2021/10/31 のログ
イェリン > 小さく笑うセレネを見、パチパチと目を瞬かせる。
なにが可笑しいというでも無いが、人の笑みを見ていると自然と頬が綻ぶ。

「ん、それじゃあ遠慮なく」

言って、隣に腰かける。
そうすると自然と、隣に座るとより強くローズの香りを感じ、ふと自分の纏うシトラスの香りに気が行く。
幼い少女の営むお店で仕入れた香水。説明こそ受けていないが、魅了を抑止する効果があるという。
そんな効果を知ってか知らずか、すんすんと少しだけセレネの肩口に顔を寄せる。

「ふふっ、やっぱり貴方の側は落ち着くわね。
邪気っていうのかしら。そういうのが無くて、安心するわ」

魅了されているのか、はたまた素なのか。
それは本人すらも与り知らぬ所である。

イェリン > 「せっかくだからしてみるのも楽しそうではあるのだけど、
こういうのって一人でしたって仕方がないじゃない」

街中でのどんちゃん騒ぎにその身一つで飛び込むのは気が引ける。
なんなら今まさに逃げ出したところだというのに。

「――でも、先輩がするなら考えるわ」

悪戯っこのような表情を前に、仕返しだとでも言わんばかりに笑う。
仮装、と言い出すと産まれの地方の物をそのままに、となると着ぐるみのような物を選定しそうだ。

セレネ > 蒼を何度も瞬かせる彼女。
その顔が柔らかく綻び、己の目元も自然と緩まる。

「ふふ、遠慮せず隣に座って下さいな。」

彼女にはある程度心を赦しているので、隣に座る事は特に嫌悪感もない。
ふと隣に座る彼女から香るスッキリとしたシトラスの香り。
凛とした彼女らしい香りだと感じる。

「今日の貴女は香水でもつけているのでしょうか。
シトラスの良い香りがしますね。
…あら、そうなのです?」

肩口に顔を寄せられても嫌がる事は無く自然に。
穏やかな表情は崩さないまま。

「まぁそれはそうですね?
見る人が居ないと仮装のしようもないのですし。」

彼女のスタイル、そして見目なら人の目を十二分に惹けそうな気がするけれど。

「――あら、それは交渉ですか?」

どうせ仮装をするのなら、少しくらい大胆な方が彼女に合う気もする。
ただそうなると、己も肌を晒さなければならない訳で。

「せっかくの綺麗な肌と素敵なスタイルですし、露出多めのものでも良さそうですね。
無難なものだとウィッチの仮装とかでしょうか。」

黒い服に艶やかな黒い髪が靡く様はなかなか良いと思うのだ。
相手のその姿を想像するだけで写真に収めたいくらいのもの。

イェリン > 「そうなの、ホントはローズの物を探しに行ったのだけど、
店員の女の子に言われて"私らしい"物を作って貰ったの。
目の前で調香して瓶詰めしてくれたのだけど、まるで魔法ね」

とてもではないが、魔術師にはできない芸当だ。

「ふふっ、私が先輩の仮装を見たいだけよ。
先輩は……そうね、こんなのどうかしら」

言いつつ写真を見せる。
映っているのはノリ良くピース写真でイェリンと映るメイド服姿の女性の姿。今日取ってきたばかりの新鮮な写真らしい。
クラシックな物を知っていたら眩暈がするような胸元の開いたデザインにミニスカートの、本土から持ち込まれたいわゆるメイド喫茶の物だ。

「今日通りで見かけて、ビビッと来たのよ。
先輩がコレを着るなら、私なんだって着るわ。
絶対に似合うわよ、下手にさらせば死人が出かねないくらい」

あまり露出の多い恰好をする事の少ないであろうセレネに、
ここぞとばかりに露出の多い服装を着せようとする。
その眼は魔女のコスプレ程度で良いの?と多少の無理難題も
喜んで受けようというように爛々と蒼く輝いている。

セレネ > 「ローズ…私から香るのも、ローズだと仰っていましたね。
その店員さんは随分と腕の良い方みたいですね?
私にも合う香りがあるかしら…少し興味が出てきました。」

