2020/09/29 のログ
織機 雪兎 >  
「ん、あれ、商店街の方だったかな……?」

記憶があやふや。
まぁ調べればすぐに出てくるだろう。
クレープの包みをぺりぺりめくってあっという間に完食してしまう。

「ごちそうさまです。甘いものは幸せになるねえ」

やはり甘いものは良い。
体重?
うるせぇ知るか、太った時は太った自分に任せるんだい。

「ん、なに、どしたのかみやん先輩」

史乃上空真咬八 > 「……」

互いにクレープは完食。記憶ふわふわフワッティ。
まぁともあれ、そういうグルメがあるのであればいつか食べてみたい。
人並みの食への探求心がないわけでもない。

「……そう、スね」

甘い物。結局完食したので相互に間接キスとなったこと、
彼女は全く気にしてない、こっちは気にしているのだが。
体重を気にしないように、自分もこの恥ずかしさを気にしないようになりたい。
今は無理なのだが。依然、顔、耳までも真っ赤なままだ。


「…………その」




「……」


彼にしては珍しく言葉を詰まらせている。
が、頑張った雰囲気と共に、首の後ろを掻きながらぼそり、と。

「……先輩、って、つけなくても良いスから。
――かみやん、か、カミヤとお呼びくだせェ。その方が、おあいこでしょう」

織機 雪兎 >  
「?」

ぱちくり。
こちらの名前を呼んだきり黙ってしまった彼。
なんだか顔も赤いし、どうしたのだろうか。

「……」

そうして言われる言葉。
先輩は要らない。
しばらく黙って彼の顔を見た後、

「ん、じゃあかみやんで!」

満面の笑みで了承。
ぐっと親指を立てる。

史乃上空真咬八 > 「――――……」

あっさり。彼女は自分をかみやん、と呼んだ。
満面の笑み、親指を立てている。驚かされた、
もっとこう、なんか、躊躇とかないのかとか若干思ったが、
よくよく考えればこの人そういうことについてはあんまり照れるとか、
そういうのない人だったな、と改めて認識する。

苦笑寄りで笑顔を返し、会釈をした。

「……これからも、よろしくお願いいたしやス。ゆっきー」

改まる程のことでもないだろうが、自然とそうしていた。
そういう礼儀を、払いたくなったから。

――左手を自ずと差し出した。

「……それじゃあ、そろそろ帰りやしょう。また、ろくでもない輩にナンパでもされたら、困るでしょう。
――隻腕にてお護りする約束、今日で果たさせちゃ、くれやせンか」

織機 雪兎 >  
「うん、こちらこそよろしくお願いされます」

こちらも頭を下げる。
上げた顔には変わらず満面の笑み。
にしし、と楽しそうに。

「ふぇ。……」

そして差し出される左手。
顔を見て、手を見て、もう一度顔を見て。

「――あは、大げさだなかみやんは」

そうしてこちらも左手で彼の手を掴む。
そのままぎゅっと握って、上下に動かして。
左手の握手は良くないとは言うが、右手がないのだから仕方がない。
握手が終われば手を離して、彼の言う通り帰路に付こう。


ちなみに。
帰ってからやっと間接キスに気付いて、飼っている喋るネコチャァンを抱きしめてごろんごろんベッドの上を転げまわったのはまた別の話である。

ご案内:「学生通り」から織機 雪兎さんが去りました。
史乃上空真咬八 > ――無事に手をとって貰ってから、共に帰路につく。
安全を護ることについて、彼はその本懐を発揮するものだ。



無事送り届けた後、彼は彼で帰路につく。
……デエト、というものを最初に言った手前、その大義名分通り、
それらしいことを出来ていたかの不安と、
それらしいことを自ら提案し、こうして楽しんで、
実際、少し"そういう時間だったこと"を意識していた自分自身を省みては、
帰宅の後、随分と煩悶したらしい。



……遠目に見て、まさに立派に"屋台デートを楽しむ二人"であったことは、
ナンパしようとした男たちからも、屋台のおっちゃんからも、はたまた往来の学生たちにも映ったことは、
まぁ、間違いなかったこと。

ご案内:「学生通り」から史乃上空真咬八さんが去りました。