2020/12/19 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 商店街支店エリア/催事場エリア(1~3F)」にリタ・ラルケさんが現れました。
リタ・ラルケ >  
 今日の私は、百貨店に来ています。親友の迦具楽と一緒に、お買い物ですっ!

 曰く、プレゼントを一緒に選んでほしいそう。しかしながら悲しいことに、私自身もあまり人にプレゼントを贈った経験はありません。
 と、言うことで一緒に考えようと。そういうわけで、ここに来たのです。もちろん、一緒にお出かけできることだってすっごく嬉しいですっ!

『プレゼント選びなら、性格的には"光"が一番でしょ』ということらしく、少し前から"私"が呼ばれています。
 それから鼻歌交じりで準備を整えている間、ふと私は気づきました。
 ――これって。言っちゃえばデートみたいなものなんじゃ!?
 気づいてしまえば、突然なんだか落ち着かなくなってしまって。高揚感のまま家を出たのが――数十分ほど前のこと。集合時間よりもかなり早く着いてしまいました。はい。

 いつもの白い髪――ではなく、金色に染まった髪をくるくると弄りながら、傍から見ても落ち着かない様子で、親友が来るのを待っていました。

 ――大丈夫、かな。この姿見せるの初めてだし、気づいてくれるかな。服はいつもと一緒だけど……あ、このコートを着るのは今日が初めてだから、もしかしたら気づいてくれないかも!? もしそのまま気づいてくれなかったらどうしよう……!
 ……でも。それでも見つけてくれたら。……えへへっ。
 と。声に出してこそいないものの、心の中では既に大騒ぎの私なのです。

ご案内:「扶桑百貨店 商店街支店エリア/催事場エリア(1~3F)」に迦具楽さんが現れました。
迦具楽 >  
 迦具楽は今日、親友に協力してもらってのプレゼント選びに、百貨店までやってきていた。
 ヒトへのプレゼントを選ぶなんて経験がないものだから、ここは頼れるものは心の友という事で。
 問題は、その親友もまた、あまりそう言った交友経験は多くなさそうなところだけれど――そこは、一人より二人、と言うもの。

「――ちょっと早く来ちゃったかな」

 端末の時計を見て見れば、待ち合わせよりまだ少し早い時間。
 友人と出かけるのが楽しみだったのもあり、外の寒さから屋内に逃げたかったのもあり、ちょっと足が早まってしまったようだ。
 それでもまあ、待たせるよりはいいかと、待ち合わせ場所のあたりまでやってきた。

 クリスマスが近いからか、周囲はカップルや友達グループやら、仲のいい集団で賑わっている。
 強い感情がある人間ほど美味そうに見える迦具楽としては、食欲が刺激されてしまう環境だ。
 美味しそうな匂いがそこら中に漂っていて、お腹が減りそうだった。

 そこにふと、覚えのある甘い匂いが漂ってくる。
 視線を向ければ緑のコートの金髪の少女が、そわそわとした様子で立っていた。
 見た目こそ違っているが、友人で間違いないだろう。

「――ごめーん、待たせちゃった?」

 待ち合わせより幾分早いが、どうやら友人はさらに早く着いていたらしい。
 そんな友人の元に、軽く手を振りながら歩いていく。
 甘くていい香りのする友人は、きっと食べたら美味しいんだろうなと思いながら。
 

リタ・ラルケ >  
 待たせちゃった? と視界の外から聞こえてきて。そちらに目を向けてみれば、そこには親友の姿。
 わぁ、ほんとに気づいてくれた……! と、心の中では大はしゃぎ。大げさ? いいえ、そういうものなのです。
 手を振り返して、向かってくる親友を笑いながら迎えます。

「迦具楽っ! ううん、全然待ってませんよっ! 大丈夫ですっ!」

 半分嘘で、半分本当です。待ちわびていたのは本当ですが、実際待っていた時間も楽しくて、退屈だったなんてこともなかったのです。「友達と遊びの待ち合わせ」というシチュエーションに憧れていたのもあります。
 そしてもちろん、こういうやりとりも。

「えへへ……よかった、気づいてくれて。この姿で会うのは初めてだから、もしかしたら気づいてくれないかな、なんて思っちゃって……嬉しいですっ!」

 実際、この島に来てからこの姿になることはあまりなくて。迦具楽が来るまでは不安でいっぱいでしたが――でも、こうして気づいてくれて、その不安も一気に吹き飛びました!
 笑いながら、ぱたぱたと。私からも迦具楽に歩み寄ります。

