2019/08/14 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に伊都波 悠薇さんが現れました。
■伊都波 悠薇 >
――携帯を確認。時間は、ちゃんと、間に合っている。
約束の時間より、30分前からスタンバっているのだから、大丈夫――
そう。今日はなんと、自分から誘ったのである。
約束の、お茶会、ランチ――のようななにか。
緊張するのも、当然であった。
まぁ、ランチしましょうとかそんな文面ではなく
(こんな文章で、良かったのかな)
お姉ちゃんのことで相談がしたいです
そう、書いて送った。メールをもう一度見る。
ずるい、かもしれないけれど。
頼れる友人は彼しかいないので――
――彼を。お冷を飲みながら待つことにした
ご案内:「カフェテラス「橘」」に烏丸秀さんが現れました。
■烏丸秀 > その日、彼は上機嫌であった。
いや、上機嫌にもなるだろう。
可愛い子から、デートのお誘い。
これで浮かれない男がいるか?
いや、いない(反語)
というわけで、ニッコニコといつもの2割増しな笑顔でカフェテラスに来た男は、早速目当ての人物を見つける。
「やぁ、悠薇ちゃん、お待たせ」
ちなみに集合時間15分前である。
それでもお待たせなどと言いながら。
店員にメニューをお願いし、席に座る。
「凛霞の事で相談があるって?」
■伊都波 悠薇 >
「あ、烏丸さん。こんにちは」
見えれば――すくっと立ち上がり、90度のお辞儀である。
緊張しているのは丸わかりであった。
「いえ、まままま、まってません。イマキタトコロデス」
カミカミである、片言である。
そりゃそうだ。落ち着いてからというもの、ほぼ、初めてのことである。
「あ、えっと――抹茶ラテ、ください」
店員さんに付き添えて。座るのを視た後、腰掛けて
「あ、はい。お姉ちゃんと言うか。ほぼ私のことなんですけど」
頬をかきながら、首を少しかしげれば。麦わら帽子も一緒に傾いた
■烏丸秀 > 「あはは、緊張しなくていいよ、お互い知らない仲じゃない……友達でしょ」
友達、トモダチ。
もっとその先まで行きたかったなぁ、などと昔日の想いに心を流されつつ。
自分はアイスタピオカミルクティーとアイスクリーム盛り合わせを頼みつつ。
「うんうん、相談はいつでも乗るよ、ボクで良ければね」
パタパタと自分を扇で仰ぎながら軽く言う。
■伊都波 悠薇 >
「あ」
表情は明るくなる。それはとても嬉しい言葉であった。
「いえ、その、やっぱなれてませんで――かたじけない……」
お冷をストローですすりつつ。
「タピオカミルクティー……烏丸さんって甘いの好きなんですか?」
そういえば前も甘いものを食べていた気がすると、思い出し――軽く世間話
■烏丸秀 > 「あはは、かたじけない、って侍みたいだね」
やっぱり緊張してるなぁ、と思いつつ軽口を叩き。
お冷に軽く口をつけながら。
「うん、そんなにお酒強くないし、辛いのより甘いのが好きかなぁ。
お菓子とかも自分でよく作るよ。前に、悠薇ちゃんのお見舞いにももって行ったよね」
確か、メロン入りのシュークリームだったと思う。
最近は付き合ってる子もめぼしい子もいないから、あんま作る事はないが。
結局、誰か好きな女の子の為でないと料理する気が起きないのだ、この男は。
■伊都波 悠薇 >
「じょ、女子力たかい、ですね」
やはり緊張拭えず。つっかえつっかえになりながら
「――あ、はい。懐かしいですね。ちょうど1年? くらい前、でしたっけ。お手数をおかけしました、姉妹喧嘩に突き合わせて」
あははと苦笑いしつつ。
「お姉ちゃんと、最近あってますか?」
小出しに、少しずつ本題に
■烏丸秀 > 「うーん、女子力、というか。やっぱ女の子が喜んでくれるんだよねー、甘い物作って行くと」
うんうんと頷きながら。そこらへん、この男は明け透けである。
特に、一度信用した人間には。
「やっぱさ、好きな子には喜んで欲しいじゃない?」
その善意だけは本物である。本物であるから厄介なのだが。
「いやいや、ボクにも良い経験だったし、良い思いも……凛霞? そういえば、最近全然会ってないね」
校内でも、そこまで目立たなくなっているのだろうか。
いや、まぁ、この男はほとんど授業に出ていないのだが。
■伊都波 悠薇 >
「あー……それはまあ、はい」
わからなくもない。そしてその気持は大事なものだから。
自分ももらって嬉しいものだ。甘いものは正義。
「そうですか。”よかった”」
なら、都合がいい。そう、とても――
「あの、烏丸さん。一つ、協力、してほしくて」
ふぅっと息を吐けば。
