2020/09/27 のログ
柊真白 >  
「長く?何の話?」

とぼける。
一応書類上は十四歳と言うことになっている。
異邦人、ではなく人外なのは間違いないが。

「真くん、おじいさんになってもそんなポーズしてそうだよね」

そして腰を痛めてそう。
曲がった腰でポーズを取って、腰をグギリと鳴らしている姿が見える。
そうして自販機でジュースを二本買う。
一本はお茶、もう一本はおしるこコーラ(あったか~い)。
もちろんおしるこコーラを彼に押し付けた。
有無を言わさず。

真乃 真 > 「……いや、僕は異邦人の人と話す機会が多いからね!
 そういう人達はそうかなあ…って思っただけの話さ!!
 特に深い意味はないよ!!」

……女性の年齢について触れない良識が真乃真にはある。
こう見えてあんまり踏み込まないタイプなのだ。

「お爺さんになったら……もうちょっと威厳がある感じのカッコいいポーズしたいよね!!」

なにかの武術の師範代みたいな、カッコいいおじいさんをイメージする。
……異邦人街に住んでる変わり者のお爺さんみたいになりそうだけど。そのイメージを振り払う。

「お、おしるこコーラ!ありがとう!!
 最近、寒くなってきたからねあったかいのも悪くないよね!!」

笑顔で缶を開けて飲み始める。
真はおしるこコーラいけるタイプの人間である。
ホットな炭酸もそこに合わさる小豆のつぶつぶも濃厚な甘さも全て楽しめる。
そんなタイプの人間。

苦手な人から見れば信じられないだろう。

柊真白 >  
「あと異邦人じゃない。吸血種だけど、こっちの生まれ」

異邦人は異世界人とほぼ同義だ。
種族こそ違うが異世界や異星からやってきたわけじゃない。

「歳取ったら大人しくなるものだと思うけれど」

少なくとも派手なポーズは取らないものじゃないのか。
でも大人しくなった彼は彼じゃないような気はする。
まだ二回しか会ってないけど。

「よく飲めるね……」

じとっとした視線。
信じられないものを見る目。
人の好みは千差万別だと思うが、あまりにあまりな光景に思わずしかめっ面である。

真乃 真 > 「こっちの生まれ!?もしかして《大変容》前からいるの!?
 見た目より……どおりであれだけ動けるわけだよ!」

どうみても少女のようにしか見えないその姿を見る。
……吸血種と言われればそういうような気もする…嘘ついた、見た目では分からない。

この世界で現存する吸血種、吸血鬼の多くは《大変容》により生じたもの。
特にイギリス、ロンドンには多くの吸血鬼が発生したという。

それらとは違う。本物の吸血種。

「歳とっても色々出来るほうがかっこいいからね!
 僕は色々やってる人の方がいいと思うしそうなりたいと思うよ!」

真は最後まで止まらない予定だ。
多少、鈍くなったとしてもそのころには経験で補えるだろう!

「癖はあるけどおいしいよ!!」

癖はある。確かに癖はある。癖はあるから癖になる。
自分から買って二度飲んだことがある人のおよそ8割が再度飲んでいる驚異的な癖になりやすさ。中毒性。

柊真白 >  
「大変容前のことは知らない。十四歳だから」

と言うことにしている。
二年、いや三年か、その時から十四歳だけど。
まぁ書類上十四歳だからいいのだ。

「それはわかるけれど。でも落ち着くのと歳取ってから色々出来るのはまた別の話じゃない?」

ことあるごとにポーズを取る八十歳はどうなんだろう。

「いらない。もう二度と飲みたくない」

断固拒否。
舌がおかしくなってしまう。
強い視線を向けておく。

「そろそろ私帰るね」

思ったより時間を使ってしまった。
同居人が心配する。

真乃 真 > 「な、なるほど!14歳なら仕方ないな!!!」

そう、相手が名乗る年齢がその人にとっての年齢なのだ。
ここで、でも……とか言うと刃物が飛んでくることもある。
真は良く知っている。

「流石に今よりは落ち着いているさ!!
 間違いなく!!静かにかっこいいポーズを決めてると思う!」

そういいながら激しくカッコいいポーズを決める。
これが80歳のおじいちゃんなら腰をいわしていただろう。

「で、でも昔と比べて企業努力で炭酸が強くなったり小豆の粒粒が大きくなったりしてるし……」

そう変わったのは真だけではないのだ、小豆の粒が大きくなったり缶の口のところにひっかからないようになったりしている!
企業努力だ!!

