2019/02/03 のログ
ヘンリー > 「なるほどね。じゃあその5日間でオレとデートしよう。
 ……なんてのは置いといて。そういう体質か。大変そうだなあ。
 オレはそういうのって、全然ないからさ。本土じゃどうにもならない、って感じのこと。
 だからまあ、オレに手伝えることがあればいつでも呼んでよ。あとで電話番号教えるから」

オレ、フッツーだからさあ、なんて笑って。それでいて、確かに心配の色は濃く。
清姫の温度も、男はなんとなく理解してきていた。冷たいわけではない。温度がないわけではない。
意図的にそうしているわけでもなく、彼女は多分、言うなれば平熱が低いだけで、きちんと温かい、と。

「ははーん。店長サンね。バイト先に困ったらキヨヒメを頼ればいいってことがわかった。
 オレ、本とかアンティークとかからきしでさ。
 身近にそういうのが好きなやつがいたことはあったんだけど、オレ、全然わかんなかったんだよなあ。
 好きとか嫌いとか。一緒に見えちゃうんだよね、っつったらキヨヒメに怒られそうだな」

裾を引かれれば、ああ、と清姫の背を追って、また横に並ぶ。
色の白い指先を眺めれば、手をとって自分の羽織っているコートのポケットに手を無理やり突っ込ませる。
きっと、白くて長い指先は使い捨てカイロの存在を知ることだろう。

「入れてていいよ。オレも帰り道はあるから、あげるとは言えないけど」

清姫 藍紗 > 「別に死ぬわけでもないし、こう見えて頑丈だから大丈夫よ。
 ………手伝う、ね。 はいはい、じゃあ聞いといてあげる。」

デートの件は、ふふ、と僅かに笑って受け流してあげる。

「そうね、いい勤め先は紹介できると思うわ?
 隣のおじいさんは困っていたもの。
 まあ、………あれは趣味の領域だから仕方ないわ。私も日常的には綺麗なカップより、こっちの方をよく飲むし。」

バイト先の話は、あえてちょっとだけ意地悪を言って視線をちらと向けて微笑み。
その上で、肩をすくめて缶のスープを振って見せる。

………コートのポケットに手を一緒に入れられれば、な、と僅かに言葉を漏らすも。
………ぐぬぬ、暖かさに負けて、そのまま一緒に入っていることにする。

「………悪いわね。……まあ、少し恥ずかしいけど。」

そっぽを向いてぶつぶつと呟きながら、古めかしい本が並ぶ古書店街が前に見えてきて。

ヘンリー > 「頑丈な女の子ほど繊細、ってのはオレの経験と知識に裏打ちされてんだ。
 だからそういうことを自分で言っちゃう女の子にこそ、優しくしてあげたいと思うわけよ。
 キヨヒメ、あんたかなり罪な女だぜ。ぐらっと来る男子なんて何人いるか!」

調子は変わらない。いつもどおり。親切なようで、乱暴にポケットに手を入れさせたりする。
軽薄な口ぶりに覆い隠して、じっと彼女の変化を気にする。急に倒れたりしないように。

「おじいさんは趣味じゃねえんだよなあ。もう一生ぶんジイさまとは一緒にいたから。
 だから余生はカワイイ女の子と楽しく過ごしたいわけよ。わかってて言ってるだろ。なあ」

「ナイ。悪いのはオレ。……女の子の手を勝手にとってる悪い男はオレ。
 だから、気にするこたないのさ。キヨヒメは無理やりこうされてるだけなんだから。
 綺麗な指先が悴むのはオレはどうにも許せなくてね。……あの辺?」

Nein。違うよ。短い否定の言葉。いたずらに笑って、大人の男の素振りをしてみせて。
逆手で古書店街に指をさす。案外近いもんだなあ、こりゃ学生交通呼ばなくて正解だわ、なんて言いながら。

清姫 藍紗 > 「ああそう、じゃあご期待に添えなくて悪いわね。
 物理的にぐらっとさせたことはあるし、罪は両手では足りないけれど。」

相手の意図は理解できるから、だからこそ穏やかにそのまま受け取る。
ふらふら、というほどでもない。

「ええ、分かっていて言ってるわ。
 いいのよ、そこまで気を遣わなくて。 寒かったのは本当。 こうしていて暖かいのも本当。
 貴方のその気持ちも本当ならば、それでいいじゃない。
 気を遣われれば、遣い返すモノ。 ……せめて対等でいたいものよ。」

