2022/07/27 のログ
ご案内:「委員会街」に史乃上空真咬八さんが現れました。
史乃上空真咬八 > ――――夕刻の時間。この委員会街の、一番静かな一角のベンチに。

「…………」

眼を閉じ、船を漕ぐ青年が、いる。
それは、とても平和そうであり、青年のいずれかを知る者であれば、その姿に少し驚きさえ感じるようなくらい。

――とてもとても、穏やかな様子だった。

腰に差した金属の筒、およそ三本は座った彼の尻側で揺れ、彼が犬ならば尾のように。
揺らした髪に隠れた右目側は、医療用の眼帯で隠れているものの、いたって痛ましいほどでもなく。
見える左目側はというと、閉じて、その奥の瞳は揺れて、舟に揺れるような具合なのだろう。

そこには、すっかり丸くなった"猟犬"の憩いがあった。

史乃上空真咬八 > 「………んが」


ぴくん。

……何か、鼻に香ったらしい。言葉のない薄い寝息が途切れ、微かに顔を跳ねさせたかと思うと、薄っすらと目を開いた。
切れ長の真っ赤な三白眼は、ゆるりと眉尻を下げている。

ふらりと周りを泳ぎ見て、それからゆっくりと真正面を見る。

「…………、今、何時、だ……?」

史乃上空真咬八 > 「…………」

……スマホを取り出し、画面を見る。
夕刻。だいたい、まぁ、五時くらい。

瞬きを何度かした後、ゆっくりとスマホを仕舞い、青年は再び目を閉じた。


「…………まァいい、か」

……なんとも腑抜けた声、トーン。何が良かったのかはともかく、
またしても、彼は、ゆっくり、舟を、こぎ、始めたのだった。



暫く後、後輩らしき女子に起こされ、リードの如く外套を引っ張られて何処かへと連れていかれたようだが。

ご案内:「委員会街」から史乃上空真咬八さんが去りました。