「ああ!ありがとうね!柊さん!!
 君も困ったことがあったら何でもいいなよ!
 声が聞こえたら助けるぜ!」

無駄にカッコいいポーズで伝える。
手品師もその少しずれていた眼鏡を上げて白い少女(14歳)にお礼を伝える。

柊真白 >  
「……」

そう言うことではないのだが、まぁとりあえず表面上でも納得してくれたので良しとしよう。
実年齢がバレると色々面倒なことになるのだ。

「腰には気を付けてね」

一度やるとそのあとずっと苦しむと聞く。
幸い自分に経験はないが。

「……努力するところを間違ってる」

どうせ努力するならもっとまともなところに力を使ってほしい。
げんなり。

「覚えとく。真くんも何かあったら頼ってくれていい」

そうして彼と手品師に手を振って公園を後にしよう――

ご案内:「常世公園」から柊真白さんが去りました。
真乃 真 > 「普通のコーラが飲みたいなら普通のコーラを飲めばいい、普通のおしるこが飲みたいなら普通のおしるこを飲めばいい。
 私たちはおしるこコーラを飲みたい人に向けておしるこコーラを作っている。つまりそういう事さ!」

誰の言葉かはしらないが多分そこの会社の人の言葉だろう。
含蓄があるなあ…。

「ああ!ありがとう柊さん!!
 僕は人に頼る事にかけてはスペシャリストだからね!!
 頼らせてもらうぜ!!」

…あまり褒められたスペシャリストではない。

……腰まわりのストレッチ今からしっかりやっておいた方がいいだろうか。
足とか伸ばすといいんだっけ??

未来の自分の腰に思いを馳せながら休日は過ぎていく。

ご案内:「常世公園」から真乃 真さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に角鹿建悟さんが現れました。
角鹿建悟 > 先日、リハビリと最後の検診を済ませ――肉体はほぼ復調した、との医師のお墨付きを貰って本日の朝に退院――その足で一度、生活委員会本部に出頭して詳細な事情説明と”通達”を受けた上での帰り道。

「……久々に歩き回った気がするな…。」

常世公園、その一角にあるベンチに腰を下ろし背を預けながら一息。
先ほど、生活委員会から通達された事実を反復する――まぁ、予想はしていたし当然だろうが。

「……修繕部隊は”クビ”か……さて」

どうしたものか。生活委員会そのものにはまだ所属しているし、一般生活委員としての活動になるのか。
どのみち、左手首に付けた黒いリストバンド…異能封印制御装置の一種…は、引き続き装着するように通達されている。

――つまり、どのみち直す仕事はロクに出来ない、という事になる…それが戒めの一つだ。

「……参ったな…。」

今後の事を”ゆっくり”考える時間が出来たと思えばいいのだけど…じっと何もしないでいるのは苦手だ。
今まで、逃避も込みで直す事に全力を注いできただけに…立ち止まってしまった今、行き先が分からない。
かといって、ずっとこの場所で足踏みをしている訳にもいかない…悩ましいものだ。

角鹿建悟 > 「――いっそ、生活委員会も一度辞した方がいいのかもしれないな…。」

ぽつり、と漏らすが流石にそれは性急だろうか。一般の生活委員としてインフラ整備などを全うするのも勿論良い経験になるだろうが。
今の自分に必要なのは、人と向き合うこと…そして自分と向き合うこと。
先日、とある先輩にも諭された事だ…自分自身とも向き合っていかなければならない、が。

「…自分と向き合う、というのは…。」

難しそうだな、とややしかめっ面。難しく考え過ぎなのかもしれないが…今までの自分を省みる所から始めるべきだろうか。

「………ちょくちょく交流しているが、殆ど直す事しかやってないな、俺は」

ちょっと、この6年間を可能な範囲で思い出して振り返る……成程、確かにこれは…。

「――一度”止まって”正解だったんだろうな…。」

ご案内:「常世公園」に劉 月玲さんが現れました。
劉 月玲 > 輸血パックをちうちうと吸いながら、公園を歩く。
自分の主食であるとはいえ、日に何回も飲まないといけないのは効率が悪いというか。

(むー、やっぱり生のほうが美味しいかも)

安定しているO型でも、やっぱり冷凍食品は美味しくない。
内心ぶーぶー文句を言いながら休日にお散歩しつつ。

ベンチに座っている男性にふと視線を向ける。

角鹿建悟 > 「……ん?」

ふと、視線を感じた気がしたので何気なくそちらに仏頂面をゆっくりと向ける。
銀色の瞳が捉えたのは、何か赤いパック――いや、どう見ても輸血パック?を、吸っている少女だ。

小柄な体躯に、短いスカート、桃色の…何という髪型だったか…ああ、ツーサイドアップ、だったか?

血を吸っている、というのはそういう種族も普通に居る島だから驚きは無いが…。
ともあれ、視線が偶然でもかち合ったならば、軽く会釈くらいはしておこう。そういう所は真面目だ。

(…吸血鬼…いや、今は昼間だから…デイ・ウォーカーという可能性も?)

