2020/09/06 のログ
ご案内:「常世公園」に火光雷鳥さんが現れました。
回想の親父 > 「いいか雷鳥!お前の発火能力な!父さんが気合をこめて異能の名前を申請しておいたからな!名づけて―ー紅蓮の支配王(パイロエンペラー)だ!!」
火光雷鳥 > 拝啓――親父、母さん…俺は本土から離れて今、こうして常世島へと移住した訳ですが。

「――いや、本土と同じようで色々と違い過ぎでしょ…やっていけるのかな、俺」

まだまだ地理の把握もロクに出来ておらず、この公園も偶々周囲を散策していたら見つけたからやって来ただけ。
取り敢えず、近くにあったベンチに腰を落ち着けて…片手には学生街周辺をクローズアップした地図を片手に睨めっこ。

「……いや、これ地理を最低限覚えるだけでも大変なんだけど、皆よく迷わないなぁ」

うーん、と唸りながら頭を掻き毟る。真っ赤な頭髪は既に夜の帳が下りた時間帯でもベンチ脇の外灯に照らされてはっきり窺えて。

「いや、地理もそうだけど問題は――…」

そう、問題は、

火光雷鳥 > 「その名前はマジでどうにかならんかったのか、あのクソ親父いいい!!!!」
ご案内:「常世公園」にリタ・ラルケさんが現れました。
火光雷鳥 > 何だよ紅蓮の支配王って!大袈裟どころじゃねないだろ!俺、ただの地味ーな発火能力者だよ!?しかも申請既に通ってるじゃん、どうしてくれんのこれ!?

「……クラス担任の先生からも凄い生暖かい目で見られたし、勘弁してくれよ、もー…。」

項垂れる。そんなちょっとアレな名前じゃなくて普通に発火能力で良かったんじゃないかなって。
そもそも、常世島って、発火能力というか、こう火炎系の能力者もゴロゴロ居ると聞いたし。
木っ端みたいな自分が何で分不相応で大仰に過ぎる異能名を冠されなければならないのか。

「しかも、魔術…だっけ?そういうのでも火とかはわりとありふれてそうだし、どうすんだよ幸先が悪いどころか顔面ストレート不意打ち食らった気分だよ…。」

しかも9月からの中途編入だ――うん、アレだ。友達作り損ねたというか出だしを失敗した感。悲しい。

リタ・ラルケ >  
「うわ」

 趣味の夜散歩中。涼しい夜風が吹く中、外灯が照らす公園に来たのだけど。
 敷地内に足を踏み入れてまず聞こえてきたのは、空を裂くほどの大絶叫だった。

「……何ごと?」

 声のしたほうを見れば、何やら男の人が一人。
 なんだろう。近づかないでおくべきかな。と、遠巻きにその様子を眺めていた。

火光雷鳥 > 「…………あ」

我ながら人気が周囲に無かったのもあって、誰も通り掛からないと思い込んでいたらしい。
何か遠巻きにこちらの様子を見ている私服姿の少女と目があった気がする。

数秒の沈黙――赤い瞳をぱちぱちと数度瞬きしてから

(やっばい、今の独り言聞かれてた!?待って待って通報とかされたら洒落にならん!!)

別にやばい事を叫んでいた訳ではないのだが、焦って思考が飛躍してしまう。
――よぉし、落ち着け雷鳥。こういう時は素数を数えるんだ…いや、それどころじゃねぇよ!

「……ど、どうも…。」

思わずへらへらとした、如何にもぎこちなさ前回の笑顔?を浮かべて頭を下げる。
――やっべぇ、これってむしろ不審者度合いが増しただけではないかな?

リタ・ラルケ >  
「あ、どうも」

 ……挨拶された。なんかすっごい気まずそうだけど。
 いや、まあそうか。今しがた自分に気づいたみたいだったし、そりゃそうなるよねえ。

 とりあえず。

「さっきの叫び声は……多分君ってことでいいんだよね。どうしたの? 何かあった?」

 そう訊いてみることにした。

火光雷鳥 > まずい、こういう時はどうしたらいい?いや、何かもう不審者にしか見えないのは否定できないけどどうにか挽回しないと社会的に俺は死ぬ。

「……あ、うん。まぁ……いや、その…出来れば聞かなかった事にしてくれたらなぁ…って」

まさか、自分の身内が勝手にただの発火能力なのに大袈裟な名前で異能名を申請登録した、とか。
――初対面の女の子に身内のやらかしをぶっちゃける度胸は自分には流石に無い。

なので、誤魔化すように愛想笑いを浮かべつつ、ぽつぽつと聞かなかった事にして貰おうかな、とお願いしてみるんだけど。

(――よし、次に本土に帰省した時に親父を殴ろう)

