2019/08/14 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 >  
――携帯を確認。時間は、ちゃんと、間に合っている。
約束の時間より、30分前からスタンバっているのだから、大丈夫――

そう。今日はなんと、自分から誘ったのである。
約束の、お茶会、ランチ――のようななにか。

緊張するのも、当然であった。

まぁ、ランチしましょうとかそんな文面ではなく

(こんな文章で、良かったのかな)

お姉ちゃんのことで相談がしたいです

そう、書いて送った。メールをもう一度見る。

ずるい、かもしれないけれど。
頼れる友人は彼しかいないので――

――彼を。お冷を飲みながら待つことにした

ご案内:「カフェテラス「橘」」に烏丸秀さんが現れました。
烏丸秀 > その日、彼は上機嫌であった。
いや、上機嫌にもなるだろう。

可愛い子から、デートのお誘い。
これで浮かれない男がいるか?
いや、いない(反語)

というわけで、ニッコニコといつもの2割増しな笑顔でカフェテラスに来た男は、早速目当ての人物を見つける。

「やぁ、悠薇ちゃん、お待たせ」

ちなみに集合時間15分前である。
それでもお待たせなどと言いながら。
店員にメニューをお願いし、席に座る。

「凛霞の事で相談があるって?」

伊都波 悠薇 >  
「あ、烏丸さん。こんにちは」

見えれば――すくっと立ち上がり、90度のお辞儀である。
緊張しているのは丸わかりであった。

「いえ、まままま、まってません。イマキタトコロデス」

カミカミである、片言である。
そりゃそうだ。落ち着いてからというもの、ほぼ、初めてのことである。

「あ、えっと――抹茶ラテ、ください」

店員さんに付き添えて。座るのを視た後、腰掛けて

「あ、はい。お姉ちゃんと言うか。ほぼ私のことなんですけど」

頬をかきながら、首を少しかしげれば。麦わら帽子も一緒に傾いた

烏丸秀 > 「あはは、緊張しなくていいよ、お互い知らない仲じゃない……友達でしょ」

友達、トモダチ。
もっとその先まで行きたかったなぁ、などと昔日の想いに心を流されつつ。
自分はアイスタピオカミルクティーとアイスクリーム盛り合わせを頼みつつ。

「うんうん、相談はいつでも乗るよ、ボクで良ければね」

パタパタと自分を扇で仰ぎながら軽く言う。

伊都波 悠薇 >  
「あ」

表情は明るくなる。それはとても嬉しい言葉であった。

「いえ、その、やっぱなれてませんで――かたじけない……」

お冷をストローですすりつつ。

「タピオカミルクティー……烏丸さんって甘いの好きなんですか?」

そういえば前も甘いものを食べていた気がすると、思い出し――軽く世間話

烏丸秀 > 「あはは、かたじけない、って侍みたいだね」

やっぱり緊張してるなぁ、と思いつつ軽口を叩き。
お冷に軽く口をつけながら。

「うん、そんなにお酒強くないし、辛いのより甘いのが好きかなぁ。
お菓子とかも自分でよく作るよ。前に、悠薇ちゃんのお見舞いにももって行ったよね」

確か、メロン入りのシュークリームだったと思う。
最近は付き合ってる子もめぼしい子もいないから、あんま作る事はないが。
結局、誰か好きな女の子の為でないと料理する気が起きないのだ、この男は。

伊都波 悠薇 >  
「じょ、女子力たかい、ですね」

やはり緊張拭えず。つっかえつっかえになりながら

「――あ、はい。懐かしいですね。ちょうど1年? くらい前、でしたっけ。お手数をおかけしました、姉妹喧嘩に突き合わせて」

あははと苦笑いしつつ。

「お姉ちゃんと、最近あってますか?」

小出しに、少しずつ本題に

烏丸秀 > 「うーん、女子力、というか。やっぱ女の子が喜んでくれるんだよねー、甘い物作って行くと」

うんうんと頷きながら。そこらへん、この男は明け透けである。
特に、一度信用した人間には。

「やっぱさ、好きな子には喜んで欲しいじゃない?」

その善意だけは本物である。本物であるから厄介なのだが。

「いやいや、ボクにも良い経験だったし、良い思いも……凛霞? そういえば、最近全然会ってないね」

校内でも、そこまで目立たなくなっているのだろうか。
いや、まぁ、この男はほとんど授業に出ていないのだが。

伊都波 悠薇 >  
「あー……それはまあ、はい」

わからなくもない。そしてその気持は大事なものだから。
自分ももらって嬉しいものだ。甘いものは正義。

「そうですか。”よかった”」

なら、都合がいい。そう、とても――

「あの、烏丸さん。一つ、協力、してほしくて」

ふぅっと息を吐けば。
店員さんから抹茶ラテが届く。
けれど、飲むのはお冷。今は、ラテよりも、乾いた喉を潤したいから

烏丸秀 > 「……ん?」

少し、胡乱な気配……
例えるなら、そう。

自分が、悪だくみをしている時に感じるアレだ。

それを、彼女が発しているというのは……

(――ふぅん)

