2021/11/25 のログ
ご案内:「学生通り」に萌良 さだめさんが現れました。
萌良 さだめ > 『年末年始となれば、人の気も、世界の境界も緩む。』
『酒を飲むかもしれぬ、浮かれるかもしれぬ。』
『さすれば、いかなる魔術災害も起こり得よう。』
『無論、それを装った魔術犯罪の類もだ。』
『魔術の濫用、悪用をさせぬよう手を打たねば。』
『人々に注意喚起を施さねばなるまい。』

……というやりとりが上であったかどうかは定かではない。

公安委員会の下部組織である戒魔局は、魔術に関しての調査と取締を行う部署だ。
メンバーは秘密主義にあふれており、所属しているメンバー同士でも、本当の名前を知らない。
そんな戒魔局のメンバーである自分の今日の仕事は…学生通りでのビラ配りであった。

「年末年始、魔術の取り扱いに気をつけてください!」
「ご自宅を離れるときは、マジックアイテムの管理に気をつけて!」
「飲酒、酩酊状態での魔術の使用は危険です!」
ハキハキと声をかけながら、道行く生徒や人々に注意喚起ビラを差し出す。 
生徒たちは時々足を止め、ビラを受け取って内容を読んでから…不思議そうに自分に眼をやった。
「ちがうんです…戒魔局はいつもこうってわけじゃなくて…。
 その、年末年始の注意喚起のため、目立つ格好でアピールしてこいと、はい…。
 べつに常日頃から猫耳メイドさんだニャン♡ してるわけではないです…本当です…。」

このメイド服と猫耳は支給品である。
普通に配ればいいだろと猛抗議をしたが、
上からの意見は『アドバタイズは目立つ格好でやるのがよい』ということだった。

「そのわりには自分で着ないんだよ…。」
生徒たちの波が途切れたところで、その場にしゃがみこんでひとり呟く。
他にも島のいろいろな場所で戒魔局のメンバーがビラ配りをしているらしいが、
自分と同じように猫耳メイドなのだろうか。 疑問だけが募る。

萌良 さだめ > 「はー、しかし効果があるんかね、これ…。まあでも言わないと駄目か。」
自分に言い聞かせるように一人呟く。
ビラはまだあるし、人の往来も未だ盛んだ。
手を止めるわけにはいかない。 気合を入れて立ち上がった。

「マジックアイテムの封印は緩んでいませんか? 大掃除ついでに確認を!」
「火元の近くにマジックアイテムを置いていませんか?」
「年末年始は魔術の使用が増えます! 慣れていない魔術の使用は安全を十分考慮して!」
「魔術についてお困りであれば戒魔局へお気軽にご相談ください!」

小さな体躯で精一杯アピールするようにぴょこぴょこ飛び跳ねてながら、行き交う人々にビラを渡す。 
果てしなく地道な作業ではあるが、これが巡り巡って年末年始の戒魔局を楽にするのだ。
そう自分に言い聞かせながら、頑張って沢山ビラを配り続けた。

それなりに時間をかけて沢山ビラを配ったところで一息つく。
休憩とばかりにその辺に座り込み、飲み物を口にしながら、まだ残っているビラを眺めた。
「知り合いにまとめて渡すってわけにもいかないしな…。 へー、疲れた…」
秋、というかもはや冬になりかけの空を見上げる。
薄曇りの空は低く、もう少しすれば本格的な寒さが来るだろう。
あともうひと踏ん張りだ。 再度立ち上がってビラを手に持つ。

萌良 さだめ > 頑張って今日の分のビラを配る。
もちろん受け取られなかったり、受け取られたと思ったら捨てられたり。
それでも今日の分のノルマを終えて、無事にお家に帰るのでありました。

ご案内:「学生通り」から萌良 さだめさんが去りました。