2019/02/22 のログ
ご案内:「学生通り」に深雪さんが現れました。
深雪 > まだまだ寒さの厳しい日、しかも夕方だというのに、少女は夏服を着て寒がりもせずに歩いている。
特に目的があるわけではなく、どこかへ向かっているわけでもない。
こうしてふらふらと学生街を歩くのは、少女にとってただの暇つぶしだった。

「ここっていつも人だらけよね。」

並んでいる店にも、道行く学生たちにも、さほど興味なさげな視線を送るのみ。
むしろ、この少女が視線を集めている方だろう。見ている方が寒い。

ご案内:「学生通り」にギルゲイオスさんが現れました。
深雪 > 洋服、文房具、本、化粧品、どの店にもあまり興味はない。
文房具に関しては、授業にほぼ丸1年出ていないため論外。
本は嫌いではないが、この世界の文字で書かれたものはあまり好きではない。
洋服?この服があれば良いから必要ない。
化粧品?化粧って何?何のためにそんな面倒なことするの?

そんな感じだから、深雪が最初に視線を向けたのは、ケバブのお店。
黄色い移動式店舗に、異国情緒あふれるお兄さんが座っている。

ギルゲイオス > 「うーむ、日が落ちてくるとやっぱり冷え込むのであるな。
城でぬくぬくしているのとは訳が違うのである」

(学生通りを足早に、寮へと向かって歩く男が一人。バイト上がりの帰路、と言えば一般的な学生の日常、と言っても差し支えあるまい。
魔王であることを除けば、だが。傍を通りがかる人々は、そんな事気にもするまい。
早く帰って炊飯器に米を入れて、などと非常に庶民的に染まった思考が脳裏をよぎっていた、訳、であるが)

「…………」

(脚を止めぬままに視線が一点に向かえば、ジャケットの前をたぐりよせ。ぐっと身を縮め。
すたすたと、その視線の方向。何やら肉料理……串焼きか、良く分からぬが。そんな感じの店へと興味の視線を向けている少女へと近づいていって)

「……済まぬが、一つ聞いてもいいか? 寒くないのであるか!?
いや、寒くないからそんな恰好な訳で、無意味な質問であるのは承知しているのであるが」

(聞かずにはいられなかった、という事か。
無論、自分で口にした通り逆説してしまえば無意味な問いでもあるのだけれど。
長身の男が妙に真剣な顔で声をかける様は、若干、威圧感があるかもしれない)

深雪 > ケバブ屋さんに視線を送っていた少女は、声を掛けられるまで気づかなかった。
声を掛けられて初めて、そちらに振り返って視線を向ける。

「寒い?・・・そうね、あなた達はそうなのよね。
 けれどこのくらいなら、私の居た所と比べたら暖かいくらいよ?」

眼前に立つ長身の男性を前にしても、その威圧感に圧されることはなかった。
事も無げにさらりとそう答える。さらに、少しだけ意地悪に笑って、

「そう言うあなたは、このくらいの寒さで、音を上げるのかしら?」

そんな風に、挑発的な言葉を向けた。

ギルゲイオス > 「まぁ、全般的に寒さを感じるモノの方が多いのではないかな。暖かいと形容できるモノは、少数の部類だとは思うが。
余程寒い所のお生まれであるようだ。という事は、暑い日は苦手であるかな?」

(なるほど、と頭を横に傾けた。
此方の世界の住人だとしても、もっと凍えるように寒い場所であればなるほどそう感じるのかもしれない。
或いは別の世界であれば、万年氷に閉ざされたような世界も有るのかもしれない。
ヴィジュアル的な意味でもう少し厚着してほしいモノだが。押し付けるものでもないだろう、と。
一人納得したあたりで、次いでアチラからの声に片目を僅かに細くした)

