2019/03/02 のログ
ご案内:「商店街」に史乃上咬八さんが現れました。
■史乃上咬八 > 土曜日の昼間。春の近づくにぎやかな商店街。
そこに、一人の青年が居た。八百屋の前で、左肘に掛けた籠一杯の野菜を重そうに揺らし、
その腕の掌で紙のメモを睨みながら籠の中と見比べている。
「……小松菜、人参、馬鈴薯と甘藷、ほうれん草に椎茸……それから」
果物か。と、口に出しながらバナナを二房、器用にメモを持ったままの手で房の端をつまんで籠に放り込む。
八百屋の店主の男性がおろおろしながら、けれど声もかけられずにいるのは。
右袖と左袖から見える手には手袋をはめている。それは普通だ。
だが明らかに腕の太さが違うかのように袖の膨らみも左右非対称。
加えて右腕が同じ形のまま動いていないので察しているのだろう。
けれど、そのメモを睨む目はさながら凶暴な狼のような鋭さを孕んでおり、そう簡単に声を掛けることもできない。
……暫くし、会計を終え、ずっしりと買い物袋に野菜と果物を詰めた青年は、左手で袋を持って八百屋から出ていっていた。
「……あとは、ダニエルとホーマン、タノスケの餌用の精肉店か。……あ、違ェ。ペットシーツの買い足しもある。……あァクソ。野菜買いすぎちまった……」
……呟いているのは、餌、というので大体ペットかなんかだろう予想はつく。
さて、そんな彼はふらふらと街中を歩く。土曜日の賑わいの中、彼の周りだけが、ちょっとだけ人が避けていく。
■史乃上咬八 > 「――――」
……数刻後には、また大きな買い物袋を加えていた。
――いや、咥えていた。口に。
パック入りの肉が詰め込まれた袋を口に咥え、鬼のような形相で帰路につく彼の周囲は、最初より、更に広くなっていた。
「……」
――そんな怖い顔でいる本人の頭の中にあったのは、
買いすぎた肉を、犬たちにどう食わせてやるか、彼なりのフル稼働中だったのは、誰も知る由は無い。
ご案内:「商店街」から史乃上咬八さんが去りました。