正直、今まで直す事に没頭してきたので、異邦人や異種族の生態や詳細はさほど詳しくは無い。

劉 月玲 > 会釈を受け、数秒間、じっと彼を見つめる。
理由は特にないが、じっと見つめる。
そして、うん、と頷いてから

「こんにちは、お兄ちゃん。
お休み中なの?」

とっとっと、と軽くステップしながら近づいて声をかける。
声をかけた理由なんてない。
ただの暇つぶしだ。

角鹿建悟 > 「……?」

会釈はしたが反応が薄い。いや、何かじっと見られている…何かおかしい所でもあるだろうか?
顔は…ちゃんと洗顔もしているし寝癖なども無い。
服装…そもそも制服と作業着とジャージしか服を持っていないから、制服が一番マシなのだ。
その他色々考えてみるが、じっと見られるほどのものはないので内心で首を傾げるが。

「――いや、ちょっと2週間ほど入院していてな…今朝、退院してきたばかりだ。
今は少し散策しながらの帰り道なんだが…まぁ、小休止といった所だ」

軽いステップで近寄ってきた少女から声を掛けてくる。こちらも無表情だが律儀に答えよう。
特に理由が無くても暇潰しでも、こちらも時間を少し持て余していたので丁度良い。

劉 月玲 > 「ありゃー、入院してたんだ。
じゃあ退院祝いだね!」

うむ、と強く頷き何かを決心。

「お兄ちゃんはこしあんとクリーム、どっちが好き?
私はこしあんだけど――あ、いまならずんだもあるかも?」

背中に羽――コウモリのような翼を生やしながら、そんなことを聞く。

角鹿建悟 > 「…退院祝い…とは?……あぁ、いや、どちらも行けるが…じゃあ、クリームで…。」

ずんだ、は聞いた事ある気がするけど何となく回避しておこう、何となく。
少女の背中に蝙蝠のような一対の翼が生えれば、そちらに視線を向けて緩く瞬き。

(輸血パックに、蝙蝠の羽…やっぱり吸血鬼かそれに近い種族なのか?)

今まで直す事ばかり費やしてきた時間が消えた為、今は”相手を見ている”。
そうなると、些細な疑問などもついつい湧き出てくるが、初対面で質問攻めは失礼だろう。

劉 月玲 > 「ん、じゃあちょっとまってて」

ばさり、と翼を動かせばそのままふわりと浮かび、空へと飛んでいく。
どこいくねん、という疑問も無視して約5分したころ。

「ただいまー♪
はい、退院祝いのたい焼き」

上空からゆっくり降りてきて、着地。
胸に抱えている袋からたいやきを差し出す。

角鹿建悟 > 「…了解した」

頷くが、そのままふわりと浮かび上がって翼を羽ばたかせて何処かへと飛んでいく少女を見送り。

(――そもそも、何処に何を買いに行くんだろうか?)

肝心の事を聞きそびれた気がするが、待ってて、と言われたので大人しくそのままベンチに座してぼんやりと待つ。

そして5分ほど経過した頃に、上空に影を感じて視線を上げれば、ゆっくりと舞い降りて着地する先ほどの少女。
胸元に何か袋を抱えており、その中身は――…

「…たい焼き…わざわざ買いに行ってくれたのか?…と、すまない有り難く頂こう」

この辺りにたい焼きの屋台や店は見掛けなかったが…いや、だからこそ飛んで近場の店までショートカットしたのだろうか。
ともあれ、軽く頭を下げて礼を述べながら差し出されたたい焼きを受け取ろうかと。

劉 月玲 > 「うんうん、どうぞー♪
あ、お茶もあるからね」

そういって小さいカップをベンチに置き、自分も隣に座る。
カップの中は紅茶のようだ。

「で、なんで入院したの?
喧嘩でもした?」

袋からたい焼きをとりだして一口。
こしあんの甘さに笑みを浮かべながら訪ねる。

角鹿建悟 > 「…わざわざ飲み物までか…ありがたい」

確かに、退院して生活委員会本部に出頭・報告してから現在まで何も飲み食いしていなかった。
隣に座る少女がベンチに置いた小さなカップを覗く…色と香りからして紅茶だろうか。

「…ん?…ああ、ちょっと精神的にこう…折れたというか。あと、仕事に没頭し過ぎて肉体的にも限界近かったからな。
…まぁ、ハードワークのやり過ぎ、みたいなものかもしれない」

流石に、それなりに気心が知れた相手くらいにしか詳細な事情は話せないが、語る言葉も間違いではない。
実際、精神は”折られた”し肉体も今までの無理の反動でかなり危なかった。

そう簡潔に事情を語りつつたい焼きをこちらも頬張る…中身はクリームだ。
たい焼きといえば餡が定番だろうが、こういう中身も悪くないと思っている。

「…それで、そちらは?先ほど、気のせいでなければ輸血用のパックを吸っていたように見えたんだが」

劉 月玲 > 「そうなの?
じゃあ今は休憩期間だねー。
1年ぐらいゆっくりして、また新しいこと始めたらいいんじゃないかな」

んまんま、とたい焼きを食べながらてきとーに答えてしまう。
彼がもっとまじめに、といえばそれもやぶさかではないが、今はとりあえずてきとうに、そんな答えを返す。

「んむ、わたし?
お腹空いたから輸血パックを吸ってたの。
でも、輸血パックって鮮度よくないし、そんなに美味しくないからどうしよっかなーと思ってたところにお兄ちゃんがいたから。
悩みを聞くついでに血を吸わせてもらおうかなーって♪」

