2020/07/06 のログ
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に萌良 さだめさんが現れました。
萌良 さだめ > (人間、矜持を失ってもやらねばならぬことが在る。 もちろん、失わないに越したことはないが。
 だがしかし、それでも、どうしてもという時には、土下座したってやらなければならない事があるのだ。
 それは”今”である。
 ファミレス『ニルヤカナヤ』の席に一人座るさだめは、服装に気合を入れていた。
 パステルカラーのフレアスウェットにフレアスカート、そして帽子にタイツとスニーカー…。
 完璧な女児ファッションである。 色んな意味で精神的にダメージはあるが、それを推してでも成さねばならぬことがあるのだ。)

……っふーっ……。
(深呼吸。 演技をせねばならぬという緊張、圧倒的なプレッシャー。
 ある意味大規模な魔術の行使に近い、一度でもミスがあればすべてが総崩れになるという危機感。
 それらがぴんと、頭の先からつま先まで染み渡る。 決意を込めて店員呼び出しボタンを押した。)

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から萌良 さだめさんが去りました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に萌良 さだめさんが現れました。
萌良 さだめ > 「何かご用ですか?」
緊張した面持ちの女児を見て、店員さんは明るく問いかける。
彼女いわく『ひとりできました』とのことだった。
随分とおしゃまな女子もいたものだ。
緊張している様子から見るに、きっと一人での外食は初めてなのだろう。
大事な”お客さま”に少しでもいい経験を持ち帰ってもらいたい。
店員さんの慈悲に溢れた視線がさだめに注がれる。

萌良 さだめ > …。
(開いてあるメニューを力強く指差す。
 そのまま店員さんを見上げる形で、力強く宣言した。)

「お子様ランチ」を、ください――――!!
(人間、昔懐かしい何かに急に懸想することはある。
 幼い時に友達だったぬいぐるみ、遊んでいた玩具やゲーム、そして食事。
 今日の朝、何故か無性にお子様ランチを食べたくなったさだめは、必死に計画を練った。
 自家製で作っては? 否。 コンビニで揃えては? 否。 宅配サービスを使っては? 否。
 あの時のお子様ランチは、ファミレスで食べる…そんなイメージだったのだ。

 そうなると求められるのは「子供として振る舞う」ということである。
 ミッションの都合上、誰かと一緒に来ては色んな意味で社会的立場が危ない。
 そうして一人での決行と相成ったのだ。 大人はダメと言われないようにきっちりと、
 女児ファッション雑誌まで見て服装を固めてきた上に、この演技である。
 何かあったときのために「お父さんとお母さんがお買い物をしている間暇なので、
 内緒でお子様ランチを食べに来たちょっと大人ぶりたい女の子」というカバーストーリーまで作り上げた。
 この作戦に落ち度はない。ないはずである。)

萌良 さだめ > (店員さんがとても優しく笑ってうなずくと、端末からオーダーを入れる。
 一礼して去っていく背中を見送りながら、スカートを握っていた手をゆっくりと緩めてガッツポーズ。
 やった。 勝った。 作戦成功だ。 これ以上の勝ちは望み得ないぐらいの完璧な勝利だ!)

よっし、いよし…!!
(小さく深呼吸。 油断してはいけない。 お店を出るまでは女児であらねばならない。
 万が一ここでバレてしまったら「お子様ランチが食べたいがために女装してファミレスに来た」という
 実績が公開されてしまうのだ。 人として死ぬ。 端末を取り出して、さも何事もなさそうなムーブで待つ。
 その間も視線はそわそわとせわしなく動き、キッチンの方を見ていた。
 滞在すればするほどリスクは高まる。 頼むぞキッチン。 一刻でも早く…そんな願いを込める。
 自然と端末を握る手に力がこもった。)