確かに、彼女から香る香りは非常に”彼女らしい”ものだ。
その調香が出来るのはその人を客観的に見る事が出来る観察眼があってのものだろう。

「……これ、は…。」

彼女のスマホから見せられた写真。
その画像を見て、己にして欲しい仮装の察しがついたようで、

「…なかなかに露出の多い仮装ですね。
……私、陽の光に肌を晒すのは好きではないのですけれど。」

己が月の女神だという事を知らないからこそか、それとも別の意図か。
相手の言葉に割と難しそうな表情を浮かべる。

だが、可愛い後輩の頼みだし、彼女の蒼は爛々と輝いている。
それを無碍にするのは流石に良心が痛む。
…ここは、願いを叶えるべきなのか。

「…貴女が同じ格好をしてくれるのなら、構いませんよ。」

悩んだ結果、可愛い後輩の願いを取った。

イェリン > 「ちょっと奥まった所にあったけど、妙な所じゃ無かったわ。
腕も確かだし、誰かの為の香りを作ってくれる。そんな所」

変な笑い方する子だったけど、と冗談めかして言う。

「こんな機会でもないと着てくれそうにないじゃない。
大丈夫、着て外で踊ろうなんて言わないわ。
ちょっと写真を撮らせて貰って一緒にお茶でもできれば満足、
紅茶とクッキーくらいは用意するわ」

それとも見せたい人でもいるのかしら? と、引き続き悪戯っ子の笑み。

「ふふっ、先輩ならそう言ってくれると思ったわ。
普段着と大差ないから私が着てもどうという物でも無いのかもしれないけれど、貴方は可愛らしい服が似合うのだもの。
綺麗で可愛い物、私好きなの」

言って、甘えるように肩を寄せる。
意地悪言ってごめんなさいと、囁くように。
しかし空の散歩では無いが、好奇心には勝てないらしい。

セレネ > 「…誰かの為の…。
――あの、良ければそのお店へ案内して頂けると有難いのですが。」

ふと過った人物には、そも香水なんて縁のない人だから
蒼を細めるだけだったが。
そういう調香師がいるのなら、何かと贈り物に困る事は無いのだろうと思いつつ。
だが、己はあまり人気の多い場所には行かないので、彼女が良いのなら案内をしてほしいと。

「――美味しい紅茶とお茶菓子でないと満足しませんからね?」

見せたい人については、今は居ないと首を横に振り。

「……そうでしょうか。貴女も可愛らしい服が似合うと思いますよ?」

甘えてくるように肩を寄せる彼女に、緩く首を傾げてみせて。
意地悪については寛大に、許すとしよう。
それくらいなら別に大した問題でもないのだし。
よしよしと、彼女が嫌がるのでないのなら頭を撫でようと手を差し伸べるだろう。

イェリン > 「えぇ、それくらい、貴方の頼みならお安い御用よ」

人気の多い所では、無い。
むしろ路地の奥も奥。
自身も教えてもらうまでは気づきもしなかったような所在地だ。
いつが良いかしらとスマートフォンの予定表に何やら打ち込みながら、予定を伺う。

「せっかく先輩を誘うんだもの、うんと良い茶葉を用意しておくわ。
お茶菓子は…そうね、オレンジピールの入ったクッキー。頂き物だけど美味しくって、一人で食べるのが勿体なくって。まだ開けてない袋があるからそれで良いかしら」