迦具楽 >  
 声を掛けると、親友の表情が一気に綻んだ。
 楽しみだったのは自分だけじゃなかったとわかると、嬉しくなる。

「少しくらい見慣れなくたって、リタならすぐにわかるよ。
 金髪も結構似合うね、可愛いよー」

 と、歩み寄ってくる友人に笑いかける。
 明るい髪色が落ち着いた深い色のコートと、綺麗なコントラストになっていて、とても華やいで見える。
 いつもより色の薄い瞳も、透明感があって素敵だった。

「んー、今日は何タイプなのかなぁ」

 そんな瞳をじっと見ながら、何の精霊を宿してるのか考える。
 髪色、瞳の色から季節柄、雪のような印象もあるけれど、それは普段の友人の方がそれらしい。
 今日は明るい色と透明感に、少しの儚さがあって、普段より一回り華やかな印象。
 属性と言えば四元素、後はそれっぽいものというと聖邪、陰陽――。

「あ、わかった。
 今日のリタは光タイプじゃない?」

 どう、あってる? なんて答え合わせをするように聞いてみたり。
 ここで実は五行対応でした、なんてなると悔しいところだが。
 これまでの友人を見る限りは、四元素に光と闇、と言った組み合わせの方がしっくりくる。
 それなりに自信を持ったアンサーだった。
 

リタ・ラルケ >  
「えへへっ、そうですか? 迦具楽も暖かそうで、ふわふわしてて、かわいいですっ!」

 このところめっきりと寒くなってきたので、厚着をする人も増えてきました。親友もそれに違わず、特に頭周りはもこもこふわふわしていて暖かそう。身を包む黒いコートに、瞳と同じ色の赤いマフラーが、迦具楽によく似合っています。
 ……私ももうちょっと、服とかにこだわれればいいんだけどなぁ。お金にそんな余裕がないのと、何より元々の私がそんなに服に頓着しないからなぁ。むぅ。

「わぁ……凄いですっ! 大正解っ!」

 何タイプか、という迦具楽の予想はずばり当たっていて。見た目と性格から比較的連想しやすいとはいえ、一発で当てられたことはなんだか嬉しい。
 私のこと、すっごく分かってくれるんだなぁ、なんて。さっきから高揚が納まらなくって、

「あぁっ、えっと……そうだ、プレゼント選びっ。今日は、どこに行きましょうかっ?」

 でも、ちょっとブレーキ。お喋りするのも楽しいですが、私たちには目的があるのですから。

迦具楽 >  
「お、ほんと?
 あんまり服とか気にしないから、褒められると不思議な感じだね」

 一応、雑誌を眺めてそれっぽい服装を真似してるのだが。
 秋ごろまでのTシャツ姿を見れば、迦具楽自身のセンスはとても残念だ。
 それでも、素材がいいのだから、友人はもっと色々着てみてもいいと思うが。

「ふふん、やったね!
 正解の賞品はなにかなー?」

 予想が当たっていた事は素直に嬉しい。
 そして、当てた事で喜んでもらえたようだから、なおさら嬉しかった。

「っと、そうそう、どうしよっか?
 クリスマスプレゼントってなにがいいんだろ」

 誰かにプレゼントを選ぶ事なんて、ほとんど経験がない。
 ましてや、迦具楽がプレゼントを渡したい相手は、なにを贈っても喜ぶだろう事がわかるだけに余計に悩ましい。

「リタはなにか、アイデアない?」

 思いつかなかったら素直に聞く。
 一人より二人。
 お互いちょっと疎い部分はあるようだが、二人いれば何とかなるはずだ、多分。
 

リタ・ラルケ >  
「正解商品っ。えっと、えっと……また後で考えさせてくださいっ!」

 急に言われたものですから、思わず慌てて。迦具楽が喜んでくれるもの……なんでしょう?

