり学生になるしか……」
それは校則に縛られることになるわけで、それは面倒だ。
とはいえ、そちらのほうが自由になるのならそれも手だろう。
自分は柔軟に対応出来るタイプの自負がある。
「あぁ、そういうのもあるんだ。覚えとこ」
落第街にも技術を持ったのものが居るのだろう。
依存しないまでも、付き合っていったほうが便利そうだ。
「え……ほんとに人間……?
まぁ、そううまく行くものじゃないか……」
その精神性は怪異によるもの……ではないような気がする。
これも特に根拠はないが。
「……駄目かな?ちょっと貧血になるだけだよ」
目を見たまま、首を少し傾げた。
いたずらに人間を減らすようなことはしない。
それではいずれお互いに不利になってしまうから。
■追影切人 > 「堅苦しいルールとかに縛られるのが嫌ってタイプにゃきついかもしれねーな。
まぁ、落第街で暮らすのもありだが、あっちもあっちで完全に無法地帯って訳でもねーからな。」
ああいう裏の世界にも暗黙の了解があるのが常。
まぁ、正規学生でも落第街に出向く者はちらほら居る訳で。
勿論、風紀や公安辺りは除くが。
「ま、リスク計算?みてーなモンはしつつ立ち回れってこったな。」
自分の台詞に苦笑を浮かべる。こんな台詞を俺が言うとは随分と牙を抜かれたモンだな、と。
「生まれは落第街っつーかスラムだけどな。少なくとも人外種族じゃねーよ。」
人外扱いされた事はしょっちゅうだが、正規学生になって検査を受けた限りでは人間に間違いは無い。
精神性は――そもそも、この男は■■■なので彼女が違和感を感じるのも無理は無く。
「俺に変な影響出ねーなら好きに吸えよ。妙な真似したら斬るだけだし。」
と、肩を竦めて。さらりと物騒な事を口にするが軽口ではなく本気でぶった斬る気である。
ただ、流石に左腕から吸わせるのもアレなので「こっちにしとけ」と普通の右腕の方をちょいちょいと指で示し。
■リスティ >
「私みたいなのは影側が合いそうな気はするけど……。
そういうのに囚われても仕方ないしね。ちょっと考えてみる」
もちろんこちらも何も知らないわけではない。
別に生まれたての存在でもなく、人間を知らないわけでもない。
少し上から目線のような態度も、どういうものか知っているからだ。
「……変わりものは何時の時代も居る、みたいな?
私はそれでも全然構わないけど」
それに、怪異が混ざった血の味も少し気になる。
本当に興味深い相手だ。
「やった。痛くもないから安心してね」
左手を離して、右腕を見て。貴方の顔をみて。もう一度右腕を見て。
両腕を掲げ、不意にふわりと浮かび上がって、貴方に少女の顔が迫ってくる。
その視線と両手が伸びる先は……首筋だ。
■追影切人 > 「ま、こっちに紛れ込んだり溶け込んだりしてる人外も居るし…。
別世界からの異邦人の類も普通に学生やってたりするからな。
結局、決めるのは自分だからお前次第としか俺はには言えねーよ。」
少なくとも、自分みたいなたかが十数年生きているだけのガキと比べて。
目の前の幼女は数百年は生きていそうだから、こちらが言うまでも無い事だろうけれど。
「変わり者なんてこの島じゃそこまで珍しくもねー気がするけどな。
まぁ、血を吸うのはいいがそっちになんか変化が起きても自己責任っつー事で。」
味なんて彼女の吸血鬼としての味覚次第。こちらの混ざりものの血が彼女に何か影響を与えるかも未知数。
…で、それはそれとして。
彼女がこちらの腕と顔を交互に見ていたかと思えば、ふわりと浮き上がり――
腕を伸ばしてきた。狙いは――首筋か。そういやそっちから吸うのが一般的だった気もする、多分。
「あー、はいはい首筋な…。」