オレンジは嫌いじゃない? と暗に伺いつつ、楽し気に語る。
今は、という物言いにわずかにキョトンとした顔をするが、
にんまりと意味深な笑みを浮かべて物知り顔。

「ふふっ、貴方はホントに欲しい言葉をくれるわね…嬉しくなっちゃう」

寛大な心に感謝しながら、伸ばされた手に頭を預ける。
さながら大型犬のように。
尻尾があったならすました顔を他所に盛大に左右に振られているだろう。

セレネ > 「あら、それは嬉しいですね。」

人が多くないのならそれは己にとって良い場所だ。
予定を伺われれば、3日の夜か5日の夜なら時間が取れるだろうと告げよう。

「それは期待してしまいますね?
まぁ、オレンジピールの。柑橘類は好きなので嬉しいものです。」

シトラス系は好きな部類だ。両手を合わせて喜びを示しながら蒼を細めて。

意味深な笑みを浮かべる彼女に少しばかりぷっくりと頬を膨らませると

「こう見えて人の事は良く見ているつもりですので。
…ふふ、なんだかワンちゃんを撫でているみたいで可愛いですね。」

黒い大型犬を前にしているような。
そんな気持ちを抱きながら彼女の頭を優しく撫でくる。
実に可愛らしい。目元も頬も自然と緩んでしまう。

イェリン > 「ん、それなら都合は合いそうね」

カレンダーのアプリを見せながら、蒼を見上げ、
3日の午後に関して、特段予定が無い事をセレネに伝える。

「ふふっ、きっと気に入るわ。
マグカップも用意しておかなきゃ」

貰い物、とはいえ自分の好物を共有できるのは嬉しい。
相手がそれを好きなら、なおさらだ。

「えぇ、そうね。人の事をよく見てて、それで相手からも良く見える人。
明け透けじゃないけれど、深くてきれいな湖みたい。
澄んでいるのよ、感じる色が」

だから落ち着く、と。
撫でられる感覚に気持ちよさそうに目を細める。
あまり長くしているとそのまま眠りに落ちてしまいそうだ

セレネ > 「…んー。」

彼女が見せてくれたカレンダーアプリ。
3日なら問題がなさそうだ。
ならばそれで良いとその日に約束を取り付けよう。

「こう見えてそれなりに舌は肥えてるのですよ?
…まぁ、貴女なら問題はないと思いますけれど。」

冗談っぽく言っては、蒼を細めて

「自分の判断を見誤らないよう、他者をよく見る事を心掛けるように言われてきましたので。
…勿論、他者から見ても恥ずかしくないよう振舞う努力はしております。
何というか…一つのプライド、というものでしょうか。」

己が礼儀正しく振舞うのは、誰から見ても良く見られたいという一つの意思だ。

彼女が心地よさそうに蒼を細めるのなら、己は彼女が眠りに落ちようとそのまま受け入れるだろう。
それくらい心を赦している、という事なのかもしれないし。

イェリン > 「決まりね、貴方はどんな香りを選ぶのかしら。
今から楽しみね」

数日先の予定に己が蒼を細める。

「間違いのない判断、そのための審美眼なのね
私はどうにも感覚的に物の良し悪しを判断しちゃうから、
素直に見習うべき所よね…。
プライド、ね。
そうね、私もあるかも。
自分が正しいと思ったり、好き好んでやってる事は曲げない、
最悪間違ってたとしても正しくしてみせるわ」

理を捻じ曲げてこその魔術師だもの、そう言って笑う。
実際に、ファッションや振る舞い、交友関係なども第六感とも言えるレベルの直観に任せている節がある。
その直感を疑っていないし、善悪の判断を嗅ぎ分ける才だけは多くの怪異や神秘を相手取った経験が裏付けてくれる。

うとうと、と。
手のひらの柔らかく暖かな感覚に微睡む。
ハロウィーン等の気配に疲れた、というよりも
霊的な物の存在が強くなるこの時期に、無意識に気を張っていたのだろう。
その緊張の糸が、不意に途切れた。
すぅ、と小さく寝息を立て、優しい風の吹き抜ける夜空の下、
煌めく月の髪と蒼に見守られながら、瞳を閉じる。

セレネ > 「……。」

相手が楽しみにしてくれているのと対照的に、己はやや不安顔。
それに明確な感情はなく、様々な感情が綯い交ぜになったものだろう。

「いいえ、自分の感覚を信じて物事を判断するのも一つの手段です。
…それも素晴らしいものだと思います。
私は、自分の勘や感覚はあまり自信がないので…。
ただ。私自身の意思は曲げないのは同じですね。」

己の見た目は儚く、手折れば簡単に摘めてしまいそうな華なのだろうけれど。
それでも一つ、貫く意思はあるのだと。
彼女のその勘や感覚は、彼女が培ったであろう経験だ。
それは大切にすべきだし、己にもそれなりの経験はある。
だからこそ、譲れないものの一つや二つはあるのだ。

