2020/09/22 のログ
■史乃上空真咬八 > 「……元より自分も心得はあった方だったンスけど、悔しいことに、そいつの腕前と来たら"料亭レベル"だったもンで、教わったりすることは、かなり」
とんでもないスペックの腕前を持ったルームメイトらしい。家事だけはパーフェクト、それ以外が結構恥ずかしいレベル。なかなかちぐはぐしている。
とおもあれ、彼なりの信用の証でもあるらしい、ちょっと悩んだ後、認めるように後半の言葉をつぶやいた。
「……では、光奈さンと。後、あまり先輩と呼ばなくても……」
頬をかき、ちょっと困った顔をしていた。敬われる程の身でもない、という反応。
気恥ずかしさを誤魔化すように、首を振って話を進めた。
「……散歩をしていたのは、学生街の近くだそうで。犬の飼い主が学園の生徒だったンスけど、どうも古いけど、気に入っていたらしくて、目に見えて凹んでいると言ってやしたが」
それから一息置いて。
「えェ。犬の気持ちは、概ね汲み取れやスよ。異能の副次効果と、……後は、俺自身が、犬好きッスから」
■修世 光奈 > 「りょ、料亭…………」
戦慄する光奈。
一緒に住んでいるという事、更に相手の言い方から…それほど歳は離れていないと推測できるが。
それで、料亭並みとはどういうことか。
それは…逆に、それ以外は出来なくても仕方がないと光奈は思う。
「え?呼ばれるの嫌いですか?、じゃー咬八…さん?流石に、呼び捨てはあれですし」
部活の助っ人などもする光奈にとっては…年齢がどうあれ、呼び捨てはできないようだ。
「なるほどなるほどー…。犬の首輪の飾り…、おっけーです。連絡先教えるんで、何か画像とかあったら送っておいてください。
一日…ってわけにはいきませんけど、探しますから!」
異能の副次効果。好きだから気持ちがわかるというのは…まあ、そういうものなのだろうと納得した。
可愛いとは思うものの、まだ飼ったことなどない光奈には実感が湧かず。
「こー見えて、昔から実績はあるので大船に乗ったつもりでいてください!バイト先のペットショップに届けに行きますよー」
にへ、と笑って…また、使いそうな調味料を調べて足りないものは籠へと入れていこう。
■史乃上空真咬八 > ――口にはしないが、彼なりの敗北もあったのかもしれない。
ふっと思い出すような顔と思えば、少しの顔の強張りがあった。
自炊男子にも色々競うものがある、のかもしれない。
「そ、れなら、まァ……嫌いという訳ではなく、単純に、先輩……つゥのが、あまり言われ慣れないもの、で」
一応さん付け、ということであれば大丈夫のようだ。
その丁寧さを自分も見習うべきかと自身もさん付けへの訂正を考えたが、少し我慢した。
先輩と呼んでくれる後輩なんて今までいなかったのだろう。こんな怖い顔の先輩に声を掛けられる大層な後輩もまぁ、いるわけもない。
「……え、あ、あァ、それなら、後で送っておきますンで」
一応以前にその犬の首輪つけてる写真がありやスンで。と。
――後に、彼から送られてくるのはやたら首から上だけ元気さで輪郭のブレた秋田犬の写真。
首輪の飾りという点であれば、『デカい星型のドックタグ』みたいなものであるのもばっちり分かる写真だから、参照には充分のものだろう。
一通りを終えれば、買い物籠を抱え直し、小さく頭を下げた。
「それじゃ、その……宜しく頼ンまス。犬が元気になってくれりゃ、客も、きっと安心できるンで……俺のほうでも探してみますけど、見つかったら、連絡くだせェ」
■修世 光奈 > 怖いことは、怖い。
ただ、それでも。
ふと目に入ったリンゴよりも紅いものを見た後である今なら。
風体ぐらいで、何を怖がることがあるか。
実際の暴力、命が失われた後の体を、実際に見たのだから。
ましてや、相手は依頼人となってくれた。
それに、カボチャの煮つけ、という方向性もアドバイスも貰った。
それなら、怖がることはない。
「りょーかいしました!、やっぱり、元気がないよりは元気なほーが当然いいですもんね!」
ぴし、と緩い…遊びのような敬礼をしてえへへ、と笑い。
その後は買い物を終えて、店先で別れよう。
動物の事を良く知っているわけではないが…、それでも元気がないというならそれは解消してあげたい。
その後、依頼としてしっかり端末のメモ帳に記載し。
依頼は、彼女とはいえ一日二日では達成できないものの…進捗は逐一伝えられることだろう。
ご案内:「商店街」から修世 光奈さんが去りました。
■史乃上空真咬八 > ――すん、と、ふと鼻を鳴らしていた。
目の前の相手が、自分を怖がる様子も、随分と。
……印象と共に、"鼻がむずかゆくなった"。
そんな片鱗を感じはしたものの、その後の緩い敬礼と笑み。
思わずと、こちらも僅かにその怖い顔が緩んだようだった。
篭を持っていては返せない。なのでちょっとだけ背筋を伸ばして、真っ直ぐな視線で返すこととした。
「えェ。……ありがとうございやス」
何卒。と、会釈をすると共に、買い物を終えて帰る背中を見送る。
――後輩、自分からして、年下のその少女。
とても、そうと思えない程、なんというか。
「……"据わってた"、な」
自分からして、こうも周りが立派では、逆に自分の気が弛んでるようにも思えた。
軽く自分の頬を手で張ると、己もまた買い物の続きに勤しむ。
南瓜の煮つけ以外、さて、どうしたものかと。
――気がつけば、今度は自分が暫く、献立に悩み、店前で立ち尽くす側となっていたとか。
ご案内:「商店街」から史乃上空真咬八さんが去りました。