2020/06/30 のログ
五百森 伽怜 > 「スッス~! あ、神代先輩! 今の笑顔サイコーッス!
 ベストショットッス~~!」

『スッス』。了解、の意だろうか。もはや鳴き声である。
そんな声をあげたかと思えば、目を輝かせて
ぱしゃぱしゃと素敵な笑顔を激写する新聞同好会の新人。

「なるほど、持っていた力を人々の為に活用することを考えた
 んすね~! ふむふむ、かっこいいッスゥ~!」

写真から取り出したメモ帳に、すらすらとペンでメモを
書き入れていく伽怜。真剣そのものといった表情である。
時折、ふむぅ、と唸ってはペンの頭を側頭部に当てて、
くりくりと動かしなどしつつ、かと思えば、
神代の顔を見てにこっと笑ったりなどシつつ。

「あたしの異能は、虚空実録《アカシックコラージュ》……
 写真の枠に収めた物を出し入れできる能力ッス」

他にもあるッス、と他の写真を取り出せば、それを軽く振って
みせる。するとそこからは、自転車のハンドル部分らしきものが
……スッと出かかるが、おっと間違えたッスと呟いて押し戻して見せた。

「風紀委員には憧れるッスけど、あたしはそういう器じゃないッス
 ~! どちらかというとあたしは、頑張ってる風紀や、他にも
 いっぱいある『学園で頑張ってる人たち』の頑張りを皆に
 伝えたいと思ってるッス!」

そこまで口にして、神代の視線に気がついたか、伽怜は少し目を
細めて、今までにない静かな口調でこう告げた。

「あたしの『瞳』は、あんまり覗き込まない方が良いッス。
 あたしはその……ちょっと特殊な生まれなもので。
 この『瞳』には、魅了の力が宿ってるッス。
 制御できるものじゃないから、忠告するしかないのは
 申し訳ないところッスけど」

そこまで言って、誤魔化すように元気を取り戻し、
それで正義ッスけど~、と再び問いかける。

神代理央 > 「……む、いや、待て。今の写真はその…。気恥ずかしいから、余り広めないで欲しい…のだが」

はっ、とした様に真面目な表情に戻す――事には失敗し、少し照れくさそうな表情で視線を逸らせながら小声で頼み込む。
風紀委員会のイメージは兎も角、己のイメージがちょっと変わりかねない…気がする。

「うむ。流石に戦闘向けの異能で生活委員会や鉄道委員会は無理があるからな。いや、出来なくも無いのだろうが、私の異能は些か見栄えも宜しく無い。
そうなれば、最も人々の。学園の為に力を活用できるのは風紀か公安。その中でも実際に現場に身を投じる機会が多い風紀委員会を選んだ…というのが、入った理由かな」

底抜けに明るいが、メモを取る時は真剣そのもの。
本当に自分の仕事が好きで、誇りを持っているのだろうと口元を緩める。

「……成程。それでポラロイドカメラを持ち歩いているのか。異能を行使するにあたっての最適解。良い選択だ。感心するよ」

流石に自転車のハンドルが現れた時は何を取り出すつもりかと身構えたものの。基本的には感心しきり、といった具合で彼女の言葉に耳を傾ける。

「…ふむ、そうか。残念だよ。貴重な逸材を勧誘し損ねてしまった。だが、それならば。その熱意と思いを精一杯形にする様に努力して欲しい。
どんなものであれ、その者が望むにせよ望まざるにせよ。人々に奉仕する者は正当に評価されなければならない。歴史に埋もれてしまっては、勿体無いからな」

残念だ、と言いながらもその口調は明るいもの。
彼女の純粋な想いを後押しする様に、目元を緩めてその言葉に応えるだろう。

しかし、その表情は次いで彼女から紡がれる言葉に僅かに細められる。警戒心、では無いが、何かを観察する様な――

「……成程。だから、こうして私の様な頑固者でも滞りなく会話が出来ているということか。不快な視線を向けてしまった事は謝罪しよう。どうしても、自分の感情が自己の意思とは異なる動きをす、というのが苦手でな。
だが、理由が分かれば別に問題は無い。会話が円滑に進むなら、特段問題なかろう」