隠さない本音。
ようは、君の体目当てなのさ。

角鹿建悟 > 「…流石に1年間はちょっと辛いな…いや、入院してる時に知人にも言われたんだが。
”ゆっくり”過ごす…と、いうのがどうにも苦手というか慣れなくてな…。
ゆっくり考えたりするのが大事だというのは俺も分かってはいるんだが…。」

決して無駄な時間ではない。特に精神がまだ弱っている今の状態では尚更に。
それでも、今まで我武者羅に直し続けて、人と向き合う事すら疎かにしてきたのだ。
…何かしていないと落ち着かない。直す事が出来ない今は特にそう思う。

適当な返答だろうと、こういう会話の積み重ねも今の自分には特に必要だ。
だから、不平不満も言わずゆっくりとたい焼きを頬張りながら合間に答える。

「……ああ、新鮮な生き血の方が美味、という事か…血を吸うのは構わないが、俺のほうに影響は?」

例えば貧血だとか倦怠感だとか。吸血については至極あっさりと構わん、という旨を述べつつ。
むしろ、彼が気にしているのはこちらへの影響とかそういうもの、らしい。

…冷静に考えれば、こちらの体(血液)目当ての相手とか初めて会った気がする。

劉 月玲 > 「んー、そっかぁ。
お兄ちゃん真面目な人なんだね」

そりゃあ、ハードワークで倒れる人だしそうなのかもなぁ、と思い。

「とりあえずー……こうやって友達とお話して時間をつぶすとか、趣味に没頭してみるとか……?
あ、女の子をナンパしてみるとか?」

なんか悪いことを言っているが、それぐらいはっちゃけてみるのもありじゃないか、という意味らしい。

「影響?
んーと……貧血は起きないとおもうけどー……。
痛いのは嫌い?首カプッとするから人によっては泣いちゃうけど」

以前かぷっとしたら泣いちゃった人いたし。
多分それなりに痛いらしい。

角鹿建悟 > 「…真面目とか堅物とか…あと、おっさん臭いとはまぁ指摘された事はある…な。」

実際、倒れたのは精神的に折られてそれに引き摺られる形で肉体が限界を迎えた、というもの。
どちらにしろ、限界間近の肉体を精神…気力だけで持ち堪えていたようなものだ。

「…ああ、周りと会話をするのは大事だと思ってる。何人かに言われた事でもあるし。
…趣味は…今の所は特に無いな。…ナンパは…悪友に誘われて一度同行したが、正直俺には合わない」

と、いうか女性のあれこれとかサッパリ分からない、とばかりに肩を竦めて合間に紅茶を一口。
しかし、吸血の影響を彼女の口から聞く限りでは…痛み以外は特に無さそうだ。

「…あぁ、痛みに対してはそれなりに我慢強いつもりだから問題ない。
…だから、そちらが吸いたいなら俺は別に構わない、とは言っておく。」

痛みの我慢など慣れた物だ。6年間そうしてきたのは伊達ではない。

劉 月玲 > 「わー……お兄ちゃん枯れてるねぇ……」

見た感じ、まだだいぶ若そうな彼だが。
ほんとに生真面目な人なんだ。

「じゃあじゃあ、今度一緒にどっかいこっか!
といって約束しても、わたしあんまり約束とか覚えられないからまたどこかで会ったら、だけど」

常世渋谷とかいくー?と誘ってみつつ。

「一応、痛みを無くすことも出来るけど。
ただ、人によってはえっちな気分になるから大変らしいんだよねー」

それでも痛いほうえらぶ?と尋ねる。

角鹿建悟 > 「……あぁ、そうか。こういうのを”枯れてる”というのか。」

成程、勉強になったとばかりに頷く。実際少女の指摘は間違っていないのだ。
青春、というか若者らしいあれこれと縁遠い生活だったので…その結果の一つが”コレ”だ。

「……ん?…ああ、構わないが俺と出掛けて楽しいかは保証出来ないぞ。
あんまり流行とかそういうのも分からんし……と、いうか覚えられない?」

記憶力が悪い?いや、そんな感じにも思えないが…まぁ、何処かで偶然、というのも悪くは無い。
常世渋谷…仕事の依頼で訪れた事は何度かあるが、プライベートで赴いた事は一度も無い。

(変な噂も小耳に挟んだ事があるし…今度行ってみるか)

ゆっくりただノンビリと過ごすのは慣れない。なら行動するしかない。
少女のお誘いに「ああ。構わないぞ」と静かに頷きながらたい焼きの残りを口に放り込んで…ごちそうさま。

