2020/07/25 のログ
■角鹿建悟 > 「高級、かは分からないが――学園がある地区だしな。或る意味でこの島で一番最先端の場所ではあると思う」
彼女が分かり易いというより、何となくそう感じただけだ。割と当たってはいたようだが。
篭手の下は普通の手指なのだろうか?と、思うがそういう事を初対面で尋ねるのも失礼だろう。
「――そうか。まぁ柏木にとっては、こういう”小奇麗”な場所より歓楽街の方が性に合っている、か」
成る程な、と納得したように。男は特に性に合う・合わないはあまり考えた事は無い。
仕事柄、あちこちに出向くせいかもしれないが――ともあれ、駅までの道中を二人して歩く。
時々、作業着の仏頂面男と異邦人風の姿の美女の組み合わせに視線が向けられるが特に気には留めず。
「あくまで呼び方の一つだから、何でも屋で問題ないと思うぞ――まぁ、歓楽街だしな」
そりゃ、トラブルもこちら側に比べれば相応に多いだろう、それでも、落第街やスラムに比べれば遥かに天国なのだが。
呼び込みをやった、と嫌そうな顔をする彼女へともう一度歩きながら視線を向ける。
「――まぁ、仕事ならきっちりこなすしかないだろう。
アンタは美女、というやつみたいだから客の呼び込みの効果はあったんじゃないのか?」
と、尋ねるがからかう調子ではなく真面目な調子だ。事実、表情は相変わらず仏頂面である。
ともあれ、彼女の愚痴には自然体で付き合いながら駅までの道のりを二人して歩きつつ。
「そうだな――報酬は実はあまり興味は無いんだが、まぁ受け取れというなら。
あと、俺が依頼するとしたら護衛だな――仕事柄、あちこちに出向くから危険な場所にも出向く…後は分かるだろう?」
落第街にも普通に仕事の依頼で足を運ぶ事も多い。と、なると矢張り腕利きの護衛が欲しい所で。
勿論、頻繁ではないがちょくちょく彼女の何でも屋としての腕っ節を買わせて貰いたい所で。
――何せ男は”直す者”であり、”壊す者”や”戦う者”ではないからだ。
■柏木凛 > 「俺からすりゃ高級だって。学園が近くてこれなら傍とかどーなるんだよ。ここの最先端とかすげーもんだな」
最先端と聞くと改めて周囲を見回すとそう見える不思議。
周りを見る間も篭手の指は動いていて。
「綺麗すぎて違和感があんだよな。俺にはごみごみってした方が似合ってんだよ」
やはり綺麗すぎるよりは元の世界の街の様な歓楽街は気が楽。
そんな話をしながら駅に続いていると思われる道を歩き。
こういう場では相手の作業服は兎も角、自分の服装は目立つのだが余り気にされない事に驚き。
「ああいう場所は仕事が多いんだよな。碌でもないのが…」
安全で危険がなと思えるような学生街は歓楽街のトラブルの多さを考えれば平和そのものだが物足りず。
スラムや落第街の様なトラブルしかないのもごめんであるが…。
「たりめーだ、どんな仕事でもきっちりこなすぞ。
あー…その仕事はそうでもなかったな。ってか誰が美女なんだ?」
つい愚痴ってしまうが仕事はこなしたと返し。
美女という言葉には本気で判らない顔をして。
「貰うもん貰わねーと怪しまれるから貰っとけ。
なるほどな、そう言うのは得意分野だ、任せときな」
護衛と聞けば任せろと請け負う、護衛ほどわかりやすい仕事はないとばかりに。
相手も腕は立ちそうだと見るが必要なら引き受けるのが何でも屋。
そうして話していればやがて目的地が見えてくるだろうか。
■角鹿建悟 > 「――まぁ、正直俺も未だに慣れていない所はあるけどな」
現役の学生でも自分みたいな者が居るのだから、おそらくは異邦人である彼女はもっと違和感などがあるのかもしれない。
「まぁ、そうは言うがここは兎も角、商店街とかの空気は俺は悪くないと思っているんだがな…。」
まぁ、あまり”小奇麗”な場所は少々苦手意識があるのは己も否定はしないけれど。
その辺りは庶民派の感覚、みたいなものなのかもしれないなと思うが正しいかは分からない。
「――何でも屋なら、ああいう場所だと…浮気調査とか素行調査、尾行に張り込み。探偵紛いの仕事も多そうだな」
とはいえ、彼女の愚痴や言葉を聞く限りは、荒事は矢張り落第街に比べたら全然少なさそうではある。
