2022/05/09 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 地下食品市場(B1・2)」に芥子風 菖蒲さんが現れました。
ご案内:「扶桑百貨店 地下食品市場(B1・2)」に桃田舞子さんが現れました。
芥子風 菖蒲 >  
扶桑百貨店、地下食品市場。
様々な食品や店舗が並び買うちょっと閉鎖的な空間。
少年は普段こういった場所にあまり来ない。
食事事態に嗜好的興味がないからだ。
まずくなければ何でもいい。料理ができるわけじゃないし
外食で済ませたりすることばかりだ。

「…………」

でも今はちょっとだけ違ったりする。
友人を誘った昼下がり。今日は午後休。
風紀もお休み。生憎おしゃれはしていない。
いつもの黒ずくめが、携帯端末の液晶画面を見ながらぼんやりしていた。

「……レベル上がった」

待ち時間の間にソシャゲは醍醐味だね。
こう見えてちゃんと教えられたことはしっかりハマるタイプだった。

桃田舞子 >  
扶桑百貨店。あっちゃんに誘われて百貨店地下に来たわけで。
世間一般ではこれをデートと呼ぶのでは?
そう考えた途端に着ていく服に悩んだ。

気合い入れすぎてあっちゃんがふつーモードだったら非常に困る。
ふつーモードでいってがっかりされたらなお困る。

よってちょい気合入れ、なおかつ『こんなの着慣れてますよ』ノリをちょっと出してコーデ。

「なにやってるのあっちゃん」

声をかける少年はいつもの格好だった。
ナイス判断わったしー!!
戦闘訓練でもこの判断力がいつも出たらいいのに!!

「私、ここ来るの初めてかも」

芥子風 菖蒲 >  
聞きなれた声が鼓膜を揺らす。
ん、と青空が横目で見やり、すぐ液晶に移った。

「先輩に勧められたソシャゲ。なんか楽しい」

進められたら結構ハマるタイプ。
多分ネトゲとか進めたらいけないタイプだ。
どんなゲームかと言われるとオープンワールドのあれやこれやな感じにゲームだ。
こういうゲームは何時でも一区切り出来るから便利だ。
画面を切り、青空をぱちくり。空に移るはブルーな少女。
いつもとは違う、なんというかふんわりな雰囲気だ。

「カワイイ服だね。舞子の趣味?」

なんとなく少年は青色が好き。
空の色だからなのかもしれない。
だからいつもの仏頂面がどことなくほころんでいる気がする。

さて、と思いながら周囲を見やると人だかりはなだらかだ。
連休明けの平日。特に昼下がりなら、授業中の生徒も多い。

「オレも来るの初めて。いつも適当に済ませるから。
 舞子は普段料理とかするの?とりあえず、歩く?」

桃田舞子 >  
「へー、あっちゃんそういうのするタイプなんだ」
「私はグランガルド幻想記が好き」

世界観が好きなんだよねグラガル。
ライトにプレイしてる間はあんまりお金もかからないし。

「おっとぉ、芥子風選手いきなりレディーの服を褒めてきたぁ?」
「私に威力抜群だー」

冗談っぽく言ってちょっとだけ前髪に隠れる。

「うん、自分で選んだ。ありがと!」

へへへ……と笑って。
一緒に歩き出す。

「料理はするけど、一般家庭料理くらいかな」
「だからここの………」

刺身コーナーに展示されているトコヨキンカイオオマグロの頭部と目が合った。

「……ちょっとお高い材料とは縁遠い感じ」

そそくさと視線を逸らした。
DHAたっぷりの目つきで私を見ないで。

芥子風 菖蒲 >  
「別に興味はなかったんだけどさ。
 コースケ先輩がやってるのをみて楽しそうだったから」

興味がないから世間に排他的なわけじゃない。
ただ、知らないだけなのだ。
だから楽しそうにしてることは教えてもらいたいし
人のことは良く知りたいとは思っている。
おかげで少しは見識が深まった…気はする。
睡眠時間はちょっと削れた気もするけど。

「その、なんとか幻想記も後で教えてよ」

だから彼女のことも、もっと知らないとっとは思う。
なんだか何処となく、彼女は嬉しそうだ。

「なんだか上機嫌だね」

彼女も楽しみにしてくれたのかな。
だったらそれは嬉しいことだ。

そんなこんなで一緒に歩く地下食品市場。
成る程、お総菜屋さんはなんとなくわかるけど
魚によくわからない野菜。食の市場とはよく言ったものだ。
死んだ魚の目に映る自分は、いつもこんな仏頂面なのかな。

「一般的……ってのはよくわからないけど、料理はするんだ」

高級だのなんだの線引きはよくわからない。
ただ、確かにこのマグロすごく高い。
隣のなんかトゲトゲした魚?もすごい。
トコヨトゲキンウオっていうらしい。成る程、確かに金色の棘だ。まぶしい。

「…………」

なんか桁が自分の知ってる値段より一桁多い!

