2019/02/02 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 年も明け、年末年始の忙しさも一息ついたこの頃。
随分と久し振りに、このカフェテリアにも訪れた様な気がする。
というよりも、年末年始を乗り切ったかと思えば月末の事務処理や冬期休暇明けの試験等が押し寄せてきた為、久し振りなのは間違いないのだが。
「……糖分が、染みる…はぁ…」
普段浮かべている小難しそうな表情も、暖かなココアを口に含めばたちまち消え失せる。
口元にほんのりと浮かべた笑みは、普段自分が忌み嫌う女子の様に穏やかで柔らかなものかもしれない。
それだけ、身体中に染み渡る様な糖分が有難かった。
■神代理央 > とはいえ、別に暇になった訳ではない。
期末試験も迫っているし、事務処理に追われて現場から離れていた分、仕事はこなさなければならない。
最前線向きでは無いとはいえ、己の異能や魔術は戦闘向きではあるのだ。
「落第街、スラム、歓楽街。取りあえずは巡回を強化しつつ、ある程度は締め付けてやらねばならんか」
ちびちびと大事そうにココアを飲みながら、物騒な物思いに耽る。
暖房の効いた店内でも、己の吐く息がココアの熱気で白く濁った。
ご案内:「カフェテラス「橘」」にヘンリーさんが現れました。
■ヘンリー > 「風紀委員さんは大変そうだね」
「相席しても?」と、首を傾げる金髪の男。
混雑する店内。期末試験前ということもある。「橘」の冬限定ホットドリンクの評判がかなり良いこともある。
様々な理由があるにせよ、この「橘」という店での客同士の距離はそう遠いものではない。
だから、このチャラチャラとした軽薄な男――ヘンリー・ローエンシュタインもそうしたのだ。
「女の子ばっかりでさ。それもグループの。女子会の邪魔はできないし、女の子、好きだよねえここ」
トレイに乗せた待ち番号の立て札とホットラテを許可もなくテーブルに置いて、至福の時間を過ごしている彼の思考に割って入った。
■神代理央 > 突然投げかけられた声に視線を向ければ、視界に映るのは長い金髪を首元で結わえた男。
所謂"モテそう"な雰囲気を携える男が此方が口を開く前にテーブルに置いた立て札を見た後、些か表情を顰めつつ口を開いた。
「相席は別に構わないが、何を血迷って風紀委員と相席したいのかは気になるところだな。素直に女子達のテーブルにでも行けば良かろうに」
少し不機嫌です、という空気を滲ませつつも、相席を断る様な事はしない。
流石に、風紀委員として島の人間を無碍に扱う訳にもいかないし、もしかすると、風紀委員に用件があるのかも知れない。
というわけで、テーブルに置かれていた己のソーサーを少し此方に引き寄せて、座れば良いと椅子を視線で指し示すだろう。
■ヘンリー > 「いやあ、女の子たちの恋バナを邪魔するのは紳士的ではないだろ?
だったらそのリスクをとるよりも風紀委員さんの愚痴を聞くほうがきっと面白いだろうし」
さらり、とそう言ってのけて、了承されれば「Danke.」と短く返す。
視線の先の椅子に腰掛ければ、流れるような所作で足を組んで頬杖をつく。
不機嫌な様子の神代の様子などいざ知らず、ニコニコと笑顔でじっと見やる。
「なになに。事件です?」
完全な野次馬だった。それ以上でもそれ以下でもない。完全に、野次馬なのだ。
気安く、気楽に、更に悪いことにタメ口で。無遠慮に、面白半分で(恐らく大変だろう)風紀委員の業務に首を突っ込む。
■神代理央 > 「態々風紀委員の愚痴を聞くために私の席に来たのか。……何というか、貴様。変わっているな
相席した理由を聞けば、そのあんまりな理由に深い溜息を吐き出す。溜息で逃げ出した糖分を補給する様に、手に持ったカップを口元に近づけて少し傾けて――
「余り風紀の仕事に首を突っ込むものではない。業務威力妨害でしょっ引いても良いんだぞ?」
そして、馴れ馴れしく言葉を続ける彼を軽く睨みながら、僅かな溜息と共に首を振る。
事件なら毎日そこいらで起こっているだろう、と締めくくり、再びココアで身体を暖めるだろう。
■ヘンリー > 「女の子に言われるんならありがたかったんだけど。君、面白い男。こんな男はじめて――って。
ああ嘘。業務……ナントカは困る。一般学生を脅したりするもんじゃないぜ、風紀委員さん」
へらり、掴みどころのない笑顔。神代の溜息を聞いて、また面白おかしそうに笑う。
溜息ばっかりついてると、幸せが逃げちまうぜ、なんて軽口を叩いて。
「まあ、そりゃあいくらでもあるけどさ。
特別風紀委員さん――あれ、名前、なんだっけ。そもそもオレ、君のこと知ってたっけ?