店員さんから抹茶ラテが届く。
けれど、飲むのはお冷。今は、ラテよりも、乾いた喉を潤したいから
■烏丸秀 > 「……ん?」
少し、胡乱な気配……
例えるなら、そう。
自分が、悪だくみをしている時に感じるアレだ。
それを、彼女が発しているというのは……
(――ふぅん)
この上なく、面白い
「ボクで出来る事なら、喜んで」
にっこりと笑いながら、タピオカミルクティーに口をつける。
きっと、とても面白い事に違いない。きっと。
■伊都波 悠薇 >
そう、これは悪巧みだ。
悪巧みなんてもんじゃない。悪事に近い。
”それでも”
「私、伊都波の跡継ぎに、なりたいんです」
唐突な――言葉だった。
「お姉ちゃんで、確定しているこの枠を。自分のものに、したいんです」
そのために――
「協力、してもらえません――って、え、内容聞かないのに承諾して、いいんですか?」
■烏丸秀 > ピタっとミルクティーを吸うのが止まった。
噴き出さなかっただけ、マシというものである。
そして、ひと呼吸置き。
軽くタピオカを吸い上げ、飲み込み。
「――なるほど」
ひとつ、頷いた。
「うんうん、一つ聞かせて欲しいんだけど」
うっすらと目を細めながら、目の前の少女に尋ねる。
「凛霞が嫌いになったわけがない。
今更家督が欲しくなったとか、そういうわけでもないよね、キミが。
理由はなぁに?」
そこまで言って、ニンマリ笑い
「あ、理由聞いたからそんな事に協力できないとか言わないから大丈夫。
手伝うのはもう確定事項で、純粋に興味として聞きたいだけだから」
■伊都波 悠薇 >
「――お姉ちゃんを家から追い出さないといけないから」
そこには。今までの”嫉妬―きいろ―”でも、”渇望―あか―”でも、”諦観―あお―”でもなく
ただただ”覚悟―くろ―”があった。
勘違いなら、いい。予想外なら、いい。
けれど何もしなかったときの予想通りになったとき――
自分はその結果が、許せないから。
「決まってるじゃないですか」
微笑った。嗤った、咲った。そこには――
「お姉ちゃんのためですよ」
いつものようでありながら。色の違う、薔薇が咲いていた
■烏丸秀 > ――なるほど、理解した。
彼女は、悠薇は。
凛霞にとって、家が邪魔になる、重荷になると判断したのだ。
だから、自分が継ぐ事によって彼女を家から『解放』する。
それに手を貸せ、という事なのだろう。
なんと見事な――黒い薔薇が、咲いたものだ。
「OK、そういう事なら喜んで手を貸すとも」
にっこり笑って請け負う。
なにせ、悪事は得意中の得意だ。
それが、好きな女の子の頼みで、好きな女の子の為になる事なら。
断る理由など、ない。
■伊都波 悠薇 >
「――はあああああ……」
深い溜息。急激に、ふにゃふにゃになった。
さっきまで、自信満々に咲いていた華がどこにいったのやら――
「よ、よかっったぁ……」
断られたらどうしようかと。
ある程度受けてもらえるとは思っていたが、万が一もあったから――
だから一気に肩の力が抜けて机に突っ伏した。
なんとも、締まらない姿であった
■烏丸秀 > 「あはははは」
ニコニコしてその姿を見る。
悠薇らしいなぁ、と思いながら。
やってきたアイスをひとすくい。うん、美味しい。
「これから家を乗っ取ろうとする悪人でしょ、もっと不敵に笑わないと」
もちろん、断るわけがない。
女の子と一緒に悪事を為すとか、大好きなのだから。
しかし……
「具体的に方法は考えてる?」
にっこりと笑い、アイスを食べながら尋ねる。
ひとくち食べる? などと言いながら
■伊都波 悠薇 >
「え、あ――いや。ゆ、許して――つかぁさい……」
ぴしりと指摘されたことには、ひえーっと情けない声を出し。
「とりあえず、お父さんには今粘着しているところです」
具体的には、と言われれば。何はともかく、父を説得するのが先と、考えていた。
「あ、いただきます」
あーんと、突っ伏したまま口を開け
■烏丸秀 > 「うーん、なるほど」
やはり根が善人。正攻法で攻めていた。
しかし、説得は難しいだろう。なにせ、凛霞は完璧超人。跡取りとして、これ以上ない人材なのだから。
「それは、凛霞が跡取りとして問題がある、って材料が無いと難しいだろうね」
家督は長子が継ぐもの。それは世界において絶対の掟だ。
長子相続を曲げたが故に滅びた家など、歴史に掃いて捨てるほど存在する。
「例えば、凛霞の素行に問題があるとか、子供が産めないとか……」
そこまで言って、ふと考える。
凛霞が跡取りになるとしたら、外から婿を迎えるわけだが。
さて、彼女達の親は、何処から迎える気なのだろう?
