2019/04/13 のログ
ご案内:「学生通り」に金剛経太郎さんが現れました。
金剛経太郎 > 「さて、これだけ買えれば重畳重畳。」

大きな紙袋を二つ、自分の隣へと置いてベンチに腰掛けている金剛経太郎。
今日は新学期が始まって最初の休日、新生活応援セールやら何やらが始まっている学生通りに乗り出して私服やら何やら大量に買い込んだ帰りである。

「今後は休日に学生服を洗濯に出すことが出来るな。」

2セットある制服を延々と着回して今日に至っている。
流石にこのままでは梅雨入りした時に困るし、事実先日雨が続いた時はだいぶ困った。
もっと早くに服は買っておくべきだったか、と反省しつつベンチで一休み中である。

金剛経太郎 > 「さて、この後はどうするか。
 このまま帰ってしまうのも、折角のこの陽気、少し勿体無いな。」

ベンチに座って両足をぶらぶらさせながら、このあとの予定を考える。
明日も休みで時間はあるが、その時間を埋める趣味も友人もまだ持たない経太郎であった。

(そうなると……やはり帰って授業の予習でもしておくべきか。
 来年には高校生相当の授業を受けられるようにはなりたいところだ。)

現在、経太郎の学力は中学生相当と見なされている。
小学生の半ばにゲームの中に閉じ込められた、というのが学校側の説明であったし、その事に経太郎自身も不満は無い。
しかし、周囲に中学生が多いなかで受ける授業というのは、経太郎にとってはとても退屈に思えるものであった。

ご案内:「学生通り」にアリスさんが現れました。
アリス >  
私、アリス・アンダーソン!
今年の四月から二年生になった常世学園の生徒!

今日は新生活応援セールであれこれ服や漫画を買い込んでしまい。
重い荷物を抱えてよろよろと歩いているのです。

ベンチに座って休もうと考えるも、どこも空いていない。
あ、空いているベンチがあった!
でも男子学生がいる……隣、いけるだろうか。

「あ、あの。隣いいかしら? ちょっと買いすぎちゃって……」

座ってもいいかと簡単に聞いてみる。ダメだったらその時はその時。

金剛経太郎 > 「え?
 ……ああー、良いよっ。どうぞどうぞ~。」

春の日差しを受けながら今後の学生生活について思いを馳せたりしていたら少し意識が遠退いていた。
少女の声に我に返り、何事かと周囲を見回してから合点し、取り急ぎ普段用に使っている『小学生相当の外面』を引っ張り出して貼り付ける。
この一週間、学校でも同様にしている所為か慣れたものである。

「お姉さんもお買いもの?えへへ、おんなじ、だねっ!」

自分の横に置いていた紙袋を少しだけ押し、ベンチのスペースに少し余裕を作りながら笑顔を向ける。

アリス >  
好意的な反応が返ってきた。
ふぃーと息を吐いて荷物をベンチに置いて座る。

「ありがとう! 君も買い物なのね、買いすぎると後が大変よねー」

座ると、何かがじわっと足首に伝わってきた気がした。
登山なんかで何度か経験した本格的に疲れてた証拠であり、危ないところだった。

「君も常世学園の生徒? 今日は何を買ったの?」

袖マッチも他生フェイト。会話に挑戦してみる。
自分より年下なんてなかなか見ない。

金剛経太郎 > 「う、うん。2月頃に来て、4月から1年生。」

一応、生徒としては3月から在籍している事になっている。
が、折角だから他にも新入生が多く来る4月から正式にクラスを割り振られたのだった。
それまでは手の空いている教員とマンツーマンで基礎学力のテストやら何やらをしていた。

「今日は、ええと……お洋服。
 あんまり私服持ってなかったから。」

少女の問いに素直に答えていく。
特に会話を断る理由も無かったし、答えに困る様な問いも飛んで来ないだろうと見て。

アリス >  
「そっか、私もここに来た時は二月頃に在籍して四月から一年って形にしてもらったっけ」
「それが今じゃお姉さんも二年生だからねー、時間が過ぎるの早いわ」

人差し指を立ててお姉さん気取り。

「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也……時間は常に流れるみたいな? 感じの?」

最近習ったばかりでうろ覚えの言葉も使ってみたり。
いやー、いいな年下! 適当トークも許されそうで!!

