2020/06/14 のログ
ご案内:「浜辺」に烏丸 九郎さんが現れました。
烏丸 九郎 > 潮風、日差し、そして波。
風の音と波の音、鳥の声で奏でられる浜辺というシーン
そこに現れたのはアコースティックギターを持った少年。
ジーパン、ワイシャツ、サンダル…そしてサングラス。
海らしい服装だ。

「あーーーーー……海はいいな!」

砂浜近くの防波堤。
そこに座り込めば、ギターの調整。
じゃらんとかき鳴らせば満足げ。

「ま、帰ってきたんだ。俺の歌に付き合えよ、海ぃ!!」

そして、演奏を始める。
アップテンポなギターの唸りに乗せて声も高らかに
歌が響く。

烏丸 九郎 > 今日の海は穏やかで、海鳥たちも賑やかとは言えない。
だが、ギター一本、歌声一つが加われば
穏やかな浜辺も熱を帯びていく。
熱くなっているのは一人だけだが。

「いぇぁぁぁああああああ~~~~~~~~~♪」

シャウトもまじえれば、今日も喉の調子は絶好調なのはよく分かる。
さすが俺。
音界の覇者たる男。
誰もいないこの浜辺ですら歌で支配できる。

「波よっ!!」

轟け!!

「太陽よっ!!」

輝け!!

そして…

「俺よっ!!!」

歌え!!

そう、この男はこの上なく一人上手であった。

烏丸 九郎 > さすが俺。
自分の才能が怖い。
いや、怖くない。当然だ。音界を統べる帝王だから。
俺を驚かせるほどの歌声をもつものは唯一人だけなのだから。
歌い終われば、ギターをジャンっとならし、一旦曲に区切りをつける。

ギターがやんでも波は止まることはなく風が止むこともない。
当然だ。
その様子になぜかニヤリと笑った。

「わかってるぜ。俺も一曲でおわらせようなんてな、そんなケチな考えじゃねぇよ」

誰もそんな事は言っていない。
だが、男は一人で盛り上がれる。
歌ってれば楽しい。そういう男なのだ。
つづいて弦を弾いて奏でる曲はどこかムーディーなもの。

「~~~~~~~♪」

烏丸 九郎 > 歌い続ける少年だが…歌い続けていれば少し不満げ。
ここからでは波の音が小さい。
当然だ。海は荒れているわけでもないし
波打ち際から防波堤までは距離がある。

オーディエンス(海)のレスポンスが物足りないならどうする。
俺が盛り上げるしかないだろう。
立ち上がれば波打ち際に向かってあるき出す。

「~~~~~~~♪」

距離が狭まれば波の音も大きく聞こえる。
潮風もこころなしか強い。
いいぞ、盛り上がってきた。

烏丸 九郎 > 日の高いうちから歌い続け…
気がつけばもう日が暮れてきていた。
ギターと歌声に、ぐ~~~~と腹の虫の声が交じる。

「っと、流石に腹が減ったな…」

歌とギターを奏でる手を止め足元を見ると
波が脚を飲み込んでいる。
途中から潮が満ちてきていたのだろう。
気づかなかった。
まさに潮時というやつか。

「…よし!!牛丼でも食ってくるか!!!」

くるりと踵を返し歩き出す。沈む太陽のせいで影は長く
砂浜の上、自分のずっとさきを行っていた。
そんなに牛丼がまちきれないのか?

ご案内:「浜辺」から烏丸 九郎さんが去りました。