2020/09/01 のログ
リタ・ラルケ > いっそ、精霊たちに体を貸してやって、この退屈な気分ごと吹き飛ばしてもらおうか――とも一瞬思うが、すぐにそんな思考を外に追い出す。
こんな夜に、下手に異能を使って面倒ごとでも起こしたら、それこそ暇だ退屈だ、どころの話ではない。
退屈は苦手だが、面倒ごとだとか人様に迷惑をかけたりするのは、もっと苦手なのだ。

……まあ、確かに誰かが――それこそ例え自分自身であっても――このフラストレーションを解消してくれることを願うことは願うのだが。

その思いがどう転ぶかは、自分が好きに決められることでもないのだ。

ご案内:「常世寮/女子寮 ロビー」に神樹椎苗さんが現れました。
神樹椎苗 >  
 部屋から出て気まぐれにロビーに降りて見れば、一人でぐったりとしている少女を見つけた。
 それを横目に見ながら自販機に向かい、甘いココアを――二つ。
 ガタン、ゴトン、と缶が落ちる音。

「――随分と退屈そうですね」

 そんなふうに声を掛けながら、少女の目の前にココアの缶を差し出した。

リタ・ラルケ > 半ば睡魔を感じかけていた頭が、急に覚醒しだす。有り体に言えば――驚いた。
そりゃあ、この退屈さを誰か吹き飛ばしてはくれないか、とは思っていた。だけどまさか本当に自分に話しかけてくる人がいるなんて思ってはいなかった。

……ちょっとだけ、うれしい。

声のした方を見ると、痛々しい見た目の少女がいた。

「……それ、なに?」

寝ぼけかけた頭で考えても、目の前に差し出されたココアの缶の意味は分からず、思わずそう聞いてしまった。

神樹椎苗 >  
「ん、飲み物ですが。
 ああ――異邦人ですか。
 こっちに来て間もなかったり、するやつですかね」

 そう言いながら、少女の隣に腰掛ける。
 着ぐるみの上半身を脱ぐようにして、両手を出す。
 着ぐるみの下は薄い肌着と、右腕全部と左の二の腕に手首、首元を覆う包帯。

「こうやって、開けて飲むもんです。
 甘い物が苦手じゃなければ、やりますよ」

 隣で、左手だけで器用にプルタブを開け、再び少女に差し出す。
 冷たい缶の中からは甘い匂いが漂いだす。

リタ・ラルケ > いや、缶くらいはわかるよ――そんな言葉を、ぐっと飲み込む。
彼女の親切心に、どこか突き放したような言葉で返すのも悪いと思ったし。

「甘いものは、好きだよ。ありがと。いただきます」

再び差し出された缶を、今度はちゃんと受け取って、プルタブを空ける。
強くなった甘い匂いを鼻腔の奥で感じながら、一口、ココアを含んだ。

「……結構、優しいんだ。危ない見た目してるから、もっと怖い人だと思ってた」

寮の有名人――あまり良くない意味ではあるが――だから、余計に。

神樹椎苗 >  
 再び差し出した缶はすんなりと受け取られる。
 遅ればせながら。
 さっきの言葉は突然差し出されたココアに対するものだったんじゃないかと思った。

「まあ、普段から包帯だらけで、帰ってきたら血だらけなんてなれば、危なくも見えるでしょうね。
 特別優しいとも思いませんが――別に危ない事をしてるわけでもねーですよ」

 そんなことを言いながら、自分の分のココアを開けて一口飲む。
 そして、ふぅ、と一息ついた。

「――ちょっと娘の帰りを待ってましてね。
 委員会の仕事で遅くなると連絡があったんですが。
 なので、ここで待とうと思って下りてきたら、暇そうなお前が居たわけです」

 「暇人同士、お近づきの印ですよ」と、ココアの缶を揺らして見せた。

リタ・ラルケ > 缶を揺らす少女に、ふふ、と笑いかける。
なるほど暇人同士とはまったくだ。少し前まで退屈に押し潰されそうだったのだから、そんな自分がどんな言い訳をしようとも説得力のかけらもなかろう。

……しかし、つと耳に、気になる単語が聞こえた。

「……娘?」

どう見たって、娘がいるような年には見えない。ましてそんな話も聞いたことがない。

「……どういうこと?」

こればっかりはいくら考えたって、頭が冴えてたって、自分の頭ではわからなかった。

神樹椎苗 >  
「ん、風紀委員をやってるのですよ。
 今日は警邏があるから遅くなるらしいのですが。
 放っておくとまともな食事すらとらねーもんですから、寝るまで放っておけねーのです」