全部あの親父が悪い!まぁ、それはそれとして。この気まずい空気はどうしたらいいんだ。
…気まずいのは多分こちらだけかもしれないが。

リタ・ラルケ >  
「……そっか」

 多分、触れてほしくない話題なのだろう。
 これ以上突っついたら多分喉をかきむしりながら発狂してくれるだろうし、やめておく。

 二人の間に気まずい空気が流れる。やばい。人付き合いなんて数えるほどしかしてないし、話題がない。どうしよう。
 少しの間沈黙が流れて――。 

「……あー……そうだ。名前。ごめんね、言ってなかった。リタ・ラルケ。一年生です。よろしく」

 よし、絞りだした。

火光雷鳥 > 流石にそんな何かのウィルスみたいな禁断症状ぽい事にはならないだろうが、羞恥心に殺されかねない。
まぁ、それはそれとして。今はこの気まずい空気をどうにかしないと。

「…へ?あー…えーと。俺は9月に本土からこっちに中途編入してきた火光雷鳥(かぎろい・らいちょう)…同じく1年生、その…よろしく?」

何で最後が疑問系になるんだ俺!ともあれ、自己紹介を先にしてくれた少女に、こちらも慌てて会釈と共に名乗ろう。

そして、自己紹介が終わったらまた少々の沈黙――やっばい会話が続かない!
そもそも女の子と二人きりで話した経験なんて殆ど無い。…何か、何か無いか話題!

「えーと、リタ…さん?そっちはこの島では長いのかな?俺、まだ来たばかりで地理とか色々把握しきれてなくてさ?」

よし、会話の取っ掛かりくらいは出来た…と、思いたい!

リタ・ラルケ >  
「かぎろい……さん? 9月、ってことは、ほんとに最近だ。よろしくね」

 かぎろい……聞いただけじゃ漢字がわからない。後で調べてみよっかな。
 ……お互いに自己紹介を済ませ、再び沈黙。どうしていいかわからなくなりかけていると、あちらから話題が振られてきた。

「あ、そうなんだ。……私も結構最近来たばかりだしなあ。色んなところには行ってるけど」

 放浪という形ではあるが――おそらく、彼よりはここを知ってる、とは思う。

「行ったことがない場所もたくさんあるし」

 特にスラムとかの危ないところ。まあ、ああいう裏の世界にも色々見るところがあるから、近いうちに言ってもいいかもなあ。
 ……危ないのは嫌だけど。

「地理、覚えにくいよねえ。特にこの島は、いろんな文化が混ざってるから」

 本当に、苦労するのだ。

「まずは、学生街からかな。あそこは色々お店も多いから、多分あそこから覚えたら便利だと思う」

 自分もよくお世話になってるし。

火光雷鳥 > 「あー…なんか珍しい苗字っぽいから。火に光って書いて「かぎろい」だよ。陽炎(かげろう)の語源か別の読み方、だったうような気がする」

自分の苗字の読み方、または漢字の書き方を初見で分かる人はほぼ居ないだろう。
漢字そのものはシンプルだが読み方が特殊というか、独特なのだ。

「そうなんだ?…いや、でも俺に比べたら在る程度は島の事は分かるかなって。
正直、地図と睨めっこしてばかりも気が滅入るから誰かに聞いてみたかったしさ」

まぁ、基本ぼっち気質なので聞くに聞けずにこうして単独で地図を片手に散策していたのだが。
行った事が無い場所も沢山ある、と彼女は言うが少なくとも自分よりは多少長くこの島に居るようだし。

「色んな文化…あーそういえば、何か異邦人街?とかいう場所もあるんだっけ?
あと、島の北のほうは転移荒野、だっけ?危険地帯みたいな場所があるって」

少年が口にするのは、断片的に聞いたり知った情報で全体像ではない。
そもそも、島の全体像を把握するならまだまだ時間が必要だろう。

「やっぱりかぁ…いや、まぁ俺もそのつもりで学生街近辺の地図を仕入れて散策してたんだけど」

…本当、土地勘が全く無いからまだ3分の1くらいしか把握できていない気がする。
いや、4分の1くらい?どちらにしろ、編入してまだ1週間も経過していないのだ。

リタ・ラルケ >  
「火に光で火光、ね。なるほど。確かに結構珍しいね」

 少なくとも自分はついぞ聞いたことのない苗字だ。一度聞いたら忘れないと思う。多分、珍しい名前ってちょっとした噂にもなりそうだ。

「そうそう。私は異邦人街のほうは行ったことはないけど、転移荒野は結構お気に入り。自然が結構残ってたりするしね。だけど話通り危険なところもあるから、行くときは自己責任でね。異能か何かで自分の身が守れるならいいけど」