把握すれば嘆息と共に、服の襟元辺りを軽く引っ張って吸い易いように。
■リスティ >
「その辺はうまくやるよ。
普通の人間よりは長生きなんだし、大丈夫でしょ」
これは余裕だ。長い時を生きる存在故に、
慌てるようなものでもないというのもある。
「確かに。他の人とも話してみないとね
なにか起きたら……それはもちろん、承知の上だよ」
これはどちらかと言うと慢心。だが、多分大丈夫だろう。
これぐらい適応出来ないでどうする、というのもある。
「ふふ、ありがと……それじゃ、いただきます」
そちらの首に手を添え、ゆっくりと口を近づける。
牙が突き立てられるものの痛みはなく、口付けのような柔らかな感触だけがある。
その後、少しずつこくりこくり嚥下する音が聞こえてくるだろう。
合わせて血が抜けていく感触が少しだけあるかもしれない。
■追影切人 > 「だったら尚更だ。経験則があるとはいえ、余裕ぶっこいている時こそ足元を掬われたりもするしな。」
彼女の余裕を感じる態度は、長年生きてきたからこそ人を長く見てきた自信でもあるのだろう。
だからこそ、まぁ油断はしていないかもしれないが人生何が起こるか分からない、とうやつだ。
「……吸血ってこういう感じなのか。」
ぼそりと。彼女の口が首筋へと近付き、やがて牙が突き立てられるが痛みは無い。
代わりに、喪失感というよりか体内から何かが抜けていくような感覚を覚えて。
痛みは兎も角、血液がじわじわ減っていくのが分かる。
まぁ、彼女は心得ているみたいだしあちらにお任せだ。
(これ、周りに見られたら幼女に首筋にキスマークでも付けられるようにしか見えねーだろうな)
■リスティ >
「ん…ふ……」
吸う量は感覚的なものがあるのだろう。手や視線が時折動いて、体調を伺っている。
「……っぷは。こんなとこかな」
やがて、少女をは口を離す。
そのまま首にぶら下がるように腕を回す。ふわふわと浮いていて重さはない。
牙による傷跡は、それを阻害するものがなければすでに塞がっているだろう。
痕がどれぐらいの間残るかは、個人差がある。キスマークみたいになることもあるかもしれない。
「……大丈夫かな?ふらついたりしてない?」
少し紅潮した顔で、ぶら下がる格好のまま、そちらの顔色を伺う。
吸血量は控えめにしたつもりだが、あくまでこちらの感覚によるものだ。
■追影切人 > 血を吸われる、という感覚は流石に初めてだ。
とはいえ、血液がじわじわ失われていく喪失感は新鮮でもある。
やがて、彼女が口を離せばそちらへと目を向けつつ緩く肩を竦めて。
「終わったか。…ま、特にこれくらいなら問題ねーよ。」
強がりではなく、本当に何でもないかのように割とピンピンしていた。
こちらの首元にぶらさがるような形になっている吸血鬼幼女だが重さは感じない。
そもそも、先ほどからふわふわと浮いているから重さを感じないのも当然か。
傷跡に関しては、怪異に成り掛けなのもあってか直ぐに再生していくだろう。
ちなみに、吸血痕自体は微妙に薄っすらとではあるが残ってしまっているが。
「まーそういう訳でこっちは問題ねーが、そっちは満足したか?」
こちらの様子を逐一窺いながら吸血していたのは気付いていた。
適切な量だけをきっちり頂く、というのは彼女の観察眼や経験則の賜物だろう。
「…つーか、若干遠慮しただろお前。別に多少吸われたくらいでぶっ倒れるほどヤワじゃねーよ。」
と、言いつつ右手を伸ばして軽く吸血鬼幼女の頭をぽふぽふと叩こうとして。
「んで、俺は追影切人っつーんだが…お前の名前は?」
今更自己紹介をしていない、というか幼女の名前を聞いていない事を思い出し。
■リスティ >
「そ、よかった。
……不思議な味だったけど、悪くなかったよ?