「クリスマス……くりすます?」

 一応、言葉だけは聞いたことはあります。し、実際百貨店の中は"それ"らしい華やかな装いがなされているので、以前のハロウィンのような、賑やかな催し事であることも想像はつきます。
 だけれど実際に見たことはなくて。私は風の噂で流れてくる断片的な情報しか知りません。
 さらに言えばクリスマスプレゼント、ということは。プレゼントを贈るお祭りのようなものでしょうか? そのプレゼント……難しくなってきました。

「んー……難しいですね……贈る相手が誰なのか、どういうものが好きなのかにもよりますし……」

 それに何ていったって、私自身誰か他人にプレゼントをしたこともないので、どういうものがいいのかピンときません。自分が貰って嬉しいものはあるんですが、それが果たして他人も同じように喜んでくれるのかはまた別の話で。

「そうですっ。その、贈る人って、誰なんですか? 以前言っていた恋人さん――じゃ、なかったんでしたっけ。えっと、その方ですかっ?」

 とにかく、贈る相手の情報を知らないとどうしようもありません。何よりいいプレゼントを選ぶためにも。

迦具楽 >  
「お、じゃあ楽しみにしちゃおうかな」

 また後で、と言われればついつい期待してしまう物。
 友人がどんな賞品をくれるのかと思いつつ、しかし。
 クリスマスという言葉に疑問符が付くところで、どうやら友人には馴染みが無いものらしいと分かった。

「もしかして、クリスマスってしらない?
 簡単に言うと、もともとは宗教行事だったのが、世界的なイベントになっちゃった感じ。
 親しいヒトと一緒に過ごしたり、プレゼントをしたり、そんな日だよ」

 そう簡単にクリスマスを説明しつつ、そうだよなあ、と首を傾げた。
 そう、友人の言う通り、相手の好みによってプレゼントは変わるもので。
 しかし困ったことに、迦具楽がプレゼントしたい相手はなんでも喜んでしまう。

「ん、そうそう、恋人――になってあげられたらいいんだけどね。
 私みたいなちゃらんぽらんじゃ、なんか申し訳ないっていうか」

 あはは、と困った顔で頭を掻いて。

「まあ、一応本人には聞いたんだけどね、なにが欲しいかって。
 そしたらさぁ――」

 と、ちょっとだけ、『これ言っていいのかなあ?』と考える間を挟みつつも。
 まあいいか、とにやけながら。

「――『あなたが欲しい』ってさ。
 びっくりだよねー、すごい大胆な事言われちゃった」

 それを二つ返事でOKした自分もまあ、大概なのかもしれないが。
 自分もまた、相手を好いているのは違いないので、それも必然と言えば必然だった。
 

リタ・ラルケ >  
「へぇ、そうなんですか? クリスマス……うん、楽しそうですっ! 親しい人と一緒に過ごして……♪」

 聞く限りだと、とっても楽しそうです。以前のハロウィンみたいに、また迦具楽と一緒にどこか遊びに行けたら楽しいだろうなぁ。
 ……ところで、流れてくる風の噂の中に、その、呪詛というか、恨みつらみというか。そのようなものも混じっていたように思えたのですが。
 いえ、きっと事情があるんです。深く考えないようにしましょう。うん。

「そ、そんなっ! ちゃらんぽらんなんて、そんなことないですっ! 迦具楽はとっても素敵な人ですよっ!」

 迦具楽は、変に自己評価が低いところがあります。頑張り屋だし、私のような人にも明るく接して引っ張ってくれたりもしますし。
 何より、前のレストランでの相談事もそうですが、今こうして、好きな人に喜んでもらいたいがためにプレゼントを選ぼうとしているのです。もし本当にちゃらんぽらんな人だったら、そんなことも考えないでしょう。
 もっと自信をもってもいいのにっ。迦具楽は、迦具楽が思うよりもずっと素敵なひとですっ!

「ほっ、ほわぁぁぁっ……オトナだぁぁぁっ……」

 想像だにしていなかったやりとりに、思わず顔を赤くして、口元を押さえて。
 まさかまさかっ、そんな話をしてたなんて……!