なんて、ゆるゆると穏やかな口ぶりで相手に語り掛け、白い吐息を僅かに零す。

「ええ、あのあたり。
 黒い兎の看板が見えるでしょう。」

見れば、他の小さな店と同じサイズの小さな店舗。
Closed の文字がかかったその古めかしい扉の前までやってこれば、コートから手をそっと抜いて。

ヘンリー > 「おもしれー女」

そう、短く。ただ短く。肩を竦めて、やれやれ、なんて笑って。
そんな定型文を、わざとらしく口にした。彼女のやり口は理解していた。だからこその、皮肉を込めて笑う。

「そりゃ役得。美人にそうまで言ってもらえるとは、じっと寒い学生通りを眺めてたかいがあったわけだ。
 君みたいな女の子、そうそういないからなあ。結構いるんだぜ。奢らされて終わり! みたいなのも。
 だから今日のナンパは大成功の大当たり、ってワケだ。

 ……黒い? 兔? ああ。予想外に可愛い看板でびっくりした。もっと寂れたもんかと思ってたよ」

失礼なことを言ってのけて、ああ、こういう可愛いものも好きなんだな、とぼんやりと彼女の後ろ姿を眺めて。
するりと抜け出す白い指に小さなメモ紙を握らせて。電話番号。常備している暗記カード大のメモ。
揺れる黒髪を目で追いながら、少年のように笑う。笑顔。それはそれは、嬉しそうに。

「じゃあお大事に。次は学校で」

片手をひら、と振る。

清姫 藍紗 > 「変わった人ね。 私は生憎普通の女の子ではないもの。
 丸太を引きずって大当たりとか、なかなかの趣味よ、ヘンリ。
 花ならいくらでもいるでしょうに。」

メモ紙を素直に受け取れば、失礼な、なんてもう一度額をつついて。

「ええ、そうね。………ヘンリ。」

改めて名前を呼べば、ひらりと振られた片手の手首をひょい、と掴んで。

「ありがと。一度はちゃんと言わないと座りが悪いわ。」

言いながら、手の甲に軽くキスを一つ。ウィンクをぱちり、と相手に向けて。こちらも手をひらりと振り返す。

ヘンリー > 「驚いた。こんな大当たりも大当たり、そうないよ。
 ……こりゃどうも。ごちそうさま、キヨヒメ。綺麗なきみ。美人なきみ」

目を丸くして、日本の女の子にはこういうことをしたら怒られると言われていたものだから。
されると思っていなかった口付けに、ほんの少しだけ驚いたような顔をして。

「Tschüss!」

それじゃあ、と。気楽な挨拶。古書店街と清姫に背を向けて、コートのポケットに手を突っ込み直して。
分厚い底のブーツをごとごと言わせながら立ち去っていく。振り返ることはしない。
古書店街に馴染まない不真面目な男の姿が見えなくなるのは、思っているよりもずっとすぐだった。

ご案内:「学生通り」からヘンリーさんが去りました。
ご案内:「学生通り」から清姫 藍紗さんが去りました。
ご案内:「学生通り」にナルミさんが現れました。
ナルミ > 「~♪」

ふんふん、と鼻歌を奏でながら学生通りを歩く。
ここを歩く学生たちの目的は様々だ。散歩、カフェ、買い物…

「…ん、親父さん。このアジ2匹包んでよ。
 ふっふふ、新鮮なやつでしょコレ?」

そして、食材の調達。
八百屋や魚屋、肉屋など、おおよその食品店が立ち並ぶ学生通りには、
当然質のいい食材が入りやすい。別にスーパーでも良いのだが。

ナルミ > 「…んー、そうだねぇ。
 アジフライ…いやこの鮮度ならなめろうもいいよねぇ……
 小アジ手に入ったら南蛮漬けも食べたいな…」

ご機嫌そうに笑顔を浮かべて道を行く。
…その人物の姿は、息を呑むほど美人であった。
健康的な褐色に美しい銀糸の髪、そこに一差し入った黒のメッシュ。
スマートで華奢さを感じさせる体格も、儚げとも朧気とも感じられる。

その右手には、酒瓶の入ったビニール袋。
その左手には、野菜や魚や調味料の入った袋。
正直言って雰囲気とミスマッチである。

ナルミ > 「………おや。」

辺りを見回すのをやめて目の前に目を向ければ、そこには人だかり。
どうやら何かしらの催しがあるようだ。
ストリートパフォーマーか何かだろうが…

あいにく、そういった催しにはあまり興味がない。
というより、さっさと家に帰って料理に入りたい。

真上を向いて、目を閉じる。

風が冷え、浮遊感に襲われる。
辺りを見れば、全ての景色が消え去り、眼下へ。

再び、目を閉じる。

風の冷えがなくなり、浮遊感は治まる。
目を開ければ、見慣れた部屋のベランダ。
……異能の有効利用である。

「~~…♪」

そのまま、靴を脱いでベランダから部屋に入り、靴を玄関に戻す。
全てを終えてから、楽しげに台所に向かい始めた。

ご案内:「学生通り」からナルミさんが去りました。