2020/08/11 のログ
ご案内:「常世公園」にレナードさんが現れました。
■レナード > 「―――ッ、あ…ぅう………んんぐ…っ…」
まただ。
どうにも活動後の禁断症状は、慣れそうにない。
常世公園に点在する樹木の中の、暗がりの広がっていそうなところで独り、
背を樹木の幹につけるように、その根元で座り込んでいた
ズキズキと響く脳髄への刺突の如き痛みは、どうにも堪えようがないから
呻くしかないとはいえ、それでも昨日までのものよりも、心の持ちようは違った。
「……っはー……ふー……
やっと、落ち着いた………」
■レナード > 木陰の内から、天を仰ぐ。
文明の光から僅かに遠ざかったここなら、山の中程には至らないものの、美しい星空が窺える。
「……やっぱ、違うなー………
僕は、まだ……歩いていける……っ……」
少年の瞳に、光が尽きることはなかった。
昨日の海岸で言われた言葉に、救われこそしなかったが…それでも。
「……ああ、確かに…言葉だけじゃ自分を救えない。
でも、希望にはなる。
…それが、よくわかった………。」
知らないことがあれば、知りたくなる。
それが、今まで目にしても気にしてこなかった、安っぽい単語であっても。
「………愛かぁ……」
■レナード > 今まで様々な女性にあってきた。
それはこの常世島でも変わらず、一歩踏み込んだコトになった子だっていた。
しかしそこに、愛であるとか、好意であるとか、そういうものは自覚できなかった。
…その時は無意識のうちに、自分に蓋をしていたからだろうか。
「……好きとか、愛とか、どういう気分……なんだろうなぁ。」
まるで、夢見がちな少女の様な憧れだ。
とはいえそれが、今の彼を突き動かすものなのだろう。
「恋に恋するな、とかよく聞くけど。
……この手のことは、やっぱり体験しないと分かんないわけ……」
その感情にはっきりとした答えだとか、定義はないだろう。
心の持ちようなのだろうから。
未だ味わったことのないその感情に想いを馳せながら、ふと想像する。
「…………。
誰が、僕の隣にいてくれるのだろうな。
…いや、僕は……誰に、隣にいてほしいんだろう……」
その言葉は、純粋な自信のなさから現れたもの。
自分のことを、受け入れてくれる人は、この世にいるのか。
自分が隣にいてほしいと思える人物は、この島にいるのか。
…思えば思う程、ぼんやりとした不安が心によぎる。
■レナード > 「………星、綺麗だな。」
それでも少年は前を向いて、星を見上げる。
今日は暫くここで、ぼんやり過ごすことにしたようだ。
ご案内:「常世公園」に阿須賀 冬織さんが現れました。
■阿須賀 冬織 > 突然色々と調べたり準備をしないといけないことが出来て、気が付けばこんな時間。
少し疲れたが、寝たいといった気分でもなかったので少し夜風に当たることにした。
「へえ……ここでも結構星とか見えたりするんだなあ。結構綺麗じゃん。」
片手に淡い光を放つライトを持って、ぶらぶらとあてもなく。
たまたま立ち寄った公園の真ん中で上を見上げればこの前の海には劣るものの綺麗な星空が。
予想だにしていなかった光景に思わずつぶやく。静寂が包む夜の公園では小さなその音も響くだろうか。
■レナード > 「………。」
気配を察知した。その場から動こうとしたが…それに急ブレーキをかけるようにじっと動かないようにして、目を細める。
ほぼ反射的に透視の瞳を行使すると、暗闇の中にちらつく光の主を探った。
それは、夜闇でさえも透して見やるもの。
…人型だ。ひとまず、安心。得体の知れないバケモノではなかった。
「……じゃあ、いいか。」
脱力する。
こんなところに来る人間なんて、たかが知れている。
少なくとも、悪事を働く類ではないだろう。警戒を解く。
瞳も、黒いそれに戻っていた。
力を抜いたときに、背中に幹がぶつかったものだから。
ガササッ…と音が立ってしまったかもしれない。
■阿須賀 冬織 > 「っ……!」
自身のつぶやきに応じるかのように、ガサガサといった音が聞こえた。
