2021/03/06 のログ
ご案内:「常世寮/女子寮 リタの部屋」にリタ・ラルケさんが現れました。
■リタ・ラルケ >
――エアースイム冬季大会は、その日程を恙なく終えた。
自分の結果はといえば――まあ、初戦"は"よくやった方、といえよう。エアースイムどころかスポーツそのものの初心者である。もちろん、体力も経験もほかの参加者よりずっと劣っていた。無名、なおかつ幼い見た目であったためにそれほど警戒されていなかったからこその勝利だと思っている。
加えて、なまじ初戦で「勝ってしまった」がために、次の試合でひどく警戒されたというのもあるだろう。結果、二戦目は六人中四位という結果に落ち着いてしまった。この結果をもって、「スイマー・リタ」は、ひとまず落ち着くことになる。
一つ、自分の中で大きなことを終え。生活は、以前までのものに戻りつつあった。
「……ぐぅ」
部屋に備え付けられたお風呂から出て、ライトグリーンのパジャマに着替えて。
湯上がりで微かに湯気が出た体のまま、自分は部屋のベッドに倒れ込んでいた。
「……ぁー……」
そんな、意味のない声とアクアリウムの駆動音が、右の耳から左の耳へ。
夜の自室は、静か。
■リタ・ラルケ >
何をするでもなくベッドで横になったまま、ベッドの上に置いてあるクッションを抱きしめる。
「……」
ひとりがさみしい、と思い始めたのは、最近のこと、だと思う。
今まではずっと、一人でもなんとかやれていた。いや、正確には、なんとかしなければいけなかった。そうしなければ、生きていけなかった。早いうちに学園側に異邦人として保護されたのは、今思えば幸いだったのだろう。
そうして、支援を受けながらでも一人で過ごせるようになって――それから、友達ができた。その時はまだ、別に何とも思いはしなかった。
だけど、その友達に、恋人がいるのだと知って。仲良しの様子を聞かされて、お正月には家に招かれて――そうしているうちにいつの日か、ふと思った。
ひとりは、なんだかさみしい。
そりゃあ、ただ暮らすだけなら一人でもできる。し、今まであまり他人と関わろうとしなかったのもあって、一人であることそのものに慣れてはいた、はずだった。
だけどなんだか今は、無性に寂しい。
精霊はいるけれど、精霊たちは何も言ってくれはしない。
前から漠然と思っていたけれど、今日はなんだか、「そういう日」なのだった。
ご案内:「常世寮/女子寮 リタの部屋」に迦具楽さんが現れました。
■迦具楽 >
そんな静かな夜に、突如、窓の外で鈍い物音が鳴った。
そして、その直後、ガタガタと揺れる窓枠。
開かないとわかると、繰り返し窓枠が叩かれる音が!
ダンダン、バンバン、ガタガタガタ!
カーテンの外から繰り返し聞こえる不審な音!
■リタ・ラルケ >
静かな部屋の中に突然、窓を叩く音。
そりゃあもう、びっくりしたなんてもんじゃない。
「っ!?」
どう考えたって、普通じゃない。こんな夜に――とかそういう以前に、ここは地上からはかなり離れている部屋であり、窓を叩くだなんて、普通の人間じゃできない――いや、この土地だとそうとも限らないのか。
ともかく空を飛べる「何者か」が、ここに入ろうとしている。
「……」
怪異にしろ何にしろ、それが友好的と断ずるには、ちょっとばかり足りない。
念のため、臨戦態勢は整えておくに越したことはない。幸い、この部屋にいる限り、精霊纏繞に困ることはないから。
「……よし」
意を決して、未だ叩かれ続ける窓の方に向かう。それから、思い切りカーテンを開けた。
■迦具楽 >
思い切って開かれたカーテン!
その向こうにいたのは――
「りーたぁー」
赤くなった顔を窓ガラスに張り付けている、不審者の姿だった!
「りーたー」
その不審者は、部屋主の名前を呼びながら、再び窓を揺らし始めたぞ!
