2019/02/26 のログ
サイン > この場合は,そんな貴女の外見が功を奏していたのかも知れない。
本を探しながらふと視線を向けて,一目で貴女だと分かったのだから。

「そう言われるとあるよーな…でもやっぱり無いよーな…。」

とは言え,確かに貴女への印象は,親しみやすいという類のものではなかった。
だから,今,目の前でちょっと不思議な発言をして,首をかしげている様子が…何だか新鮮だった。

「それ自分で言っちゃったらおしまいですよセンセー。」

ズボラさを自白されたあたりではもう,貴女への印象はもう不可逆的に変化していて,最初はまだ緊張していた笹都間の口調は少しだけ砕けたものに変わっていく。

「けっこー凝ってるのが多いですね……コレとかどうです?」

“3分クッキング”って書いてあるから手に取ってみたが,しまった,よく見たら“男の3分クッキング”って書いてある。
ヤバい。流石にこれは失礼だったかもしれない。でももう,きっと遅い。

「とんでもないモン…それって,今のオレが触ったらヤバいことになるやつですよね。
いつか,そーいうのにも対抗できるようになりたい…って,勿論今はまだ無理ですけど!」

貴女の言葉に,青年は恐れを抱く…といった様子は見せなかった。
むしろ,好奇心を刺激されたかのように,目を輝かせる。それは進歩のために何より重要な素養であり,一方で危険を招く爆弾でもあるだろう。

アキラ > 無いか…いや無かったのなら無いで良いのさ。
(少し残念そうな表情を浮かべるが、無いのなら無いに越した事は無い。考え事をして集中して周りが見えてないような物なのだから。)

そうか?まァ…教員としては良くない性分なのは確かだが、一応迷惑掛けねェようにはしてるつもりだしあたいの持って生まれたもんだからしょうがねェ。
(諦念を含んではいるが軽い調子でそう言葉を返しただろう。少し砕けた口調になった事を感じてはいたが、逆にそれは女にとっては堅苦しいイメージが少しはマシになっただろうかと思った為に悪い風には捉えなかった。)

ふーん…男の3分クッキング…いいんじゃねェか?ズボラな野郎でもできるって事ァあたいでも問題なく出来そうだ。
(本のタイトルをまじまじと見てから女の返事は寧ろどこか気に入ったような様子すら感じられるだろう。下手をしたらその見下した発言をした男性よりもズボラな野郎の可能性も十二分にありえるのだが、簡単かつうまいものが作れるのならそれに越した事は無いと思い、カバンを吊るした左手を彼の方へと伸ばしては「それを買って帰る事にするよ。」とすでに買う気になっている。)

…まァ目標を高くもつってのは悪い事じゃねェ。あんまり堅苦しい事を言いたくねェが、毎日基本的な事から修練して自分の技量を確かめながら少しずつ難しい事にチャレンジしていきな。いきなり背伸びをしたら命取りになりかねねェし、生徒が無茶して死んだって言われた日にゃ目覚めも悪ィし酒もマズくなるからな。
(本人もこの事に関しては理解しているようだが、その上で女はある種の釘を打つような言葉を言った。中には何をせずとも高等な魔術を使えるような存在も居るだろう。だが少なくとも彼の様子を見る限りはいきなり高等な魔術は今はまだ危険過ぎるように思えた為に、真剣な口調で言葉を続けて。だが授業で感じる輝く才能やその理論を吸収していく様子を見れば目標を高く持つ事は悪い事では無いだろうし、目標があれば努力もするだろうと女は考えていた。)

ま、何かわかんねェ事があったら教えてやるから授業の後か、職員室にでも来な。

サイン > 「あ,でも魔術の事考えてると,たまーに時間忘れてますね!」

ちょっと残念そうな貴女の様子を見てか,必死に考え出したようだ。

「いえ,迷惑とかそーいうのじゃなくって,オレとしては逆に親しみやすいっていうか…
 …ほら,授業だと,どっちかっていうと怖い人って感じだったんで。」

笹都間は素直に貴女の印象を語って,笑って見せた。
それは逆を返せば,今はもうそんな印象を抱いていないということ。
そして,笹都間の発見した本を貴女がお買い上げする流れになれば,もう,

