2021/11/14 のログ
ご案内:「学生通り」に桃田舞子さんが現れました。
■桃田舞子 >
ワガハイはモブ子である。いや誰がモブ子だ。
好きな食べ物はカレー。趣味はカラオケ。
異能は戦闘向きだけど性格は戦闘向きじゃない。
風紀委員に所属しているそんな私のやることは。
人通りの多い場所に立って車両の誘導や怪しい人がいないか見て回る。
そう、交通部なのである。
今も学生通りで大型車両が通る際に
ホイッスルを吹いて交通誘導灯を振っている。
■桃田舞子 >
私の日常は劇的ではない。
今月に入って犯人確保!なんてしたのは、
せいぜい食い逃げ犯を追いかけた時くらいだ。
それでも常世島を支えるものに、
私みたいなモブ風紀委員と、生活委員会の方々が不可欠なのだ。
屋台骨。縁の下の力持ち。脇役。裏方。黒子。助演女優。
物語の主人公に憧れないわけではない。
でも、そういうのはファタリテ(悲劇的運命)が付きまとうので私には荷が重い。
普通に勉強して。普通に風紀委員として働いて。
普通にご飯が美味しい。これが私の幸せなんだ。
おっと、そこの車両!
今の黄色信号から赤信号に切り替わるギリギリでしたよ!!
ご案内:「学生通り」に芥子風 菖蒲さんが現れました。
■芥子風 菖蒲 >
風紀委員は戦闘集団でも何でもない。
対処的に戦闘行為に及ぶのであって、秩序維持を目的とした組織だ。
だから、普段はこういうパトロールや雑務作業が主と成るはずだ。
寧ろ、そう言う事ばかりなのは喜ばしい事態だ。
「それはいいんだけど……」
いいんだけど、と少年は不服そうに手に持つビニール袋を一瞥する。
中にはそこのコンビニで買ったと思われる数種類のドリンクがたっぷりだ。
事の発端は学生通りをパトロール中の事、知り合いの風紀委員と出会ったのがきっかけだ。
『そこの少年!これをモブ子に差し入れといてくれ!』
この一言と同時に、押し付けられた。ついでにそいつはどっかいった。あれはサボりだな。
「モブ子って誰だ……」
わからん。誰だ。流石の少年も渋面だ。
うーん、とうなり声を上げながらうろうろしていると
同じ風紀委員と思われる女子生徒を発見。交通整備中だろうか。
アイツかな、と思い少年は歩を進め……。
「ねぇ、アンタモブ子?」
何とも聞く人によってはご無体な第一声が飛んできた。
■桃田舞子 >
交通整理をしていた際に後ろから声をかけられ。
そのあんまりな呼び止めに、
「モブ子ってゆーな!?」
と反射的に振り返る。
と、そこには……なんか…
風紀の詰め所で見たような、そうでないような少年が…
「え、何……確かにあだ名はモブ子だけど…ってか声張ってごめん」
わたわたしながら言い訳と謝罪(簡易)をした。
ひとまず隣にいたミーちゃん(井上 ミドリちゃん)に担当を変わってもらって。
道路脇のほうに移動した。
うーん……やっぱり彼、どこかで見たことがあるような。
■芥子風 菖蒲 >
「モブ子って名前じゃないの?オレはそう聞いたんだけど」
そうとしか聞かされてないから仕方がない。
青空の様に青い瞳をぱちくりさせて、首を傾げた。
とりあえず、あだ名らしいがモブ子本人である事は間違いない様だ。
一旦わき道に逸れるとずぃっと手に持ってたビニール袋を差し出す。
「コレ、アンタに差し入れ。同じ部署の先輩じゃない?どっか行ったけど」
とりあえず届けるものは届けてしまう。
中にはペットボトルドリンクが適当に詰められている。
所謂ホットな350ml。この時期には少し嬉しい奴(猫舌を除く)
「別に気にしてないよ。それよりも、オレの顔に何かついてる?」
大声なんてなんのその。
何処吹く風と言った具合だが、その視線は気になった。
■桃田舞子 >
「いや名前がモブ子だとあんまりすぎるでしょ!?」
ツッコミハンドが空を切る。
最近、桃っちやまいちゃんみたいに呼ぶ人のほうが少数派な気はしていた!!
