2020/07/06 のログ
227番 > 足が疲れてきた。
適当に座れる場所を探して、腰掛ける。
落第街と違って、ちゃんとした椅子がある。助かる。

しかし、完全に迷子だ。
どちらに行けば良いのかも全くわからない。

ここだと思った道で間違えるのであれば、まっすぐ行ってみる?
知らない場所に出たら困るけど、今でも殆ど知らない場所だ。

227番 > 解決策は見えない。
ここは学生通り……この街のメインストリートだ。
道案内の表示もいくらかあるのだが、227はそれを読み取ることが出来ない。

困ったときに頼っていい場所を教えてもらうべきだな、と思った。
あっちと違って、悪い人はそんなに居ないはずだし。

椅子に座ったまま、体力の回復を待つ。

ご案内:「学生通り」に蒼崎 宙さんが現れました。
蒼崎 宙 > 「~♪」

帰路についていた途中のこと。
人がまばらな学園通りを通っていると、見慣れない少女が目に入る。

「およ?」

こんな時間に椅子に座り込んでどうしたのだろうか。
もう時期遅いのだが…少し立ち止まって観察してみるも動く様子はなさそうで。

蒼崎 宙 > 「……そこのきみー?大丈夫?

……迷子?」

大丈夫なのかなぁ?と首を傾げながら少女へと近づいていく。
こういう時は、確か相手の視線に合わせるんだったかとやや屈んで視線を合わせた。

227番 > 少女は足をぱたぱたと動かしたり、揉んだり、顔をこすったり、大きくあくびをしたり。
観察を続ければ、きょろきょろと周りを伺ったり、時計塔のほうを見上げて考え込んだりしている。

