2021/10/09 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 展望温泉「少名の湯」(13F)」にレナードさんが現れました。
レナード > 「……はぁ………」

自分以外に誰もいない、混浴の湯舟を使う少年が一人。
男湯は人がいる可能性があると、敢えてここを選んだのが功を奏していた。
持ち前の眼を使って、できる限り他人との接触を避けながら、
少年は久方ぶりの文明に、全身の力を抜いて委ねている。

「……生き返るしー………
 逃げてばっかも息が詰まるしー………
 なんとかしなきゃって思うけどぉ……
 今はなーんにも考えず……のんびりしてたいしー……」

もちろん、湯舟に浸かる前に身体を念入りに洗っていて。
…ついでにコインランドリーで、今まで世話になった衣服をまとめて洗浄乾燥中。
それが終わるまでは例え嫌になってもここにいる必要があるわけで。
といっても、混浴だから誰も来ないだろう…と踏んではいるが、
混浴は規則上全裸ではいられないので、レンタルした湯浴み着を着用していた。

「……一人っきりでおっきな湯舟を使うのも、悪い気しないしー……」

レナード > 「……………。」

そう、今は自分以外誰もいないのだ。
耳を澄ましても、男湯や女湯から人の声はここまで届いてこない。
しっかりと防音が聞いているのか、はたまた他に使ってる人がいないのか。

「…………丁度いい機会だし。
 ちょっとやってみたかったんだよね。
 ……はぁー……っ―――」

湯舟に肩まで浸かっていた姿勢のまま、とぷん…と頭までしっかりと湯に沈む。
そのまま湯舟を使って蹴伸びをし、大きな湯舟の中心まで進んでいく。


「―――ぷぁっ…ふ………
 あー……きもちい。やっぱこういうのは温水に限るし。」

頭をぷるぷると左右に振り乱して、飛沫を辺りに飛ばしながら。
そのまま仰向けになるように、体を浮力へゆだねて天井を仰ぐ。
…そもそもマナー違反なのは重々承知。
しかし、誰もいない環境と、誰も聞いてないだろうという慢心が、
彼を風呂での水泳という行為へと走らせている。

ご案内:「扶桑百貨店 展望温泉「少名の湯」(13F)」に月玲さんが現れました。
月玲 > 「~~♪」

鼻歌交じりに下着を脱いで、水着を着て、てこてこと風呂場へ歩いていく。
別に寮のお風呂でもよかったのだが、たまにはこうやって違うオフトに入りに来るのもいいだろうと思い、ここまで足を延ばしたわけで。

「おっふろー!」

ばん、と勢いよく扉を開けた。
どうせ誰もいないだろの心構え。

レナード > 「……………。」

一度してしまうと、どこまで許されるのか気にはなってしまうもの。
少年も、先ほどは蹴伸びだけで済ませたが、次はバタ足も使ってみたいと思い始めた。

「……それなら、それでっと……」

平泳ぎの要領で、ゆっくり湯舟のふちに戻っていくと、
再び頭までしっかりと湯の中に沈めて……
めっちゃばしゃばしゃ泳いでるところに、彼女がきた。
扉が開いたところに、息継ぎで顔を上げた際にたまたま見えてしまい…


「―――きゃあああああ!?」

きゃーじゃないが。ひとまず浴場で水泳はキャンセルになった。
つい女の子みたいな声を出しながら、思わぬ入浴客に驚きを隠せない。
いや血を吸われるくらいの知り合いだけれども、ここで会うとは思っていなかったのだ。

月玲 > 「きゃー?」

盛大に叫ぶ先客に首をかしげる。

「あれ、ここ男湯だったっけ?」

間違えて入ってしまったから叫ばれてたかと、脱衣所を見てみるけどわからない。

レナード > 「あ、違うし。ここ、混浴。
 まさか誰か来るなんて思ってなかったから、びっくりしたわけ。
 ちなみに、僕の服は今ランドリーでぜーんぶまとめて洗濯中。
 取りに行く様に、替えの湯浴み着だけしか籠に入ってないハズだし。」