己が抱いていた警戒心と猜疑の理由が判明すれば、あっさりと観察する様な瞳の色は掻き消えて、彼女に向けていた視線の不愉快さを謝罪するだろう。
それどころか、理由が分かったのなら別に構わないとばかりに再度彼女と目を合わせようとする始末。魅了如きに屈するものか、と言わんばかりの僅かな傲慢さも見え隠れしているだろうか。

「――ああ、そうか、正義について、だったな。
私の正義は、社会と秩序。ルールを守る人々の保護。それだけだ。
こうして、百貨店で買い物をする人々。授業を受ける生徒。私に取材する記者。君たちは社会の秩序を守り、ルールを順守しているからこそ、守られるべきなのだ。
信号を守らぬ者。他者から盗む者。殺す者。彼等は、ルールを守らず、秩序を守らない。そういった者達から社会を守る事が、私にとっての正義。……まあ、異論は多々あるだろうがね」

問い掛けられた言葉に、淡々と言葉を返し、最後は小さく肩を竦める。風紀委員の中でも極論めいた己の正義は、語るべきでは無かったのかもしれないが。

五百森 伽怜 > 「ッス!? 承知したッス! まー、恥ずかしいならしょうがない
 ッス~。新聞同好会はそういった希望を尊重するッス!」

あちゃー、と犬耳のようにハネている髪をわしゃわしゃと掻くと、
困ったように眉を下げ、にこりと笑う伽怜。

「身を投じる機会が多いから、風紀を選んだッスね、
 なるほどッス~!」

ガリガリとメモを書く。ただ放たれた言葉をメモしているだけでなく、
リアルタイムで頭に起こった気づきもメモしているのだろう。素早く動かすペンは全く止まる気配がない。

「任せてくださいッス~! 
 五百森 伽怜はこれからバリバリ頑張っていくッスから!」

ポラロイドについて言及されれば、八重歯が煌めく勢いでにっ
と歯を見せるような笑みを浮かべる伽怜。誇りである仕事道具
を褒められて、相当嬉しいらしい。

「いやはや、申し訳なかったッス。
 有名人に会えた感動で、すっかり忠告するのを忘れて
 しまっていたッス……」

がくり、と肩を落とす伽怜。
本当に心からしゅんとしているようであったが。
『理由が分かれば別に問題はない』。
その一言で、雨に濡れた子犬の目がふっと上を向いた。
そして、その目を見開く。そこには驚きの色がはっきりと
見えた。