『…おやすみなさい、イェリン。』

穏やかに瞼を閉じた彼女を見て、紡ぐ言葉は異国の言葉。
彼女が風邪を引かないよう、彼女の周りを少しばかり炎の魔術で寝心地が良い程度の温度にしながら。

彼女を静かに受け入れつつ、己はなるべく動かないよう努めつつ、
月の女神は密やかに夜を過ごすだろう。

イェリン > 不安げな表情を見せると心配そうな顔をしそうになり、
ふと思い留まりいつも通りの、怖いもの知らずの素知らぬ顔。

「何かあっても、どうにかするわ。
どうとでも、して見せるわよ」

心配など無用だと、不安があれば蹴散らしてあげると、イェリンは謡う。

「決めた事を取りやめたりしたら、きっとその後悔はずっと後をついて回るものね」

自己の判断で何かを誤る事は、どうしても恐ろしい。
それが根拠を持たぬ物であるなら、なおの事。
しかし、初めて出くわす存在の善悪を、その対処を。
不意に迫られた時に根拠など誰も示してはくれない。
自分の始末は自分でする。
その覚悟を持っているからこそ、イェリンは人のつながりを求める。
自己完結を理想としながら、その理想の脆さを知っているから。
自分を支える誰かを、求めてしまう。

「んんっ……」

耳朶をくすぐる聞こえ知らぬ言葉。
子守歌のように、静かに紡がれる言葉の糸。
夜風の中を物ともせぬ温もりに包まれながら、
イェリンは女神の腕の中で、月夜の風を受ける。
密やかに、静かに。
――夜は更けていく。

ご案内:「常世公園」からイェリンさんが去りました。
ご案内:「常世公園」からセレネさんが去りました。
ご案内:「常世公園」に玖美・E・Aさんが現れました。
玖美・E・A > 時はハロウィン。仮装してどんちゃん騒ぎをしたり、ドサクサに紛れて出会いを求めたりするやからも多かろうというイベントだけど、そうした騒ぎからあえて離れて楽しもうというものもいる。

「むふふ、結構集めちゃったなー」

たくさんの紙袋に詰まっているのはお菓子、お菓子、お菓子。高級菓子から駄菓子まで、様々取り揃えている。
無論、トリック・オア・トリートして集めたものであるわけはなく、全て街を歩き回って買ってきたものである。
それをなぜ公園のベンチで封を開けて食べようとしているのかというと、それは家に帰るまで待ちきれなかったからという実に切羽詰まった事情があった。

「んーやっぱりチョコかな!なんといってもチョコ!いろんな味が入ってて、選ぶ時間すらエンターテイメント~♪」

とはいえ、露出の激しい悪魔のコスプレをした女が、一人ベンチで菓子を食っているというのは異様な光景かもしれない。

ご案内:「常世公園」に金剛 経太郎さんが現れました。
金剛 経太郎 >  
黒いスウェットに黒い猫耳と猫尻尾。頬には三本のひげのペイント。
今日はハロウィンということで、黒猫の仮装に扮した金剛経太郎は、商店街から足取り軽く公園へとやって来た。
手にはお菓子の入ったバスケット。買ったものではなくイベントのルールに則って回収してきた物だ。

「ふひひ、儲けた儲けた。
 これならしばらく事務所に置くお菓子には困らんなー。」

これからバイトとしてお世話になっている何でも屋に寄って、そこの主とハロウィンパーティの続きをしようと目論見つつ。
その前に少しだけ食べても良いよね、と公園へとやって来たのだった。

「どこにしようかなー わ、すっげー量のお菓子。
 ……と思ったら玖美お姉さんじゃん!ハッピーハローウィーン!」

先にベンチに腰掛けている人影を見つけ、近づいてみれば見知った顔で。
ひさしぶりー、と声を掛けながら近づいていく。

玖美・E・A > 「わー、おいしそーなチョコ……んふふ、いちご味もいいかな……と」

一人でニコニコしながらチョコの箱を開けていると、聞き覚えのある声が聞こえた。忘れっぽい玖美といえど、その少年の名前はよく覚えていて、

「経太郎くん、久しぶり~、チョコ食べる~?」

ベンチから立ち上がって、手を振って挨拶を返す。その時拍子で、大きめな胸がゆさっと揺れたことを気にするようなタイプでもなく。

金剛 経太郎 >  
知り合いがいると分かればさらに足取りは軽く。
しかし玖美がこちらに気付きこちらへと手を振れば、その姿に小さく怯む。

(え、いや……すげー格好……)