「へー、私服。一人で買い物は偉いわね……きっとパパとママに褒めてもらえるわ」

笑顔で頷いて。私はただ欲望をお小遣いで買っただけなので褒められたりはしない。

金剛経太郎 > 「お姉さんは2年生……せんぱい、なんだね。
 すごいなあ。」

無邪気に笑みを浮かべて讃えてみるが、実際のところ経太郎の方がだいぶ年上である。
まあ、その事は学校内でも内密にしているためクラスメイトたちも知らないし、もしかすると担当の先生も知らないかもしれない。

「えへへ、そうかなあ。褒めてくれるかな。
 そうだったら良いなあ。」

両親は本土に居るし、こちらも私物を仕送りで買っただけなのだがそれは黙ってればきっとバレないと。

アリス >  
すごいなあ。その言葉がズキューンと来た。
具体的に言うと承認欲求が満たされた。ちょろいなぁ、私!!

「ふふん、あなたより少し年を重ねているだけだわ」

得意げにない胸を張って。
だぼだぼの白衣から手を伸ばして自分の額の辺りでハンカチを錬成して汗を拭う。
最近、暑かったり寒かったりで何とも言いがたい。

「私、アリス・アンダーソン。あなたは?」

名前なんかも聞いちゃう。調子に乗っているね、私!
それとなく異能も見せ付けるくらいには。

金剛経太郎 > (まあ、俺の方が年上なんだけど……多分。)

ニコニコと笑顔のまま、得意げに胸を張る少女を見つつ思う。
けれどもまあ、現実世界では寝たきりだったのだから、歳を重ねて来たかと言うと怪しいところだけれど。

「ぼくは経太郎。……金剛、経太郎。
 アリスお姉さんだね、おぼえたよっ。」

何も無いところからハンカチを取り出したように見えた。
なるほどそれが彼女の異能なのだろう、と内心で感心して。

アリス >  
「金剛経太郎ね、私も覚えたわ」
「名前も覚えてもらったことだし、お姉さんが面白手品を見せてあげるわ」

掌のハンカチを精巧なプラスティック製カエルの模型に再錬成し、それを自分の足元に放り投げると氷になって砕け散った。

「どう? 異能を見せびらかしたい年頃で申し訳ないけど」

どや顔で“面白手品”を見せ終えて。
これは結構、人に見せるとウケがいい。

金剛経太郎 > 「おもしろ……手品?」

さて何をするのだろう、空中浮遊でも見せて貰えるのだろうか。
そんな期待をしつつ見ていれば、ハンカチが様々な姿へと変わり、そして砕け散った。
ほぉ、と感嘆するところを何倍にも増幅させ、いっそ大仰なくらいに目を瞠って。

「わああ、すごいや!アリスお姉さん!
 今の手品、どうやったの?ぼくにも出来るようになる?」

異能、と言うからには今の一連の変化も異能によって齎された物か、と思考は酷く冷静に働く。
物質の構築が主なのか、それとも幻覚系なのか。
多少興味はそそられるが、子供らしかぬ食いつきを見せるわけにもいかず。

アリス >  
満たされる……承認欲求…!
自分はなんて矮小な人間だろうと少し自己嫌悪もあるけど、今はいいや!

「ふふん、これは私の完全オリジナル……」
「物質創造系異能、空論の獣(ジャバウォック)よ」
「かなりレアな異能だからどうかしらね?」

ぺらぺらと自分の異能について喋って。
本当は異能について気軽に話すのは良くないんだろうけど。
話しているのは子供だしあんまり関係ない……はず。

ん? でもこの子もこの年齢で常世学園にいるということは。
異能か魔術の適正があるということ?

とりあえず彼の顔を見てみる。

金剛経太郎 > 異能に関しては幾らか説明も受けたし、学校でも生徒たちが自慢げに扱う所を見た。
故に異能を見たこと自体では驚きには値しない、が。
そこはそれ、純粋無垢な子供の外面を被っている以上は素直なリアクションをしなければ、と。

「へえ~!じゃあ、お姉さんにしか出来ないんだね?
 すごいなあ、アリスお姉さん。すごいすごい!」

そうしている間にも考察は続く。
物質創造という事は、自分の異能に近しいように思う。
創造、具現化、ではそれらを構築する材料は何処から来ているのか──
まあ、考えても詮無き事なのだろうが、と小さく溜息をついたところでこちらを見るアリスの瞳に気付く。

「? なあに、アリスお姉さん?」