2020/12/24 のログ
ご案内:「常世公園」にレナードさんが現れました。
レナード > 寒空の中を、少年は独り往く。
どこへと目指すともなく。
だれかと過ごすでもなく。

師走の頃のこの日は特に、学生街や繁華街などは忙しないだろう。
そんな浮き立つような雰囲気がどうにも合わなくて、適当に時間を潰せればいいやとやってきたのは公園で。
そこでさえも、今日は不思議と、普段よりも寂れて見えた。

「寒いし。」

秋の初めに借りたこのローブ。
今となっては正体を隠すために身体を覆っているつもりではないのだけれども。
不思議と熱を通さないのか寒さにはもってこいのものだったから、今も借りたまんまでいる。
今日は風が少し吹いているが、それは寒さを通さない。

では、なにを指して寒いと言ったのか。
不意に口を突いて出たその言葉の意味に気づいた辺りでため息が出る。
蛇はどうやら、心も体も冷えるのは苦手なようだ。
とはいえ、公園の入口の前で立ち竦むのも何なので、大人しく公園の中にと足を踏み入れる。
さくさくと砂を蹴る、一人分の足音が嫌に耳に響きながら。

レナード > 「……クリスマス、かあ。」

クリスマス。
その在り方は多種多様と聞く。
いいこにしていた子は翌朝プレゼントがもらえるとか。
大人であっても、家族と過ごす者がいれば、大切な相手と過ごす者もいると。
そういう催しだとは知っている、が、それに浸るより先に気恥ずかしさが生まれてしまう。
純粋に楽しめるのが一番だとは、分かっているのだけども。

いつぞやに、友人と会ったベンチの傍までふらふらとやってきた。
ぶかぶかの袖を捲りながら、僅か積もった埃を手で掃う。
ある程度除いたところで、腰掛けた。

「………。
 いいな、誰かと楽しめるって。」

誰に言うともなく、羨む。
見上げた寒空は、星の見えない曇がかったものだった。

レナード > そうして暫く時間が経った頃だろうか。
案外こうしていても、過ぎるものは過ぎる。
そろそろ大通りも人気が少なくなってきた頃だろうか。

「さて、そろそろ行くかし。」

ふらりとベンチから立つ。
その場でぐぐーっと伸びをして、頬を三度ほど両手で叩いた。
軽い気付けだったが、それでも十分効果はある。

「…………勉強、しなきゃなあ。」

気分転換もそこそこに、ゆっくり帰路に就くことにした。
来た時と同じように、独りであることに変わりなく。

今年が終わる。だが、年が明けたらまた忙しくなる。
少しの間とはいえ、休学扱いになっていたのだから。
復帰した今は、その遅れを取り戻さなければならない。

公園に、再び静寂が戻った。

ご案内:「常世公園」からレナードさんが去りました。