声をかけられれば、はっとしてそちらに視線を向ける。
警戒する必要などないのだが、"あっち"に居た頃の癖で身構えてしまう。

「みち、分からなくて……まいご?って?」

どうやら言葉の意味を知らないらしい。

蒼崎 宙 > 「ああー…道がわからないのが迷子、かな~?」

異邦人の子かな?と考えつつも、僅かに身構えられると大丈夫大丈夫と両手を軽く上げる。

「どこから来たのー?案内は多分出来ると思うけど。」

どうかな?と様子を見るように尋ねてみる。
この島でここまで小さい子と話すのは中々無いのもあってややぎこちのない軽さだ。

227番 > 「まいご……じゃあ、そうかも……」

迷子を恥ずかしいと思うような感覚も持っていない。
両手のジェスチャーで自分が身構えていると気付いて、警戒を解く。
まんまるな青い瞳で見つめ、首を少し傾ける。

「えっと……ゆーりって、わかる?」

説明をしようとして、困った。
この人が自分の"保護者"の知り合いである可能性は限りなく低い。
まずは、聞いてみるべきだろう。

蒼崎 宙 > 「んー………。」

ソレは可愛いなぁ。中々に可愛い…などという煩悩は一旦おいて。
名前だけだとどうにも判別しにくい。
しかししかし、そんな名前、どこかで聞いたような。

「…とりあえず、公安の事務所行こうか。保護者ならそこで待ち合わせるのがいいだろうし。」

227番 > 「こうあん」

わかる、とは言われなかったものの、聞き覚えが有るキーワード。
任せても大丈夫そうだ。

「……わかった」

ひょいっと椅子から立ち上がり、スカートがふわり。
おしりをパタパタと叩いてから上目遣いで見上げる。

蒼崎 宙 > 「ン゛。」

可愛いな。ちょっと待ってほしい。
妹とかいないからそういうの耐性ないんだよ。
笑顔のまま変な声出ちゃったから。

「そ、それじゃあ…行こうか。
あ、ええと…君の名前は?」

危ない危ない。大事なことを聞き忘れていたと尋ねてみる。

227番 > 「……?大丈夫?」

変な声にまた首をかしげる。
どこまでもあざとい。

「名前、にーにーなな……ニーナ、とか、ナナ、とか呼ばれる」

ケープについたタグを引っ張る。
名札だろうか?そこには数字で227と書かれている。

「あなたは?」

蒼崎 宙 > 「ふ、っ……だ、大丈夫~あ、あはは…。」

追撃はよしてほしい。変な笑い出そうになったから。
可愛いもの見ると変なテンションになるって割とあることなんだな勉強になった。

「にーにーなな……。って、番号か。タグまであるし。
…ん、それじゃあニーナちゃんって呼ぶね。」

人の名前に番号だなんて、なんかそんなSFあった気がするけれど…と思考を巡らすも、質問を聞いて思考を中断。

「あ、私は蒼崎 宙。ソラ、って呼んで?覚えやすいだろーし。」

227番 > 「……そう?」

自分の格好が拍車を掛けているとは知る由もない。
とある教師に見繕ってもらった服装である。

「うん、わかった。……ソラ。」

名前を覚えるために、反芻する。
227は落第街にいた頃の名残で、未だに名前を覚える自信がないのだった。

蒼崎 宙 > 「…そうそう。
それにしても、よかった。こんな可愛いんだから一人で出歩いたらアブナイよ~?
最近ちょっと物騒だし。」

深呼吸。私はクール。オーケー?OK。

「…っ………。スッ…………ゥ…………。」

胸を抑えた。否、心臓を抑えた。
名前を呼ばれる威力、やばない?限界オタクみたいになっちゃったからな私。
まるでロリコンじゃん私、いやでも今この一瞬はロリコンで良いかもしれない。

227番 > 「ここも、危ない……?」

それは大変だ、気を付けなければ。
そう……227の危ないの基準はスラムである。

「……?大丈夫?」

さっきと全く同じセリフだが、今度は不安が混ざっている。
相手が悶絶しているとはつゆ知らず。
顔を覗き込むようにして、本当に心配している。

蒼崎 宙 > 「ん、んー…一人だとアブナイかな~?明るいうちは大丈夫なんだけどねぇ~」

実際、学生通りとはいえど夜の治安までは分からないだろうな~なんてのんびりとした思考。
まさかスラムが基準だなんて夢にも思わない。

「…………。」

拝むように目を閉じた。
もうロリコンでいいや。
尊ければ何でも良いと思う。仕事?いや、これ、あれだから。公安としてじゃない保護だから。小さい子に対して仕事モードで接するとか向いてないからだし。

「…ありがとう、ユーリって人ゆるs待つためにも行こうか。」

227番 > 「……わかった、気を付ける」

しかと心に刻む。基準はずれているが。
ずれている故に。

「でも、会った人、ソラで、よかった」

心から安堵する。


「うん、行こ」

言いかけたことはあまり気にせず。
歩けるとアピールするように小さくぴょんぴょんと跳ねる。

蒼崎 宙 > 「うん~、私もニーナちゃんずっと一人ぼっちにしないで済んでよかったよ~。」

微笑ましげな顔でやんわりとリードするように振り返って歩いているが。

「(はぁ~??可愛いけど?っていうか、こんな可愛い子ほったらかしてどっかいくとかどうなの?許せないけど?!ユーリって人にはちゃんと注意しないと…!うっ……飛び跳ねる姿かわよ…めっちゃ写真撮りたいけどこれはんz(ry)」

この公安、なんかの反動が来たかのようにもうダメかもしれない。

227番 > 「うん、ありがと、ソラ」

にこりと微笑んだ。それから、小さい歩幅でとてとてとついていく。
ほぼ新品の服に対して、少しボロが目立つ赤い靴が音を立てた。

公安に着けば、少女を保護しているのが公安の一人で、
227は勝手に歩き回っていること、GPSを持たされている事、
家はかなり遠くの区画であることなどがわかるだろう。

蒼崎 宙 > 「ふふふ~どういたしまして~?」

そんな笑みに、にこやかに返す。ここだけ見れば世話味の良いお姉さんだろう。
しかし、その心中は。

「――(守護らねば――…!)」

この日、彼女が異能を発動していたのであれば、それは最高強度を誇っていた。
幸いにも、ソレと対峙するものはいなかったが。

公安についてからの彼女の処理はクソ真面目に絶対ユーリ見つけるウーマンとなっていたことは言うまでもない。
適切な処置、連絡を終えればあとは保護者を待つのみだ。

しかしながら、彼女にも学校生活というものがある。
ユーリという人物が来る前に、早く帰って寝なければと。


「それじゃあ、ニーナちゃん。
次お出かけする時は…誰かに連絡したり、お友達と一緒にいくんだよ?」

一応、そんな申し訳程度の注意もしておいて、偶然にも巡り合った天使へ小さく手をふる。

227番 > 相手の内心などわかるはずもなく、純粋な青い瞳はその姿を頼もしげに見ていた。

一緒に居てもらえないのは少し寂しかったが、
ここまで連れてきてくれただけでも十分だったので、素直に見送ることにする。
相手にも生活があるのを分かっていたのもある。

