2021/10/10 のログ
月玲 > 「レナードの家族はもういないの?」

元からいないのか、もういないのかはわからないけれど。
そして、暗い話題かもしれないけれど、それを聞かないことはしない。
ただできるだけ、いつも通りに振る舞うだけで。

「またお話したくなったら、会いに来ていいよ?
私もお話楽しいし」

『普段は学校とか公園とかにいるかなー。』
『いなかったら寮かもしれないけど。』
『女子寮だからロビーから呼んでくれれば会えるよー』
そんなことをいいつつ、マッサージを終えるとお湯を掬って髪を洗い流すだろう。

レナード > 「…もういないし。
 僕、これでも今はびっくりするくらいの長生きだから。
 親二人は、普通に寿命を全うしたはず。」

見た目だけで相応の年齢であるとは限らない人は、ここには多い。
彼女がどうかは、知らない。だが、自分はそうだと言っておく。

「…………。
 そっか、うん。ありがと。
 寂しくなったら、探してみるし。人目を搔い潜るのは得意だから…
 まあ、遠目に見ても分からない格好してるけど……
 ちゃんと僕だって伝えるから。」

そう言い切る頃に、頭に湯がざぱーっとかかる。
ぽたぽたと前髪から滴る雫をぼんやりとみながら、ふうと息を吐いた。

「………あー、きもちよかった。」

月玲 > 「レナードも長生きなんだ?私と一緒いっしょ。
私も長生きだよー。
レナードは何歳ぐらいなの?」

自分も長生きの部類だが、まだ100はいっていない。
多分ではあるが。

「あ、あとトリートメントとコンディショナーもしないと。
髪の毛バサバサになっちゃうよ」

レナード > 「……………100は超えてる。
 そこから先は、数えてない。
 数えるだけ無駄かなって、思ったから。」

彼女がそうだと話したのなら、こちらはもう少し詳しい話をする。
なんだかんだ、そうだったんだ…と驚く気持ちはあったものの。

「でも、僕の場合は一時的な不老なわけ。
 ……子孫ができたら、あとは人並み。
 そういう血なんだし。僕の家系は……」

だから、両親は寿命を全うした。そう付け加えつつ。

「……ぁ。
 そっか、シャンプーだけじゃだめじゃん。」

そして、指摘をされて気づく。
まだ終わりじゃなかったことに。

月玲 > 「長生きさんだ!レナードすごいねー。
私はまだ100は超えてないかも?
子孫が出来たらっていうのは……んと、子供が出来たらそこから歳をとり始めるの?」

覚えているのは焼け野原なので、あれがなんとかって戦争なんだろう。
そう考えると、おそらくは100はいっていない計算になる。
子供が出来ないと永遠に歳をとり続ける、というのはなかなか、大変な能力ではあるなぁと思いつつ。

「そーそー。
だからもうちょっとだけ待ってね」

今度は手にトリートメントをつけ、彼の髪になじませ。
それが終われば洗い流して今度はコンディショナーをなじませ。

レナード > 「そう。僕、まだ身体は15歳くらいのハズだから。
 …そこから僕の時間、止まってるわけ。
 そういうシャオリンもすげーし?普通に僕より年下に見えるし。」

100は超えてない。それでも、見た目は自分よりも若い。
彼女も何かあるんだろうか、とは思うものの、
人の深いところに触れることは、相応の責任を負うもの。
…彼女が自分から話さないのなら、聞くことは失礼だと思って。

「年取りたきゃガキ作れって、とんでもねーハナシだし。
 ……それが嫌で、嫌で、僕はどうにかしたくて、旅に出たんだから。
 ここに来たのも、本当はその一環だったわけ。
 反骨精神旺盛なクソガキなわけ。今も、昔も。」

もののついでに、自分がこの常世の世界に来た経緯も、話しておく。
…この世界で色々と知ってしまって、もう折り合いはついているが、
それでもまだ、すべてを認めたわけではないと悪態をつきつつ。

「……ん。言われなくとも、だし。」

後は座ったまま、再び目をつむる。
シャンプーとは違った滑りを、しなやかな指先が走る感覚と等しく頭皮に感じながら。
後はすべて、彼女に委ねて。

月玲 > 「私は11歳で止まってる、かも?
お医者さんが言うには異能の影響で止まってるらしいんだけど
難しいからあんまりよくわかってないの」

医者が言う内容が難しいのもそうだが、異能のほうも解析が難しいために二重によくわかっていない。

「ん、レナード子供作るのはいやなんだ?」

こてん、と首をかしげる。
そこはわりかし昔の観念がちょっと強いシャオリン。

「はい、終わり~。
おっつかれさま」

最後のコンディショナーも流し、終了のお知らせ。
なお使ったのはシャオリンのものなので、ミルクの匂いが強い。

レナード > 「……へえー…?
 それは異能、なんだ。僕の異能は、実は電気を操ることだけなんだし。
 …眼と、不老は、血筋によるものだから。」

異能でそうなっている。つまり、自分の不老とはまた別なのだろう。
異能はたいてい人によって違うものだろうから、彼女の場合はアプローチが難しいのかもしれない。

「ち、……違う、けどっ。違うけどっ!!子供は作ってみたいけど!!
 けど、その、なんか……いやじゃん。
 そこまで自分の運命を、知らない誰かに決められたままなんてさ。
 自分の人生くらい、自分で切り開きたいじゃん……。」

