2020/06/27 のログ
北条 御影 > ―知っている。

彼女の異能が、光生成と操作であることも。
だって以前に見たことがあるから。

「っ、ホントですか?あの、それなら是非…お願いしたいです」

快諾してもらえたことに僅かに頬が緩む。
身を乗り出され、僅かに身じろぎするもすぐに持ち直す。
此処で情報を出し渋っても、きっと彼女の探索の障害にしかならないだろう。
だからこそ、此処で―

「理由は―…単純に、見つけて欲しいからなんです。
 その人、名前だけを色んなところに書き残してるんです。
 テストの切れ端だったり、いろんな場所の落書きだったり…。
 それだけ名前を書き残してアピールしてるってことは、誰かに見つけて欲しいんですよ。
 名前だけじゃなくて、その人自身を」

じ、と光奈の瞳を見つめて答える。
嘘偽りの無い答えだ。
誰にも否定はさせない。
だって―

「その人―「北条御影」さんは。
 すごくすごく、寂しいんです。誰かに見つけて欲しくて、貴方が「御影」だって。
 そう、言って欲しいんですよ。

 
 だからセンパイ。
 私を―北条御影を、見つけてください」

修世 光奈 > 探し物は、彼女のライフワークだ。
それを依頼されて、嫌な顔などするわけもない。
流石に犯罪に関するものは断るけれど。

「うんうん。まっかせて!」

間近で、能力と同じ暖かい光を感じる笑みを向けながら。

「見つけて、ほしい……?
……………なる、ほど…………」

中々特殊な依頼だと言葉を聞いていくごとに思考を深めていく。
アピールしているのに、依頼されるほど見つけられない。
それは、異能が絡んでいる可能性が非常に高い。
それも…『自分では制御できないタイプの異能』か、『誰かにかけられて解除できていないタイプの異能』
…他にも可能性はあるが、ぱ、と思い浮かぶのはこの辺りだ。

ただ、見つめ合った相手から続けてもたらされる情報には、目を見開いて驚くしかなく。

「北条、御影さん…、…え?あなた、を…?それって、どういう…」

流石に混乱する。
探すも何も目の前にいるではないか。

「えーと…?御影ちゃんを、私が見つけて、御影ちゃんだって言えばいいんだよね。
……でも、わざわざ依頼するってことは…御影ちゃんに、何かあるの?」

整理しながら…下級生らしいことから、ちゃん付けをしつつ。

異能関係の可能性を考えていたが、本人が目の前にいるなら聞けばいい。
悪戯でなければ…依頼、という形まで取ってこんなことをする理由がわからない。
煙のように消えてしまうかも、などと考えているのか。
そっと手を伸ばして緩く相手の肩を掴もうとする。

北条 御影 > 肩に優しく触れる手の感触に、ぐ、と唇を噛み占める。
こんな得体のしれない依頼に親身になってくれる彼女の優しさに。
こんな得体のしれない相手を心配してくれる彼女の優しさに。

「私は、人に覚えて貰えないんです。そういう、異能を持ってますから。
 ですから―センパイも、きっと明日になるまでに私のことを忘れてしまうんですよ」

言った。
何度目かの告白。
この告白の後に事態が好転した例は少ないけれど―

「こんなこと、信じられないと思います。
 けど、本当のことなんですよ。私とセンパイは初対面じゃないんです。
 また会いましょうね、って。そう言って、お別れしました。
 もう既に―私は、一度忘れられているんですよ」