それはそれでいいか。風紀委員さんが特別締め付けねば、って思うものが何か知りたくなっちゃうわけよ。
例えば、それが危ないってわかってるならそれに近づかないようにしよう、とかできるわけでさ。ダメ?」
子犬のように首を傾げて、ワガママを言うように。
店員の女子学生が「8番のお客様ー」、と言えば、立ち上がってわざとらしく手に触れながらトレイを受け取る。
自分が先程まで抱えていたトレイを片手に持ち替えて、渡す。堂に入った所作だった。
■神代理央 > 「…そうか?私の様な男を面白いと評する貴様こそ、面白いと思うのだが」
笑みを浮かべる彼を不思議そうに見遣りつつ、最後の言葉には余計な御世話だと再び溜息を吐き出すだろう。
「私の記憶に間違いが無ければ初対面の筈だが。
……ふむ。強引ではあるが、まあ筋は通っている。だが、私の見立てでは貴様の様な輩はそういった事案に進んで突っ込んで行くようにも見えるがな」
幾分表情を和らげ、彼に合わせる様に些か軽い口調で言葉を返す。問い掛けじみてはいるが、彼の言葉を否定するものでは無いだろう。
「…まあ、先ずは名前くらいは名乗りあってからだと思うがね。私は神代理央。御覧の通り、風紀委員の一年生。随分と女性の扱いに手慣れた様子の貴様は、名は何というのだ?」
手を触れられた女子生徒は嫌がるどころか彼の洗練された動作に好印象すら抱いている様に見える。
その動作を感心と呆れ半々で見つめながら、小さく首を傾げて名前を尋ねるだろう。
■ヘンリー > 「いやあいやいや。いやいやいやいやいや。いやだなあ。
自分から事件に突っ込むなんて馬鹿な真似、オレはやらないわけよ。痛いのも面倒なのも嫌だしね。
だからえーと、その見立ては的外れ、っつーか、なんつーか。違うんだよ。違うんだなあ。」
視線を宙に泳がせながら、男は苦笑いを浮かべる。
見るからに興味津々ですもし時と場合が噛み合えばぜひぜひ突っ込んでみたい気持ちがあります、という顔をして。
頬杖をついて、今度は苦笑いじゃない笑顔を浮かべる。テーブルに置かれたサンドイッチを大きな一口ぶんだけ食べて。
「ゴメンゴメン。初対面だった? もうさあ。オレ、なんかこうやって色んな人に話しかけて歩いてるからさ。
あれ? もしかしてどっかで喋ってない? とか思っちゃうんだよね。完全に今回は違ったんだけどさ。
リオ、リオね。カワイイ名前じゃん。しかもタメか。一年同士、仲良くやってこうよ。ダメ?