迦具楽 >  
 クリスマス、それは一緒に過ごせる親しいヒト、親友と呼べるヒトや恋人がいる人間には楽しいイベント、だが。
 一部のそういう人間に嫉妬したり、独り身だったりする人間には、そのイルミネーションが毒になったりもするのだ。
 なお、この時期の男子寮は若干殺気立っているという噂もあったりなかったり。

「ええ、そうかな。
 んふふ、そうはっきり言われると照れるなあ」

 自分が素敵なヒトかどうかは、まあ置いておいて。
 親友にそれだけ付き合う甲斐のある相手と思ってもらえてるのは嬉しいもので。
 もちろん、それを言うならこの友人こそ、素敵な少女なのだが。
 学園の男子連中には見る目がないのだろうか。

「だから、まあ、『プレゼントはわ・た・し』なんて。
 なにしちゃうかわかんない、なんて言ってたし、なにされちゃうんだろうなぁ」

 ちょっとデレっとした顔でそんな事を言ってから。
 こほん、と咳払い。

「そんなだけどさ、それ以外にもなにかちゃんとプレゼントはしたいんだ。
 でも、私からのプレゼントなら、なんだって喜んでくれちゃいそうで。
 なにを選んだらいいか、いまいち思いつかないんだよねー」

 だから、友人と一緒にあれこれ見て回れれば、アイデアの一つも浮かぶかと思ったのだが。
 周りの店舗群を見れば、どこもクリスマスセールで大賑わい。
 これだけ情報量が多いと、あれこれ目移りしてしまいそうだ。

「そうだ。
 それこそ、リタはどうなの?」

 そう言えば自分の事ばっかりになってしまっていたが、友人の事も気になる。

「私もいきたいって言ってたし、誰かプレゼントしたい人とかいるの?
 もしかして、あれから彼氏とかできちゃった?
 まあー、リタだったら彼氏の一人や二人出来てもおかしくないもんなー」

 そう言いながら、右手を差し出す。
 さすがにこの賑わいとなると、店を見て回るにしてもうっかりはぐれてしまいそうだ。
 そうならないように、手を繋いでおこうと思ったのだ。
 

リタ・ラルケ >  
「うーん……どうしましょうか……?」

 話は振り出しに戻ります。結局、私がその人のことを知らないというのが一つの枷になっているような気がしてなりません。
 なんでも喜んでくれる、とはいえど。それでもその中で一番というものを選びたいもの。気持ちはよくわかります。やっぱり好きな人には、目一杯喜んでほしいものです。

「ああっ、いえ! あのっ、そんなに深いことじゃなくって。私と仲良くしてくれている人たちに、私からもなにかありがとうっていう気持ちを残したくって。言葉で言うのもいいですけど、やっぱり何か形にしたいなっていうのがあってっ」

 差し出された手を取って、はぐれないように手を繋ぎながら。やっぱり件の「クリスマス」という時期もあってか、人はかなり多いです。
 私も行きたい、というのは、友達と一緒にお出かけしたい――というのもあるはあるのですが、やっぱりそういう思いが一番強かったからでしょうか。
 思えばここに来てから、たくさんの人に会いました。お話して、仲良くなって、私という存在を受け入れてくれる人もたくさんいました。
 だからこそ、私と仲良くしてくれて、出会ってくれてありがとうって。何か形に残るものを渡したいのです。
 きっと、それは"私"だけじゃなくって。元々の"自分"だって、少なからずそう思っているはずです。だからこそ「私も行きたい」と行ったのですから。

 ……彼氏も、欲しい、ですけどっ! でも何より服みたいに、元々の私が全然そんな気にもならないからぁっ!
 やり場のない怒りにも似た思いを、誰にともなく心で吐き出します。

迦具楽 >  
「なーんだ、そう言う事か。
 ちょっと期待しちゃったのになー。
 まあ、リタってそういうの積極的じゃないもんね、仕方ないかぁ」

 『もったいないなあ』とまた零しつつ。
 繋いだ手はしっかりと握って。

「それじゃ、とりあえず見て回ってみよっか。
 お店を見たら何か、ピンとくるものあるかもしれないし。
 あ、どこか見ておきたいお店とかある?」

 そう言いながら、そっと手を引いて歩き出す。
 周囲はどこもセール中と言った様子だが、さて、なにか友人の目に留まるものはあるだろうか。
 

リタ・ラルケ >  
「そう、なんですよね……」

 はあ、とため息。そりゃあ、恋人という存在に憧れを持ったことはありますけど、それは"私"の気持ちです。リタという人間の核をなす存在が、まあそういったことにまるで興味がないものですから、"私"はどうしようもなくて。やきもきするというか。自分のことなんですけど。