でもモブ子が本名だと思われるのはさすがに!! さすがに!!
「ああ……小此木徹英(おこのぎ てつひで/てっちゃん)先輩かな…」
「まーた差し入れだけしてサボってる………」
ビニール袋を受け取って、それでもにっこり。
寒い時期にはこういうのは嬉しい。
冬場の水分補給も気をつけろって朝礼で聞いたばかりだしね。
「ううん、風紀の詰め所で見たことがあるなって」
「私の名前は桃田舞子、あなたは?」
後で受け取った飲み物は冷める前にミーちゃんたちに渡そう。
私はデビルホットオレンジ(350ml)をもらおう。
■芥子風 菖蒲 >
「そうかな。覚えやすい名前だと思うけど?」
モブ子。シンプルで覚えやすい。
まぁいい名前とは思ってない。そう言う事だ。
「そうなんじゃないかな。ファミレスの方行ってたし」
恐らくこのままファミレスで適当に数時間コースだ。
あのファミレスの空気、ついつい時間が過ぎてしまう。
ドリンクバーを頼もうものなら朝までコースも珍しくない。
自分も記憶がある……ようなないような。
よもや、ファミレスで女子にご無体働いたから制裁受けて記憶が飛んでるとは少年も覚えていまい。
「ああ、そう言う事か。うん、オレ風紀委員だからさ」
詰所でも何でも、関係するところにはちょくちょく顔を出している。
大体仕事関係だ。少年はコクコクと頷いた。
「オレは芥子風 菖蒲(けしかぜ あやめ)。宜しくモブ子」
読み仮名をスルーしてしまう少年だった。なんて奴だ。
ビニール袋から取り出されていくもの。オレンジジュースっぽい色合いだが
……なんだがやけにドロッとしてそうだ。『悪魔的甘さ・・・っ!』ってキャッチフレーズもある。
「それ、飲むの……?」
些か訝しんだ。
■桃田舞子 >
「いやモブ子で覚えられるのごっつプロブレム!」
わなわなと震える。
桃田のモに舞子でブコ、通称モブ子。
あんまりだ。お祖母ちゃんがつけてくれた名前になんてことを。
「あー……寒いからね…」
いやいくら寒いからってファミレスでサボって良い理由にはならないよ!?
てっちゃん先輩あとで問い詰めてやる……!!
(ついでに差し入れのお礼を言ってやる)
「そっか、よろしくね芥子風くん。だからモブ子ってゆーな!?」
ホットでドロっとしてて濃厚通り越して最早食べ物ってレベルの激甘飲料。
それがデビルホットオレンジなのだ。
「飲むけど?」
早速開封して飲む。
ああ、甘い……脳が焼ける…
「働いていると糖分が欲しくなるからね」
■芥子風 菖蒲 >
「ごっつ……ぷろぶれ?」
何?と不思議そうな少年だった。
ちょっと何言ってるかわからない。
「そうだね。今頃温かくしてるんじゃないかな?」
特に朝と夜は良く冷える。
今は日が出ているから少しは暖かいけど
外気と吹き抜ける風は未だ寒い。
子供は風の子。少年はあんまり寒さが気にならない方だ。
「……?舞子?」
急に声を張り上げてどうしたのやら。
ヒューマンエラーはよくある事だ。少年はちょっとよく分からない。
「…………」
飲んだ。
そりゃもう遠慮なく飲んだ。
あのドロッとしたオレンジ色の液体を飲んだ。
しかも結構飲めてる。糖分で舌が壊れたりしないのだろうか。
「まぁ、そうだね。頭が疲れるから」
糖分が欲しいのはわかるけど、ちょっと過剰摂取気味なような。
……もしかして、この袋の中身。全部こういうのなんじゃないだろうか。
訝し気な少年が視線を落とすと、『V-MAXコーヒー』なるラベルが見える。
噂に聞くコーヒーと言う名の砂糖の塊だ。一体なんてものを渡したんだ。
■桃田舞子 >
「大!問!題! です! モブ子禁止っ!」
私は私の人生を生きている。決してモブではない。
でもまぁ……ちょっと穏やかすぎてモブ扱いも仕方ないかなと思うことはあるけど…
それはそれ。これはこれ。
「いいな……終わったら私も晩ごはんファミレスにしようかな…」