 「手間がかかるのですよ」と、ココアを飲みながら苦笑する。
 どうやらまた「どういうこと?」の意味を取り違えているようだ。

リタ・ラルケ > 「……あー」

自分でもびっくりするくらいの空返事が出た。言葉って難しいな、とも思った。

……多分、"娘"がいるというのが、この子にとってはあまりに当たり前なのか、
そうでもなければ……あまり触れちゃいけない話題だから、適当に話を逸らしてるか。まあ多分違うとは思うけど。
いずれにせよ、これ以上深掘りする気分にはならなかった。

「大変なんだねえ、ママは」

ちょっとだけもやもやした気持ちを抱えつつも、そう言って一緒に苦笑するに留まった。

神樹椎苗 >  
「そうなのですよ。
 世話がかかって仕方ねーのです。
 しかも仕事から帰ってくるときは、大概傷だらけで」

 はあ、と悩ましそうにため息。

「どうせ今日も、ぼろぼろになって帰ってくるに違いないのです。
 ――まあ娘と言っても、血縁じゃねーのですが。
 なんて言うんですかね、似たような関係性、と言うのでしょうかね」

 少し考えながら、手元の缶を見下ろす。
 またスラムの方で血だらけになってるに違いない。
 と、そこまで考えてから顔を上げて。

「それより、夏季休暇も終わりっていうのに、お前は何してるんですか?
 そろそろ寝ておかないと、新学期早々に遅刻するハメになりますよ」

 と、感情の薄い表情で少女を見る。

リタ・ラルケ > 「まあ、そうなんだよねえ。寝る気も起きなかったからここにいたんだけど、そろそろいいかなあ」

咎めるような視線を感じて、少しだけ目を逸らして立ち上がる。
いつの間にか空になっていた缶を、後で捨てようとパジャマのポケットに突っ込んだ。

「遅刻は心配しないでいいよ。今まで寝坊したことは一回もないんだ」

自分にしかわからないことではあるが――朝方、日が差し込むと、部屋の中の"光"の精霊が活発になって、逆に"闇"の精霊は大人しくなってくれる。
寝ていても何となくそれが肌でわかるから、昔から寝坊とは無縁なのがちょっとしたちょっとした自慢なのだ。

「ってか、それなら君も早く寝るんだよ。明日から授業があるのは私だけじゃないでしょ?」

他人の世話を焼くのがいけないとはいわないが、自分にだって都合があるだろうに。

神樹椎苗 >  
「寝坊しないのは、いい特技ですね。
 心配いらねーですよ、しいはそもそも、あまり睡眠が必要な体質じゃねーのです」

 立ち上がった少女を見上げる。
 心配不要と薄く笑った。

「ん、眠れそうですか?
 明日は通常授業と時間が違いますから、間違えないようにするのですよ」

 と、初対面の相手にも世話を焼くような事を言う。

リタ・ラルケ > 「ん、ばっちり。寝る気になったよ」

初対面であるはずの自分に、まあ最後まで世話焼きなことだ。噂と上辺の姿だけでこの少女のことを評価していたのは、大きな間違いだっただろう。

「ほんと、ありがとね。私なんかの話し相手になってくれて」

持ち前の放浪癖と多重人格的な異能のある自分に、自ら近寄ってくる人はいないと思ってた。
実際今までずっと、他人と関わることのない人生を歩み続けてきたけど。

……でも、人と話すっていうのは……思ったよりも楽しかった。

「……それじゃ、またね。今度はどこで会うかはわかんないけど」

世話焼きな少女に笑顔を返して、自分は部屋に戻る廊下に足を向けた。


……今度は私がココア、ご馳走してあげなきゃね。

ご案内:「常世寮/女子寮 ロビー」からリタ・ラルケさんが去りました。
神樹椎苗 >  
「暇つぶしになれたみてーで何よりですよ」

 わざわざ礼を伝えてくれる少女に、笑い返し。
 どうにも自己評価の低そうな少女だなと、お節介な思考がよぎる。

「ええ、また。
 同学年のようですし、寮生仲間ですし、どこででも会えますよ」

 そう答えて部屋に戻っていく少女を見送った。

神樹椎苗 >  
 さて、少女の姿が見えなくなると、今度は椎苗が一人になる。
 ほとんど空になったココアの缶を揺らしながら、ソファに寄りかかって正面玄関の方を眺めた。