「うむ、寒いモノは寒いのである。
元々住んでいたのが、余り暑さ寒さの差が無い土地であったし。出かけるにしても相応の装いというモノが用意されておったからな。此方の服は便利ではあるのだが、素材相応の性能しかないのが難点よな」

(と、何処か意地悪な言い様のセリフに対して。此方と言えば口元に弧を描くような笑みと共にそう答える。
事実は事実仕方ないのである。もう少し大気中の魔力が濃ければ保温にまわしてもいいのだが、それについては此方の都合でしかないのだ。
言葉の終わり、店へとチラリと向き)

「という訳で、寒い日には温かいモノが食べたいのである。
どうかなお嬢さん、質問の代金ついでに一つ奢るのであるよ」

(ちょいちょいと、串で焼かれているデカい肉の塊らしきモノを指さした)

深雪 > 「暑い日は・・・」
悪戯っぽい笑みとともに、ふー、と目の前の男性に向かって息を吐く。
凍り付くほどではないが、明らかに人の吐息とは思えない冷気を感じるだろう。
「・・・こうすれば良いから問題ないわ。」
セルフサービスで冷房できるので、クーラー要らずなのでした。
そして、きっと指摘されれば厚着することも厭わないのだろうけれど、実は少女は、単純に服装を変えるのが面倒くさいのだった。

「あら正直。でもそうよね、住んでいた場所によって違うわよね。」
その点についてはすぐに納得できたが、
「でも、用意されていた、なんて、貴族が何かだったのかしら?」
目の前の男の出自を知らない少女は、恐れる様子もなくさらりと尋ねる。

「その点は大賛成ね・・・あら?」
先ほどまで見ていたケバブ屋を示されたものだから、くすっと笑ってしまう。
見られていたからといって恥ずかしいなんて感じるような少女ではなかったけれど、
「あらあら、さっきの質問、随分高くついたわね・・・でも、折角だからいただこうかしら。」
断る理由もない、柔らかく笑んで、そう答える。

ギルゲイオス > 「ふむ……うむ?」
(口元の動きからして、はてさて、と息を吹きかけようとしているのだろうか。
なんとも怪訝そうな表情で眉を寄せたのだが、見に掛かった冷たい風に小さく身を震わせた。
気が付かなかったのは、息なのに白くならなかったからだろう。そりゃぁそうだ、気温と同じかそれよりも低い位である)

「なるほど、そりゃ便利である。
魔法魔術もあるが、アレだって魔力を消費しておるからな。えあこん、とやらを使うのと同じでタダではない」
(此方といえばやや白い息を吐きながら、肩を竦める仕草。
この世界は便利には便利なのだが、とかく金かねカネで参る。金銭感覚、というモノがみについたのも、此方に来てからだ)

「地方によって差はあるが、さほど暑さや寒さに備える必要が無かったのでなぁ。
ふふん、貴族など臣下にすぎぬ。我はギルゲイオス、異世界の魔王である……お陰で、こっちでは中々の生活苦であるよ」
(ふはははは、なんて笑い声も添えて。周囲の人物が一瞬ぎょっとしてコチラを見たが、魔王様気にしない。
両手をやや広げて、空を仰ぎ見るようなポーズ。……恰好がらしいモノであれば、なるほどと納得できるかもしれないが。今の装いは普通の青年風、なんとなくチグハグかんも漂う)

「お主も気になっていたようであるしな。ま、麗しい御嬢さんと話す代金と考えれば、そう悪いモノでもあるまい。
という訳で店主よ店主。2つ注文、魔王命令である」
(なんとなーく、温かい所生まれであるかな?といった外見の店主をぴしっと指させば。
ほいほいと言った感じで用意されてゆく。大きな肉の塊を削ぎ落とし。アレは、パンの一種か何かだろうか。袋状になったそこへ千切りのキャベツと肉、トマト。ソースをかけて紙の袋にいれれば完成の様である。
金と交換にそれを二つ受け取ると、一方を相手へと差し出すのだった)