「センセー本気ですか!?“男の”って書いてありますよソレ!!」

綺麗なツッコミを入れる始末であった。
でもなんか本気っぽいし,本人がそれでいいって思うのなら,それでいいんだろうなーと,思い直してそれ以上の言及は避ける。
「どうぞ。」と貴方に本を手渡して…

「…はい,センセー。」
貴女の忠告を,笹都間は素直に受け止めた。
「この島に来てホントびっくりしたんですけど,魔導書とかふつーに置いてあるじゃないですか。
 あんなの見たら,オレ,まだまだ死ねないです,ホントに。」

貴女の感じたように,才能にはそれなりに恵まれている方だろう。そして基礎的な知識もあり,新たなものを吸収する柔軟性も相応に持ち合わせている。
笹都間に足りないものは絶対的な経験値…そして貴女の言うように,自分の技量を知ること。

「ありがとうございます…オレ,ここでセンセーと会えて良かったです。
 そしたら,オレそろそろ帰りますね……センセーも,気を付けて。」

貴女にそう言って頭を下げれば,手にした初歩的な魔導書の代金を支払って,笹都間は店を出る。
試験期間ということもあって,彼が貴女のもとを訪れるのはそう遠い話ではないかもしれない。

アキラ > だろ?あたいが学生だった頃は興味持ったらその事を考えながら気がついたら図書館から本を持ち出そうとしてたもんな…。
(必死に考え出してくれた言い訳を聞いて女はさも当然のような言葉を続けた。勿論貸出カードの提出もしないもんだから、よく図書委員の人間には捕まっていた事を思い出したがその事には触れなかった。多分この事は異常な事なのだろうと女は思ってはいたから。)

__やっぱりなァ、あたいも別に怖くしようとして怖くしてる訳じゃねェんだがなぁ。見た目がなァ、いやでも見た目はどうしようもねェんだが…フフッ。お前さん、お世辞でもそう言ってくれるのは嬉しいよ。
(結構真剣に悩むような様子を見せた女は笑顔を見せてくれた彼を一度見ては釣られるように軽くだが笑顔を見せただろう。もうちょっとフランクに接してみてもいいのだろうかとも思うが教師としての体面が…とか色々考える事はあるが、それは多分今考える事でも無いだろう。家帰って一杯やってから考えても遅くは…)

マジだよマジ。ほら、男のって書いてあっても野郎しかやっちゃいけねぇって事は無いだろ?お前さん魔導書に女の子向けって書いてあったらやらねェのかよ。
(至って真剣な調子を見るに本気でそう思っているのだろう、多分魔術書に関してはそういう問題でも無いのだが。差し渡されると「ありがとう。」と礼の言葉を述べた。)

そうかい、生きる目的が見つかって良かったじゃねぇか。だったらその若くて大切な命を、自分の手で散らさねェように気をつけるんだな。
(自分の手で命を摘んでしまう事は、望んでなくとも起こる時は起こるものだろう。特に扱いに危険を伴う物__今回は魔術だが、そういう物に興味を持ち成長しようとしている矢先にその魔術に命を奪われてしまう事は、何としても避けねばならない事だった。そうならないようにする事が、女がこの場に着ている理由でもあるのだから。)

ま、そう言って貰えると満更でもねェな。あたいもお前さんと話せて良かったよ。道にゃ気をつけて帰んなよ。
(手にした魔術の本を持って店を後にした彼を見送った後に女も杖をつきながら歩みを進め、店員に妙な表情をされたりしながらも支払いを終えて店を後にするだろう。料理本が役に立ったのかどうかはテストの答案を返す時か授業の後か、いずれにせよまた今度会った時にでも言及する事になるだろう。)

ご案内:「古書店街「瀛洲」」からアキラさんが去りました。
ご案内:「古書店街「瀛洲」」からサインさんが去りました。