どう反応したものか困った経太郎だったが、もう声を掛けてしまった手間引き返すことも出来ずそのまま玖美の居るベンチへ。

「お姉さんもハロウィンでお菓子貰って来たの?
 あ、そうだ。ホワイトデーにお姉さんのおうちにお菓子送ったけど、食べてくれた?」

ぴこぴこ。黒猫耳尻尾をあざとく揺らしながら玖美へと笑いかける。
内心では露出の高い格好に興…ドギマギしているけども。

玖美・E・A > 「うふふ、ハロウィンが過ぎてから買うのもいいけど、やっぱり当日の雰囲気を味わいたいからー」

ぽんぽん、とベンチを叩いて隣に座るように促す。お菓子の袋を反対側にどけて空けた、自分の隣。

「あ、食べた食べた!美味しかったよー、ありがとねー。お礼にいくつか持っていってよー」

忘れっぽくても食べ物の恩は決して忘れないのが性分。
たぶん、そんな恩がなくてもお菓子をあげようとはしていただろうけど。

金剛 経太郎 >  
「てことは、自分で買って来たの?
 相変わらずお菓子好きなんだねー。あんまり食べると太っちゃうよ?」

一旦玖美の仮装は頭の隅に追いやっておく。意識し過ぎると目に毒なので。
空けられたスペースにちょんと座りながら、呆れたように玖美へと告げ。

「お礼にって……そもそもバレンタインのパーティのお礼だったんだから。
 お礼のお礼って、もうそれずっと続いちゃうじゃん。」

可笑しそうに笑いながら、周囲の紙袋を見る。
いくつか、と言われたが選り取り見取り過ぎて迷ってしまいそうで。

玖美・E・A > 「んーそれもそうかなぁ。じゃあこれはお礼じゃなくてプレゼントでいいかな、はいどうぞー」

彼が迷っているようなのでと、こちらから手渡したのは大きな四角い缶に入ったクッキー……が、さらに入った紙袋。様々な種類のクッキーが楽しめるので、迷ったらこれだろうと思った。
やはりどちらにしろなにかしらを渡そうというのは変わらない。そもそもハロウィンがそういうイベントだから……ということまで考えているかはわからないが。

「あ、カロリーについては大丈夫!私太らない体質だから!」

と、親指を立てて見せる。実際、腹の肉のつき具合は甘いもの好きのわりにはマシな部類なのだが……。

金剛 経太郎 >  
「プレゼント……
 あ、待って待って、それならちゃんとお約束のやつ、言うから!」

自分の持っていたお菓子のバスケットをいったん脇に置いて。
紙袋を玖美へと押し返すと、こほん、と咳払い。

「んん、トリックオアトリートー!」

にゃんにゃん、とあざとく顔の前で猫の手を模してみたり。
今日これで乗り切って来ているが、実年齢18歳男子にはめちゃくちゃ恥ずかしい。

「ふ、ふーん……太らない体質……かあ。」

ホントかなあ、と思いつつ。
きっとカロリーはお腹以外で一点集中するのだろう、と勝手に納得する。

玖美・E・A > 「あ、そっか、すっかり忘れてたー。それじゃ、かわいい猫ちゃんに悪魔のお姉ちゃんがクッキーをあげちゃいまーす。はいどうぞー」

改めて、イタズラを免除してもらう対価のお菓子として、一度は押し返されたクッキーの紙袋を渡す。
忘れていたのは、本人が今日そのワードを一切使うことなくお菓子を集めていたのもあるだろうけれど。

「家族の人と分け分けして食べるのもいいかもね、よしよし」

と、経太郎くんの頭に手が伸びるのは、特に意識してというわけでもない。かわいいからかわいがるというだけのこと。

金剛 経太郎 >  
「えー、そこ忘れるー?
 ふふ、ありがとー玖美お姉さん。家族は常世島に居ないけど、友達とかと分けて食べるね。」

さすがに一人で食べきれる量ではない、と紙袋の中身を見て思う。
バレンタインの時と同じく、自腹でこの量のお菓子を調達したのかと思うと格の違いを思い知る経太郎だった。
主に経済面で。

「わ、わ。えへへ……にゃ、にゃーん。」

紙袋の中を確認していたら頭を撫でられて面食らう。
しかし撫でられて悪い気がするものでもない、と顔を上げるとはにかんだ笑みを浮かべて猫の鳴き真似。
今日の経太郎は猫経太郎なのだから。