こちらは湯浴み着、片や水着。
露出度に差こそあるけれど、ひとまず状況は説明する。

「……誰も来ないだろうと思ってたんだけど、
 案外そうでもなかったみたいだし………」

そこそこ長い間独り占めはしてたので、文句は言えないかなと思いつつ、
今度は静かにゆっくりと、湯舟のふちに戻っていく。

「……ともかく。久しぶりだし?
 ほんとにこんなとこで会うと思ってなかったし。」

月玲 > 「あ、混浴だよね。よかったー」

流石にそこを間違えてたら出ていかなければならないので面倒くさいのだ。
問題がないのであれば、そのままシャワーを浴びにてっこてこ。

「久しぶり、そういえば最近会わなかったよね。
えーと……リザードだっけ?」

トカゲ人間扱い。

レナード > 「ちげーし!!トカゲじゃなくて蛇だし。
 いや蛇だけど人間だし。僕はリザードじゃなくてレナードだし。」

名前をちゃんと覚えられてなかった。
まあ無理もないと思いつつも、ムキになって訂正するけれど。

「…そういうおめーはシャオリンだし。僕はちゃーんと覚えてるし。
 おめーも、ここは人がいないと思って入りにきたわけ…?」

湯舟のふちに後頭部を委ねつつ、シャワーの方へと向かうような足音を聞きながら、自分と同じ発想で来たのかと聞いてみる。
もし同じような考えをする人が大勢いたら、なんとかしなければならない。
…混浴を使わないということにはならないので、なんとかしなければならないと思っていた。
それまでに、風呂という文明は魅力的だったのだから。

月玲 > 「ごめんーレナードだった、ウケるウケる」

あはは、と笑いながらシャワーを浴びる。
韻は似てたのでセーフと思いたいけど。

「んー、私は女湯が多かったからこっちにきただけー。
寮のお風呂でもよかったけど、どうせ入るなら大きいお風呂がいいじゃん?」

長い髪にシャワーをかけて、目を閉じながら答える。
女湯でもよかったのだけれど、ちょっと人が多かったので。
逆に混浴はこの通りガランだったゆえに。

レナード > 「……ふーん……?
 男湯に今どれくらい来てるか僕も知らないんだけど…
 そっか、女湯は多かったんだ……」

レナードは聞きつつ頷いていた。
例外が彼女なくらいで、やはり発想として間違ってはいないと思えたのだから。
男湯にどれだけ人がいるのか知らないが、女湯には多かったと聞くに男湯もそうだろう。
そして、誰もが同じように遠慮するもの…そう踏まえてきたのは間違いじゃなかった。

「ま、僕と同じ発想に至れたところは凄いとほめてやるし。
 実際僕だって、入ってきてからおめーが来るまでの暫くの間、
 このひっろい浴場を独り占めできたわけだし。
 大衆は混浴なんか遠慮して入ってこないと思う心理の裏をかく……
 なかなかできねーことだし。くふふん。」

ちょっと自慢気に、自分の発想を語った。聞かれてもないのに。

月玲 > 「多かったよー、最近寒い時があるから増えてるのかな?」

シャワーを止めて、濡れた髪を毛先で束ねる。
ぷるぷると顔を振って水を飛ばせば、体が冷める前に湯船へ急ぐ。

「えー、レナードはあれじゃないの?
えっちな目的で混浴来たんじゃないの?」

男の子だもんねー、と笑いながら足をゆっくりと湯船にいれていく。

レナード > 「ぶふーっ」

なんか思わぬベクトルからジャブが飛んできた。
こいつ自分の話聞いてなかったな?と思いながらも、
自分の頬をぱしぱし、意識をそっちにもっていってはいけないと。

「ち、ちっげーし!!
 単純に人がたくさん使うところはやだったの!!
 今は寮にも帰れねーけど、お風呂に入りたくってこうしたわけ!
 …ほかに寂れた銭湯があればいいんだけど、僕そんなのしらねーし。」

はふー、と一つ息を吐く。勢いで喋ると雰囲気にのまれそうだった。

「ワケありで、ひっさびさのお風呂に入りたかったわけ。
 そんでもって、人目は避けたかったわけ。
 僕の眼は透視できるから、人のいないところを縫ってここまでくることはできても、
 流石に風呂の中はどうしようもねーわけ。
 透明にはなれねーから、人がいない混浴を使う発想に至ったわけ。」