「期間限定でアビフル(ファミレス名)がキーマカレーうどん出してるしね…」
女の子は体を冷やしてはいけないってお祖母ちゃんも言ってた。
だから、暖かくしたいんだけど。
春先に申告した委員服がミニスカートだったのでこのままだ。
このままっていうか、このざまだ。
「そう! 舞子か桃田! 呼ぶ時はそう!」
説明に力も入る。
芥子風くんは、言っちゃなんだけどイケメンの部類だ。
蒼い空を思わせる瞳に、サラサラの髪。
しかし……独特なテンポの会話に天然疑惑を持たざるを得ないのだ…
「ミーちゃーん! 佐藤くーん! てっちゃん先輩から差し入れだってー!」
仲間にV-MAXコーヒーとオラァお茶。を渡す。
みんな安い温もりと先輩の気遣いをポケットに入れて戻るのだ。
「芥子風くんは非番?」
なんとなくベイビーフェイスに見えるので君付けしてるけど。
先輩だったらどうしよう。後でマッハ頭下げかな。
■芥子風 菖蒲 >
「その割にはさっきの人、モブ子って言ってたような……」
如何やらこれは彼女にとっての禁句らしい。
だったらさっきの先輩は余程の命知らずのようだ。
きっと今頃、ファミレスでくしゃみ塗れになっているに違いない。
後でどうなってもしらないぞ、南無。
「オレはきつねがいいなぁ」
うどんはシンプルなものが好き。
ファミレスは簡素であれ"こういうのでいいんだよ"って味だから悪くない。
何だかファミレスで一緒に食べること前提の会話っぽくなったがそれはそれ。
「……そう言うならわかった。けど、モブ子のが覚えやすいけど?」
随分と力説してくれる。
余程モブ子と言う名前は不満があるが、呼ぶ側の気持ちはそんな感じだ。
見た目がモブっぽいとかは特に考えてはいない。
単純に語感的に呼びやすいだけ。
ダメ?と、少年は当のモブ子(仮)を見ていた。
「ううん、見回りの途中。押し付けられたから、アンタの事を探してた」
こう見えても勤勉な方だ。
方々に持っていかれるドリンクたちだが、一個余った。
もしかして、押し付けた奴は自分の分も買っていたんじゃないだろうか。
まぁいいか、役得としてもらっておこう。少年はちゃっかりしていた。
「人手が足りないなら手伝ったりするけど?」
風紀委員同士、助け合いは大事。
ホットカルプスの蓋を開け、軽く喉へと流し込む。
「……甘い」
嫌いじゃない甘さだ。
ちょっと頬が緩んだ。
■桃田舞子 >
「てっちゃん先輩ィ………!!」
怒り心頭。大激怒。怒髪天を衝く。いや衝いてないけど。
どうやらてっちゃん先輩は命が惜しくないと見える。
今度会ったら文句を百連発だ。
「いいねー、きつね……仕事終わったら行こうかぁ」
一人で食べるのは味気ないしね、と言って笑う。
風紀委員の悪いところは、責任が重いところだ。
風紀委員の良いところは、仕事が終わったら責任と一緒に腕章を外せば一般人に戻れるところだ。
「いや、モブじゃないし! 私は私の人生を生きてる主人公だし!!」
「芥子風くんだってモブ太って呼ばれたら嫌でしょ?」
「ううん、名前に引っ掛けるわけだから…ケッシーかな、あだ名は…」
なんか真面目にあだ名を考える流れになった。違う違う。
見回りの途中と聞くと、敬礼して。
「お疲れ様です! 18時上がりでしたら当委員とファミレスにご同行願います!」
そんなことを冗談で言って、手伝いの話を聞けば。
「え、いいの? じゃあお願い! 交通整理わかる?」
「わかんなくても怪しい人とか迷子とか見つけたら声をかけるだけだから…!」
必死。頼るべき先輩がサボって人手不足なのだ。
カルプスは甘い。それは世界の常識。
■芥子風 菖蒲 >
てっちゃん先輩、今頃大きなくしゃみしてるだろうなぁ。
きっとこれは後で締め上げられる。間違いない。
こういう感じに弄られるのはよく見てきた。南無、てっちゃん先輩。
「オレはあんまりそう言うの気にしない、かな……」
