2022/02/24 のログ
ご案内:「大時計塔」に愛深きカルマさんが現れました。
■愛深きカルマ >
時計塔の頂上
立入禁止となっているそこは、誰の気配もなく……
否
黒尽くめの何かが いた
それは 針金のように細く 長い
どこか人形めいた形状で……
「おお……ビューティフル……」
怪人は感動に打ち震えた。
「素晴らしい……星々の輝き。街の灯……その全てが私のもののようだ……
やはり、高所というのは素晴らしい……っ」
陶酔しきった声が続く
しかし――
「ふむ……しかし、だ。
素晴らしくはある、が……物足りなくもあるな」
一転、怪人は首を傾げた
■愛深きカルマ >
「……ふむ。
闇に映える、となると……やはり、白……
黄も、悪くはないか……?
いや、あえての黒……」
怪人は何やらブツブツとつぶやき始める
「なかなかに難しい命題だな。
今後の研究テーマにすべきだろうか?」
大仰な身振りを加え、あちらこちらへと怪人は歩き始める
ご案内:「大時計塔」に紫明 一彩さんが現れました。
■紫明 一彩 >
「…………」
図書委員会での仕事帰りに時計塔にでも寄って
良い感じの景色を眺めてから帰ろうと思った矢先。
あちらこちらへ歩いている怪人と鉢合わせしてしまった
女が居た。
正面から顔を合わせる形。
沈黙――。
「…………」
時計塔に先客が居た。
いや、それだけなら良いのだが。
あの――いや、心の内からせり上がってくる
数多のツッコミは一旦、置いておいて。
怪盗? 怪人?
何だろうが怪しい人物っぽいのは間違いない。
いや、とはいえ見た目だけで判断するのは
良くないしな……。うん。
こう見えて、全人類の救済を願う聖人君子仮面かも知れないし。
顔を合わせたまま、ポケットからすい、と。
通報の為に端末を取り出しかけつつも、
一旦ステイ。
「……こ、こんばんは。良い夜だね?」
■愛深きカルマ >
「………」
そこで、はた、と怪人は気づく
「ああっ、なんということだ……!
ここには、私が愛すべき物が!ない!」
急に頭を抱える。
そして――
「……おや、こんばんは。
ああ、麗しのレディ。今日は確かに良い夜だ」
ばさり、とマントを翻し
怪人は振り向いて挨拶を返す
先程までの謎のテンションは打って変わって穏やかに。
「このような良い夜では、思わず外を出歩きたくなる――
そのような気持ちも、よくわかるというもの。
そして、このような高い場所に来て夜景を楽しむ……
それもまた、極上の味わいと言えましょう」
ばさり、とまたマントを翻し、遠く見える夜景を指し示す
「しかして、麗しのレディ。
そうは言っても、このような場にお一人で、とは。
いささか不用心では?」
とても紳士的なセリフであった
それを発しているのが黒尽くめの仮面の怪人でなければ、だが
■紫明 一彩 >
「っ……!」
その穏やかさ、姿勢。
敬服に値するレベルの物腰だ。
夜景の趣を語るその声色も、何処か気品高い。
そう、世の人々はこういった人物を、
敬意を込めて紳士と称するのだろう。
私も爽やかな笑顔でそのように称したい。
そう、この素敵な夜景をバックに。
この紳士を前に、何処までもにこやかに――
■紫明 一彩 >
「もしもし風紀委員!?
変態の紳士が――!!!!」
端末に叫ぶ。ヘルプミー風紀委員!
いや、だって!
その見た目でそのセリフはアウトだろう!?
控えめに言ってヤバい人だよね!?
■愛深きカルマ >
「なんと! 変態の紳士が!
それは大変だ、麗しのレディ。
一体何処にそんな者が」
怪人は大仰に驚いて問いかける。
クソ真面目な言い方からすると、
こいつ、自覚がないのであろうか?
「ところで、麗しのレディ。
危機管理意識が高いのは称賛されることでは在るが……
しかし、立入禁止の場でコールをするのは些か具合が悪いのではなかろうか?」
さらに常識的なことを言い募る。
非常識人に常識を問われる、この構図である。
「ついでにいえば――
いくら風紀委員とて、このような場に来るのには
流石に時間が少々かかるのではなかろうか?」
さらなる理知的な言葉。
こいつは本当に自覚がないのだろうか
「まあ、彼らが来るまでは私もいるとしましょう。
ああ、これで安心だ」
当然ことながら安心できない
■紫明 一彩 >
「お前だーーーーっ!?」
私の全細胞が眼前の仮称変態仮面にツッコミを入れた。
いや、マジで自覚がないっぽいな!?
ある意味幸せ者だな!?
「うっ、それは確かに……」
あまりの邂逅に頭からすっ飛んでたけど、
ここ、立入禁止だものね。
いや、なにゆえ私がこんな変態っぽい仮面に
冷静な指摘を受けなければならないのか。
何だか凄まじい恥辱を与えられている気がする。
とはいえ、ここは。
大人しく、すみませーん、と口にして端末を一旦しまう。
「……いやそれ、完全に獲物を追い詰める
悪役のセリフだよね……!?」
間違いなく筋は通ってるんだけど。
だってしょうがない。人は矛盾した情報をぶちまかれた時、
それを判断するのに
視覚情報の影響度は55%、
聴覚情報の影響度は38%、
言語情報の影響度は7%……とか、よく言うし。
仮面とマントの影響度が強すぎるんだってば!
……いかんいかん、まだ分からない。
凄く見た目が怪しいだけの、本当に紳士な人間である可能性が
砂漠の砂一粒くらいは残っている筈だ。
ちょっとそれも風に飛ばされそうだけど!
「……えーと、失礼ながら。
どちら様でしょうか……?」
こういう時、自分から名乗れってよく言われるけれど。
落ち着いて、一旦聞いてみよう。
なに、意外とまともな回答が返ってきて、なーんだ、
ってなるかもしれないし。
こう、平安京の某門で老婆に出会った下人みたいに。