なんというか……"違い"って感じ」
欲しい量は十分満たせた。満足そうに微笑む。
味についてはコーヒーだかワインだかみたいな例えをする。
とりあえず、目下で悪い変化はおこっていないようだ。
「ん?遠慮はしてないよ。こういうのはほどほどがいい」
吸いすぎてダウンされても困るし。血を貰える相手は多いほうが良い。
今後を考えてのこともある。
「ん、ああ、私はリスティ。フルネームは秘密」
歯を見せて笑う。
触れた髪はツヤがあり、繊細でサラサラだ。
「…あと、これ。減った血の分美味しいものでも食べて」
ポケットから金貨を出して差し出す。
通貨ではないが、純金製でそれなりの価値があるだろう。
ご案内:「大時計塔」に追影切人さんが現れました。
■追影切人 > 「アレじゃねーのか?”珍味”ってやつ。
まぁ、人間が怪異成り掛けたら、そういう味になんのかもな。」
勿論個人差は当然あるとして。取り敢えず、相手が満足そうなら問題ないだろう。
ざっと見た限り、何か拒絶反応じみたものや異変は起こってはいない。
今後、後から来る可能性もあるがそれはそれだ。
「ふーん、俺はただの人間だからそこはよくわかんねーが。」
ただの人間ではないのはさて置き。彼女が程程が良いならなにも言うまい。
「ふーん、リスティねぇ。つーか、フルネームは別に名乗らなくても構わねーよ。」
呼び名が取り敢えず分かればそれ以上根掘り葉掘り追求するつもりもハナっから無い。
触れた髪はやたらと艶があってさらさらヘアーである。
吸血した後だからか、元からこんなにつやつやサラサラなのかは分からないが。
「…あ?……なんだこりゃ、金貨?」
と、彼女から受け取ったそれをマジマジと眺めて。
…まぁ、当然そのままは使えないので質屋で鑑定して貰って換金するしかないが。
取り敢えず、受け取った金貨は懐に仕舞っておきつつ。
「ま、吸血鬼と遭遇したし、退屈が紛れたし、俺はそろそろ戻るわ。お前は?リスティ。」
そろそろ良い時間だ。彼女に問い掛けながらもその足は階段の方へと既に向けられており。
■リスティ >
「そうかもね。完全に怪異とやらになっちゃうと飲めないかもだし」
わからないが……とりあえず人間以外の血にあまり魅力は感じない。
そういうもの、なのだろう。
「そ、金貨。良く出来てるでしょ」
実はすでに換金して現金も持っていたりするが、
現金よりもこちらのほうが受け取ってもらいやすいと考えている。
人間というのは複雑なのだ。相手がそうとは限らないが。
「あ、そうだね。良い時間だし、私も寝床探そう」
別に眠る必要はないが、それはそれとして此処に用はない。
ぶら下がったままふわりと背中に回る。勝手におんぶ状態。
重さがあるわけでもないし、そのまま引っ張って貰おうという魂胆だ。
甘える子供のようにも映るかもしれない。
下まで降りたら、じゃあねと別れるのだろう。
ご案内:「大時計塔」に追影切人さんが現れました。
■追影切人 > 「そもそも、完全に怪異になる前に俺は”処分”されんだろーけどな。」
肩を竦める。”他の二人”と違ってこの男の”危険性”は一番分かり易いのだから。
彼女が人の血を求めるのなら、もっとまともな”人間”の血を吸うべきだろう。
「まぁ、別に邪魔にはならねーし、貰えるモンは貰っておくがよ。」
見た感じ品質は良さそうだが、それだけだ。言い方が直球だがただの金貨でしかない。
純粋に換金アイテムと考えて良いだろう、と。
と、ぶら下がっていた彼女がこちらの背中側に回り…ちょっと待て。
「おい、何が悲しくて見た目金髪幼女を背負わなきゃならねーんだよ。」
と、文句を言いつつも結局時計塔の階段を下り終えるまではそのままで。
最後は、んじゃまたな、と軽く右手を挙げてから吸血鬼と分かれて男は帰路に就くだろう。