「…なんだそれは。催淫効果、というやつか?…なら痛い方で構わない。影響は出来るだけ少ない方が助かるからな」

と、迷いもせず痛い方を選択。エッチな気分とか多分ロクな事にならない気がした。

劉 月玲 > 「んー、なんかねー。
異能?の影響らしくてスケジュールというか、日にちの感覚がわかんないの。
だからまた今度会ったらね!」

約束自体は覚えられるんだが、日付となると覚えられないために、まぁ出会ったら、という感じになる。
どこで出会うか、にもよるのだが。

「そーそー、さいいんこうかってやつ!
お兄ちゃんみたいな人がえっちになったら……それはそれで興味があるけどぉ~……」

にやにやと笑いながら、上目遣いでじっと見つめる。
大丈夫、まだなんの魔眼も使ってないよ。

角鹿建悟 > 「異能の影響?…スケジュール…日にちの感覚…つまり、日時とかの時間感覚がさっぱりなのか。
…割と日常生活では大変な気がするが…休日に学園に行ってしまったり、とかもありそうだな」

生活は出来るかもしれないが、時間間隔というのは結構大事なもの。それが分からないのは不便な気もするが実際はどうなのだろう?
まぁ、出会ったらという事で了承しておこうか。彼女がそういう問題を抱えているならしょうがない。

「……いや、本当に勘弁してくれ。…それより、こっちはもう何時でも構わないが?」

上目遣いでにやにや笑いつつからかってくる少女に、降参とばかりに軽く右手を挙げて。
その手で己の首筋辺りを軽くとんとんと示す。既にたい焼きも食べ終えたし紅茶も馳走になった。

劉 月玲 > 「うん、毎日行っちゃう。
今日もさっきいってきたしー」

学校に行ったら誰もいないので、休日だとようやく気付く。
不便というか、早起きが習慣になってしまう。
たまにスマホみて気付くこともあるが。

「ちぇー、じゃあまた今度会った時に不意打ちでするね」

謎の宣言。
けらけら笑いつつも、それじゃあ、と牙を見せつつ、ひょこひょこと彼の膝の上まで移動して対面になるように座る。

「じゃ、お兄ちゃんの血、頂くね。
痛くても泣いちゃだめだよ?」

そう言ってから、合図も無しに、首元に顔を近づけカプッと牙を刺す。

角鹿建悟 > 「……或る意味で規則正しい生活になりそうだな…。」

休日も早起きとかしていそうだ。でも、考えたら携帯などを見れば一発で分かる気もする。
ただ、話している限りは彼女自身があまり深刻に考えていないようにも思えて。

「……待ってほしい。それは不意打ちで襲われるという事か…俺が」

謎の宣言に、僅かにきょとんとした後に一応確認を。いや、少女の見た目を考えると色々とあらぬ噂になりそうで洒落にならないのだが。

と、彼女の牙をまじまじと眺めながらも、膝の上に移動した少女と対面の形に。

(――この構図が第三者から見ると既に不味い気がするんだが…大丈夫か?)

さりげなく周囲を窺う。休日の公園、しかも昼下がりなので人の姿もそれなりに。
時々、通行人達から変な目で見られる……頼むからスルーして欲しいと思う。

「…痛みは慣れてるから気にしないで良い。さっきも言ったが。…やってくれ」

そう告げれば、合図も無しにこちらの首元へと少女の顔が近づいて――皮膚を突き破る感触と共に、彼女の牙が刺さり痛みがやって来る。

「………。」

顔色一つ変えず、声も漏らさずにじっと耐える…確かに思っていたよりも痛いが耐えられない程ではない。

劉 月玲 > 首筋に刺した牙の穴から血が溢れてくる。
それをちうちう、と吸ったり舌で舐め取り血を補給。

周りの視線など気にせず、ごはんをちうちう。
だって自分にとってはこれが食事なのだから仕方ない。
まぁ、彼への視線はご愁傷様としかいえないが。

「――んー、おいし♪
これは……お兄ちゃん、AB型ね!」

角鹿建悟 > 「………!…。」

痛みは我慢できる。出来るのだが…吸われたり舌で舐め取られる、とか全然慣れていない。
…結果、声は漏らさないがぴくり、と僅かに身じろぎくらいはしてしまうもの。

(…痛みは慣れてきたが…それ以外が慣れない…!)

そもそも、吸血行為を経験するのが初めてなのだから無理も無いのだけど。
あと、まだ通りすがりの人々の視線を時々感じる…クラスメートや知人友人に見られたら確実に誤解される。

「……確かにAB型だが…そういう血液型とかも分かるのか…?」

やっぱり味とかも千差万別なのだろうか?と、そんな疑問が沸いて来る。
まぁ、マズいと言われるよりは全然いいのだが…この状況、間違って通報されたりしないか心配だ。

劉 月玲 > 「ん、AB型はわかりやすいかもー。
なんかねー、珍味な感じなの。
珍味っていってもまずいわけじゃなくて、わりかし美味しかったりもするんだけど」

首から牙を離し、あふれ出る血をちうちう吸いながら答える。
キャビアとかを美味しいと思うかどうかに近いところはある。
勿論、あとはその人の体調などにもよるのだが。

「ん、ごちそうさまお兄ちゃん♪
美味しかったよ」

しばらくして、首から口を離してご馳走様。
自分のシャツや胸元に血がついているが、気にしてはいないようだ。

角鹿建悟 > 「……俺の血液は珍味だったのか……感想から察するに、そちらの口には合ったみたいだが…。」

美味しい、と彼女が呟いていたので珍味でも不味かったり変に癖がある訳ではなさそうだ。
まぁ、吸血されてマズい、とか言われると何とも言えない気持ちになりそうなので、そこは良かった。

