2019/04/15 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に烏丸秀さんが現れました。
烏丸秀 > 常連の和装の青年は、ウキウキとした様子で入ってきた。
見た目にもテンションが高い。
何やら荷物を抱え、すぐに注文をする様子もなく、二人で、と言って席へ座る。

そう、デート、デートなのである。
ごゆっくり、と店員が呆れたように言って去っていく。

ご案内:「カフェテラス「橘」」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 > テンションがとても高い烏丸に対して
そこまででもない少女が共に入店

苦笑しながら、後ろをついていって――

「ごきげんですね、烏丸さん」

烏丸秀 > 悠薇の為に椅子を引き、席に座るように促し。
そしてそれを見てから自分も座る。

「そりゃ、悠薇ちゃんとデートだからねー」

メニューを彼女に渡しながら、ニコニコと楽しそうに笑う。
なにせ、烏丸は彼女が好きなのだ。愛していると言っても良い。Likeではなく、LOVE。
もっとも、お友達からという事なので、今は自重しているのだが、それでもうれしい事には変わりない。

「うん、悠薇ちゃんから誘ってくれるとは思わなかったなぁ」

伊都波 悠薇 >  
「――私より、烏丸さんのほうが見聞が深いですから」

いつだってそう。
友だちになってから、彼の言葉、知識、経験は
自分にはない、角度からで。

こうして話をすることで、いろいろためになるから

「お友達ですから」

何を頼もうかと、うーんっと悩みつつ

烏丸秀 > 「……うん、お友達ね」

少しテンションが落ち着く。
店員がクスクス笑ってるのが見えるが、気にしない。一度や二度フられたくらいでへこたれている暇などないのだ。

「――と、いう事は、何か相談かな?」

何を頼んでもいいよ、と声をかけつつ。
自分は季節のケーキセットに決める。今の季節だと、チェリーパイのようだ。

伊都波 悠薇 >  
「――相談と、いいますか」

とりあえず。ホットケーキにすることにした。
甘すぎないものが、今は食べたい

「烏丸さん、お姉ちゃんと、最近、どうですか?」

なんて――

烏丸秀 > チェリーパイのセットとホットケーキを頼みつつ。
彼女の言葉を聞く。

「――凛霞ちゃん?」

ふむ、と少し考える。
この前話した時は、いつも通りだった、かな。

「うん、いつも通り、色々ざっかけなく話したよ。ボクが弄られたり、凛霞を弄ったりとか、まぁ進展は無かったなぁ」

肩を竦めながら、悪びれなく言う。
愛が多いのは、間違いなくこの男の悪癖である。

伊都波 悠薇 >  
「あはは……」

苦笑。この人が姉の彼氏? だったのを知っているから――

そして目の前で振っていたのもみていたから

「なにか、気にしてました?」

お冷を口に運びつつ

烏丸秀 > 彼氏、一応彼氏だった。
凛霞にとって都合がよく、ボクにとっても都合のよかった関係。
だが、失ってみて初めて、その関係がボクにとって、大切なモノだったと分かる。

「――うん。悠薇ちゃんの事以外で、何か悩んで、躊躇してる。って言ってた」

はて、あれは何だったのか。
彼女らしくもなかったが。

伊都波 悠薇 >  
「――……」

あぁ、そうか。
なら――なら”仮説”が、より濃厚になる

「そう、ですか」

なぜが、つながり、答えになりつつある。

姉は家では、それこそ”何時も通り”

いや、”何時も通り”過ぎた

だから、そう。眼の前の彼と付き合っていたときと同じように
――きっと

「――やっぱ、嫌いだなぁ」

呟きは、静かに。
それと同時、注文の品が、届いたから
ホットケーキを受け取りながら

烏丸秀 > 「――――」

悠薇は、変わった。
あの事件以来、彼の愛した、何がなんでも手に入れたかった悠薇ではなくなった。
が――それでも、愛している事には変わりない。
かつての悠薇の名残、残骸。それすらも、彼は愛しているのだから。

「今度は悠薇ちゃんじゃなく、凛霞に何かあったのかい?」

チェリーパイと紅茶を受け取りながら、尋ねる。

伊都波 悠薇 >  
「いえ、恐らく、お姉ちゃん自体には何も」

姉が怪我したとか、そういうことではない。
けれど――かつての自分と同じように”枷”ができた可能性は非常に高い。そう自分は考えているから――

「――烏丸さんにとって、好きな異性ってどんなものです?」

ホットケーキを切りながら。

そう、自分は変わった。
何が何でも、為そうとしていた自分は”持っていかれた”