名前について熱弁されるも少年の方はクールだった。
たまたまそう言う名前だったってだけだし、呼びやすいならそれでいい。
今の所、彼女みたいなあだ名はあんまりないけど。
うーん、と悩み声を上げた傍からあ、と思い出したように声を上げる。
「でも、ヘンなあだ名はイヤかなぁ」
それは文句を言う。
因みにモブ太もモブ子も少年の辞書では変な名前ではない。
「終わったらね」
カルプスの蓋を閉めて、頷いた。
少年は決して騒がしい人柄では無いが、人が楽しんでいるところにいるのは好きだ。
適当に黒衣のポケットにペットボトルをねじ込み、軽く伸び。
「んー……。初めてやるかな。車の誘導とかはわかんないけど、声かけるだけなら」
仲間の頼みを断る理由はない。
どれ、と誘導灯を軽く蹴り上げてキャッチする。
多分誰かの置いてた奴だけど、遠慮なく借りる事にしよう。
「それで、オレは何をすればいいの?何処でどうすればいい?教えてよ、舞子」
■桃田舞子 >
「え、あだ名気にしないの?」
「じゃああっちゃんで………」
いや待て、あだ名で呼び合うようになったら
私は自然とモブ子になってしまうんじゃない!?
それはまずい。
「もちろん、終わったら」
笑顔で頷く。
美味しいご飯はちゃんとした仕事の後だから美味しい。
そしてちゃんとした仕事とは、地味な作業の堅実な積み重ねなのだ。
「まず今の時間帯は大型車両は通っちゃいけないから」
「こっちの道に左手を向けながら目立つように誘導灯を振る、こうね」
「そしてそれを無視して通ろうとする車の前には勇気を持って出る!」
「左手のひらを前に突き出して誘導灯を横に構えて止まれ!」
「んで、こっちの道に行く車は徐行なので……」
「車が見える位置でゆっくり上下に誘導灯を振る」
「その際は誘導灯を平行に持ってこうやるの」
自分の中では丁寧に教えられたと満足して。
「車に乗ると言動が荒くなる人がいるけど、そこは大丈夫?」
■芥子風 菖蒲 >
「うん。そう呼びたいならそう呼べばいいし、不都合がないならそれでいいでしょ」
細かい事を一々気にする程じゃない。
その素気なさは、ある意味冷めていると言って良い。
表情の起伏は実際乏しいが、感情が無い訳じゃない。
その証拠に、舞子の笑顔には釣られて口角が僅かに上がっている。
「ふぅん……」
とりあえず一通り習った通り、レクチャーする舞子の動きに合わせて身振り手振り動かしていく。
逐一車に合わせてサインを送らなければいけないのが意外と細かい。
ちょっと面倒だなぁ、と思いつつ誘導灯でトントン、とリズムよく掌を叩いていた。
「とりあえず覚えたから、やってみるよ。オレは何処に行けばいい?」
遠目で見れば、それぞれポジションが決まっているように見える。
ちょっと穴、と言うより感覚が遠いのはサボりがいるせいか。
先輩、こういう仕事はしっかりやらないと。
「?…別にどうってことないよ。荒事が怖くて、風紀委員なんてやってないから」
自分には"それしかできない"。
それに、ただ怒鳴る程度なら命のやり取りの恐怖感に程遠い。
少年が風紀として立つ位置はそこだ。日常との乖離が、その一言に詰まってる。
「それで、オレは何処に行けばいいの?」
かといって、こういったことにやる気がないとは違う。
やる気があるからこそ、買って出た。
だからちょっと舞子をせかす。早く早く。ぶんぶん。
■桃田舞子 >
「なるほど………」
天然ではある。けど、細かいことに拘泥しないタイプでもある。
さっぱりとした男の子なのだなぁ。
あ、でもちょっと笑ってる。
「ちょっと待ってね…」
『佐藤委員、井上委員。芥子風委員がサポートに入ります』
『彼は交通誘導が初めてですが、ここは頼ろーと思います』
と、無線で連絡して。
「ははは……私は荒事は怖いかな…」
苦笑い。
怖いことは怖い、でもその恐怖が一般人を害するのなら止めなくちゃ。