それでも、全てを告げることで、この後の「約束」の重みは変わる。
「また会おう」という約束がダメだったのなら、今度は全てをさらけ出したうえで、約束すればいい。

先ほどまでの不安げな瞳の奥に、確固たる決意が覗く。
全てを知ってもらった後での「私を見つけて」という約束であれば―
「依頼」という形であれば―

前回よりも深く、彼女の記憶に刻み込まれると信じて。

修世 光奈 > 「人に、覚えてもらえない…、そんな、異能…。
………そんなのが…?」

もしかすると、この反応もいつかしたのかもしれない。
流石に、一瞬では飲み込み切れない告白。

記憶されない異能…御影の言葉と、その視線でこの話が本当だと信じてはいる。
けれど…こんなに綺麗に忘れてしまう異能の強力さに慄く。
ただ、今はそんな時ではない

「…ごめん。御影ちゃん。忘れちゃって…」

まずは…
肩から手を離して、ぶつからないように頭を下げる。
依頼よりも、趣味よりも。
傷つけた相手に、謝りたかった。

そして、またぱ、と顔を上げる。
その顔は明るい顔で。

「絶対、って言葉、色々トラブルになるから依頼の時は使わないんだけど。
……見つけるよ、御影ちゃん。『絶対』」

敢えて、使わない言葉を使う。
肩ではなく、今度は相手の片手を取って、自分の両手で包み込もう。

「私も寂しいもん、そんなの。一度会ったのに覚えてないなんてさ。
そうだ!見つけるだけじゃちょっと物足りないから…遊ぼうよ。
ゲームセンターでも、カラオケでも何でもいいよ。一緒に!」

救うなんて大それたことは言えない。
自分ができるのは探すことだけだ。
だから、凄く難しいだろうけれど、見つけられたなら、と。
約束に、希望を付けて返そう。

北条 御影 > 「いいんです。別に、センパイが悪いわけじゃないんですよ。
 それに―あは、慣れてますから」

謝罪の言葉に、笑って手を振った。
実際、誰が悪い訳でもない。ただ単に、自分がこういう異能を持っているという事実がそこにあるだけだ。
だからこそ、その事実を踏み越えて前に進みたい。
そう思うからこそ、今回全てを吐き出したのだ。

忘れることを避けることが出来ないのなら、
忘れた上でなお、一歩を前に踏み出せる関係を作ればいいと。
そう思っているから。

「―いいん、ですか?」

握られた手の温もりと、こっちを見る光奈の瞳の真っすぐさに、呆気に取られてしまう。
そしてその口から発せられた提案もまた、此方の想定を超えたもので。

「嬉しい、です。あの、私…誰かと遊びに行く経験って、ここ数年してないもので…。
 予習!どこかで、予習してきますから!絶対、楽しくなるように!」

握られた手とは逆の掌を相手の手の甲に重ね合わせ、ぎゅ、っと力を込める。
「絶対」見つけるとまで言ってくれた。それだけでもう十分だったのに、
更なる約束まで。

しかも、相手から。
これ以上ない程の大事な大事な「約束」だ。
これならきっと、次の「初めまして」は上手くいく。
出会いは「再会」へと変わってくれるだろう。

きっと彼女は自分のことは忘れてしまう。
けれど、「北条御影を探すこと」と、「見つけ出したら遊びに行くこと」は覚えていてくれる筈だ。

あとは、自分とその約束を結びつけてもらうだけ。

「ありがとうございます、センパイ。約束、しましたからね。
 絶対、絶対遊びに行きましょう!カラオケとか、ゲーセンとか!それ以外も、いーっぱい!」

晴れやかな笑顔で頭を下げる。
忘れられた先の一歩がこんなにも大きくなるだなんて思っていなかった。
それでもきっと、悪いことではない。
だってほら、踏み出す先はもう見えている。
光奈から与えられた「希望」で明るく照らされた方角へ、踏み出していける。

「それじゃセンパイ、また会いましょう。
 今度こそ、きっと。また、会いましょうね!」

これほどまでに希望に満ちた「また会おう」を言えたのは何時ぶりだろう?
忘れられてもいい。その先にある未来まで含めて、彼女は約束を交わしてくれたから。

胸を満たす充足感に、軽くなる足を抑えられず。
小走りで公園を去っていくのだった。
 

ご案内:「常世公園」から北条 御影さんが去りました。
修世 光奈 > この依頼ができるかどうか、自信は正直に言えば無い。
既に一度、忘れてしまっているから。
御影の言葉通りなら、何の対抗手段も持たない自分はこの後…相手のことを忘れてしまう。