だけど。姉が大事であることは変わらないから

烏丸秀 > 「んー、好きな女の子、ねぇ」

ふむ、と考える。
好きな異性――普段なら、悠薇ちゃん、と答える所だろうが。
彼女の求める答えは、おそらく違う。

「何をしても手に入れたいモノ、自分のすべてを与えたいモノ――失うのが、恐ろしいモノ」

一つ一つあげていく。
愛しているとは、難しいものだ。
相手のすべてが欲しくなるし、自分のすべてを捧げたくなるし――他の全てを犠牲にしてでも、守りたくなる。

伊都波 悠薇 >  
「そう、ですか」

じゃあ、つまり――

今、そう考えているとしたら。
だとしたら――きっと。

アレのところに行って、アレのところで。一緒に入れるか
アレとともに――そう考えているのだろう。

なにせ――

”自分は逆方向に考えているのだから”

「――難しいですね、恋愛って」

烏丸秀 > 「難しいねぇ」

――はて。何を考えているのだろう。
何時もとは違い――少し、悪い顔に見える。

しかし、好きな異性、好きな異性――

まさか。

「……え、なに、まさか凛霞に好きな子でもできたの?」

そうだとしたら、かなりショックなんだけど、と呆然と呟き

伊都波 悠薇 >  
「――いえ、正しくはずっと好きな人ですよ」

ぱくり、ホットケーキを食べながら。

甘くなくてちょうどいい。もちもちした食感も――好みだ

烏丸秀 > 「はい?」

え、ずっと好きな人?

え、え???

「はいぃぃぃ!?」

思わず大声を上げ、周りが一斉にこちらを見る。
そして、それに気づき、思わず声を潜めながら……

うん、落ち着こう。
LoveじゃなくてLikeとか、そういうのかもしれないし。

「――え、凛霞に好きな人なんて居たの!?」

思わずヒソヒソ声になりながら、ホットケーキをぱくつく少女に尋ねる。

伊都波 悠薇 >  
「いましたよ? 忘れてましたけど」

もぐもぐと、ひたすら食べる。
もぐもぐもぐ――

「幼馴染です。傍から見たら恋人にしか見えない二人でしたし」

至って、いつもと変わらずに。

「――そんなに意外ですか?」

烏丸秀 > 「意外だよ!?」

てか、そんな男の影は無かった。
あったらあの事件の時に、出てこないはずがない。幼馴染の、凛霞みたいな子があんな目にあっていたら、何をしてでも出てくる筈だ。

それが出て来ない、という事は

「――あれ。もしかしてその男、遠くに居るか、病気で動けないか、もしくは死んでない?」

それが一番、納得できる。
一切活動できず、凛霞のピンチに駆けつけられなかった。
そうでもなければ、説明ができないし。
第一、凛霞だってまずはそいつに助けを求めるだろう――多分。

伊都波 悠薇 >  
「はい。そうです」

だから、忘れてたと言ったのだと
最後の一切れを食して――

「つい最近、おかしなほど、偶然に。思い出した、故人、です」

笑っちゃいますよね、という、妹の顔は――

ひどく――”貼り付けたような笑み”だった

烏丸秀 > 背筋がゾクリとする。
まったく、悠薇ちゃんも罪な女だ。
彼女の奥底にある、ドロドロとした部分。それをちらりとでも見せられれば、こちらはお手上げだ。のぼせ上って、彼女の言いなりになってしまうだろう。
それが、烏丸が悠薇に一目ぼれした理由なのだから。