深雪 > 「私のこれはほとんどタダみたいなものね。
逆もできるけど、きっと、あなたの顔を焦がしちゃうわ。」
相変わらずの意地悪な笑みを浮かべながら、その話を聞いた。
ただ、この少女もあまり金銭感覚に優れたタイプではないのだけれど。

「あら大変、魔王っていったら、お姫様を攫うのが常識よね?
こんな人目の多い場所で攫われるなんて、なかなかできない体験ね。」
酷い決めつけである。
でも実際、目の前の男性は、体つきは良いけれど、普通の青年にしか見えなかった。少女は、可笑しそうに笑う。
「私は深雪・・・そうね、少なくともお姫様じゃないわね。」

「あら、随分口が上手いのね?
 最近の魔王様はそういう方法でお姫様を攫って行くのかしら?」
そんな冗談とともに、魔王様の横に並んで店主を見る。
その慣れた手つきを観察した後で、あなたから渡されるケバブを受け取って、
「ありがと。」
短くそうお礼を言った。

ギルゲイオス > 「寒いのは勘弁であるが、焼け焦げるのはもっと遠慮したいのである。もっとこう、温風的な感じであればお願いしたいのだがな」
(スイッと、一歩後ろに下がる。
出来るというのであれば、恐らく可能であろう。そういうジョークとして口にしているだけで、実際するという雰囲気ではないのだが。万が一、念のため)

「お姫様を攫うのは、亀っぽい姿の魔王だと話に聞いたのであるがな。
流石にこんな人通りのある場所では魔王であろうとも分が悪いであろうなぁ。この街の秩序組織も、割とバカにできんのである。
ふむふむ、中々良い味である」
(何故か配管工と姫を巡ってあらそっている亀の魔王がいるらしい。ほぼ負け越し、という噂であるが。
実際にまぁそんな事を自分がする訳でもないのだが、冗談に冗談で乗り返すような口ぶりで。
合間合間にケバブにかぶりつくと、小さく頷いていた)

「魔王も口が上手い方が、色々と都合がいいのである。他の国と会談したり、議会に案を通したり、民に説明したり……色々であるがな。
ふふん、なるほど。そういう魔王ってのも中々悪くないのであるな。どうですかなお姫様、今宵一晩、魔王と酒を呑み交わすというのも、中々面白い経験であると思うが?」
(少しと距離をとった位置で、まっすぐに立ち向かい。貴人の如き無駄のない礼にて頭を下げた後。
すいと上げた顔には、口の端を上げるような笑みが浮かんでいた)

深雪 > 「それは難しいわね…灰にならないだけでも努力してる方だと思うわ。」
実際にやってみたことがあるかのような口調だが、ふざけているだけかもしれない。
けれど、冷気は確かに吐いていたし、距離を取った判断は正しかった。
何よりこの少女から見て、その姿は魔王様という割に素直で可愛らしく見えたのだから。

「それよ、それ。とげとげしてる人?
でも確かにやめといた方が良いわね・・・秩序組織とか何とかっていうのは知らないけど、私、そんなに簡単に攫われないわよ?」
見た目は華奢で戦えるようには見えない。
だが、魔王ほどの魔力量と知識があれば、この少女が手足のリボンで“封じられている”と分かるかもしれない。

「・・・思ったより辛いのね。」
ケバブだからね。仕方ないですね。

「あらあら、私、お姫様じゃないって言ったわよね?
物覚えの悪い魔王様と一晩過ごしても、すぐに忘れられちゃいそうで嫌だわ。」
くすくすと楽しそうに笑ってから、
「正直ちょっと楽しそうだけれど・・・残念ね、帰らないといけないのよ。」
正直にそう答えて、辺りを気にする。少し遅くなってしまっただろうか。

「これ、ありがと・・・でももう帰らないといけないし、今晩のお相手は、他をあたってみて。」
さらりとそう告げて、少女は魔王様にひらひらと手を振った。