2019/02/23 のログ
倉間とろみ > 換気窓によって長方形に切り取られた夜空。
その端から端まで、満月がゆっくりと横断していく。月の女神ヘカテーの放つ光が、とろみの身体に降り注ぐ。
……実際、そんな女神の存在に実感はないけれど。でも、母親がそう言っていたから。
私達の血にはヘカテーへの縁があると。あるいは因縁というべきか。

そんなスピリチュアルでアルカイックな銀光が、完全に窓の桟に没しきってしまう頃。
まるでゾンビが覚醒するように、とろみの上体だけがムクリと起き上がる。
単に水の上に浮いていただけでは決して取れない動きだ。

「……………………………………………………………………………………………ふぅ」

ちゃぷりと水面を乱しながら、膝を曲げて水底に足をつく。ミドルヘアを掻き上げ、水滴を散らす。
たっぷり3時間以上月光浴を楽しんだとろみは、感嘆のため息1つをつくと。
暗い大浴場から静かに去っていった。

ご案内:「大浴場」から倉間とろみさんが去りました。