「……お粗末様。あと、ほら…一応拭いておいた方がいいだろう」

と、ハンカチを片手で制服のポケットから取り出して渡そうとする。
流石に、シャツや胸元とかこちらが拭く訳にはいかない。ただでさえ通行人の目が微妙に厳しいのだ。

劉 月玲 > 「ん、ありがとー」

借りたハンカチで口やら胸元をふきふき。
大丈夫、見られても恥ずかしくない下着です。

血を拭き終わり、ちょこちょこと膝上から降りつつ。

「ごちそうさまでした。
ハンカチは洗って返したほうが良いよね?」

血液は落とすの大変なのよね。

角鹿建悟 > 「……どういたしまして…。」

と、緩く頷きつつ、彼女が口元や胸元を拭いている間は視線を逸らして改めて周囲を見る。
…親子連れと視線が合った。…変な沈黙。子供が「ママーあの人たち何してるの?」「しっ、見ちゃいけません!」みたいなやり取り。

(……そう見えるのは仕方ないんだが…)

心の中で少々嘆きつつも、少女の言葉に我に返り視線を戻す。ハンカチについては――…

「いや、別にそのまま返してくれてもいいが。俺が洗濯するし…。」

彼女の時間間隔の問題もあり、次に何時会うかそもそも分からない。
まぁ、少女に預けておくのも”縁”が繋がった、という事でそれもいいかもしれないが。

劉 月玲 > はふぅ、と満足気にため息。
余は満足じゃ。

「んー、でも血を落とすの大変だし、また会った時返すよ。
会った時に持ってなかったらまたその次に返すことになるけど。
そうしよそうしよ」

えへへ、と笑いながら無理やり、ハンカチを自分のポケットに入れる。
彼の苦悩など露知らず。
何事もないかのように普通に返事をする。

角鹿建悟 > 少女が満足げに吐息を漏らす。それは何よりだが、こちらは周囲の視線に気付いているので落ち着かない。
とはいえ、普段の態度はなるべくは保ちながら改めて少女に意識を戻しておく。

「……そうか?じゃあ、一先ずそちらに預けておく。まぁ、事情が事情だからそこはしょうがない。
別に急ぎで返して貰いたい、という訳でもないからな…そういえば」

ふと気付いたように。今の今までお互い自己紹介すらしていなかった、と思い出して。

「…俺は1年の角鹿建悟だ。…そっちの名前を聞いてもいいか?」

少女へと名前を尋ねつつ…そういえば、ずっとこの膝の上に乗られつつの対面姿勢はマズい。
主に周囲の目線が。吸血行為も終わった事だし、彼女の肩を優しくポンポン、と叩いて退いて貰うようにお願いを。

劉 月玲 > 「ん、私は劉 月玲。
でも呼びにくいと思うから、シャオリンでいいよ?」

大陸の名前は難しいだろう、とニックネームを教えつつ、ゆっくり膝上から降りて地面に立つ。
ぱたぱたとスカートや服の乱れを直しつつ。

「私も1年だけど、屋上とか女子寮にいることがおおいからなにかあったらそっちに来てくれたら会えるかも」

角鹿建悟 > 「……分かった、じゃあシャオリンと呼ばせて貰う。俺も建悟でいい…。」

少女が膝から降りて地面に降り立つのを確認すれば、たい焼きの袋や紙コップを纏めてベンチ近くのゴミ箱にダストシュート。
そうしてからこちらもゆっくりと立ち上がり。そろそろ一度帰宅しておかなければ。

「…屋上は分かるが、流石に女子寮は男子が一人で訪れるのは度胸が要るんだが…。」

特に、自分のように背丈や体格はそこそこで、無表情みたいなヤツは余計に変に見られないだろうか?

「……さて、シャオリン…俺はそろそろ寮に戻るがそっちはどうする?」

劉 月玲 > 「んー、そう?
女子寮のみんな、優しいから大丈夫だとおもうけどー」

本人の度胸が足りない話なのに、大丈夫とはどうなのか。
微妙に通じていない話をしつつ。

「私もかえるー。
お腹いっぱいになったし、お昼寝しよっかなーって」

そういいながら、ぴょん、とジャンプをして彼の背中に乗っかる。
いつの間にか翼をだして浮かんでいるので、重くはないはず。

「それじゃ、女子寮まで案内よろしく!」

角鹿建悟 > 「……そもそも、女子の知り合いがまだそんなに多くないからな…。」

しかも、知り合いや友人の女子達がみんな女子寮とは限らない訳で。
まぁ、余程の事情が無い限りは能動的に女子寮を尋ねる事はまずしないかもしれない。

と、不意に背中に重みが…いや、軽いけれども。…ちらり、と見上げれば背中にシャオリンが飛び乗っていた。翼を出しているから半分浮遊しているようなもの。
そのお陰か、重さはそんな感じないのだけど…。

