2021/02/13 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 地下食品市場(B1・2)」に玖美・E・Aさんが現れました。
玖美・E・A > 「ふーむ……へぇ……なるほど……」

一人で売場を右往左往、行ったり来たりしてはショーケースを覗いて回る小さいシルエット。
視線の先にはこの季節がら当然、色も形も大きさも、そして値段もさまざまなチョコレートが陳列されているのだけど、

「んー、どれも美味しそう……っ」

目的は意中の相手へのプレゼントでも友人とのコミュニケーションでもなく、そのチョコレートを自ら食すことだった。
目を輝かせ、今にもよだれを垂らしそうな顔で品定めしている。

玖美・E・A > 「ここのチョコは去年食べたけど美味しかったなぁ……いろんな味があって、見た目もかわいいし……あっ、でもこっちのチョコケーキも捨てがたいー……こういうの一人で全部食べるのが夢だったんだよねー……」

一応、本人なりに周囲の迷惑にはならないようにはしているものの、一人であちらこちらに動き回っている様は非常に目立っている。

(この選択は間違えられない……今年一年のテンションに関わる……!)

いつも眠そうにしている顔も、今日ばかりは若干引き締まっている。ここまで真剣に物事を考えるのはバレンタインの他にはテストの時くらいかもしれない。

ご案内:「扶桑百貨店 地下食品市場(B1・2)」に金剛 経太郎さんが現れました。
金剛 経太郎 > 「ええと、これでよし……と。
 しかし重いな。こういう時ばかりは腕力の無さが恨めしい……」

片手にエコバッグ、もう片手にはメモ用紙。
どこからどう見ても買い物してました、といった風体の少年が一人。
慣れない百貨店という場所での買い物をどうにか済ませ、帰路にでもつこうかといったところ。

「そういやバレンタインだったか。
 んー、男子の側から贈るのも特に問題無いんだっけ……?」

改めて店内の装飾を見回し、ふとチョコ売り場の方を見れば。
以前に世話になった姿が見えて。

「あ、あれは確か……

 玖美お姉ちゃん、こんにちはー!」

名前を思い出し、声を掛けながら近づいてみる。

玖美・E・A > 「むむむ……お?」

珍しく眉間に皺を寄せて真剣に考え込んでいたのだけど、聞き覚えのある声を聞くと、ポカンと抜けた顔になって、

「えと……経太郎くん!こんにちは、えへへ、奇遇だねぇ」

二秒ほど使って彼の名前を思い出すと、いつも通り力の抜けた笑顔になった。

金剛 経太郎 > 「覚えててくれたんだねっ。
 へへ、お姉ちゃんもお買い物?」

玖美のそばまで来ると足を止め、にぱ、と笑顔を向ける。
名前を思い出すようなそぶりが見えたが、お互い様なので言及はしない。

「お菓子……見てたの?」

玖美が見ていたであろうショーケースを覗き見つつ。
様々なチョコレートが並んでいるが、どれも何だかお高そうに見えた。

玖美・E・A > 「もちろん!友達だもんね、えへへ」

人の名前を思い出すのに時間がかかるのはいつものこと。すぐに思い出せた分自分としてはよく覚えていた方だとすら思っていた。

「うん、バレンタインといえばチョコでしょ?今年はどれを食べようか迷ってたんだよね……」

再びチョコレートの方へ視線を移す。そこに並ぶチョコの数々は宝石箱のようで、見れば見るほどどれも捨てがたいような気がしてきていた。

金剛 経太郎 > 「なんだかちょっと嬉しいかも。」

まあ、経太郎、という少々古風な名前がたまたま頭の片隅にあったのかも、と自嘲気味に思いつつ。
それでも嬉しいのは本心からで、少しだけ耳が赤くなる。

「えーと……お姉ちゃんが食べるの?
 誰かにあげる……とかじゃなくって?」

チョコレートと玖美の横顔を交互に見る。
てっきり贈答用の品定めをしてるのかと思えば、どうやらだいぶ違うらしい。

玖美・E・A > 「えへへ……え?」

誰かにあげる、と言われて、一瞬ポカンとした。どういう意味なのか、と考えてようやくバレンタインは人にチョコレートをプレゼントする日だということを思い出し、

「……その発想はなかった……」

愕然とした顔で呟いた。普通は自分のためには買わないのか、という表情。

金剛 経太郎 > 「そ、そうだったんだ……」

発想も無かったならしょうがない。
どこか抜けた雰囲気のする少女だとは思っていたけれど、思ってた以上に抜けているのかも。
そんな風に玖美に対する印象を更新していく経太郎。

「まあ、食べたくなっちゃう気持ちも分からなくもないけど。
 友達同士で交換したりもするみたいだから、お姉ちゃんも誰かと交換とかしてみたら?」

少しだけ同情の念が湧き、そっと提案してみる。

玖美・E・A > 「そ、そうだね、それなら自分で選ぶのとは全然違った発想があるかもしれないし……」

ちょっとしたカルチャーショックを受けながら、しかしひとつの活路(?)が見えた。それはなにかというと、

「……そうだ!経太郎くん、ひとつ食べたいチョコを選んでくれない?私もひとつえらぶから、二人で分けっこして食べようよ」

ナイスアイデア!と手を叩いた。それなら二人で美味しく食べられる。それに、選ぶ踏ん切りもつきやすくやるかもしれない。なにより、食べ物はみんなで食べるとよりおいしくなる。いいことづくめだ。

金剛 経太郎 > 「え、僕が?」

選ぶの?と首を傾げながらショーケースを見る。
どれも食べたことの無いようなものばかりだが、そもそもチョコレート自体をあまり食べたことは無い。
見た目から味を想像するのも難しく、であれば適当に選んでしまうしかない、が。

「ええと、じゃあ玖美お姉ちゃんのオススメは?」

分け合って食べるつもりならば出来るだけ玖美が食べたい物を選ぶ方が無難だろう。
候補が複数あるなら、その内のどれかを選べば後腐れも無いだろうし、と。