「そうですね、考えてもわからないなら、とにかく見て回るのも手、かな……?」

 ぎゅっと、繋いだ手を握って。わからないことをあれこれ悩むより、実際に何かものを見るといった方が考えやすそうです。
 そう思い、二人で歩きながら周りを見渡すのですが。さて周りはどれもやはりクリスマスを打ち出して魅力的なものを売りに出してます。目移りしちゃって、なかなか決めきれませんが、

「行きたい場所……あ、そうだっ。雑貨屋さんにっ。部屋に置けるかわいい小物とか、見てみたいですっ」

 たとえば部屋に飾っておけるものなら、ふとした時に見て思い出になったりしそうですし。普段使ってもらえるものなら、それはそれで嬉しいですしっ。
 うん、考えやすそうっ!

迦具楽 >  
「小物かー。
 となると、例えばああいうのとか?」

 歩きながら見渡して、人の出入りが多いお店を見つける。
 クリスマスらしい紅白衣装でサンタ帽のマスコットが置かれた店先は、可愛らしいファンシーグッズの雑貨店。

「向こうにもあるけど――ちょっと地味な感じだね」

 クリスマスに乗っかっていない様子の、イルミネーションのない雑貨店。
 特別感が少ないからか、客入りはいまいちな様子だ。

 どちらの店も、百貨店に入っているだけあって品揃えは十分そうだ。
 

リタ・ラルケ >  
「わぁっ、かわいい……」

 迦具楽が差した方には、ファンシーな小物を売る雑貨屋さん。女の子受けしそうで、派手なためかお客さんも多いみたいです。
 そしてもう一つの方は、クリスマス気分のお店が立ち並ぶ中で、我関せずといったように普段通りの顔を見せる雑貨屋さん。
 わかりやすくかわいいものは前者ですが、普段使いするなら特別なものよりは生活に馴染むようなもの、つまり後者の方が探しやすいかもしれません。

「急いでるわけでもありませんから、両方のお店を回ってみませんか? 色々見てみれば、やっぱり考えやすいと思うのでっ!」

 そう提案します。やっぱり選ぶからには、できるだけいいものを選びたいですしっ!

迦具楽 >  
「どう、ああいうの好き?」

 ファンシーグッズの方を指しながら聞いて。
 両方見て見ようとなれば、是非もない。
 今はまだ情報は多ければ多いほどよい段階なのだ。

「じゃあ、さきにこっちからかなー」

 ヒトの流れに乗って、友人の手を離さないように歩いていくと、ピンクや紅白の色合いに出迎えられる。
 店頭に佇む大きなクマのマスコットには、サンタ服と帽子が着せられていた。

「おお、すごい女の子パワーを感じるお店だ。
 なんだかキラキラしてるなあ」

 店に入ると、客のほとんどが女子だ。
 華やかな色合いに交じって、入ってすぐ年賀状やポチ袋も置いてあるのは、年末だから仕方ないところだろうか。
 店内の通路は客が多く、動きづらそうだが、じっくりと商品を眺める分には困らないだろう。

「どうする?
 どんなのから見て見ようかー」

 小物と言っても色んな種類がある。
 それこそ、文具やちょっとした食器類も小物と言えるだろう。
 雑貨という名の通り、ちょっと可愛らしすぎるくらいのデザインをされた商品が、多数並んでいた。
 

リタ・ラルケ >  
「好きですっ! かわいくて……わぁ……」

 店の外からも見える女の子らしくかわいらしいものに、ついうっとり。
 その愛らしさでお客さんを呼び込んでいるおっきなクマさんも、真っ赤な服装に身を包んで、それがまたかわいくて。やっぱりこういうものには、惹きつけられちゃいますっ。
 そういえば、同じ格好をしている人やマスコットをたくさん見ました。これもクリスマスに関係があるものなんでしょうか?

