2022/02/09 のログ
■芥子風 菖蒲 >
「…………」
そう言えばなんだか、思い返せば自分も口癖みたいな感じだった。
"どうでもいい"。
実際どうでもいい事が多い。
正確には興味が無い。自分のすることに関係ないし。
それでも、それは寂しいことだって教えてくれた人が居た。
知る努力をしろって言ってくれた人が居た。
そして、一緒に祈ってくれる人がいた。
気づいたら何となく、少しだけ世界が楽しく見えた。
「オレもこんな感じなのかなぁ」
彼女を見ながら、ぼんやり思う。
自分がそこまで感情豊かという訳じゃないけど
冷たい奴と思われていそうだ。別にいいけど。
「……?真夜先輩が好きって事……?」
よくわからない。
何を拗ねられてるのが今一わからない。
要するに、マヨ先輩が自分以外で真夜先輩が好きにやってるのが嫌だとか
好きだからとかそう言う事なんだろうか。よくわからない。
女の子の心、難しい。んー、困惑の唸り声。
「ん……あ……」
言われた通りじっとしてたら、冷たい感触が頬に添えられた。
そう思った矢先、唇を舐められた。
彼女の顔が、目前にあった。
「…………」
先輩と同じ顔で、蠱惑的に、面白そうに笑ってる。
まるで悪戯が成功した子どもみたいだ。
当の少年はと言えば、予想外の行動にまた目を丸くしていた。
今のはなんだろう。もしかして、コレ流行りなのか。
生憎羞恥心もちょっと品切れ気味。それ以上に困惑が勝つ。
何処となく名残惜しむように、自身の唇を指でなぞった。
「……そうかもしれない。重なった時がどういう時かわからないけれど」
「オレは、二人の隣にいたいな」
何時でもずっと、彼女"達"の隣で。
仄暗い夕暮れでも青空のように何処までも広がっている。
ちょっとした少年の願望だ。
何時までも、誰かの隣に。自分が望んだ輪の中に。
「いいよ、別に。困ったことが在れば言って。またね、先輩」
そうして、何処か上機嫌な彼女を見送った。
本当になんか、180度違う人だった。
「…………」
少年は改めて、自分の唇をなぞる。
「…………キス、とかじゃないよ、な…………」
なんだかすごくもやもやする。
なんなんだろう、この気持ち。わからない。
芽生えた初めての心にもだつく少年は、暫くその場で動けないでいたとか……。
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