■リタ・ラルケ >
「……」
親友相手に、こういうことを思ってしまうのはどうかと思うのだけれど。
割と本気で、通報するべきかどうか迷った。
この際、どうしてこんな夜にここにいるのかはさておいて――いや、さておくべきではないのだろうけど――。
赤らんだ顔。窓越しでわかる、いつも以上にふわふわとした雰囲気。
多分これ、酔っているんじゃないだろうか。
とりあえず、ずっと窓を揺らされてはかなわない。未だ理解が完全に追いついているわけじゃないけれど、窓際のプランターを横にどかして、それから窓を開けて迎え入れることにする。
涼しい夜風が吹き込むと同時に――その風に乗って、アルコールの匂い。疑念が確信に変わった瞬間である。
「……あー、迦具楽? とりあえず入ってきて。その、できるだけ早めに」
ついぞ窓から人を招く経験などないから、これでいいのだろうかと何度も自分に問いかけながら。
■迦具楽 >
「やったー、開いたー」
窓が開くと、ずるりと入ってくる黒い影。
その手には大きな買い物袋。
中には大量の酒類やオツマミの数々。
「おっじゃましまーす――おお、すごいほんとにアクアリウムがあるー!」
靴を脱ぎ捨てながら部屋の中に飛び込んだ迦具楽は、酒臭い息を吐きながら部屋を見渡す。
アクアリウムを見ると楽しそうな声を出しながら、ガラスに顔を近づけている。
■リタ・ラルケ >
クマノミやナンヨウハギ、サンゴやヤドカリと言った海の生き物たちが暮らすアクアリウムを見てはしゃぐ迦具楽。
前にちょっとだけ話はしたけれど、実際に部屋に招く……うん、招く。のは初めてだったっけ。
窓を閉じて、プランターを戻して。それから向き直る。
「迦具楽……急にまたどうして来たの。こんな夜更けに」
一言、来ると言ってくれれば、また歓迎のしようもあったのだけれど。突然のことだから、何か出せるものを用意していたわけでもない。というか寝る直前だったから、服だってこのままだし。
■迦具楽 >
「ん、ああ、そうそう、ほらこれ!」
そう言って買い物袋を見せて。
「んへへ、祝勝会やろうよ!」
そう言って袋の中身をひっくり返す。
その中身はほとんどが酒瓶、缶、オツマミ。
あとはジュースが何種類か。
総重量は20kgくらいあっただろう。
「いやーはは、初めて酔ってみたけど、なんだか気分いいねえ」
赤い顔でへらへらと笑う。
普段よりも数段、陽気に見えるだろう。
迦具楽は普段酔う事が無いのだが、身体の性質を変えて代謝を抑える事で意図的に酔う事は出来るのだ。
おかげで初めて酒に酔っているわけだが。
■リタ・ラルケ >
「祝勝会、かあ。ん、それは嬉しい……な」
先の試合をお祝いしに来てくれたということである。それはまあ、嬉しい。突然来たのはともかくとして。
それはともかく袋から落ちる中身は、大部分がお酒と、そのおつまみ。おおよそ自分が飲んでいいようなものではない。まあジュースもいくらかあるから、それを飲めばいいだろうか。
というかこれ以上飲む気なのだろうか。酔いとかそういうのには詳しくないけど、なんていうか、これ以上飲ませたらあまりいけないような気もする。
「あんまり酔いすぎちゃだめだよ? もし本気でやばそうだったら、いつでも言って」
酔っ払いの介抱もしたことはないけれど――まあ、どうにでもなる……だろう。そう信じよう。
とりあえずコップを取りに、備え付けのキッチンの方に向かう。
■迦具楽 >
「お、喜んでるー?
喜んでるのー?
リタは可愛いなぁ」
へらへら笑いつつ、デレっとした顔。
そのままよたよたと腰を下ろすと、早速缶チューハイを開けだす。
「だいじょーぶだいじょーぶ!
これくらい全然平気だってー。
ほら、はやくはやくー、リタも飲もうよー」
楽しそうな様子で、キッチンに立った親友を呼ぶ。
隣の床をぺしぺしと叩いて、もう一本、缶チューハイを用意していた。
親友にも飲ませるつもりなのか。
■リタ・ラルケ >
「飲むのはジュースね。私、まだお酒飲める年じゃないし」
万一にも未成年飲酒が風紀委員にでもバレたりしたら、もう目も当てられない状況になるだろう。それだけは何としてでも阻止しなければならない。
二人分のコップを持って、キッチンから戻ってきて。促されるまま隣に座って、迦具楽と自分の前にコップを置いて――差し出された缶チューハイだけはそっと手で退けて、適当なジュースを一本開けるのだ。
「それじゃあ乾杯、しよっか」
自分の分のコップにジュースを注いで、そう促す。
突然のことでびっくりはしたけど――それでも、今日来てくれたのは特に嬉しいし。
■迦具楽 >
「えー、別にいいじゃん。
一緒に飲もうよー」
※未成年に飲酒を勧めてはいけません。
退けられた缶チューハイは不満そうに自分の前に持ってきて。
仕方ないなあ、とジュース類を雑にリタの方へと押しやり。
「おー、乾杯乾杯」
しっかりと自分のコップを手に持って、親友に向けて突き出す。
「それじゃ、我が親友の初試合と初勝利を祝しましてー」
「かんぱーい」と声を上げながらコップ同士を軽く――いやちょっと零れそうなくらいの勢いで打ち付けた。