けれど、それでも忘れない。
だって、探すことは私の楽しい楽しい趣味だ。

義務じゃないからこそ、燃える。
強制されてないからこそ、どこまででも頑張れる。
それはきっと、私の知る限り、私にしかできないことだ。

落書き、テストの切れ端。
それ以外にも、たくさん…アピールしていると言った。
赤い髪も、良く目立つ。

だから、見つけられる。
それだけ手掛かりがあれば、また、御影ちゃん、と呼べる。
そう信じて、笑う。

「うん。約束。じゃあ今度会ったら…御影ちゃんのリサーチした場所を全部回ろう!」

力強く頷いて、手が離れていく。
そしてすぐに…いつも依頼を忘れないように使っている携帯のメモに書き記す

『北条御影。御影ちゃんを探す。
赤色の髪、後輩、二度会ってる。見つけたら一緒に遊ぶ』

いつ忘れるのか、それがわからないため。
相手が去るまでの短い時間を使って乱文を記し
顔を上げて。

「…絶対、またねーーーー!!!」

去っていく相手を、見送る。
手を振って、笑顔で。
少しでも希望を抱いてくれるようにと。




約束の重みが記憶に影響するのなら。
光奈も追いかけるように公園を出て…しばらくは、覚えていられるだろうか。
しかし、その『しばらく』が終わった後。





光奈の記憶からは、赤い髪も人懐こそうな雰囲気も、声も消えてしまう。
その後、習慣として携帯を開けば。

『北条御影。御影※※※を探す。
※※※※、※※、※※※※※※。見つけたら一緒に遊ぶ』

そんな、一部が文字化けした妙なメモが一番上にある。
不思議に思いながらも、依頼のメモにあったのだから、これは依頼なのだろうと判断する。
それに、一番上にあるということは最近受けたものだ。

依頼者の顔が思い出せないが、きっとネット経由だったのだろうと。
依頼者の名前も記されていない依頼をよく受けたな、と我ながら思うが、ここに書かれているということは、自分はこの依頼を受けたのだ。
なら、探そう。それが私の趣味であり、ライフワークだから。

それにして、北条御影。
聞いたこと、見たことがあるような。
まずは、先生や友達に、話を聞いてみよう―――

ご案内:「常世公園」から修世 光奈さんが去りました。
ご案内:「常世公園」にソフィア=リベルタスさんが現れました。
ソフィア=リベルタス > 「ここは良い場所だねぇ。若者があふれてるし、何より活力に満ちている。私なんかにはもったいない場所だよねぇ。」

どこか中世の時代を感じさせる様相をした少女は、何もない虚空に話しかけるように言葉を綴る。
その姿は人の様であるものの、獣の特徴も垣間見える。
服の下から伸びる尾は、ゆらゆらと風になびくように揺れている。

「え? 君だって若く見えるって? あはは、そうだねぇ、人間でいうと、15、6歳? もっと若く見えるかもしれないね。」

だれに声をかけられるわけでもなく、それでも誰かと話すように
朗らかな、何処かご機嫌そうな声は紡がれる。

「ほら、こっちにもいないかなぁ? 物の怪、とか、化け物、とか、私達は妖怪って呼んでたけどねぇ。
あ、いる? やっぱり、そうそう、そんな感じなんだよ私は。」

自らを化け物と称す少女は、確かに人間とは違う容姿、主に頭部と臀部に、耳と尻尾、それも猫のものを擁している。
動物は人間に見えないものを見つめていることがある、というが、まさに人間にあてはめたらこんな光景なのだろうか。

「何しにここに来たのかって? うーん。 故郷に追われてっていうのもあるんだけどねぇ。
ほら、人間ってやつは未知は好きだけど、理解できないものは拒絶するだろ?
私は放逐されたんだよ。」