オレはヘンリ。ヘンリー・ローエンシュタイン。長いからヘンリでいいよ」
「それで、リオが取り締まる相手はずばり?」
■神代理央 > ぺらぺらと捲し立てる彼に呆れた様な視線を向けつつ、どうしたものかと思案する。
此処迄興味があるのなら、機密に触れない程度であれば喋ってしまっても構わない訳だし、彼が風紀委員に興味を抱いて門戸を叩く事も――それは無さそうだな、と内心苦笑い。
「可愛いは余計だ。軟派な言葉は、女にのみ向けていれば良い。仲良くするのは構わんが、私と交友しても面白くも何とも無いぞ。
…ヘンリー、ヘンリーか。うむ。覚えた。宜しくな、ヘンリ。そして、私に名前を覚えられたという事は、生徒指導室への道が一気に近くなった事を覚えて行儀よくしておく様に」
彼の名前を口の中で転がす様に繰り返した後、僅かに笑みを浮かべてよろしく、と言葉を返す。
尤も、最後に放った言葉には幾分意地悪そうな響きが含まれていたが。
「……ずばり、といっても様々だよ。違反部活、違反組織。怪物やら魔獣やらアンデッドの群れ。違反薬物に至るまで。私の場合、取り締まりより少し過激な任務が多いが」
実際、特定の対象を追いかける事は少ない。少し前までは違反薬物の製造組織を潰して回っていたが、風紀の手が足りなくなれば何処にでも出動して異能や魔術で指示された敵を殲滅するだけ。
彼はこの答えで納得しただろうかと、見定める様に視線を向けるだろう。
■ヘンリー > 「エッ………………」
その声色に軽薄な響きはなく。名前を教えたことを、心の底から後悔したような声色だった。
生徒指導室への道。繰り返された名前は、自分を絞首台に導くための手綱となってしまったことを、死ぬほど悔いるように。
ただ、どうにもならないことを悟って首をゆっくりと横に振る。オーケイ。理解した。行儀よくするよ。
「フム。……つまるところ、リオは実働部隊ってわけだ。風紀委員会の。
風紀の実働部隊ってさ。メチャクチャガタイがよかったりとかそういう方しかイメージ湧かなくてさ。
フーン。オレ、もしかして絡む相手間違えた? 大丈夫? リオって実はメチャクチャ武闘派だったりする?」
彼が数多い一人席の中でも、神代に声を掛けた理由は"美人だから"だ。
店内でも、男の一人席は数あれど――まあ、第一印象で一番好意的なイメージを持った人間だったから、だ。
そんな神代が、取り締まりよりも過激な任務が多い、というのは。彼の中ではかなり意外だったわけで。
数度頷く。神代の言葉を咀嚼するように、フンフン、と鼻を鳴らして頷いた。
「あんまヘタに首を突っ込んだらオレが痛い目見るんだな、ってことはわかったよ。
やっぱ適材適所、っつーか、そういうの? 怪物やらまで風紀が担当してるってのは知らなかったから。
オレ、怪物とか……魔獣……。まあ夢魔なら……。まあ怪物とかはちょっと守備範囲じゃないからさあ」
つまるところ。納得はしている。よくわからないところで。
■神代理央 > 「……今の反応を見るに、心当たりは十二分にある様だな。生徒指導室のバリカンは切れ味が良いと評判だ。期待していたまえ。出会ったよしみで、坊主だけは控えて貰う様に頼んでおこう」
彼の反応が琴線に触れたのか、愉快そうにカラカラと笑う。
とはいえ、今の言葉は脅かし半分、本気二割に揶揄い三割程度のものではあるが。
「別に武闘派では無いが…まあ、好戦的なのは認めよう。
フィジカルの良さは勿論必要だが、此の島に限っては異能や魔術使いの宝庫だからな。私の様な体躯でも、能力を使えば前線を張れるという事だ。気軽に声をかけた女子が、ビル一棟余裕で吹き飛ばすなんて日常茶飯事だからな。気をつけろよ」
まるで教師の様に滔々と、頷く彼に言葉を続ける。
最後の言葉は、揶揄う様な単語を並べつつ割と本気の忠告ではあったのだが。
「異能か魔術を行使可能で、それが戦闘に耐えうるものなら先ずは訓練施設なり、転移荒野なりで腕試しをするのも良いだろう。勿論、自己責任ではあるがな」
微妙な認識のズレを感じつつも、気のせいかと首を振り真面目なアドバイス。
何方にせよ、そういう事件や事案に興味があるのなら、戦闘に巻き込まれる可能性もある。ならば、自分を鍛える事を勧めるのは過ちでは無いだろう。彼が首を突っ込む事を止めるのは、早々に諦めていた。
■ヘンリー > 「そんなこと、この島に来たときに理解したつもりだったんだけどなア。
やっぱ言われてみるとああ、オレ全然理解してなかったんだな……ってしみじみ思っちゃって。
……実はその経験はもうある。彼氏のいる女の子に声かけちゃって、ちょっと粘ったらその娘、風使いでさあ。