「――おかしなほど偶然に、故人を思い出して。おかしなほど偶然に、凛霞が悩みはじめ。おかしなほど偶然に、凛霞に不自然な行動が目立ちはじめた」

そんなところかな?
ティーカップを持ち上げながら、悠薇の方をうっとりと見つめる。

伊都波 悠薇 >  
「――はい」

だから、さっきの質問だったのだと
告げて――フォークとナイフをそっと皿の上に置いて

「――偶然が重なると、必然に変わるということを私は、私達は、身をもって知っていますから」

だから――

「きっとお姉ちゃんは今、彼のことでいっぱいなんだと、そう思います」

烏丸秀 > 「――そう」

なるほど、凛霞のあの態度はそれだったのか。
恋する乙女――とは、少し違う様子だったが。幼馴染であり、かつて恋した男が再び現れ、心が乱れていた、という事か。

「それは――」

烏丸は、ゆっくり目を細める。
それは、笑っているようであったが――

「――不愉快、だな」

凛霞が誰を愛しても構わない。
烏丸の事を都合良く使おうと、愛しなどしなくても良い。
ただ――自分の目の前で、自分と会話しながら、別の男の事を考えていたというのは。流石に、少しカチンと来る。

「――あれ、でも故人なんだよね?」

死んだ幼馴染が、生き返った?
この常世島の異能といえど、死者を蘇らせるというのはよっぽどの事である。

伊都波 悠薇 >  
「生き返ったかはわかりません」

あくまで推測、推論で――

故人が生き返ったのか、それとも――”死んでいなかった”のかは分からない。

でも、予感がするのだ。この都合よく思い出したことと。あの場所で、視たもの――

「――でも。思い出したからには。なにか関係があるんじゃないかと」

そう思ってしまったら――想像は、止まらない

「――思い過ごしなら、いいですけどね」

烏丸秀 > 生き返ったのか、死んでいなかったのか――
いずれにしろ、悠薇は確信しているようだ。
双子の姉妹なのだ、何か感じる所があるのだろう。

「――どんな奴なのかな」

あの、完璧超人と言われた凛霞の愛した男。隣に立つ、幼馴染。
――考えたら、腹が立つくらい完璧な美男子が出来た。

「――それで、悠薇ちゃんは、どうしたいのかな?」

伊都波 悠薇 >  
「どうもしないです」

くぴっと水を飲んだあと――

「あの人のために何かなんて、するつもりはないので」

珍しい言い草だった――

「――私がするとしたら、お姉ちゃんのためですし」

まるで言い聞かせるような、そんな言葉で

「ありがとうございました、烏丸さん。少し、スッキリしました」

烏丸秀 > ――なるほど。
その男の事を、悠薇ちゃんは――

「お役に立てたなら幸いだよ」

まぁ、デートなのか愚痴に付き合ったのかは分からないけど。
だけど、収穫はあった。確実に。

チェリーパイをもう一口、頬張る……少し、酸っぱい気がする。

伊都波 悠薇 >  
「食べ終わったら帰りましょうか」

友だちと話すって、やっぱりいいなと思いながら。

食べ進める烏丸のことを見つめて――

烏丸秀 > 「そうだねぇ――」

酸っぱく感じるのは、舌のせいか、雰囲気のせいか。
いずれにしろ、まぁデートという雰囲気ではなくなってしまったし――

「そういえば、これ、プレゼント」

輸入品に交じっていた、ガラス製の小さな馬の置物。
見た時、悠薇ちゃんを思い出したので取っておいたのだ。
そっと彼女の前に箱ごと差し出し

伊都波 悠薇 >  
「わ、お馬さん!」

プレゼントを見れば、ぱぁっと明るくなって

「え、えっ、いいんですかっ」

かわいい……っとつぶやきながら。
今までの雰囲気はどこへやら、すごく嬉しそうにはしゃいだ

烏丸秀 > あぁ、いつもの悠薇ちゃんに戻った。
嬉しくもあり、寂しくもあり。

「うん、悠薇ちゃんが好きだと思って取っておいたんだ。良かったらどうぞ」

うんうんと頷きながら、店員を呼び、会計を済ませようと

伊都波 悠薇 >  
「ありがとうございますっ」

元気にお礼を言ったあと――はっと、口元を抑え――

「ぁりがとうございます、ほんとうに」

しゅうっと縮こまりながら、もう一度告げた

烏丸秀 > 「――うん」

自分も、悠薇も、変わる。
生きていれば、変わらざるを得ない。

そんな事を考えながら、会計を済ませ、カフェを後にして

伊都波 悠薇 >  
「えへへ……」

ガラスの馬を見つめ。
ほにゃりと笑みを崩したあと

大事そうに箱を抱きしめながら、そっと後ろを付いていくように
出ていくのであった

ご案内:「カフェテラス「橘」」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から烏丸秀さんが去りました。