「……コレ、高い分美味いのかな?見た目凄いけど」

そもそも食えるんだろうか、これ。

桃田舞子 >  
「興味はなかったけど興味が出てしまったわけなんだね」
「じゃあ私にはあっちゃんがやってるゲームを教えて!」

これが平和のための御高説の末端につく拡張子。
相互理解。
気が遠くなるほど遠くて、身近なほど近い場所にあるもの。

あの怪盗は。
誰かを理解しようとしたことがあるのだろうか。

首を左右に振って。
今日は楽しいことを考えよう。

「わからない……食品なんだろうけど…」

文化が違うのかも………

「こういうのはよくソテーにするかな?」

鮭豚の切り身を指差す。
うわ、でもこれもいつも買ってるやつより大きめ硬貨1枚分くらい高い!!
見ればサシのキレイな赤身だった。

なるほど、チョトわかった。

「野菜とフルーツの売り場も見てみようか」

買うにしたって生鮮は後からにしないとね。
とはいえ、常世の百貨店の野菜となると……?

芥子風 菖蒲 >  
「ん、いいよ。と言っても、オレ説明上手じゃないけど……」

どちらかというと直感プレイヤー。
面白いことは面白いが言語化は苦手。
とりあえずこの話は後にしておこう。
もうちょっと落ち着いた時になんとでもできる。

「下ごしらえとかどうするんだろ……」

明らかにこう、"素人お断り!"みたいな空気はある。
料理が得意な人間は、ああいう食材も簡単に扱えるのだろうか。
……ある意味料理って格闘なのかも。

「舞子もやるの?そういうの」

料理のイメージが色々瓦解している。
一般家庭はお魚とは格闘しない。ソテーだよソテー。

とりあえず他にもゲテモノなりなんなりいろいろあった。
海産物って思ったより凄いというか、ああいうの普段食べてるんだ
と、少し感嘆まで覚えてしまった。
普通の人間ならまず気にしないけど、少年は何事も気にしすぎなかった。
彼女を呼んだのだって、こうやって"身近な事"にいろいろ見識を深めたかったからだ。

「野菜とフルーツ……アッチ?」

そんなこんなで抜けた先からはさっそく甘い匂いが漂っている。
フルーツをカットして売ってたり、最近流行りらしいスムージーとか。
実にこうなんか、女子受けめいた雰囲気を感じる一方で……。

「何アレ?」

なんか動いている。
なんか葉っぱが動いている。
トコヨアルキメロンという品種らしい。
上のヘタについた葉っぱで歩くそうな。動いているのは新鮮な証。

「……動くんだ、フルーツ」

変な事覚え始めたぞ!

桃田舞子 >  
「なんとかなるなる、私も説明上手じゃないから」
「お互いワタワタしよう!」

自信満々にサムズアップ。
完璧を求めるなら攻略サイト見るからね。
友達と一緒にやるから楽しい。

「トコヨトゲキンウオ、下ごしらえ、検索………」
「あ、ちょっとウチの鍋だと高さが足りないっ」

どうやっても蓋が閉まらない。
そして蓋が閉まらないと棘が発射された時に危ない。

いやちょっと待て。どうして棘が発射される。

「うん、やらないね」
「私は一般的と教本に書かれている範囲のものが好きかな…」

チラ、と見れば。
普通の鰤とかハマチもある。
普通じゃないのが目立つだけ……私はそう信じた。

「…………」

葉っぱで歩くメロンがあった。
信じた瞬間裏切られた!!

「いや、あれは特殊ケース!」
「あっちのスムージーのサカナギマンゴーとかが普通……」
「あっ地味に聞いたことのない南国フルーツだ!?」

まずい、ここはあっちゃんの教育(?)に悪い。
もちろんまずいっていうのは味じゃない。

芥子風 菖蒲 >  
「ワタワタ?ワタワタ。ヘンなの」

凄く変な響きだ。
けど、なんだか嫌いじゃない。
気づいたら口元は緩んでいた。
とっても気が緩んだように、いや、楽しいから人間って笑うんだ。

「一般的な……」

どうやらあれは一般的じゃないらしい。
確かにまぁまぁな値段はしたが
一般的じゃないならなぜ出回るのか。けいざいのふしぎ。

「特殊?特殊なんだ」

どうやらフルーツは動かないらしい。
別にそこらへんで品ぞろえされているのは
"シメられた"わけじゃないようだ。フルーツは動かない、覚えた。
しかし、だとすると気になるのは味。
スムージーの看板にあるサカナギマンゴー。

『南国のマンゴーで過酷な環境に抗いまくったサカナギマンゴー。
 とってもジューシーで濃厚でどれだけ潰しても果肉が残るひねくれもの』

……らしい。なんて恐ろしい。

「オレ、コレ飲もうかな。舞子はどうする?」

興味が出たなら止まらない。
とりあえずサカナギスムージーに挑戦だ!