「はあ――まだ帰って来ねーですか」

 最後の一口を飲んで、少し狙いを付けてからごみ箱に向けて缶を投げる。
 小さな捨て口には惜しくも入らず、ため息を吐いてソファから立ち上がった。
 ゴミ箱の前まで行って、缶を拾い上げゴミ箱に押し込んだ。

「――連絡もねーですか」

 ポケットから端末を出して、画面を眺める。
 そこには何の通知も届いていない。
 自分が渋い顔になっているのが分かる。

 再びソファに座って、沈み込む。
 ぼんやりと端末を眺めながら、ロビーに一人。

神樹椎苗 >  
 端末を手にもって、ぼんやりと時間を過ごしていた。
 すると、突然端末が振動し、画面に通知がポップアップした。

『星を見てから帰ります』

 ――娘からの連絡だった。

(時計塔ですか。
 もっと早く連絡しろってんです)

 娘からの連絡に少しばかりムッとしながら、一息置いて、文面を打った。

【あまり遅くならずに帰ってくるのですよ。
 晩御飯は用意してあります。
 それと、帰ってきたらゲンコツです】

 真っすぐに帰ってこない。
 それだけでトラブルの一つもあっただろう事は想像に難くない。
 帰ってきたらゲンコツ一つ落っことして、しっかり抱きしめてやろう。

 あの娘は少し甘やかしすぎるくらいで丁度いいのだ。
 放っておいても、ひたすら自分を責めていくような娘なのだから。

 またソファに座り、もたれかかってぼんやりとする。
 さて、帰ってくるまでまだ数時間かかるだろうか。
 まだしばらく、ここで待っている事になりそうだ。

神樹椎苗 >  
 ――カチ、コチ、カチ、コチ。

 秒針の音が静かなロビーに響く。
 特に何をするでもなく、ぼんやりと天井を見上げて時間を過ごす。
 一時間、二時間。

 ――カチ、コチ、カチ、コチ。

 一定に鳴り続ける秒針の音。
 同じリズムで刻み続ける。
 だんだんと、音が大きく聞こえてくる。

 ――カチ、コチ、カチ、コチ。

 ゆらゆら、ゆらゆら。
 音が頭の中に響いて、視界が揺れていく。
 うつらうつら、と、意識が途切れ始めた。

 ――カチ、コチ、カチ、コチ。

 瞼が落ちる。
 心拍数が下がり、呼吸が減る。
 自分が眠っているのか、起きているのか、判然としない曖昧な時が過ぎる。

 ――カチ、コチ、カチ、コチ。

神樹椎苗 >  
 ――カチ、コチ、カチ、コチ。

 時計の音だけが、この空間の時間が進んでいる事を表していた。
 ソファに凭れた椎苗は、いつの間にか眠ってしまっている。
 極端に少なく、微かな呼吸が、秒針の音にかき消される。