玖美・E・A > 「あー、そうだったっけ……ごめんねー、代わりに今日は私がかわいがるから、んふふー」

何が代わりなのか、ますます無遠慮に頭を撫で続ける。ちょっぴり恥ずかしそうに笑う顔も可愛くて、

「この島に集まったからには、みんな家族みたいなもんだしねー。ふふ、お互いに頼って生きていかないと」

島民みな家族など、常世島の実態や現状を知っていればでない台詞かもしれない。
が、それを本気で信じているから、こうしてにこにこ笑いながら猫ちゃんを抱き寄せているわけで。

金剛 経太郎 >  
「あ、でもね。玖美お姉さん以外にもお姉ちゃんみたいに構ってくれる人は居るよ。
 玖美お姉さんと合わせてお姉ちゃんが二人になったみたい。へへ。」

実の姉は経太郎には居ないが、この島には姉のように世話を焼いてくれる人は居る。
バイト先の主がそうなのだが、玖美は知らない人だろうなー、と思ったり。
知ってたら世間の狭さに驚くことだろう。

「玖美お姉さんも頼りになるよ。
 だから、ええと……あんまり撫でられたら耳ズレちゃう……」

カチューシャなので撫でまわされると困る、と笑いつつ。
それ以上に意識しないようにしてても距離が近いし、肌色が多いしでだいぶ困ってるのだが。

玖美・E・A > 「へー、それはすっごくいいことだね!ふふ、やっぱり経太郎くんはかわいいから、みんな優しくしたくなっちゃうんだねー」

小さな子供が暮らしていくとなれば、当然世話してくれる人が必要になるだろう。それが確かにいるというなら一安心。が、安心したからといって何かが変わるというわけでもなく。

「あ、ごめんごめん。じゃあこうかなっと」

頭を撫でるかわりに、小さな身体を抱き寄せる。力一杯というわけではないけれど、身体が密着する程度には。

金剛 経太郎 >  
「そ、そうかな……。
 かわいいとかは、関係ない気もするけど……。」

ついでに小さい子だから、というのも関係ない気がする。
いや、それはどうだろう。関係あるかな、あるかも。とあれやこれや考えつつ。

「ひゃっ。……あ、玖美お姉さんもしかして寒いの?」

撫でられるのが止まった代わりに抱き寄せられてしまった。
非常に重厚な感触に経太郎もそろそろ意識を向けないで居るのが厳しくなりつつある。
それでもどうにかパニックになることなく、微笑みながら玖美へと訊ねるのだけど。

玖美・E・A > 「んー?寒い?」

それを言われて思い出した。昨日もそんなことを言われた気がする。
この格好でこの時期に外にいたら寒いにきまっているが、今の今まできづかなかった。気づかなければ気づかないで済ませていたかもしれないが、

「確かに風が冷たいねー。ふふ、でもこうしてればあったかいし、いいかなぁー」

ますます強く、経太郎くんの小さくて温かい身体を抱き締め始めた。

金剛 経太郎 >  
「さ、寒いんじゃしょうがないなー、しょうがないしょうがない。」

むしろ寒くない方がどうかしているすらと思う。実際どうかしてるわけだけども。
抱き締められながら自分に言い聞かせるようにしょうがないと繰り返す経太郎。
玖美が寒くない様にだから、大きな胸のその谷間に顔が埋まってしまっても玖美が寒いよりはマシなのだ。

「へ、へへ……僕もあったかい、かなぁー」

役得……じゃなく、仕方なくである。
にへ、と緩んだ頬を隠しもせず笑みを浮かべる経太郎。
むしろ体温は玖美の方が高いのでは、まである。

玖美・E・A > 「んふふ、かわいいかわいいー」

ますます強くぎゅーっと抱き締める。
もちろん、それ以上何かをするわけでもないし、こうしてぬくぬくしているだけで満足なので、

「それじゃ、ほんとに寒くなっちゃうまえにおうちに帰ろっか」

さっと身体を離すと、にこっと笑い書けた。夕方も過ぎかけて、もう夜になろうという時間。ハロウィンのイベントはまだまだ続くかもしれないが……。