桃田舞子 >  
「完璧なんて程遠い人間であることが、心の安寧につながるものだ」
「モモータ・マーイコは自書にて語る」

人差し指を立ててフフンと言い切る。
なんだかんだであっちゃんといると楽しい。
この楽しさがどういう種類の感情なのかは自分でも判別できずにいる。

楽しいからいいや。そんな気持ちで整頓放棄。

「特殊フィッシュに特殊フルーツ揃いなのは認めるけど」
「特殊なのは特殊なので難エエエエエそっちのスムージーいくぅ」

私は両腕をバツの字に交差させる。

「私は普通に桃バナナスムージーにする…!」

ちょっと生命力に溢れすぎるスムージーは怖い!!
というわけでスムージーを購入してみる。

「うん、美味しい。正解!」

どっやぁぁぁぁ。

芥子風 菖蒲 >  
「格言?ソレ。ヘンなの」

けど、悪い言葉じゃない気がする。
完璧なんて程遠い。よくわからないけど
そこまで自分ができた人間だとは思ってないし
そう言われると少しだけ救われたような
要するに、心が軽くなった気もする。

「せっかくだし、飲んでみようかなって。
 なんだっけ……"男は度胸"?」

こういうのは有言実行あるのみである。
店員から出されたのは一見普通のカップスムージー。
ストローが刺さった明るいオレンジがどことなくおいし……。

「…………」

いや、明るすぎるような。
言ってしまえば"蛍光色"の質感をしている。
青空をぱちくりしつつ、少年は躊躇なくストローに口をつけた。

「……!?げほっ!?」

あ、甘い。いや、甘すぎる。
口になかに砂糖の塊を直接ぶつけられた気分だ。
人生で初めて、甘味で味覚が拒絶する甘さ。
体に悪いというより、最早"病気になる"ほどにドロッとしていた。
おまけに果肉が本当に荒い。喉に引っかかる。
思わずむせてしまったものの、決してまずくはない……!

「甘……女の子ってこういうの好きなんだ」

甘いのが好きだからってスイーツ女子にも限度はあるぞ、少年。
とはいえこれはそう、勢いつけずにゆっくり飲めばいい。
再びストローを口につけてちゅるちゅる吸っていく。
……悪くはないけど、旨味を押しのける甘味ってこういうことを言うらしい。

「なんか、口ごつごつする」

凄い、あんまりにも果汁が強すぎて口の中までオレンジになっちゃいそう。

桃田舞子 >  
「変じゃない、私だけのオリジナル格言です」

えへんと胸を張って。
完璧を追求すると良いものができるかも知れない。
けど、それはとーっても疲れるもので。
仕事は完璧を目指してもいいけど。
日常のちょっとした一動作くらいは、気を抜いてもいい。

「ちょっと、大丈夫あっちゃん!?」

ハンカチを取り出して差し出し。
むせるあっちゃんのことを心配する。
まさか……そんな…

「失礼」

そう言って自分もスムージーを飲んでみる。

「わぁ」

初孫が自分の足で立った時のおじいちゃんの姿を幻視した。
それくらい甘い!!
甘すぎる!!

「これは強烈だねー………こっち飲む?」

桃バナナスムージーは言っちゃなんだけど普通。
白桃の甘みとバナナの香り。
多めのミルクと相まって、なかなか典雅な味わい。

芥子風 菖蒲 >  
「うん、凄いな……初めて飲んだ」

これを超える甘味に出会うことはおそらくないといえるくらい甘かった。
とは言え、自分で買ったものだ。最後まで飲む。

「大丈夫。オレが買ったものだし、責任もって飲むよ」

もったいないとかそういうのじゃない。
作った人に失礼だからだ。
彼女が"不用意に"咥えたストローを何の躊躇もなく咥えてちびちび吸い上げていく。
うーん、やっぱり甘い。まずくはないけどただただ甘い。
暫く甘いものはいいかもしれない。

……当然少年は恋も愛も曖昧で
ましてや、男女の羞恥などほとんどない。
最近ちょっと女子生徒の先輩とやんやあっても何もないほどにだ。
たまにストローに舌を合わせるのも果肉をとっているだけなので、やましい意味はない。

……もっとも、見てる側がどう見るかはわからない。

「本当に色々あるというか、食べるのって楽しいね。
 ねぇ、もうちょっと回っていこうよ」

少年は無邪気に提案する。
彼女と楽しさをもっと共有するために。

桃田舞子 >  
その時。自分がしていることに気付いた。
女友達相手ならすることを。
男性相手にしてしまっている。

周囲をバッと見ると。
周りの人は一斉に目をそらした。

「の、あ、あああ………!!」

悶絶!! ナチュラルに何をやっているんだ私は!?
そしてあっちゃん!! ストローをそんな風にするぅ!?

真っ赤になって頭から湯気を出しながら。

「はい」

そう短く答えるのが精一杯だった。
私達の地下食品市場体験はまだ始まったばかりなのだ。

これも青春……なのかなぁ。

ご案内:「扶桑百貨店 地下食品市場(B1・2)」から桃田舞子さんが去りました。
ご案内:「扶桑百貨店 地下食品市場(B1・2)」から芥子風 菖蒲さんが去りました。