「怒らない……ッスか。神代先輩の感情を……
 勝手に、動かしてしまっていたのに――」

それはとても冒涜的な、彼女の生まれ持った力。
それでも、神代という男は、それを受け入れてくれた。
その事実が、伽怜は心から嬉しかったのだ。

そうして、正義の語りを聞けば、にっこりと微笑む。

「――やっぱり、ヒーローは器が違うッスよ」

メモ帳をぱたむ、と閉じればペンと一緒に写真の中に再び
しまい込む伽怜。

「今日は、ありがとうございましたッス! また、どこかで
 お会いできると嬉しいッス! それじゃ、失礼するッス!」

ぺこりと勢いよくお辞儀する伽怜。その鹿撃ち帽は再び宙に浮きかけ
るが、左手でそれをしっかりと掴み。


「……守ってくださいッス。
 『皆を』。
 『皆で』。
 あたしはあたしで、
 頑張る『皆を』。
 新聞同好会の『皆で』、
 追いかけてみるッス!」


振り向きざまにそう呟くと、伽怜は小走りでエレベーターへと
向かっていったのであった。

神代理央 > 「そうしてくれると助かる。まあ、笑顔が素敵な風紀委員ならもっと適役がいるだろうし、彼等へも是非取材してくれると嬉しいよ」

此方の希望を聞き入れた少女に、ほっとした様な吐息を零しつつ。
所謂【宣伝材料】に丁度良い同僚達の顔を思い浮かべながら、眉を下げる少女に大丈夫だ、と首を振る。

「危険も多いが、やりがいのある仕事だとも思っている。風紀委員会は、常に学園の平和の為に努力している、とでも記事に付け加えておいてくれれば嬉しいな」

と、冗談めかして笑いながら。
ペンを走らせる少女を、また随分と書く事があるものだなと暢気な事を思っていたり。

「ああ。五百森の努力が、多くの人々の活力になるだろう。苦労もあると思うが、負けずに頑張って欲しい。風紀委員会として力になれる事があれば、何時でも声をかけてくれ」

人懐っこい犬みたいだな、なんてちょっと失礼な感想を抱きつつ。
にこにこと笑みを浮かべる少女に、クスクスと笑みを零しながら応えるのだろう。

「別に謝る事じゃない。生まれ持った力で、制御出来ないものなのだろう?それをきちんと自分で告げたのだ。私も、それを責め立てる様な事はしない。それに――」

と、驚いた様に目を見開く少女に向けるのは、浮かび慣れた尊大な笑み。自己に対しての自信に満ちたもの。

「鉄火場を潜り抜けてきた風紀委員が、魅了に靡いていては仕事にならんからな。まあ、完全な抵抗は難しいだろうが…それでも、風紀委員を甘くみない事だ」

己では無く、風紀委員という存在を誇示しながら笑う。
これでちょっとは風紀って凄いと思われただろうか。こんなことしなくても少女の風紀に対する憧憬は既に大分高い気もするが。

「……私はヒーローじゃ…いや、そうだな。そうやって憧れて貰えるのなら、君たちの。五百森のヒーローでいることも、吝かではないのかもしれんな」

押し負けた、という様な苦笑いと共に。
結局は、ヒーロー足り得る存在である事を努力する。そう告げるのだろう。

「ん、此方こそ。楽しい時間を過ごす事が出来たよ。記事になるのかどうか知らぬが、五百森にとって有意義な時間になったのなら何よりだ」

ぺこりと頭を下げる彼女に微笑み、駆け出す彼女を見送る。
そして、去り際に投げかけられた言葉に目を丸くすると。

「……ああ、勿論。君達の、いや『皆』の平和を守るとも、全力で。何があっても、何が来ようとも」

そうして、走り去った少女にひらひらと手を振って見送った後。
己も夕食を取る為に、のんびりとした足取りで此の場を立ち去るのだろう。

ご案内:「扶桑百貨店 展望台(20F)」から五百森 伽怜さんが去りました。
ご案内:「扶桑百貨店 展望台(20F)」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「扶桑百貨店 地下食品市場(B1・2)」にエカチェリーナさんが現れました。
ご案内:「扶桑百貨店 地下食品市場(B1・2)」に幌川 最中さんが現れました。
ご案内:「扶桑百貨店 地下食品市場(B1・2)」から幌川 最中さんが去りました。
エカチェリーナ > 今日の夕は何ににしよう。そんなよくある生活の悩み。
ふと思い立って、新しくオープンした百貨店にやってきた。

なんでも、農業区の野菜果物、近海の魚介類が多く取り扱われているらしい。
商店街でも似たようなものは買えるが、島の生産物が一同に会する様は、なんだか新鮮だった。

「……便利っちゃ便利ね……」

壮観ではあるものの、お値段も張る。
別に裕福でもない自分は、なるべく節約したいというのも、本音だった。

とりあえず、回ってみてから献立を考えてみよう。
なにか思いつけば、買ってもいいだろうし。

エカチェリーナ > 「あ……」

高そうなお肉に目を引かれる。実際高い。
財布の持ち合わせはそんなにない。

褒められない方法で稼いだそれを奮発するのも気が引けて。

(……一個くらい、バレないんじゃ……)

魔が差しそうになり、はっとして、それをやめる。

『トライアド・クロウ』は、こんなみみっちいことはしない。
悪事を働くなら、もっと派手に、がっつりと。

冷静になって、なんとかお肉の誘惑から逃れる。

エカチェリーナ > 「……うーん……高かねぇ……」

見るもの見るものが割高。
改めて財布の中を確認して、眉間にシワを寄せて、小声でボヤく。

(せっかく来たけど……こげんじゃいっちょん買えんわ……しゃんない、いつもんとこ行こ)

そうして、この百貨店からトンズラするのだった。

ご案内:「扶桑百貨店 地下食品市場(B1・2)」からエカチェリーナさんが去りました。