 自分は結構嫌いじゃないけど、やはり危険であることに変わりはない。注意喚起はしておくに越したことはないだろう。

「まあ、地理は使ってれば自然に覚えるよ。広い島だけどね、普通に暮らすだけなら行動範囲も限られるし」

 もちろん、他の場所に行きたいという冒険心を、止めはしないけど。

火光雷鳥 > 「うん、多分同じ苗字の人は他には居ないかなぁ、くらいは思ってるよ」

とはいえ、珍しい苗字は他にも色々とあるし、常世島というこの特異な場所ならすんごい個性的な苗字の人が居ても不思議じゃない気がして。

「――あ、いやいや俺はそもそも危険を冒して遠出する度胸は無いって。一応異能には目覚めてるけど…ありふれたただの発火能力だし」

自分の身が、という言葉に慌てて右手をヒラヒラと振って否定する。自分みたいな雑魚が訪れられる場所でもなさそうだ。
そういう意味では、このリタという少女は訪れた事がありそうな口ぶりだ。凄い能力か魔術でも使えるんだろうか。

「そうだな…まぁ、行動範囲は徐々に広げてくよ。迷ったら洒落にならないしね」

ここは風紀委員会、というところが本土で言う警察機構の代替らしいので、最悪はその人たちに頼るのが妥当か。
どのみち、危険地帯に赴く度胸は無い凡人だ。戦闘能力が高い訳でもない。

(――そもそも、ただの発火能力者には荷が重いって危険地帯なんて)

リタ・ラルケ >  
「まあ普通に暮らす分には平和な島だよ。まあ……変わった人は多いけど」

 異能がありふれている世界だから、まあ当たり前と言えば当たり前だけど。ちなみに私も含む。というか"性格が変わる"だなんて、異能が溢れるこの島にだってそうそういやしない。

「私は結構この島は好きだよ。そりゃあ、黒い部分はあるけど、変に争い続けてる世界なんかよりずっといいし。早く慣れるといいね」

 そう、彼に微笑みかける。
 ちゃんと自分は、話せただろうか。

火光雷鳥 > 「…俺はこの島は本当、初心者だから変わった人はもうちょっと島の環境に慣れてからがいいなぁ」

常世島の常識も、本土から来たばかりの少年にとっては非常識にもなる。
暫くは本土とこの島のギャップに戸惑う事になりそうだが…郷に入らば何とやら。

「――どうだろ、慣れるまでは時間が掛かりそうだけど…まぁ、俺なりに頑張ってみるよ、ありがとうリタさん」

胸を張ったり、自信満々にはとても言えない。雷鳥という男はそこまで堂々とは出来ない。

だけど、少年なりに彼女が言いたい事は分かった気がする。黒い部分というのがものすっごい不安だが!!

リタ・ラルケ >  
「ん、どういたしまして」

 上手に話せたかは微妙だけど、役立ててくれたなら嬉しい。
 軽く言葉を返して、横目で時計を見る。……そろそろいい時間かな。あまり遅くなりすぎると、補導とかされかねないし。

「私はそろそろ帰ろっかな。君はどうする?」

 帰る前に一応、聞いておく。

「まあ、まだここにいたいっていうなら止めないけど」

火光雷鳥 > 「…え?…うわ、もうこんな時間か!俺も帰るよ。流石に土地勘の無い場所で長居は出来ないし」

もうちょっと地理の把握をこなせたらいいんだけど。まだまだそこは、うん。
ともあれ、ベンチから立ち上がりつつ、地図は折り畳んでポケットに。

「えーと…常世寮は確か――……。」

少女に挨拶をしてから、歩き出そうとして…動きが止まった。ややあってから、物凄い気まずそうに振り返り。

「……ごめんリタさん。常世寮の近くまで案内頼めるかな?」

何とも情けないが、ここは素直に頼るしかなかったのだ。

リタ・ラルケ >  
「……なるほど?」

 ……まあ、来たばかりということだし、仕方ないか。
 方向音痴のきらいがあるとか、そういうことではないと信じたい。

「……じゃ、ついて来てね。私は女子寮だから、途中までね」

 彼に背を向け、常世寮に行く道を向かう。
 道案内だとしても、人に頼られるのがちょっとだけ嬉しくて。自分はいつとはなしに、微笑を浮かべていた。

ご案内:「常世公園」からリタ・ラルケさんが去りました。
火光雷鳥 > 方向音痴ではない!方向音痴ではないんだ!ちょっと、土地勘が全然なくて道に迷ったというか、現在位置を見失いかけてただけなんだ!!

(―――あ、いやそれはそれでつまり俺は迷子になってたのでは?)

駄目じゃん!?と、頭を抱えそうになったが、挙動不審になると少女に不振そうに見られそうだから止めた。

背を向けた少女に慌てて小走りに追い付きつつ、隣に並んで歩き出そうと。ただ、彼女の微笑を見れたかどうかは分からない。
ともあれ、一人でも面識が持ててちょっぴりほっとした紅蓮の支配王(偽)だったとさ。

ご案内:「常世公園」から火光雷鳥さんが去りました。