「…いや、まぁ男子寮も同じ敷地だから構わないんだが…この体勢は何なんだ…」

と、言いつつもシャオリンを背負いつつ歩き出そうと。女子寮まで彼女を送り届ける間は、適当に雑談でもしながら。


ちなみに、周囲からやっぱり変な目で時々見られていたのはご愛嬌である。

ご案内:「常世公園」から角鹿建悟さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から劉 月玲さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に御白 夕花さんが現れました。
ご案内:「常世公園」にクロロさんが現れました。
御白 夕花 >  
ぎらぎらした暑さも落ち着いて、涼しい風が頬を撫でる秋の昼下がり。
常世公園のベンチに座って、近くの自販機で買ったお茶を飲みながら空を見上げる。

「うーん……」

自分の異能と向き合う、そう決めたはいいものの。
具体的に何から手を付けたらいいのか思い付かなくて、さっそく手詰まり気味。
ただ、別の方向───魔術の観点からアプローチするっていうのは悪くないと思った。
私に魔術なんて使えるのかどうか、そこから確かめる必要があるけれど。

クロロ >  
「よォ、何してンだお前?」

これは、ある日の数日前のお話。
ベンチに座って悩んでいる御白の前には
いつの間には人相の悪い青年、クロロがいた。
無法者であるが自由奔放なクロロは表にもよく顔を出す。
悩んでいる身内の姿を見れば、この男が声を掛けないはずもなかった。

「なンだ?腹でもいてェのかお前?」

質問の仕方は実に馬鹿っぽかった……。

御白 夕花 >  
「……あっ、クロロさん。こんにちは」

人の気配を感じて顔を下ろせば、そこにいたのはクロロさんだった。
声かけに軽く会釈して、考え事ですって答えようとしたら斜め上の反応。
思わずベンチからずっこけそうになったのを必死で堪えた。

「ち、違います! この前のこと……異能との向き合い方について考えてて」

きっかけをくれたのは彼だから、変に取り繕ったりはしない。
触れるもの全て燃やしてしまう炎の体を魔術でどうにか抑えている人。
見た目は荒っぽそうなのに、すごく繊細な事をしていると思う。

「そうだ、魔術の素質ってどこで調べられると思いますか?」

そんなクロロさんにアドバイスを貰おうと、ベンチの隣を空けながら訊ねてみた。

クロロ >  
「おう」

挨拶には応じる。適当な返事だが。
ずっこけそうになる御白に不思議そうに首を傾げた。

「アー、ソレか。ちゃンと考えてるみてーで感心したぜ」

前回の訓練施設の一件。
自分なりに向き合うように仕向けたのは自分だ。
如何やらあれから、彼女なりに前向きに動いているらしい。
重畳、と口元は満足げに笑みを浮かべた。
空けられた隣には座るも、ちゃんと距離は開けている。
幾ら人型とは言え、本質は炎。人に触れれば、火傷する程の体温はしている。

「ア?アー、そーゆー道具とかありゃ出来るし、なンならオレ様も調べれるけど?」

しれっと言ってのけた。

御白 夕花 >  
「えへへ……出来る事からやっていこうって決めましたから」

トレーニングも続けてるけど、出力のコントロールにまでは至ってない。
だからこそ新しい事に挑戦したいと思った。魔術もその一つだ。
とはいえ、あまり他人に事情を知られたくないな……と思ったところに助け舟。

「えっ、クロロさんに調べてもらえるんですかっ!?」

知り合いが見てくれるなんて願ってもない。クロロさんなら猶更だ。
まだやってくれるって決まったわけでもないのに喜びすぎてしまった。

クロロ >  
「いいじゃねェか。そう言うのでいいンだよ。
 いッぺンにやるよりか、手ェ付けられる所からやッてきゃいいンだよ」

人間身の丈にあった事をするのが一番だ。
急いては事を仕損じると誰かは言う。
勿論急ぐべき時はなりふり構っていられないが
こう言う事こそ急がば回れと言う奴だ。
くつくつと愉快そうに喉を鳴らして笑っていた。

「アー、別に調べてやッてもいいけど。お前ッてこーなンか。
 魔術とかマホーとか言わずに、なンか道具とか使ッた事ある?」

それこそ異能に頼らず、何かしら魔力に触れるようなものなら何でもいい。
その辺りの前提があればある程度図れると言うもの。

御白 夕花 >  
「道具、ですか? んっと……」

普段使っているものは市販されている電子機器。
鞄から取り出して見ても、特に魔術的な機能は搭載されていない。
唯一例外があるとすれば『トゥルーバイツ』の時に持たされた"デバイス"だけど、私は結局あれを起動できなかった。
だからノーカン。そもそも、起動してたら今頃ここにいないし。

