2022/01/01 のログ
ご案内:「学生通り」に出雲寺 夷弦さんが現れました。
出雲寺 夷弦 > ――新たな一年を迎え、冬の休校の期間ともなれば、案の定というかなんというか。
当たり前だがにぎわうものである。この通りは。がやがやとあちこちで聞こえてくる新年セールだの、なんだの、かんだの。

そういった賑やかさに紛れて歩くのは、冬の装いが他の人よりもやや深い恰好の男子学生だ。
人波からはほんの少しだけ頭が出ているのはきっと、それが彼の体躯のせいだろう。それだけに、ちょっと見渡せばすぐにどこに何が売っていてどういうセールなのかを見分けられる。

……無駄のない足取りで人の波の間を縫うように歩いては、『お買い得』なものをあっちでこっちでと細かく買っていく。
彼は学生であるため、お財布に負担のない買い物をモットーとする。
だからこそ、初売りはねらい目なわけで。



「――……よし、これで暫く飯のジャンルに困らない」



――といった数々の買い物の、どっさり積もった荷物を盛って、商店街から学生街へ、初売り巡りの疲れを癒すべく。
道端のカフェテラスで買ったホットコーヒー片手に、白い息を着きながら、満足げにして寛いでいた。

男子学生、出雲寺夷弦。買い物に余念の無い、未来の専業主夫だ。

出雲寺 夷弦 > 「しっかし、こんだけ買って結構安く済んだけど……ちょっと買いすぎた、か?」


そう零して、コーヒーの黒い水面から見下ろす傍らには、エコバック実に三つ分くらいの戦利品。
具体的にはほぼ全部食品だ。レトルト調味料であったり、野菜であったり、はたまたパスタ乾麺や米、食パン等の主食。
明らかに一人分ではないそれらの殆どには特売シールが貼ってあったり、一緒にミチミチと隅に入れ込まれた初売りのチラシがあったり。

「ま、いっか。凛霞と俺、結構食べるっちゃ食べるし。
……今夜は何食べたがるかな、あいつ」

頬が緩む。緩んで、柔かく一人で笑う。
過った顔。さて、あの顔をどうやって幸せに驚かせたものか。
食材沢山、あとは腕の振るいようだ。