この上なく、面白い

「ボクで出来る事なら、喜んで」

にっこりと笑いながら、タピオカミルクティーに口をつける。
きっと、とても面白い事に違いない。きっと。

伊都波 悠薇 >  
そう、これは悪巧みだ。
悪巧みなんてもんじゃない。悪事に近い。
”それでも”

「私、伊都波の跡継ぎに、なりたいんです」

唐突な――言葉だった。

「お姉ちゃんで、確定しているこの枠を。自分のものに、したいんです」

そのために――

「協力、してもらえません――って、え、内容聞かないのに承諾して、いいんですか?」

烏丸秀 > ピタっとミルクティーを吸うのが止まった。
噴き出さなかっただけ、マシというものである。

そして、ひと呼吸置き。

軽くタピオカを吸い上げ、飲み込み。

「――なるほど」

ひとつ、頷いた。

「うんうん、一つ聞かせて欲しいんだけど」

うっすらと目を細めながら、目の前の少女に尋ねる。

「凛霞が嫌いになったわけがない。
今更家督が欲しくなったとか、そういうわけでもないよね、キミが。
理由はなぁに?」

そこまで言って、ニンマリ笑い

「あ、理由聞いたからそんな事に協力できないとか言わないから大丈夫。
手伝うのはもう確定事項で、純粋に興味として聞きたいだけだから」

伊都波 悠薇 >  
「――お姉ちゃんを家から追い出さないといけないから」

そこには。今までの”嫉妬―きいろ―”でも、”渇望―あか―”でも、”諦観―あお―”でもなく

ただただ”覚悟―くろ―”があった。

勘違いなら、いい。予想外なら、いい。
けれど何もしなかったときの予想通りになったとき――
自分はその結果が、許せないから。

「決まってるじゃないですか」

微笑った。嗤った、咲った。そこには――

「お姉ちゃんのためですよ」

いつものようでありながら。色の違う、薔薇が咲いていた

烏丸秀 > ――なるほど、理解した。

彼女は、悠薇は。
凛霞にとって、家が邪魔になる、重荷になると判断したのだ。
だから、自分が継ぐ事によって彼女を家から『解放』する。
それに手を貸せ、という事なのだろう。

なんと見事な――黒い薔薇が、咲いたものだ。

「OK、そういう事なら喜んで手を貸すとも」

にっこり笑って請け負う。
なにせ、悪事は得意中の得意だ。
それが、好きな女の子の頼みで、好きな女の子の為になる事なら。
断る理由など、ない。

伊都波 悠薇 >  
「――はあああああ……」

深い溜息。急激に、ふにゃふにゃになった。
さっきまで、自信満々に咲いていた華がどこにいったのやら――

「よ、よかっったぁ……」

断られたらどうしようかと。
ある程度受けてもらえるとは思っていたが、万が一もあったから――

だから一気に肩の力が抜けて机に突っ伏した。
なんとも、締まらない姿であった

烏丸秀 > 「あはははは」

ニコニコしてその姿を見る。
悠薇らしいなぁ、と思いながら。
やってきたアイスをひとすくい。うん、美味しい。

「これから家を乗っ取ろうとする悪人でしょ、もっと不敵に笑わないと」

もちろん、断るわけがない。
女の子と一緒に悪事を為すとか、大好きなのだから。
しかし……

「具体的に方法は考えてる?」

にっこりと笑い、アイスを食べながら尋ねる。
ひとくち食べる? などと言いながら

伊都波 悠薇 >  
「え、あ――いや。ゆ、許して――つかぁさい……」

ぴしりと指摘されたことには、ひえーっと情けない声を出し。

「とりあえず、お父さんには今粘着しているところです」

具体的には、と言われれば。何はともかく、父を説得するのが先と、考えていた。

「あ、いただきます」

あーんと、突っ伏したまま口を開け

烏丸秀 > 「うーん、なるほど」

やはり根が善人。正攻法で攻めていた。
しかし、説得は難しいだろう。なにせ、凛霞は完璧超人。跡取りとして、これ以上ない人材なのだから。

「それは、凛霞が跡取りとして問題がある、って材料が無いと難しいだろうね」

家督は長子が継ぐもの。それは世界において絶対の掟だ。
長子相続を曲げたが故に滅びた家など、歴史に掃いて捨てるほど存在する。

「例えば、凛霞の素行に問題があるとか、子供が産めないとか……」

そこまで言って、ふと考える。
凛霞が跡取りになるとしたら、外から婿を迎えるわけだが。
さて、彼女達の親は、何処から迎える気なのだろう?

