2021/05/29 のログ
■アンジェ > そう、再び買いに出かけるにはこの雨が邪魔をする。
がむしゃらに降り注ぐ雨は奇妙な生物や妖精を呼び寄せ、傘以外にも様々な対策を要求してくるのだ。
「記事になるほど人気なのだ、おそらくはもう売り切れているだろう…
かといって明日に買いに行けば、この降り注ぐ雨に紛れてまた妖精たちが仕掛けてくるはずだ。
私が使える反魔術という技は妖精たちには効果がなく、かと言って護符や魔術に頼るのは信条が…」
普通の学生、と言ってもこの島の普通を定義することは難しいが、
ともかく魔術に抵抗のないヒトならば妖精祓いの護符や魔術を頼るだろう。
だが、彼女は魔術に関するあらゆる事柄を封じ込めてきた者。
それ故に強烈な抵抗があり、だがそれに頼らざるをえないかもしれない矛盾。
「こういう時はダメになったお菓子を材料に、別のものに作り直すとも調べたが…
…私は肉の捌き方ぐらいしかわからんのだ!だからこうして、このまま食べるかどうか悩んでいて…」
女性にしては大きな体格を持つ彼女も、落ち込めば小さく見えてしまう。
味はきっと変わらないはずだが、自分で潰してしまった事実を飲み込むのはつらいものだ。
■セレネ > ジメジメして陰鬱な時期は怪異や霊も引き寄せる。
梅雨の時期は増えるのよね、と内心で溜息を吐きながら。
「妖精は悪戯好きって聞きますしねぇ。
…あぁそっか、貴女の世界では魔術は悪でしたっけ。」
己はその魔術や魔法を扱える身。
なのだけど、彼女のその意思や信条もあって”扱えない”フリをしている。
尤も、平時でも矢鱈と使っている訳ではないが。
「お菓子のリメイクですね?
…ふむ。そうだなぁ…この際だからお菓子作りも覚えてみてはいかがでしょう。
私も趣味程度ですけど、ある程度教える事は出来ますし。」
それに、菓子作りで重要なのはレシピ通りに作る事だ。
素材の分量、焼き方などなど。料理とは違う難しさと慎重さが必要だ。
生真面目な彼女には、もしかしたら向いているかもしれないし。
それに、こんなに落ち込んでいる彼女を放っておくのも可哀想だ。
一つ提案をしては、相手の反応をゆっくり待つつもり。
■アンジェ > せめてこの悪戯も長雨も人が原因ならば、遠慮なく裁いてやれるのだが。
そう呟いて、彼女はセレネの意見を聞いてみる。
「なんと、君は菓子まで作れるのか!
私がいた国では一握りの職人しか作れなかったのだが、
この島は凄いな…」
騎士としての務めを果たしていた頃には夢にも思わなかった数々の菓子が、
習えば自分で作ることができるという。
最初に来た頃には戸惑うことばかりの毎日だったが、こうして学べることが増えていくのは悪くないと彼女は思った。
「魔術は悪の象徴のようなものだが、菓子はいわば逆。
善の象徴だ!ぜひ教えてくれないか?」
元の世界に帰ることは叶わない、ならばここで叶う夢に向かって歩いていこうと彼女は誓う。
もしセレネが受け入れてくれるなら、彼女は生来の生真面目さで少しずつだが学んでいくだろう。
だが、菓子作りの試食で体重の増加に悩むことになる未来が待ち受けていると、この時の彼女は気づくことはなかった…
■セレネ > 一流のパティシエと比べれば己は足元にも及ばないし、
己より菓子作りが上手い人はきっと居る。
それでも、何かの足掛かりになれればそれで構わない。
「まぁ、お店で売っているものと比べればそこまで自信はありませんけれどね。
でも、自分の好みの味に出来たりするのは自作するのが一番ですから。」
お店でこのお菓子が売り切れていたりすると、じゃあ自分で作ろうという手段が取れるのが良い所。
大きさも自分好みに出来るから、大きなお菓子も作れるし。
その分作る時間はかかるが、外に出たくない時期なら良い暇つぶしになるかもしれない。
携帯端末の扱い方のみならず、次に会った時にはお菓子の腕も上達しているかもしれない。
その時が楽しみだ。
「えぇ、構いませんよ。
…お菓子作りの材料なら、多分まだ余ってた筈だから…。」
彼女と潰れてしまったシュークリームと一緒に、まずは己の部屋まで案内していこう。
部屋には一匹、小さな白仔猫がいるので動物は大丈夫かと聞きながら楽しくお菓子作りに勤しむであろう。
憂鬱な雨も相手のお陰で明るく過ごせそうだ――。
ご案内:「常世寮/女子寮 ロビー」からアンジェさんが去りました。
ご案内:「常世寮/女子寮 ロビー」からセレネさんが去りました。