そんな消極的な考えで私は今日も風紀をやっている。
「わかったから、あっち側をお願い」
「あっちゃんはわからないことがあったらいつでも呼んでいいからね」
そう言って、四人体制で交代要員が来るまで交通誘導をした。
その後にファミレスで食べたご飯は、それはもう美味しかった。
達成感、それはスパイスなのです。
■芥子風 菖蒲 >
「別に怖いままは怖いでいいと思う。
それを乗り切る、とか慣れる、とかよくわかんないけど、やれる人がやればいい」
「だから、オレはやる。舞子や皆が平和に暮らせる為に」
上手い言葉が思いつかないが、適材適所と言いたいらしい。
荒事だけじゃなくて、出来る人、やりたい人がその場に立つ。
自分の異能がたまたま荒事に向いていた。だから、矢面に率先して立つ。
単純明快、それで皆の役に立つからそこにいる。
少年の動機は、そんな程度だ。そんな程度でも、体を張る事は出来る。
「だから、そう言うのはオレに任せればいいから」
それが役割なのだから。
「ん、わかった。アッチね。じゃ、行ってくるよ」
そう言って少年は速足に持ち場についた。
初めての事なのか、センスの問題か。
何ともぎこちない誘導にはなってしまったが、何とか業務はこなすだろう。
途中、突っかかってきた運転手と"荒事"になりかけたが、周りが止めたので事なきを得た。
今日食べたご飯は賑やかで、それは確かに楽しかったなぁ。
ご案内:「学生通り」から桃田舞子さんが去りました。
ご案内:「学生通り」から芥子風 菖蒲さんが去りました。
ご案内:「学生通り」にヒメさんが現れました。
■ヒメ >
「うむ、これが『ガクセイガイ』なるものか」
きょろきょろと物珍しそうに辺りを見回している少女姿の金龍。
世界を渡ってきた彼女は皇であった。
そして、今やこの常世学園を堪能している、のだが……
「以前は失敗したからな……今日は慎重にいかねばならぬのじゃ」
皇は気ままな生き物であるが、こちらに来てからはヒトの臣下とヒトの小さき王と交流をしており。
先日はその王に忠告をもらった。
曰く
「おでかけするときはちゃんとその日に帰ってくるように」
なるほど、道理である。
「まあ、まだしばらくは良いじゃろ」
皇は優雅に歩き始めた。
■ヒメ >
目的は、と問われることがあれば。特に何も有りはしない。
なにしろ、知らないことだらけなのだ。
見るもの全てが物珍しいし、興味が惹かれるものが多い。
「ほほう、これはなんじゃ?あれは?」
はたから見れば、完全におのぼりさんである。
■ヒメ >
「む……これは……ヒトの食物、か?」
これまで欠片も意に介さなかった物だが、異世界に来てからだいぶ興味を引くようになった。
これが、存外美味いのだ。
ヒトとは小賢しく、何事かを囀り、皇を余興として楽しませるだけかと思っていた。
しかし、彼らがその短い生を生かしてせせこましく生み出していくものに一定の価値があることを最近理解した。
「ん、む……むむむ?」
じー
■ヒメ >
「さて、しかし、じゃ」
皇は考える。
此処で一つ、重要かつ重大な問題が発生していた。
「カネがないのじゃ」
正確には、幾ばくかは持ち合わせている。
しかし、総量は微々たるものだ。
欲しい物を買い集めるには圧倒的に足りない
「ふ、む……此方の決まりごととはいえ、カネ、とやらはめんどうじゃの…」
皇は、はてどうしたものか、と首を傾げた
■ヒメ >
そうこうしているうちに、日が沈み始める。
かの王と約束した刻限が近づいている。
「これは……」
無論、ヒトの王との約束など踏みにじることは容易い。
しかし、だ
皇の矜持として、約束事を違えるのは……
「仕方なし、じゃな。今日は撤退。
また後日、改めることにしよう。」
無念の決断を心に秘め
皇は、今日のところは戻ることにした。
ご案内:「学生通り」からヒメさんが去りました。