「あっ、認識阻害の魔術がかけられた偏光バイザーなら持ってます。
 私がかけたわけじゃないですけど……」

認識阻害をかけてもらうようになってから顔バレはしてない。
特に体調が悪くなったりもしてないし、拒否反応とかはなさそうだ。

クロロ >  
「アー、そうか。オレ様達ならそうだな」

"仕事"と来れば何時でも被る。認識阻害のあれ。
あれ位の誰でも出来るものなら"アレルギー"とかはなさそうだ。
異能も魔術要素もありそうだし、素養自体は問題なさそうだ。

「そンじゃァ、オレ様流でやるか。飽く迄オレ様のやり方だからな。
 ほかの奴にやッてもらッたらなンかタショー違ェかもしンねェけど気にすンな」

それこそ、調べ方は魔術師の数だけ無限にある。
公園に落ちていたその辺の木の枝を蹴り上げ、キャッチ。
その木の枝の先端に指先を向ければ、水滴のように火が落ちた。
小さく灯る、小さな火。その日に"何か"、念じるようにつぶやいた。

「よし、持て。持ッてこー、なンかパワーを送る感じでやッてみろ。
 異能を使うのと似たような感じでもいいけど、間違ッてもビーム出すなよ?」

ズイッ、と火のついた枝を差し出す。
この小さな火こそ、クロロの一部。魔力の火。
触れたものの魔力の大きさを、その火が表してくれるものだ。
彼女の適正があれば、その火は大きな炎と迸るだろう。
実にシンプルな適正調査だ。
但し、水属性が得意な素養だったり、何かしら"イレギュラー"があると瞬く間に消えてしまうのだが
彼女の適正は、如何程だろうか。

御白 夕花 >  
「大丈夫です。よろしくお願いしますっ」

魔術については詳しくないけど、異能と同じで種類も扱い方も様々なんだろう。
逆に言えば、今日ダメでも別のやり方なら可能性はゼロじゃないってことだ。

「わ、木の枝が燃えて……これにパワーを送る感じですね。
 よく分かんないけど、やってみます!」

ベンチから立ち上がって、松明みたいになった木の枝を握りしめる。
目を閉じて意識を集中させながら、並列思考で異能を放つ時とは違う"光"をイメージ。
この光を自分の中で大きくする感じで……暗闇に火が灯るように淡い輝きを膨らませていく。
そして、光が一番強くなったタイミングで目を見開いて、ぐっと握る手に力を込めた。

「───はぁっ!」

瞬間。

御白 夕花 > ボァッ!!
御白 夕花 >  
光が弾けるような感覚と共に、枝の先の炎が大きく膨れ上がった。
だけど、それはほんの一瞬で───すぐに元の小さな火に戻ってしまう。

「あ、あれ……? うまくいったと思ったのに……んっ、んっ!」

何度も同じように念じてみても、火はうんともすんとも言わずに揺らめくだけだ。

クロロ >  
後は事の成り行きを見守るのみ。
両腕を組んで、御白の事を見据える金色。

「……オ」

瞬間、大きく膨れ上がった炎に感心の声が漏れた。
中々の大きさだ。これは中々見どころがありそうだ。
……と、思った矢先、元に戻ってしまった。
持続する事も無く、まさに花火のような一瞬の出来事だった。

「随分と変わッた感じしてンな……?
 普通ならそのまま燃えたままなンだが……」

必死に念じる傍らで訝しげに声を上げた。
これはこれで、特異的な気配を感じる。

「落ち着け。シンコキュー。もー一回最初みたいな感じでやッてみ?
 無理そうなら無理そうでいい。オレ様にも色々考えがある」

御白 夕花 >  
「は、はい。深呼吸…………すぅ、はぁ……」

焦っちゃうとイメージもうまく固まらない。
クロロさんに言われた通り、深呼吸をしてもう一度神経を研ぎ澄ませた。
今にも消えそうな光を絶やさないように、ゆっくりと育てていく。

「───ふっ!」

しゅぼっ!

「───やぁっ!」

ぼぼっ!

「───ふんぬぁ!」

ぼわわっ!


~~~~~数分後~~~~~

「はぁ、はぁ……」

集中すれば火は大きくなるものの、やっぱりすぐに消えてしまう。
ひょっとして、光をイメージしてるから一瞬しか伝わらないのかな……?

クロロ >  
「…………」

顎に指を添えて、シンキングフェイス。
なんだかそれこそ光のようにちかちかついたり消えたりしている。
分かったのは、間違いなく相応の"素養"がある事だ。
多分これはイメージの問題かもしれない。

「もッとこう、ずッと光らせるイメージを付けろ。消すな。
 今、お前の目の前にあるのは炎でもビームでもねェ。
 それこそ、輝く"イットーセー"みてェに、暗闇に光を灯し続けてみせろ」

一瞬の煌めきではない。
誰かの為に輝くような導の光。
さて、推察が正しければ恐らくは……。

御白 夕花 >  
クロロさんも同じ事を思ったみたい。
もう一度、今度はイメージの形を変えてやってみよう。

「輝く一等星みたいに、暗闇に光を灯し続ける……」

真っ暗な夜空に星を光らせるように、心の中の小さな光を手繰り寄せて。
思い描くのは私のコードネームにもなっている真珠星《スピカ》───