恐らく夜風に吹かれた草木の音だろうが、ここは深夜の公園。
イタチだとかの野生動物であればいいが、不審者だとかの可能性もないとは言い切れない。
恐る恐る持っていたライトを音のした方に向けてみる。
「……へ? ……レナー、ド……?」
茂みの中に浮かんだその顔は、見間違いようもなく知り合いのもので……
想定外の人物に間の抜けたような声が出る事だろう。
■レナード > 「……なんだし、藪の中の蛇でも見つけたような顔して。」
どんな顔なのか。
びくっと驚いたその表情を指して、言った。
相手はもう分かっていたから、こちらは驚かない。
穏やかな声色で、名前を呼ぶその問いかけに答える。
「ちょっと疲れたから、ここで休憩してたわけ。
おめーこそこんな時間に何してんだし? 虫取りにでも来たってわけ?」
■阿須賀 冬織 > 藪の中の蛇を見つけた顔……彼の血のことを考えればまったくもって間違いではない気がする。
「んあ、俺もちょい疲れたから休憩。寝る気分にもなれなかったからこうして適当にぶらぶら歩いてたってわけ。
……一瞬、家がないって言ってたからここで寝泊まりしてたのかと思ったけどまあそういうわけじゃないんだな。」
虫取り……まあ、確かにありえなくはないが今回はただの休憩だ。
どうやら彼の方も休憩らしい。この前家がないとか言ってたから寝泊まりここなのかとも思ったが違うようでよかった。
まあ流石に今のは半分ジョークだが。
「にしても、休憩か……。何やってたかって聞いても?」
休憩というには、何やら涙痕のようなものが見える気がする。
ただ疲れているだけなら電気でもいるかと聞いておしまいなんだろうが、知っている身としては放っておくことが正しいのだろうかと悩む。
■レナード > 「流石に今はそんなことねーし。」
前はそうだったんだろうか。
「ふーん。なに、休憩がてら散歩ってわけ?
この辺蛇とか出てもおかしくないから、夜道歩くときは気つけろし?」
そんな蛇が出てもおかしくない場所でぼんやりしている彼が言えたことなのだろうか。
とはいえ、そんな軽い冗談の応酬でも、心地いい気さえする。
…そんなやり取りも程々に、自分のやっていることを問われると。
「んー。
…まあ、脳をすこぶる使うことだし。
いやー、こんなことしてたら痩せちゃうし、マジで。
棋士の対局後は数キロやせるって聞くけど、よーくわかるし。」
引き合いに出したのは、スポーツ。
…危なげないものを敢えて例に出したのは、無駄な心配を誘うことを避けたからかもしれない。
軽い口調も相まって、特に気に病むことは何もないのだと、そう演出したそうにしている。
■阿須賀 冬織 > 「……今は。」
前はどうだったのだろうか……?まあ今は大丈夫ならいいのだろうか。
「あはは、確かに一回見たし気を付けることにするよ。
そういうお前もここが住処じゃないなら気を付けろよ。夜目効くのかもしれねーけど。」
なんて冗談に冗談で返す。そうやって楽しく応酬をしていていても、先ほど気になったことが脳裏を離れない。
「……お前それ以上痩せたらどうすんだよ。後で甘いもんでも食っとけよ。
……んで……なあ。そう言うのはさ、その涙拭いてからにしたらどうだ……?
正直、そんな様子でいられる方が気になってしゃーねえ。」
どうにもさっきのことが気にかかって、今はなしている内容もどこか嘘くさいように感じられて……
話の途中に一呼吸おいて、表情や声色を変えてそう言ってみる。半分カマかけだ。
動揺しなければ気のせい、動揺したら恐らく自分の感覚が合っている。
……そのうえで隠し通そうとするなら、まあちょっと無理やり聞き出すのはこの前のこともあって厳しいだろうか。
■レナード > 「………っ…」
涙を拭け、と彼は言う。
いつの間に出ていたのだろう、おかしいな。なんて、思ってしまった。
だから慌てて、目元を擦る。
…それが、カマかけであることなんて、疑いもせず。
「……なんだし、何にもねーじゃん。」
彼の冗談を、笑った。
だが、彼のそれに気づかないくらいに、疲弊している。
そう思われても、致し方なかった。