■伊都波 悠薇 >
「――そうなんですよねぇ」
はむっと、差し出されたスプーンに口をつけて。一口もらい。
冷たさに顔をしかめた後――
「――まぁ、一つ材料はありますから。あとは私が跡取りになる資格が僅かでもあると証明する必要が、あるんですけどね――」
まずは、そこからというつもりだったらしい。
「――子供を、産む」
はて、と一瞬、どこかに意識が飛んでいき――ガバッと起き上がり。背筋を正し。
ごくごくとストローから抹茶オレをのんで――
「ふぅ……」
ぱたぱた、顔を手で仰ぎ。さて、何を想像したのやら
■烏丸秀 > こちらはあーん出来た事に満足しながら、自分も満足してひとくち。
間接キスだけど、今更これくらいでドキドキできないなぁ、などと寂しくなりながら。
「古武術の跡取りになる資格……やっぱり、強さとか?」
そこらへんはさっぱり門外漢である。
遠い世界の事だと思っていた。
「……ん?」
アイスを食べ終わり、はたとみると。
何やらバタバタと動いているが、さて。
(うーん、何を想像したのやら)
でも聞かない。流石に紳士だからね!
■伊都波 悠薇 >
「強さ、だと思いますけど。今まで私には一切、教わることがなかったことを、教える気にさせないとイケないんですけど……」
また、それが難しくて――とつぶやいて。
息を整えた後。もう一口お冷を飲んで。
「……逆に。お姉ちゃんがダメってことを強調したほうがいいんでしょうか?」
■烏丸秀 > 「うーん、逆効果、かな」
あんまり最初から、相手の評価を下げようとするのは良くない。
こちらのボロが出てしまうし、父親からの評価も下がる。
「まずはね、凛霞の真似をすると良い。『お姉ちゃんを見習って、強くなる』って感じで。普段彼女がしてるような鍛錬を、自分でもしてみるとか」
そうやって、自分の真面目さをアピールしつつ。
やる気がある所を見せ、家の事も真摯にこなす。
「正直ね。そこまで、強さが資格とも思えないんだよなぁ。
どれだけ家の事を真剣に考えているか。『技』を後世に残す事に真剣か。そこを見られると思うんだけど」
■伊都波 悠薇 >
「……――」
ポカーンとしている。
そして、柔らかく笑った。
「――やっぱ相談してよかったです」
自分にはない視点、自分にはない発想。
そう、自分は姉を憧れることを辞めてから、真似をすることをやめていた。無意識に。でも、そう――
それが近道であるのなら
「やってみますね」
■烏丸秀 > 「ボク、悪人だからね。悪事は得意なんだ」
おどけて笑ってみせながら。
ふっと、一瞬だけ真剣な顔になり。
「悠薇ちゃん、一つだけ約束して欲しいんだけど」
少しだけ姿勢を正し、彼女をまっすぐ認める。
「あんまり根詰めて悪事をしちゃだめだよ。
悪ってのは、一過性の感情で、放っておけばあっという間に罪悪感に変わっちゃうから。
ほどほどに、自分のペースで悪事を為す事」
特に根が善人の人間は。悪事をしているという事実に、なかなか耐えられないのだ。
「いつでも相談に来て良いからね。悪事のプロが、なんでも教えてあげる」
ひとつウィンク
■伊都波 悠薇 >
「――はい」
頷いて。
「烏丸さんに、その辺りはおまかせします」
ゆっくり、言葉を発して。
「――今年中にはなんとかしないといけませんから。よろしく、お願いします」
深く、頭を下げるのだった
■烏丸秀 > 今年中。なるほど、タイムリミット付きか。
なら……
「――ボクも、色々と用意しておこうね」
あまり強硬手段はとれないが。
それでも、色々と用意する事は出来る。
悠薇の為だ、多少の無茶はするし、何なら自分が全て悪い事にしたって良い。
彼女に面と向かっては言わないけど。
「うん、任せて。悠薇ちゃんの――友達の為だからね」
そう、嬉しそうににっこり笑った
■伊都波 悠薇 >
「――はい」
いい友達を持った。そう思いながら
「それじゃ、帰りましょうかっ。あはは、なんからしくない感じですみません」
立ち上がり、お会計へと足を伸ばし
「今日はありがとうございました」
別れ際、またしっかりと頭を下げて――
お礼を告げるのである。
――さぁ、悪巧みの開幕だ
ご案内:「カフェテラス「橘」」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から烏丸秀さんが去りました。