ご案内:「大時計塔」からリスティさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から追影切人さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 >
煙草に、火を付ける。
会議の後、取り敢えず草案は纏めた。
何せ"2回目"だ。前回の作戦案を手直しするだけで、仮の提案書くらいは仕上げることが出来る。
デスクワークも随分慣れてきた。戦場に立つよりは、まだ慣れていないけど。
「……切り替え。そうだな、切り替えなければなるまい。
求められているだけ、マシなのだ。期待を裏切らない様に、せねばなるまい」
ティラミスはとても美味しかった。
美味しい甘味を食べた翌日にこんな会議があったのだから、煙草だって吸いたくなる。
6本の内の、最初の1本。火照った思考を覚ますには、丁度良いだろう。
「……甘くないのも、良いものだな」
心地良い気怠さ。脱力感。本当は執務室で吸いたかったのだけれど。
此処は、お気に入りの場所だ。守るべき街を一望出来る。
余り人が来る事も無い。
やって来るのは一苦労だが…まあ、それでも。
ぼんやりと思考を煙らせるには、丁度良い場所だ。
■神代理央 >
…まあ、今更感傷に浸る様な立場でも無ければ、資格がある訳でもない。
強いて言うなら、やはり心配なのは部下だろうか。
彼等には訓練もそれなりに施し、装備も十全に与えている。
だがそれでも、決して一騎当千の英雄ではない。
死ぬときは、死ぬ。何人も、部下を失ってきた。
家族も無く、友人も無く、名前すらない。
そんな部下達を、何度弔ってきただろうか。
幾つ、彼等の墓を建てただろうか。
「……しかし、それでも死に近い仕事を与え、居場所を与え、その選択肢を選んだのは連中自身だ。
それを私が悔いるのも、悩むのも違うだろう。それは、彼等への冒涜だ」
深く、煙草を吸いこむ。紫煙を吐き出す。
心地良い脱力感が、思考を微睡む様にぼやけさせて――それでも、また元に戻っていく。
■神代理央 >
何方にせよ、今回は『過激派』が本腰を入れている。
『蛇』の討伐…ひいては『落第街への一撃』
壮大で壮麗な火焔の芸術で、自らの立場を補強しようとしている。
それは、良い。
「…だが、それは目的と手段が相互に噛み合っていない。
闘争の結果を補強する為の闘争。そんなものは……」
自分とて、鉄火場と闘争の場に身を置く事は嫌いではない。
寧ろ、好ましくすら思う。
しかし、今回の件は違う。自分達の地位を装飾する為の闘争など、唾棄すべきものだ。
醜い、ものだ。
「…だから」
半分程灰になった煙草を、もう一度、吸い込む。
脱力の後、思考がクリアになっていく。
透明に、なっていく。
■神代理央 >
「…だから、精々美しくしてやろうじゃないか。
業火も劫火も。砲煙も硝煙も。瓦礫も塹壕も。
全て、全て私のモノだ。私が得るべき闘争だ。
誰のものでもない。私の――」
■神代理央 >
「…私の、闘争だ」
■神代理央 >
■神代理央 >
■『メモ書き』 >
過激派は、神宮司指揮下の特務広報部へ
『伊都波凛霞が潜入している違反部活の殲滅』
『落第街への大規模な攻勢』
の2点を命じた。
神宮司蒼太朗は、現場指揮官である神代理央に対して命令を遂行する為の作戦書を作成する様に指示。
既に数度、落第街への攻勢を行っている特務広報部は作戦案を迅速に仕上げ、神宮司へ提出することになる。
しかして。神宮司により作戦案は大幅に修正が加えられた。
投入する装備、兵器、人員。
ならびに、落第街における火力投射に関しての無制限仕様の許可。
これらが書き加えられた作戦案は、神宮司から風紀委員会過激派上層部へ提出され――
■『メモ書き』 >
承認の印が、滞りなく押される事になった。
ご案内:「大時計塔」から神代理央さんが去りました。