とはいえ、多種多様な依頼が持ち込まれるのならば、彼女にも相応の苦労はあろう。愚痴が毀れるのも仕方ないもの。
「ああ、仕事をきっちりこなすのは大事だな、それは同感だ――ん?アンタの事だ、柏木凛。
そちらはもしかして自覚が無いのかもしれないが、普通に美女認定されると思うぞ」
と、真顔で首を傾げながら、不思議そうな様子の柏木をちょいちょいと指差しておく。
男も朴念仁だからあまり人の事はどうこう言えないが、少なくとも美女という感想は間違いではないと思っている。
「じゃあ、”商談成立”という事で。…嗚呼、依頼の時は連絡すればいいのか?それとも、アンタの店を訪ねればいいのか?」
と、そこで気が付いたように。スマホとか彼女が持っているなら連絡交換をしておくつもりなのだが。
と、そうこう雑談に興じていれば駅も見えてきた。
「――と、見えてきたな。あの駅だ。あそこの2番ホームから歓楽街を通過する電車が通るからそれに乗るといい。
「○○前」という駅が丁度歓楽街の入り口辺りだった気がするからアンタなら分かるだろう」
何せ、彼女のホームは歓楽街なのだから。土地勘も流石にこちらに比べたら遥かにあるだろうし。
■柏木凛 > 学生なのに慣れていないと事があると聞くと本当かと疑いの目。
だがそれでも自分の様な異邦人とは違うだろうと。
「商店街なー…そっちは見て見たかったな」
空気が悪くないと聞くと興味を持ち、次は迷子ではなくそれを目的に来てみるかと考え。
学生街の様なお上品でなければ居やすいだろうと軽く考え。
「俺に来るのは用心棒とか客引き、後は桜ぐらいだな。そう言うのは来ても出来ねーって…」
何でか目立つから向かないと判っていない顔で告げて。
その分別の仕事で稼いでいるが……色々と苦労があり。
「仕事をきっちりやらねーと次の仕事が来ねーしな。
俺が……こっちの世界って判んねーわ…」
まさか自分の事とは思わず、指で指され告げられても信じていない顔。
「契約成立だな。そん時はここに連絡くれ。繋がるから」
相手の言葉に名前や電話番号、住所の書かれた手つくりの名刺を手渡し。
何かあればここに頼むと告げていれば降り立った駅に付き安堵の息を吐き。
「2番ホームだな?あぁ、その駅ならよくわかるよ。本当に助かった、サンキューな」
相手の言葉に本当に助かったと礼を告げ、ホームさえ判れば後はどうとでもなく。
歓楽街は詳しいのだから。
「そんじゃ俺は行くな。今日は本当に助かったよ角鹿。また会おうな」
相手の肩を叩こうとしたが篭手で叩けば痛いだろうと断念して軽く手をあげ。
そして笑みを見せればゆっくりと駅へと入っていって。
■角鹿建悟 > 疑いの目線を向けられている気がするが、実際あまり小奇麗な場所は何となく落ち着かない。
勿論、仕事中ならばそちらに意識を全集中するので欠片も気にはならないのだけれど。
「商店街はそうだな…もっと庶民的というか。平和的なイメージは変わらないかもしれないが、住宅街とかも多いしこっちよりは柏木もマシだとは思える筈だ」
もし、彼女の感性が多少なりとも己に近い場合は少なくとも学生街よりはマシだと思ってくれる、かもしれない。
「まぁ、腕っ節と容姿を最大活用してる感じだな…アンタは自分の容姿に無頓着みたいだが」
或る意味で自分自身に盛大なブーメラン発言なのだが、肝心の男は気付いていなかった。
「――まぁ、少なくとも俺にはそう見えるというだけだ。他の連中の感想は分からんが。
――分かった、じゃあ護衛が欲しい時はここに連絡させて貰う」
今すぐ、という訳ではないが矢張り護衛は欲しい所だと先日の一件で思う所があり。
彼女から名刺を受け取れば、住所や番号を確認してから頷いてそっと名刺を懐へと仕舞っておこうか。
「――ん、このくらいなら大した事は無い、お安い御用というやつだ……ああ、またな柏木」
お互い仕事に励むとしよう、と軽くこちらも右手を挙げて彼女が駅に消えていくのを見送って。
「――さて、俺も帰るとするか」
おっと、帰りにスーパーに立ち寄らなければ。そのまま男も帰路に着くとしようか。
ご案内:「学生通り」から柏木凛さんが去りました。
ご案内:「学生通り」から角鹿建悟さんが去りました。