別段気にする風でもなく、思い出を口にするように、けれども寂しげな目を空に向ける。
でもそれも一瞬の事、彼女は次の瞬間には微笑み

「でも、この世界に呼ばれたのさ。
役に立てって言われた気がしたんだ。
未来をしょって立つ子に、自分の知恵を授けられるって最高じゃないか?
というか、いたずらし放題だしね?
ははぁ、これが自由っていうんだなぁ、良いもんだねぇ。」

しらず、彼女の腕から夕刻を告げる音が鳴り響く

「あぁ、もうこんな時間なのか……。 そろそろ帰ろうか、君もあんまり長くここにいるもんじゃぁないよ?
気を付けて、お還り。」

何か、に背を向け、彼女は身を翻す。

そこにはすでに少女の姿はなく、少女が残したお日様の様な香りが漂うだけ。

公園に見えるのは、その場所を後にする黒猫の姿だけだった。

ご案内:「常世公園」からソフィア=リベルタスさんが去りました。
ご案内:「常世公園」に持流 童男さんが現れました。
持流 童男 > バッグを枕にしつつ寝そべって寝ている。

(ぐごーー・・ぐご・・・・ー)

と鼻をこすりながら穏やかな顔、で寝ている

「もう食べられないでござるよぉ・・・」

と穏やかに

持流 童男 > 「んむにゃ・・・っとふわぁ、よく寝たでござる」

と言いつつ寝ぼけ眼をこすりながら、

「ここはいいところでござるな。日が当たるし、今日は快晴でござるし。また眠くなってきたでござるよ。」

朗らかな笑みを浮かべて、気持ちよさそうに寝そべって。

持流 童男 > 「(寝るのが終わったら、スラムと、落第街と裏路地をパトロールでござる・・)」

寝息を立てながら、オタクが、寝ている。

持流 童男 > 夢をみた、 随分、懐かしくて、嬉しくて、悲しくて、だけど、誰かを幸せにした夢を。 

人を守り、その人にはその人の英雄がいるというのを、教えてくれた、少女の戦いを。

夢を見た。推しを守るのを誇りにして、推しに告白して、推しに忘れられる一人の男の夢を。

持流 童男 > 「はっ、はは、何やら随分懐かしい夢をみたでござるなあ」
笑いながら立ち上がり、

「いやぁ~寝すぎたでござるな」 

といいつつ、パトロールに出かけに、でたオタクの頬は少しだけ濡れていた。

ご案内:「常世公園」から持流 童男さんが去りました。
ご案内:「常世公園」にレナードさんが現れました。
レナード > 「あー、こわいこわい。
 ああいう人と喋ると、こっちが丸め込まれそうだし。」

先の出来事が、まだ頭の中をよぎっている。
話し合いというテーブルに着いた時点で、彼女の目的は達成されていた…そう見えたから。
後は、破綻しない程度にあしらえばいい…その敗戦処理に走らさせられていた本職もいただろう。
彼女はどういう腹積もりだったのか…純粋な興味本位で見学にいったのだが、
猫を見に行ったら虎が出てきたような、そんな気分になった。

「……あの人は、当たり前が続いていく…なんてことはない素晴らしい日常を潰しに来たようにしか、僕には見えなかった。」

ここに来た目的は、単純な気分転換。さっきの暑くてたまらない服も脱ぎ捨てた。
ここは喧騒と縁がなく、時折子供たちの声がこちらに届く程度の、まさしく日常の静けさに溢れている。
ベンチに座りながら、自販機で適当に買った飲み物をぐいと飲み干す。
味はするが、それでも少し経てばまたあの時の話が脳裏にぶりかえしてきて…

「……あー、いやになるし。
 なにか楽しいことでもあればいいんだけど。」

背もたれに身を委ね、独り言ちた。
今この瞬間くらいは、自分本位な発言をしても、誰も聞いてはいないだろう。