なんか雰囲気でとんでもないこと言ってるけど、
言いたいことはそれではないので気にせずに。

「ぁ、終わり?
 …………ありがとう。気持ちよかったし。」

そういえば、嗅ぎなれないいい匂いがするな…とは思っている。
ちょっと安心するような、少し幼い感じもするような。

月玲 > 「眼と不老は異能じゃないんだ?
それは治せるか難しそう……」

最近、異能は治すとか治さないとかあったが、そういう血によるものはどうなのか。
この学園でもできるのか、あるいは、なのか。

「レナード正直~、えっちなことしてみたいって言ってる~」

やっぱりそうやって煽りつつ。

「んー……。
あ、でも確かに私がそうなったら確かに嫌かも……。
レナードみたいに探す、かなぁ?」

もはや呪いみたいなその体質だったら、自分も探していただろうか。
異能の方は、治すつもりはないけれど。

「ん、気持ちよかったならよかったー」

レナード > 「……うん。
 眼は制御できるからいいけど、不老はね……
 だから、どうにかしたくて色んな世界を見てきたわけ。」

この世界であれば、異能なら、どうにかなったのかもしれない。
でも、血として受け継がれてきたものをどうにかできるものなのか。
異能以上に、情報がなかった。

「ぅぐ。な、なんだし!!わりーかし!?
 僕だってそーいうのに興味くらいあるしーっ!!
 年は取ってるけどぜんっぜんそーいうのは現役だし!!」

ふかーっと騒いだ。図星を突かれると喚けばいいと思ってる節はある。

「…げふん。
 ……自分で考えて、自分で納得できた道なら、いいんだし。
 でも、僕の場合はそうじゃなかったから、自分の中で納得できなかった……
 まあ……、そうやってムカついたことをずっと引きずってるだけかもしれねーし。」

結局は、納得いかないことに対して駄々をこねているだけ……それに気付いていても、止まれなかっただけ。
胸につっかえて出てこなかったその言葉は、いざ口にしてみると、思った以上に軽かった。

「……シャオリンは、いいわけ?」

月玲 > 「えー?別にわるいとはいってないけどー?
レナードが勝手にいってるだけだしー?」

ケラケラ。
やっぱり煽るのは楽しい。

「んー、私は……今はいいかも。
吸血も、歳が止まっちゃってるのも異能のせいだってお医者さんは言ってるけど。
よくわかんないし、実感もないし。
あ、でも悪い事ばかりじゃないよ?
こうやっていろんな人に会えてるから!」

決して悪い事ばかりじゃない。
知らない間に環境が変わっていって、まぁいろんな人に怖がられたけど。
こうやって今は幸せなので、これはこれでいいのだ。

レナード > 「んぐぐぐぐっ……!!
 ふんっ、僕だって男なんだから…
 えっちなことくらいしたいと思うのは当たり前なだけだしっっ。」

事実しか言われてないので言い返せない。それが悔しくて悔しくて…
捨て台詞にしては最低の部類の言葉だけど、そうやって悪態をつくしかなかった。

「………まあ、そうか。
 僕ももし、もっと昔に納得出来てたら、今こうしてシャオリンと逢えてなかったし。
 皮肉なもんだし。
 ……悪いことだけじゃないっていうのも、僕も理解できちゃうから。」

そこに、異論はない。
今も自分が不老でなければ、この世界に来てなければ、彼女には逢えなかった。
…それは紛れもない事実なのだから。

「シャオリンは、強いし。ちょっと羨ましくなったし。」

月玲 > 「そーそー、私を見習って強く生きてねレナード!
……あ、もしかしてレナードお兄ちゃん、とかの方がいい?」

同じ長生き同士だもんね、と。
共通点はそこしかないのだが。

ざばぁ、と最後に自分の体におゆをかけて少し温まり

「さってとー、そろそろお風呂あがろっかなー?」

レナード > 「……別に今のままでもいいし。
 おめーにお兄ちゃんとか言われたらなんか調子狂うし。
 でも、兄妹には少しあこがれるし。」

長生き同士だから。
肉親は両親以外にいないから。
少しの憧れを残すけれど、今更そういわれるのも、
少しくすぐったい気がして。

「……今度機会があったら、僕がおめーの頭を洗ってやるし。
 僕はやられたらやり返すんだし。精々忘れんなし。
 もう洗濯に出した服も乾いてるだろうから…僕ももう出るけど、
 タイミングは……ずらした方がいいだろうし?
 おめーが先にあがるといいし。僕はもう少し待ってるし。」

月玲 > 「へぇー、調子狂うんだ。
じゃあとーぶんおにーちゃんって呼んでみよっと」

記憶では、自分は一人っ子だった。
おかげで両親は自分を甘やかしてくれたが、周りは兄妹がいて、羨ましかった。
だからちょっと、今この期間だけは勝手に呼んでみよう。

「はーい、じゃあ先にあがろっと」

てこてこと脱衣所へと歩いていき。

「あ、覗いてもいいけど見つけたら叫ぶからね、おにーちゃん」

扉を閉めつつそういうのだった。

ご案内:「扶桑百貨店 展望温泉「少名の湯」(13F)」から月玲さんが去りました。
レナード > 「む、ぐぐ。
 ……なんか弱みを握られた気分だし。」

なんか、その響きがくすぐったくて。
でも、不思議なことに、存外悪い気はしなかった。

「ぶふっ。
 だ、だぁれがおめーのカラダなんか覗くわけ?!
 ちったぁ言葉に気をつけろし!!」

…だから、この際その挑発に乗ってやろう。そう思った。
その特殊な眼を使えばできるけど、そんな無粋なことはしない。
兄として、そんなことで威厳を損なうわけにはいかなかった。
扉が閉まった音がするのを聞いてから、独り言つ。

「………妹のくせに生意気だし、ばーか。」

ご案内:「扶桑百貨店 展望温泉「少名の湯」(13F)」からレナードさんが去りました。