案外饒舌に口が回っている。
人と話すのがもしかしたら久々で、その分だけ言葉がでてきてしまうのかもしれない。

月玲 > ふんふん、とききながらゆっくりと肩までお湯につかる。
ピンクの髪がお湯に浮かんでちょっとだけ広がり、お湯がピンクになってしまったかのように見せる。

「レナード、なんか悪い事でもやったの?
だめだよー、ちゃんとごめんなさいはしないと。
逃げててもいつか捕まっちゃうんだし」

お湯をちゃぷちゃぷ揺らしながら、指を立ててふりふり。

レナード > 「……悪いことはー……
 まあ、悪いこと……なのかな。
 色んな人、僕の都合で振り回したし。」

逃げててもいつかつかまっちゃう。
その言葉が、ずしりと重く感じられる。
肩まで沈んでいたのに、今は口元まで湯に浸かっていた。

「……当時、ごめんなさいは、言ったんだけどね。
 今は事情が変わったみたい。
 おかげで僕は追われる身、正直人と会うのも疑心暗鬼だし。」

指を立ててふりふりする様を、横目でぼんやりとみていた。

「……………。
 だから、誰かとこうして喋るのも、きっとかなり久々だし。
 そういう意味じゃ、シャオリンがここに来てくれて、よかったとは………思うし。」

ぶくぶくぶく………
最後の言葉は、唇まで浸かった湯の中の泡と化した。

月玲 > 悪いことを言ってしまっただろうか。
振っていた指を止め、ぶくぶくと泡立つお湯と沈む彼をじっと見

「てぃっ」

急に、彼の頭を上から抑える。
おらっ、沈め!の勢い。

レナード > 「ふぎゅぇっ!?」

口元まで浸かっていたら、頭の先までしっかり沈められた。
これは自分の意思じゃない。

「んぐぐんむううううっっ」

ぱたぱた、手足が湯から出たり入ったり、湯面を叩いたり。
慌てていたためか、頭を押さえる手を捉えるのに少し猶予があった。
それをつかむなり、一気に浮上して…

「―――っぷぁ……!
 はー…っ、はぁー………
 し、死ぬかと思ったじゃん…!!
 僕エラ呼吸じゃねーし!!普通に死ねるしー!!」

真っ先に、抗議の声がきゃんきゃんと。
それはもう小動物の様にわめくわめく。

月玲 > 「あはは、ウケるウケる。まだまだ元気だねー」

必死の抗議も、小さく手を叩いて笑う。
怒った彼の顔も、自分にとっては笑いの種にしてしまい。

「レナード、こっちこっち。
ここ座ってー」

お風呂から上がり、体洗い場の椅子とシャンプー、トリートメント、コンディショナーを湯船近くまで持ってくると、椅子を叩いてこちらに来るように促す。

レナード > 「むっぐぐぐぐ………」

ぷるぷる震えてる。
実際気分が沈みそうになって、
言いたくもない弱音を吐きそうになっていたのは、事実だから。
それを強引に潰したことを、察したのか否か、
それ以上彼女の行為を非難しなかった。

「………なんだし。」

なにやら湯舟の傍に頭を洗う用の備品を持ってくるのを見つつ、
声をかけられると、ぶっきらぼうに答えながらも湯舟から上がってきた。
水分をたっぷり吸った湯浴み着から、湯が大量に滴り落ちて。

「……ここに座ればいいわけ?」

指示されるままに、湯舟傍に置かれた椅子に座り込んだ。

月玲 > シャンプー液を手に出し、頭を揉むようにしながら、手に広げて彼の髪につけていく。

「久々のお風呂っていってたから、こーやってマッサージしたら気持ちい―かなって思って」

細い指に力を籠め、必死に頭を揉むだろう。

レナード > 「んっ…………」

頭にひたっと指が触れたところで、目をつむる。
何をしようとしているのか、聞かずともわかるもので。

「………。
 久々どころか、今まで誰かにされたこと、ないし。」

わしわしと泡を立てて、くせっけのある髪を洗われる。
抵抗どころか、主だった反応もないように見えるが、

「……ほかの人はどうか知らねーけど、
 僕はこれ、気持ちいいって思うし。」

そういう言葉は、ちゃんと口にした。

月玲 > 気持ちいいといわれれば、にへへ、と笑う。

「こうやって誰かにされるの気持ちいーよね。
私は昔ママにされてたからこれ好きなんだー」

もう何年以上も昔の事ではあるけれど、気持ちよかったことは覚えている。
だから彼にもやってあげようと思い、喜んでくれたのを嬉しく思い

「……さっきはごめんね。
事情しらずに変なこといって」

そして、ちゃんと謝っておく。

レナード > 「………へえ。
 いいじゃん、家族。
 僕もそういうの、されてみたかったな。」

…もう、家族の顔なんて覚えていない。
でも、彼女がそう言うのなら、目をつむりながらも掠れた思い出に僅か想いを馳せてみる。

「………いいし。
 おめーが…いや、シャオリンが謝ること、ないし。」

そして、気にしていたのかと、少し肩を落とした。
…そんな気持ちで、喋ってしまったつもりもなかった。

「……僕もさ。
 自分のことを知る誰かと会うの、久々だから。
 聞いてほしかった、だけかもしれない。
 こうしてお話、したかっただけかも……しれないし。」