2020/10/07 のログ
ご案内:「学生通り」に芥子風 菖蒲さんが現れました。
芥子風 菖蒲 >  
夜の学生通り、静寂の夜中。
点々とアスファルトを照らすは街灯の光。
人の作りし、闇夜を照らす数多の日差し。
光に紛れ、宵闇の黒衣を靡かせる少年が一人。
彼の者、風紀委員の刃が一本、芥子風 菖蒲。
なんてことはない任だ。夜の警邏。よくある話。
特にこの学生街でも、小狡い悪党は時折現れる。
こういう仕事も、細かいながら必要な事だ。

「……退屈だな」

だが、それはそれ。何も起きない。
刺激が無いのは、退屈だ。つまらなそうに、溜息を吐いた。

芥子風 菖蒲 >  
幾ら学園が近い区域、治安が良いと言っても
其れを維持するのは此方側の仕事。
無論、近隣住民の民度の良さありきなのは間違いない。

「小腹が空いたなぁ……」

菖蒲は特に今の任に文句は無い。
だが、この時間帯はどうしてか、小腹が空く。
黒衣の裏側、何も無し。まさに手持無沙汰。
生憎、腰の刀は腹の足しになりはしない。
鉄を舐めても腹は膨れぬ。

「……コンビニ、なかったっけなぁ……」

ご案内:「学生通り」に雨見風菜さんが現れました。
雨見風菜 > この夜中になんとなしに出歩いている風菜。
ふと、少年を見つける。
腰に刀を差して、何やら物々しい。
だが、直後のつぶやきで空腹であるらしいことを知る。

「こんばんわ、何をしておられるんです?」

とりあえずまずは声をかけてみた。

芥子風 菖蒲 >  
軽く手元の携帯端末をいじってみる。
学生通りとは言え、結構外れ。生憎コンビニは少し遠い。
走るか。と言っても、余計に腹を空かすのもなぁ。
微妙なジレンマ。お財布の紐は些か緩い。

「適当に歩くか」

何が起きるとも限らない。
既定のルートを通り、目指す事にするか。
それにしても前に貰った一撃がまだ額に響いている。
ちょっと痛い。軽く額を擦った。
さて、歩くかと黒衣を翻した最中、声を掛けられた。

「何って、警邏だけど?どうかした?」

振り返り、抑揚のない声で返す。
口元は一文字の無表情。

「アンタは誰?学生なら早く帰りなよ。
 夜遊びするのはいいけど、程々にしなきゃ俺達風紀の意味は無いからね」

雨見風菜 > 「あら、風紀の方でしたか。
 お仕事お疲れさまです」

相手が風紀委員だと知り、『お楽しみ』中に遭遇しなくてよかったと胸をなでおろす。
そう言えば彼は空腹なんだったな、と思い直して、
『物体収納』しておいた茹でとうもろこしのパックを差し出す。
魔力の流れが見えていたなら、この時に手のあたりに魔力が集中していたのを感じれたかも知れない。

「とうもろこし、いかがですか?」

差し出されたとうもろこしのパックは未開封。
穴も空いておらず、何かが混入されている形跡はないのが分かる。

芥子風 菖蒲 >  
「どうも」

返事は大よそ素気ない。いつもこんな感じだ。
適当に歩いていこうと思った矢先、差し出されたのはとうもろこしのパック。
空のように青い瞳が、ぱちくりと数度の瞬き。

「オレにくれるの?というか、よく持ってるね。何処にしまってたの?」

さながらそれこそ魔法のように、手の上にそれはあった。
へぇ、とまじまじと一瞥しながらパックを遠慮なくとる。

「くれるんなら貰うよ、ありがとう。
 よくオレが腹減ってるってわかったね?鳴ってた?」

腹の虫。特に覚えは無いけれど。

雨見風菜 > 素っ気ないなあとは思いつつも。

「この胸の中から……なぁんて、冗談です。
 魔術で、亜空間に仕舞ってるんです」

実際風菜の豊満な乳房なら一つくらい仕舞えそうだが。
そんな冗談を言いつつ、彼にとうもろこしのパックを渡す。

「どういたしまして。
 先程の呟きが聞こえたものですから」

微笑む姿は、先程の冗談を言ってさえいなければ、そんなことを言うようにはあまり見えないだろう。

芥子風 菖蒲 >  
「胸?やけにデカいのって、そういう理由……じゃ、ないのか。便利だな、ソレ」

今時肉体を改造する輩がいるのは珍しくも無い。
魔術だってそんなものだ。
パックから取り出したトウモロコシに遠慮なくかじりついた。
パリッ、と小気味のいい音と甘味が口内に広がる。