伊都波 悠薇 >  
「――そうなんですよねぇ」

はむっと、差し出されたスプーンに口をつけて。一口もらい。
冷たさに顔をしかめた後――

「――まぁ、一つ材料はありますから。あとは私が跡取りになる資格が僅かでもあると証明する必要が、あるんですけどね――」

まずは、そこからというつもりだったらしい。

「――子供を、産む」

はて、と一瞬、どこかに意識が飛んでいき――ガバッと起き上がり。背筋を正し。
ごくごくとストローから抹茶オレをのんで――

「ふぅ……」

ぱたぱた、顔を手で仰ぎ。さて、何を想像したのやら

烏丸秀 > こちらはあーん出来た事に満足しながら、自分も満足してひとくち。
間接キスだけど、今更これくらいでドキドキできないなぁ、などと寂しくなりながら。

「古武術の跡取りになる資格……やっぱり、強さとか?」

そこらへんはさっぱり門外漢である。
遠い世界の事だと思っていた。

「……ん?」

アイスを食べ終わり、はたとみると。
何やらバタバタと動いているが、さて。

(うーん、何を想像したのやら)

でも聞かない。流石に紳士だからね!

伊都波 悠薇 >  
「強さ、だと思いますけど。今まで私には一切、教わることがなかったことを、教える気にさせないとイケないんですけど……」

また、それが難しくて――とつぶやいて。
息を整えた後。もう一口お冷を飲んで。

「……逆に。お姉ちゃんがダメってことを強調したほうがいいんでしょうか?」

烏丸秀 > 「うーん、逆効果、かな」

あんまり最初から、相手の評価を下げようとするのは良くない。
こちらのボロが出てしまうし、父親からの評価も下がる。

「まずはね、凛霞の真似をすると良い。『お姉ちゃんを見習って、強くなる』って感じで。普段彼女がしてるような鍛錬を、自分でもしてみるとか」

そうやって、自分の真面目さをアピールしつつ。
やる気がある所を見せ、家の事も真摯にこなす。

「正直ね。そこまで、強さが資格とも思えないんだよなぁ。
どれだけ家の事を真剣に考えているか。『技』を後世に残す事に真剣か。そこを見られると思うんだけど」

伊都波 悠薇 >  
「……――」

ポカーンとしている。
そして、柔らかく笑った。

「――やっぱ相談してよかったです」

自分にはない視点、自分にはない発想。
そう、自分は姉を憧れることを辞めてから、真似をすることをやめていた。無意識に。でも、そう――
それが近道であるのなら

「やってみますね」

烏丸秀 > 「ボク、悪人だからね。悪事は得意なんだ」

おどけて笑ってみせながら。
ふっと、一瞬だけ真剣な顔になり。

「悠薇ちゃん、一つだけ約束して欲しいんだけど」

少しだけ姿勢を正し、彼女をまっすぐ認める。

「あんまり根詰めて悪事をしちゃだめだよ。
悪ってのは、一過性の感情で、放っておけばあっという間に罪悪感に変わっちゃうから。
ほどほどに、自分のペースで悪事を為す事」

特に根が善人の人間は。悪事をしているという事実に、なかなか耐えられないのだ。

「いつでも相談に来て良いからね。悪事のプロが、なんでも教えてあげる」

ひとつウィンク

伊都波 悠薇 >  
「――はい」

頷いて。

「烏丸さんに、その辺りはおまかせします」

ゆっくり、言葉を発して。

「――今年中にはなんとかしないといけませんから。よろしく、お願いします」

深く、頭を下げるのだった

烏丸秀 > 今年中。なるほど、タイムリミット付きか。
なら……

「――ボクも、色々と用意しておこうね」

あまり強硬手段はとれないが。
それでも、色々と用意する事は出来る。
悠薇の為だ、多少の無茶はするし、何なら自分が全て悪い事にしたって良い。
彼女に面と向かっては言わないけど。

「うん、任せて。悠薇ちゃんの――友達の為だからね」

そう、嬉しそうににっこり笑った

伊都波 悠薇 >  
「――はい」

いい友達を持った。そう思いながら

「それじゃ、帰りましょうかっ。あはは、なんからしくない感じですみません」

立ち上がり、お会計へと足を伸ばし

「今日はありがとうございました」

別れ際、またしっかりと頭を下げて――
お礼を告げるのである。

――さぁ、悪巧みの開幕だ

ご案内:「カフェテラス「橘」」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から烏丸秀さんが去りました。