 ――カチ、コチ、カチ、コチ。

ご案内:「常世寮/女子寮 ロビー」にさんが現れました。
> 「む、う」

トイレに起きてきた幼女が、うつらうつらしている友人を確認し

こっそりと自分の部屋に戻り、自分の部屋からかけるものと、枕を持参して

ご案内:「常世寮/女子寮 ロビー」に水無月 沙羅さんが現れました。
> 「起こさないよーに、と」

椎苗ちゃんの隣に滑り込んで、くぅくぅと眠りに入ろうと

水無月 沙羅 > 「ふぅ、疲れ……た。」

だいぶ白んだ空の中、帰ってくる影が一つ。

「げ。」

その場で寝ている同居人の姿を眼にした。

「待っているとは……」

おもわなかった。
頬を掻いて、どうしたものかと見やる。
同時に希の姿を見つけて。

「おっとぉ……」

部屋に運び込もうかと思ったがそうもいかなくなってその場に立ち尽くした。
なお、制服は血と泥に汚れたままである。

神樹椎苗 >  
 ――カチ、コチ、カチ、コチ。

 秒針の音に別の音が混じる。
 微睡の中に温かさを感じて、無意識に抱き寄せていた。

 そのまま、二人の少女は静かに寝息を立てている事だろう。

 そして――ロビーの扉が開く音。
 椎苗がゆっくりと頭を上げて、目を覚ます。

 そして隣にくっついている少女と、立ち尽くす娘の姿を見て。
 非常に不可解な表情を浮かべた。

「――これ、どういう状況ですか」

 時間は朝方になっている。
 隣の少女を起こさないように、少しだけ掠れた声で疑問を口にした。

> 「むにゃむにゃ、しーなちゃん、あそ、むにい」

くぅくぅと寝入っている

水無月 沙羅 > 「いや、私に聞かれても……。
 時計塔で寝ちゃった女の子を送り届けて帰ってきたらこの状況だったので……。
 希ちゃん何してるの……。」

少なくとも小さい子供二人が出歩いていい時間ではない。
さてどうしようかと悩んでいると。

くぅ。

と小さくお腹が鳴った。
そういえば夕食を食べていないのだった。
もうすぐ朝ごはんの時間にもなるのだけれど。

神樹椎苗 >  
「――まあ、ええ、大体わかりますが。
 しいが、転寝してたところに直情ロリが来たのでしょう。
 まったく、わざわざタオルケットに枕まで持ってきて」

 寝言を言ってる少女を起こさないよう、そっと左手を抜き取って、静かに起き上がる。
 ゆっくり立ち上がると、ゆらゆら、と一歩ずつ、ゆっくりと、血だらけの娘に近づいていく。

「とりあえず――正座」

 そして目の前まで来てから静かに言った。
 表情は、お腹の音を聞きながら、やんわりと微笑んでいる。

水無月 沙羅 > 「え、あ、はい。」

これは逆らってはいけない奴だな、とその場でさっと正座。
明らかに怒っていらっしゃる雰囲気だ。

こんなところで待たせてしまった罪悪感も同時に襲い掛かってきた。

> 「ふみゅ」

ふと居なくなった温もりを求めるように手をさわ迷わせた後、また寝息を立てている

神樹椎苗 >  
 正座した娘の頭に、左手で作ったゲンコツを割と力いっぱい落とした。
 とは言え子供の力だ、精々、少し痛い程度だ。

「今を何時だと思ってるんですか」

 そう叱るように言ってから、座った娘の頭を胸元に抱きしめる。
 そして、抱きしめた左手で、優しく頭を撫でた。

「――お疲れ様ですよ。
 よくがんばりました。
 ちゃんと帰ってきて、えらいですね」

 そう、頭の上で静かに、ささやくように。
 娘を労うように言う。

水無月 沙羅 > 「あだっ……」

子供の力でめいっぱいげんこつされる。
実はこれが結構いたい。
怪我をする様な事は無いが、赤ん坊に思いっきり蹴られるとかなりたいのと同じことだ。
あながち侮れない子供の力。
其れだけ心配させたという事なのだろうか。