「うん、気を付ける。
 ……ソラも、帰り、気を付けて。おやすみなさい」

最近覚えた挨拶を添え、大きく手を振って見送る。

蒼崎 宙 > 「ん、よく出来ました~おやすみなさい。」

思った。
次会う時はめっちゃ甘やかそうって。
次会った時はちょっとくらい遊んであげても良いかもなぁとか。

なんとも過保護な感情に我ながら苦笑しながら、その姿を目に焼き付けて今度こそ帰路につくことだろう。

ご案内:「学生通り」から蒼崎 宙さんが去りました。
ご案内:「学生通り」から227番さんが去りました。
ご案内:「学生通り」に矢那瀬陽介さんが現れました。
矢那瀬陽介 > 篠突く雨が絶え間なく振る学生通りは通り過ぎる車の他には人数が少ない。
天候故に人気疎らな通りに蒼の蝙蝠傘を回す少年が足を止めているのは一本の立派な笹に目が奪われたから。
水気を帯びて重たげにしな垂れる笹の葉には彩り豊かな短冊が結ばれているから。
雨に滲んで描かれる願いは読めぬものの、学生街一帯が願いを込める笹の盛大さに心が揺らいでいた。

「凄いな」

常緑の葉からちらつく豊かな短冊の色合いに不思議な想念で仰いでいた。
薄暗い曇天に負けぬ鮮やかな短冊。その一つ一つが人々の願いだと感じれば
知識として備えた七夕よりも儚く盛大に感じる。
通り過ぎる人々から不審な目が向けられても飽きることなく耀く黒瞳で仰いでいた。

矢那瀬陽介 > 背後で通る車の騒音も、気配も忘れて見ていたのはどれくらいの時間だろうか。
微動だにしない長身が動いたのは擡げる首が疲れたから。
俯いたところに見えるのは折り畳み式の長机。濡れた木目に置かれた紙箱。

「こんなところに置いてたら濡れちゃうのにねぇ」

紙箱の蓋を開ければ白紙の短冊と油性マジックが入っている。
その一枚を手にした少年は、手で水気を払ったテーブルに置いて。
腰を折り曲げながら短冊に何かを書いていく。

矢那瀬陽介 > 「よっと」

少年は背伸びして枝を一つ掴み取る。
そうして願いを書きつけた短冊を丁寧に、確りと結びつけた。
枝離すと葉に含んだ水飛沫が放たれた。
新たに願いを乗せた巨大な笹
ちょうど通り掛かる車のヘッドライトの光に晶片の様にも見える泡の煌きで飾られたように見えた。

――それを見届けた少年は新たな願い事を結ぶ白紙の短冊が濡れぬようにテーブルの上に傘を置いて静かに去っていった。

ご案内:「学生通り」から矢那瀬陽介さんが去りました。
ご案内:「学生通り」にアルン=マコークさんが現れました。
アルン=マコーク > 「すいません、あなたは『悪』についてどう思いますか?」

七夕の気配にどことなく賑わう学生通り。
祭となれば、誰もが自然と気分が高揚してくるものである。
そんな浮ついた心を狙ったわけではなかろうが、怪しげな宗教の勧誘めいた事を行っている金髪の少年がいる。
演劇の衣装のような真紅のマントを身に纏い、道行く人々の間を縫うようにして、次々に声をかけては無視されている。

「……やはりだめか」

とはいえ、昨日は一人。
『悪』について言葉を交わしてくれた少年がいたのだ。
それは数十人に声をかけて、やっと一人いた、というような割合であったのだが。
ゼロではなかったということは、このまま続ければいい。

そんなことを考えながら、金髪の少年――勇者アルンは、道行く人々に声をかけ続ける。

「すいません、あなたは『悪』をどう思いますか」

アルン=マコーク > そんな少年の前に、もさりと垂れ下がる植物が現れる。
青々と茂る細長い葉を支えるのは、よくしなり、節のある細い幹。

「これは『竹』かな? しかし、この紙はなんだろう」

吊るされている色紙を眺めて、そこに書いてあるものをじっと見つめる。

「『誰もが手を取り合って笑える未来になりますように』『人々が幸せでありますように』なるほど。これが……『善』」

ううむ、と唸りながら、昨日教わったばかりの言葉のことかと納得する。
…………何もかも間違っているのだが、それを指摘する者は、今は近くにいない。