「んぐっ……ん、美味いね。……むぐっ、ん……?」

ばりばり。

「ああ、聞こえてたんだ。何時からいたのかは知らないけど
 こんな真夜中に何してたの?アンタ。コンビニなら向こうだけど?」

学生通りの外れ。
この周辺の学生だろうか。
それなら分からなくはない。

雨見風菜 > 「流石にこの胸は自前なので、理由なんて問われても困りますね」

胸に何かをしまっておくために大きくするのは非効率だろう。
それに、自然に大きくなった乳房に理由を問われても困る。
そうしていると、彼がとうもろこしを食べだした。

「百円均一のものでも美味しいですよねえ」

にこにこしながら、その様を見つつ。

「先ほど通りがかった時に、ですね。
 何をしてたのかについては、散歩ですよ。
 ちょっと外の風に当たろうかなって、ね」

先程まで、この先で露出していたなんて風紀委員相手に言えるわけがない。
万が一目撃者が居たとしても、その証言自体が疑われそうだが。

芥子風 菖蒲 >  
「魔術の事だよ。わざわざその為にデカくしてるって、アンタが冗談で言ったから」

それに乗っかっただけ。胸の大きさ何て興味ない。
そんなものよりとうもころしのが美味しい。

「値段とか考えた事もないから、別に。美味いのは確かだけど」

貴賤は無い。食べれて美味しければ何でもいい。
事実あっという間に、トウモロコシは芯だけに。
けふ。袖で口元を拭ってお粗末様。

「うん、マシになった。ありがとう、御馳走様。……ん、散歩か」

「最近、冷え込む位寒いモンね。わかるよ。けど、この辺りでもヘンな奴は出てくるからさ。
 下着泥棒とか、スリとか。ヘンな連中だと、"ロシュツキョー"?ってのがいるらしいしね」

「アンタも気をつけてね」

疑う事はしない。
一々問いただすのも面倒だし、是正を問う弁舌も無い。
まさか、目の前の相手がそれらのどれかに該当するとは思うまい。

雨見風菜 > 「いえいえ、流石にそうは言ったつもりはないですけども。
 魔術はまぁ、覚えられるものがそれだっただけではあるんですよね」

胸の中から、と冗談でいっただけでそう取られるとは思わなかった。
流石になんとも言えない表情になってしまう。

風菜の魔術の才能は偏っている。
今使ってみせた空間魔術と、他二系統を除けば、基本的な魔術すら習得できないほどだ。

「そうでしたか。
 まあ、美味しかったのは良かったです」

あっという間に芯だけになったとうもろこしに、そんなにお腹が空いていたんだなと。

「ふふ、そうですね。
 露出狂、居ますものね……気をつけます」

下着泥棒もスリも、風菜には縁がない。
そして、どれほど気をつけなかったところで、露出狂に遭遇することはないだろう。
今現在、この周辺の露出狂と言えば、この風菜本人以外には居ない。
疑われないのなら、こちらから言う必要も無い。
寧ろ言ったら逮捕されるのが関の山だ。

芥子風 菖蒲 >  
「覚えられるだけいいんじゃないの?出来る事があるだけ十分でしょ」

世の中には魔術の才能が無かったり、無能力者だってゴマンといる。
少年から見ればそのような物言いは"欲張り"だ。
日常的に便利だと言うものに、何を後ろ向きになる必要があるのか。

「まぁ、言うだけ言ったから後は気をつけて。
 そう言う連中がいたら、教えてくれるだけでもいいから。……それで、まだ散歩する気?」

風紀である以上諸注意もそうだが、このままさよならで
後から彼女に何かあったらそれはそれで面倒だ。
少年は仕事には責任を以て臨む。
無垢な青が、相手を見据えていた。

「アンタに何かあると困るし、適当に付き合う位は出来るよ?」

雨見風菜 > 「確かに、そうですね。
 みんなの使える100でなくても、0じゃあないんですし」

実際、便利に使っているわけだし。
なにも持っていないわけではないことは間違いない。
日本人の習性である謙遜も、やはり過ぎれば毒である。

「そうですね、見かけたら通報します……見かけたら」

露出狂については本人なので見かけたとしても通報する気はないが。
下着泥棒やスリはまぁ通報するだろう。

「風紀委員さんに注意されちゃいましたし、今日はもう帰ります。
 帰り道は大丈夫だと思いますよ、皆さんが見回ってくれてるから平和ですもの」

しかしながら、最近は朧車のことがあり巡回に回る風紀は減っているのを風菜は感じている。
とは言え、それですぐさま犯罪が起きるような手薄になってないのは間違いない。

……落第街は早速何やら動き出していそうな印象はあったが。

芥子風 菖蒲 >  
「100とか0とか、一々数字にするのって必要?
 オレは難しい事はよくわかんないけど、別に0でも嘆く事じゃないし
 アンタ自身が気にしてるなら悪いけど、きっとつまんないよ。それ」

畢竟、どうでもいい事だ。
過ぎたるは及ばざるが如しとは言うが
塞翁が馬、なるようになるしかない人の生。
そう言い切れる割り切り、別に自分は強さとは思わない。
ただ、一々口にする程の事でも無い。少年にとってはそれ位だ。

「ん、そう。じゃぁ、元気で。あんまり夜更かししないようにね?」

それなら此方も用は無い。
軽く会釈をすれば踵を返し、振り返る事無く夜道へと進む。
小腹も満たせたし、悪くは無い。
今日も誰かの為に、体を張ろう。
自分のやれることを、やるだけだ。

ご案内:「学生通り」から芥子風 菖蒲さんが去りました。
雨見風菜 > 「見事な割り切りですね、私も見習わないと」

少々冷徹に感じるきらいも有るが、納得できないわけではない。
しかしながら、風菜ではなく他の誰かだったら。
もしかしたら喧嘩になるのかも知れないなとは思いつつ。

「ええ、風紀委員さんもお気をつけて」

言って、風菜は女子寮に帰るべく歩いていくのであった。

ご案内:「学生通り」から雨見風菜さんが去りました。