2022/02/24 のログ
ご案内:「大時計塔」に愛深きカルマさんが現れました。
愛深きカルマ >  
時計塔の頂上
立入禁止となっているそこは、誰の気配もなく……



黒尽くめの何かが いた

それは 針金のように細く 長い
どこか人形めいた形状で……


「おお……ビューティフル……」

怪人は感動に打ち震えた。


「素晴らしい……星々の輝き。街の灯……その全てが私のもののようだ……
 やはり、高所というのは素晴らしい……っ」

陶酔しきった声が続く
しかし――

「ふむ……しかし、だ。
 素晴らしくはある、が……物足りなくもあるな」

一転、怪人は首を傾げた

愛深きカルマ >  
「……ふむ。
 闇に映える、となると……やはり、白……
 黄も、悪くはないか……?
 いや、あえての黒……」

怪人は何やらブツブツとつぶやき始める


「なかなかに難しい命題だな。
 今後の研究テーマにすべきだろうか?」

大仰な身振りを加え、あちらこちらへと怪人は歩き始める
 

ご案内:「大時計塔」に紫明 一彩さんが現れました。
紫明 一彩 >  
「…………」

図書委員会での仕事帰りに時計塔にでも寄って
良い感じの景色を眺めてから帰ろうと思った矢先。
あちらこちらへ歩いている怪人と鉢合わせしてしまった
女が居た。

正面から顔を合わせる形。

沈黙――。

「…………」
 
時計塔に先客が居た。
いや、それだけなら良いのだが。

あの――いや、心の内からせり上がってくる
数多のツッコミは一旦、置いておいて。

怪盗? 怪人? 
何だろうが怪しい人物っぽいのは間違いない。
いや、とはいえ見た目だけで判断するのは
良くないしな……。うん。

こう見えて、全人類の救済を願う聖人君子仮面かも知れないし。

顔を合わせたまま、ポケットからすい、と。
通報の為に端末を取り出しかけつつも、
一旦ステイ。

「……こ、こんばんは。良い夜だね?」

愛深きカルマ >  
「………」

そこで、はた、と怪人は気づく


「ああっ、なんということだ……!
 ここには、私が愛すべき物が!ない!」

急に頭を抱える。
そして――

「……おや、こんばんは。
 ああ、麗しのレディ。今日は確かに良い夜だ」

ばさり、とマントを翻し
怪人は振り向いて挨拶を返す
先程までの謎のテンションは打って変わって穏やかに。


「このような良い夜では、思わず外を出歩きたくなる――
 そのような気持ちも、よくわかるというもの。
 そして、このような高い場所に来て夜景を楽しむ……
 それもまた、極上の味わいと言えましょう」

ばさり、とまたマントを翻し、遠く見える夜景を指し示す


「しかして、麗しのレディ。
 そうは言っても、このような場にお一人で、とは。
 いささか不用心では?」

とても紳士的なセリフであった
それを発しているのが黒尽くめの仮面の怪人でなければ、だが

紫明 一彩 >  
 
「っ……!」

その穏やかさ、姿勢。
敬服に値するレベルの物腰だ。
夜景の趣を語るその声色も、何処か気品高い。

そう、世の人々はこういった人物を、
敬意を込めて紳士と称するのだろう。

私も爽やかな笑顔でそのように称したい。


そう、この素敵な夜景をバックに。

この紳士を前に、何処までもにこやかに――

紫明 一彩 >   

「もしもし風紀委員!? 
 変態の紳士が――!!!!」

端末に叫ぶ。ヘルプミー風紀委員! 

いや、だって!
その見た目でそのセリフはアウトだろう!? 
控えめに言ってヤバい人だよね!? 
 

愛深きカルマ >  
「なんと! 変態の紳士が!
 それは大変だ、麗しのレディ。
 一体何処にそんな者が」

怪人は大仰に驚いて問いかける。
クソ真面目な言い方からすると、
こいつ、自覚がないのであろうか?

「ところで、麗しのレディ。
 危機管理意識が高いのは称賛されることでは在るが……
 しかし、立入禁止の場でコールをするのは些か具合が悪いのではなかろうか?」

さらに常識的なことを言い募る。
非常識人に常識を問われる、この構図である。

「ついでにいえば――
 いくら風紀委員とて、このような場に来るのには
 流石に時間が少々かかるのではなかろうか?」

さらなる理知的な言葉。
こいつは本当に自覚がないのだろうか


「まあ、彼らが来るまでは私もいるとしましょう。
 ああ、これで安心だ」

当然ことながら安心できない

紫明 一彩 >  
 
「お前だーーーーっ!?」

私の全細胞が眼前の仮称変態仮面にツッコミを入れた。
いや、マジで自覚がないっぽいな!?
ある意味幸せ者だな!?

「うっ、それは確かに……」

あまりの邂逅に頭からすっ飛んでたけど、
ここ、立入禁止だものね。

いや、なにゆえ私がこんな変態っぽい仮面に
冷静な指摘を受けなければならないのか。
何だか凄まじい恥辱を与えられている気がする。

とはいえ、ここは。
大人しく、すみませーん、と口にして端末を一旦しまう。

「……いやそれ、完全に獲物を追い詰める
 悪役のセリフだよね……!?」

間違いなく筋は通ってるんだけど。

だってしょうがない。人は矛盾した情報をぶちまかれた時、
それを判断するのに
視覚情報の影響度は55%、
聴覚情報の影響度は38%、
言語情報の影響度は7%……とか、よく言うし。

仮面とマントの影響度が強すぎるんだってば!

……いかんいかん、まだ分からない。
凄く見た目が怪しいだけの、本当に紳士な人間である可能性が
砂漠の砂一粒くらいは残っている筈だ。
ちょっとそれも風に飛ばされそうだけど!

「……えーと、失礼ながら。
 どちら様でしょうか……?」

こういう時、自分から名乗れってよく言われるけれど。
落ち着いて、一旦聞いてみよう。

なに、意外とまともな回答が返ってきて、なーんだ、
ってなるかもしれないし。
こう、平安京の某門で老婆に出会った下人みたいに。