「ご、ごめんなさ……」

謝罪の言葉を口にしようとした途端に抱きしめられる。
抱き締めたまま頭を撫でられて、

「……ただいま。 しぃ先輩。」

暫くその手に甘える様に、なでられるがままになっていた。
帰ってきたんだなという気分に安心する感情は、彼女の部屋に居候になるまで知らなかったものだ。

> 「むにゅ?」

目をこしこしとしながら

ぼんやりと二人を見つめる幼女

神樹椎苗 >  
 そうしてしばし、娘を甘えさせて、甘やかして。
 少ししたら体を離した。

「おかえり、バカ娘。
 ご飯は用意できてますが――その前にシャワーと着替えですね」

 そう言っている間に、後ろの方で動く気配。
 少女が起きたようだ。

「起こしちまいましたか。
 まだ早いですから、部屋に戻って寝なおすと良いですよ」

 と、ソファを振り返って声を掛ける。

水無月 沙羅 > 「あー……ちょっと人様には見せられないですからね……あっと。
 希ちゃん、おはよう……?
 まだ寝ていたほうが……」

血だらけの制服を見せるわけにも行かないなと、こそこそ椎苗の体に身を隠して顔だけひょこっと覗かせる。

「送ってあげたほうが良いんじゃないですか?」

椎苗のこっそりと耳打ちして。

> 「んー、しーなちゃん、さらおねーさん、おはようございます、ぱんけーきがいっぱい、たくさん、むにゃ」

まだうつらうつらしている

神樹椎苗 >  
「ん、そうですね――」

 娘の耳打ちに少し考えてから、少女に近づいていく。

「まだおはよーには早いですよ。
 ほら、羨ましい夢みてねーで、部屋に戻るのです」

 少女の頭を撫でて、枕とタオルケットを持たせる。
 しかし、そのセットを見てまた少し考える間があった。
 右腕が包帯の下でわずかに蠢く。

「ほら、連れてってやりますから、部屋に行きますよ。
 しいにちゃんと掴まるのです」

 そう言って、両腕を使って抱き上げようとする。
 右腕は少々、ゴツゴツとして堅いだろうが、寝ぼけていてはわからないだろう。

水無月 沙羅 > 「パンケーキ、羨ましいんだ……。」

相変わらず甘い物には目が無いらしい。
とりあえずは部屋まではついていこうか、と、椎苗の後ろを着いてゆく。

「何だかんだしぃ先輩あまいですよね……。」

自分に対しても、彼女に対しても。

> 「うにゃー、しーなちゃん?さらおねーさん?ぱんけーき食べる?」

うとうとと椎苗の身体にだきつくように甘えているようで

神樹椎苗 >  
「そうですね、朝はパンケーキでも焼きますか。
 はいはい、ちゃんと掴まってやがれですよ」

 そう少女を抱いたまま、ちらりとついてくる娘を振り返る。

「別に厳しくする必要がねーだけです。
 必要があれば怒りますし、鬱陶しければ追い払いますよ」

 以前と変わらないと言いたげなセリフだが。
 はたから見れば明らかに以前よりも態度が柔らかくなっているのは、一目瞭然と言ったところだろう。
 気づいていないのは本人ばかり、というモノだ。

「ほらバカ娘、ボケっとしてないで部屋を開けるのです」

 そして着いたのは、椎苗の部屋の前。
 そこで娘に早く開けろと要求する。

水無月 沙羅 > 「パンケーキ、実は食べたことないですよね。
 いや、うん、おいしいっていうのは聞いたことありますけど。
 無駄にカロリーたかいし……。
 希ちゃんが食べたいなら、まぁ。 そうですね。」

栄養バランスを考えた場合、あそこまで偏った物もなかなかないだろうなと思う。
彼女たちはそれが随分お好みの様だが。

「ハイハイ判りましたって……いや、ここ私たちの部屋じゃないですか。
 良いんですか? 保護者に無断で。」

椎苗の言い分にクスクスと微笑みながら、部屋の扉を開いた。
お姫様抱っこ状態の希ちゃんが少々ばかり羨ましくも感じる。
この年にもなってそこまではしてもらえないだろうという話。
流石に警邏のトラブルで全身疲れ切っていたからこその妙な思考だった。

> 「むにゃむにゃ、しーなちゃん、あそぼ、んー」甘えるようにすりすりぎゅーと
神樹椎苗 >  
「お前は栄養バランスばかり気にしすぎなのです。
 やっぱりもっと、お前の舌を肥えさせる必要がありますね」

 この娘の場合、食べさせなければ本当に完全栄養食の類で済ませてしまうのだ。
 居候させている間に、自然と美味しいものを食べたいと考える舌に変えなければならない。
 そんな使命感に静かに燃える。

「この部屋の方がちけーのです。
 ちゃんと起きたら連絡させればかまわねーでしょう」

 「あーはいはい、遊ばねーですよー」とすり寄ってくる少女をあやすように言いながら。
 娘が空けた部屋に入っていく。
 そして自分のベッドの上に少女を寝かせた。

「さっさとシャワーを浴びてすっきりしてくるのです。
 直情ロリが起きたら、三人で朝食にしますからね」

 そう言って、無意識のうちに。
 どこか楽しそうな笑顔を浮かべていた。

> 「むにゃむにゃ、しーなちゃん、だいすき」

友人のベッドで眠りながら、寝言を

水無月 沙羅 > 「仕事をするのに健康な体は資本ですから……いや、まぁ。
 しぃ先輩の作るご飯はおいしいと思いますよ、十分に。」

この部屋に来て数週間で、随分味覚を開発されたと思う。
食べることの楽しさというものも、また彼女に教わったことの一つだ。

「はーいお母さん。」

冗談交じりにそう答えながら、着替えの『制服』を取りに自室へ。
今着ている服はもう捨ててしまわないといけないだろう。

「しぃ先輩も、ちゃんと後で寝てくださいね。 ソファで疲れ何て取れないんですから。」

本当の家族みたいだなと、少しだけ頬がほころんだのは言うまでもない。

ご案内:「常世寮/女子寮 ロビー」から神樹椎苗さんが去りました。
ご案内:「常世寮/女子寮 ロビー」から水無月 沙羅さんが去りました。
ご案内:「常世寮/女子寮 ロビー」からさんが去りました。