 さて、迦具楽に手を引かれてお店の中へ。お店にはたくさんの人がいて、気を抜くとはぐれてしまいそう。握る手の力を少し強めます。
 そうして入ったお店の中は、やっぱり女の子らしいかわいい小物類がたくさんあります。右を見ても左を見てもかわいらしいものばかりで、ついつい目移りしてしまうものばかり。

「そうですね……」

 どんなものが良いか、というのは中々難しく。やはりこういうところで経験がないというのもまた悩ませる原因となり。
 それでもいろいろと考えてみれば、まず一つの案が。

「あっちの方、アクセサリー! ヘアピンとか、シュシュとか。髪飾りとかなら可愛くて、身に着けやすいですしっ! どうでしょうかっ?」

 お店の雰囲気も、可愛いものがたくさん置いてあって探しやすそうですし。なかなか自分にしては悪くないんじゃないかと思いました。

迦具楽 >  
 友人の視線を追ってみれば、見るからに女の子らしいデザインを行ったり来たり。
 今日の友人はいつにもまして女の子しているようだ。
 それはきっと、普段の彼女にも潜在的にそう言う一面がある、という事なのかもしれないけれど。

「あれはね、サンタクロースって言って、クリスマスに子供たちにプレゼントをしてくれるおじいさんの衣装だね。
 リタも、いい子にしてたらサンタさんからプレゼントがあるかもよ?」

 その視線が赤い衣装を追いかけていれば、そんなふうに話をして。
 はぐれない様に店の中をゆっくり見ていけば、友人が示した方に向かってみる。
 そこはちょっとした装飾品類が置かれた棚で、確かに女の子同士のプレゼントにはよさそうだ。

「おー、確かにいいかも――って、私、相手の性別話したっけ?」

 なんだかごく自然に女の子へのプレゼントという話で進んでいる。
 いや、確かに可愛い子ではあるし、人格的には女性なので間違ってはいないのだが。

 棚から少し大きめの、ツリーの飾りがついたヘアピンを手に取ってみる。
 たしかにこういうアクセサリーを身に着けている様子は見た事が無い。
 そう言う姿を見て見たい気持ちもあるが――と、そこで友人の方をじっと眺めてみた。
 

リタ・ラルケ >  
「サンタクロースっ! そんなおじいさんがっ……!」

 クリスマスに、子供たちにプレゼントを配るおじいさん。なんという人なのでしょう。そんな人がいるなんて……!
 ……だけど、いい子にしてたら、ですか。あまり『いい子』とは言えない過去を持っているので、そう考えている時だけは、一瞬顔を強張らせます。

 どういうものがいいかな、とアクセサリーを見ていると、つと迦具楽から驚いたような声が聞こえました。
 ……確かに、つい自然に女の子に向けてのプレゼントを選ぼうとしていました。だけどこれは別に、何も考えていないというわけではなくて。

「その、なんとなくそうなんじゃないかな、って。『いい子』とか『可愛い』っていう言葉はあまり男の人には使わない気がしますし、何より、前にファミレスでその人のことを話してくれた時、『"正妻"は譲らない』って言っていたので」

 それは、先日のファミレスで言われたこと。あの時は気づいてはいませんでしたが、あとになって考えてみれば、そういうことなんじゃないかと。そう思っていたのです。
 言葉の綾だとか言い回しの癖、といったような可能性はもちろんあったのですが、むしろ迦具楽の恋人は女の人である、としたほうが自分の中ですっきりしたのでした。
 ――同性愛について、どうこう言うつもりはありません。月並みな言葉ですが、愛の形は人それぞれ、ですしねっ。

「私の推理……というより、勝手な予想なんですけどね」

 ……と、そんな持論を展開してみても、結局は「そういうことなんじゃないか」という予想に過ぎませんけど。
 それにいずれにせよ、女の子向けのアクセサリーというのは、色々と気になるものもあるので。

迦具楽 >  
「ああ、そっか、確かにそれらしい事言ったもんなぁ」

 説明されてみればなるほど、と思えるほど自分からヒントが漏れていたようだ。
 隠すつもりがあったわけでもないから、それだけ緩くなっていたんだろう。
 もちろん、友人の前だから色々話してしまう、というのもあるけれど。

「んー、人格的には女の子、肉体的にも――まあ女性かな。
 所謂、両性持ちってやつ。
 でも基本的に女の子扱いで問題ないから、リタの推理は大正解!」

 そう笑ってから、徐に友人の前髪に触れて、そっとかき分ける。
 そのかき分けた髪に、手に取っていたヘアピンを挿す。

「はい、正解の賞品です。
 ――うん、この方が顔がよく見えるね。
 可愛いよ、リタ」

 と、友人の髪を弄って、ウィンクを一つ。
 明るく淡い色の髪に、ツリーの緑がアクセントになり、似合って見える。
 やっぱり可愛いアクセサリーは、この友人にこそ似合いそうだ。