頬を思いっきり――なんていうんだっけ。日本のイタチが風使いの。あんな感じで一回。ハハハ」
全然笑ってない笑い声を漏らしながら、皿の上のサンドイッチを頬張る。
サーモンとチーズのサンドイッチ。ドレッシングを挟んだバンズにはごまが散らされている。
「腕試しとかは……ま、おいおいね。ま、変に首を突っ込むのはやめとく。
オレ、そういうのあんまり好きじゃなくてさー。興味はあるんだけど。自分が痛い目見てまでは味わいたくないっていうか。
専門家に任せるのが一番イイわ。ほら、鍛えるのとかさ。汗臭くてヤなんだよね。あくまで自分がやる分には、だけど。
ラクして生きるのが一番。というわけで。今後とも、オレの学生生活のために頼むぜ、リオ。頼んだ。任せた」
「好戦的かあ。それこそ適材適所さな。それに足る異能だか魔術だかがある、ってワケだし。
自分が活かせる場所はどこだって居心地いいっていうし。……楽しい?」
ホットラテをぐい、と飲み干して、また残っていたサンドイッチを口に入れる。
自分が食事をするためのおかず代わりとでも言わんばかりに。必ず質問を投げ返す。
■神代理央 > 「…経験済みとはな。その女子受けしそうな顔に傷がつかなくて良かったな」
サンドイッチを頬張る彼に、心底呆れた様な視線を向ける。
咎めるつもりは全くないが、彼女くらい作って落ち着けば良いのにとは少し思う。思うだけで口にはしないが。見ている分には面白そうだし。
「…フフ、随分と調子の良い奴だ。だが、それが風紀委員の仕事だからな。貴様が落ち着いて街中で女子を物色出来る様、仕事に励むとしよう」
「…楽しいか、と聞かれれば、まあそこそこかな。やりがいは感じるし、自分の異能を他に活かす場所もない。風紀・公安委員会以外で大立ち回りは中々出来んしな」
此方もカップのココアを飲み干し、ソーサーの上に空のカップを置いて、幾分大げさに肩を竦める。
■ヘンリー > 「そりゃあ、傷がついたら困るから。
保健委員の女の子を頼って、その、喧嘩に巻き込まれた、とか言ってさ。
異能で治してもらったんだよな、そのときも。だから本当に異能には世話になってるし、ありがたいもんよ」
平然とそう言ってのけて、頬杖をついたまま人差し指で顔を叩く。「フン」とか、「はあん」、なんて相槌を合間合間に挟みながら。
そして、神代が「そこそこ楽しい」と。「やりがいを感じる」と言うのなら、女の子にするように柔らかく笑う。
「ならよかった。楽しくなくて風紀委員やってるやつに、俺のために――なんて言うのはよくないからな。
楽しくてやってんなら、こっちも安心して任せた! ってできるわけよ」
そんな軽口を叩きながら席を立つ。いつの間にか皿の上に乗せられていたサンドイッチもなくなっている。
ホットラテのマグカップの中身だって空っぽだ。片付けて。
「あ、風紀委員が人探しとか猫探しとかやってるんだったら、そのうち頼みに行くかも。
そんときはリオを出せ、って窓口で言うから、よかったら手伝ってよ。
風紀委員会とか公安委員会とか、堅っ苦しくてさあ。ニガテだったんだよね。でも、リオみたいなやつがいるなら悪くないかも。
……んじゃあ、先。仕事、頑張れな。応援してっからさ!」
そう言って、笑顔で席を立つ。セルフサービスの片付けのために、大型のごみ箱の前まで歩いて。
そこでまた、座ったままの神代をちらりと見て、楽しそうに手を振る。
片付けが終われば、足取り軽くカフェテラスから去っていくことだろう。
ご案内:「カフェテラス「橘」」からヘンリーさんが去りました。
■神代理央 > 「…保健室にも注意喚起しておかねばならんな。まあ、女漁りも程々にな」
クスリ、と苦笑いを零した後、穏やかな口調で言葉を返す。
「楽しくなければ続かぬものだしな。まあ、任せておけ。風紀や治安を乱す者は、一切合切捕らえてやるとも」
柔らかな笑みを浮かべる彼に返すのは、年齢に似合わぬ好戦的な笑み。尤も、その表情は直ぐに穏やかなものへと移り変わり――
「…どちらかと言えば、其方の方が風紀委員の本業に近いな。まあ、出会ったよしみだ。人探しくらいなら、手が空いていれば手伝ってやるとも」
元々、風紀委員は島の警察業務を担うもの。流石に探偵や興信所の様にはいかないが、人探しなら此方が請け負うべき仕事だろう。
穏やかな口調と笑みで言葉を返せば、立ち上がる彼を見上げ――
「…ん。それじゃあな、ヘンリ。火遊びも程々にしておけよ?」
そんな軽口をたたいて彼を見送った後、此方もカップを片付けてカフェテラスを立ち去るのだろう。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から神代理央さんが去りました。