2020/08/11 のログ
朝槻 世海 > 人が居ない場所を求めてやってくれば、何やら物音とすすり泣く声。

「ふーん?」

小高い岩をいくつか乗り越えて、一人の女が現れた。
半袖ロングパーカーの女だ。黒く長い髪が夜闇に溶けて少し不気味ささえある。

「こんなトコでなにしてんの?悪いことでもあった?」

レナード > 「……っ……」

膝を抱えるようにすすり泣いていると、声と足音が聞こえた。
まさかこんなところに人が来るなんて…なんて思いながら、目をこする。

「………誰……?」

顔を上げる。
辺りを見回しながら、涙に濡れた声で問いかけるしかなかった。

朝槻 世海 > 「通りすがり……というか目的地が君と被っただけの女だよ。
 私は世海(ヨミ)。まぁ誰でもいいと思うけどね」

表情を変えずに淡々と喋る。

「それで?何かあったの?
 こんな誰も来ないトコで会っちゃった縁だし、話聞くぐらいはしてもいいけど」

パーカーのポケットに手を突っ込んで、すこし距離をおいて岩に腰掛ける。

レナード > 「……そぉ………
 僕は、レナード………」

言葉少なに、反応する。
先の自分の言葉とは裏腹に、人が来るんだったら、こなきゃよかったな、
なんて思っているのだろう。

「……自分は、救えないものだって思うと、さ。
 つらくて、つらくて…しかたなくってさ……」

打てば響く鐘のように、ぽつぽつと話し始めた。
彼女の方へは一瞥したっきり、それからは前を…暗闇色に沈んだ海を眺めながら。

朝槻 世海 > 「ふーん」

名乗りには適当に相槌を返す。
自分は聞かれたから答えたが、あまり興味ないらしい。

「救えない、ね。救われたいとは思ってんだ。
 具体的にさ、どうなりたいの?」

こちらも視線は相手に向けず、同じ様に海を眺める。
水平線と夜空。暗い夜の海の境目はよくわからない。

レナード > 「………。」

どのように、救われたいか。
その言葉に応えを返すまでに、少し時間を要したかもしれない。

「………きっと、人と同じ…幸せがほしかった……
 でも…ぼくは、不老だから……人と同じ、時間じゃ生きられないから…っ……」

ぽそり、ぽそり。自分の考えていなかったことを吐露していく。
今度は、事情も含めて。

「僕の身体に、流れる血が…嫌いだった……
 子供をつくらなきゃ、歳を取れなくなるから……っ…
 それがいやで、…どうにかしたくって…、でも……どうにもできなくて……

 そんな血を……子供に、残したいって、思えなくって……」

朝槻 世海 > 返事があるまで、何も言わずに待っている。

「不老」

そして、初めて興味深そうな反応をする。
居るところには居るもんだな、といった反応。
しかし視線は海のまま。

「人並みの幸せねえ。
 そういう題材のお話もたまに見るね」

なるほど、現実に起こりうるんだな、と感心している。

「流れる血……そういう力、っていうか、呪いみたいなもんか。
 解く方法は……わかんないの?」

相手の言葉でおおよそ理解はしたが、一応聞いてみる。

レナード > 「解く方法……
 分かってるのは………誰かと、子供を成すこと……
 そんなの、やだから、僕はずっと旅をしてた……」

ぽつ、ぽつ。同じことを聞かれても、答えるだろう。

「……見つからなくて、百年経った……
 ここに来たって……変わってない………」

虚ろな眼は、同じように海面を捉えたままだ。
声色からは、少しずつ涙の湿り気が引いているが。

朝槻 世海 > 「……子供に押し付けるってことか。
 嫌になる気持ちは、わかんなくもないけど」

予想通りってところか。
ふーん、と、また相槌をする。

「でもさ」

すこし間を置いてから口を開く。

「それって君のエゴだよね。
 子供がその力を嫌がるとは限らないでしょ。
 あ、それとも、女の子嫌い?だったら取り消すけど」

レナード > 「………エゴ、か……
 エゴかも、ね………」

その言葉を聞くと、肩から力が抜けるように。

「僕は嫌いなのに……そんなの、残したくないって…思ってしまう。
 でも今更、どうすればいいんだろうなあ……」

嫌い続けてきた、自分の血。
それをエゴだと受け入れ、認めることがどうにもできなかった。
どうすれば、エゴだと割り切ることが、できるのだろう。

「……女の子は、きらいじゃ…ないけど……」

朝槻 世海 > 「疲れたなら休んだって良いんじゃ?
 だいたい、独りで背負う必要なんてない。
 それこそ、受け継いだ子供と協力したって良い。
 できるところまで記録に残して、
 同じことを思った人が役立てられるようにするのもいい」

ポケットからガムを取り出して口に運ぶ。

「それに。今この島で、君を慕ってくれる人、いるんでしょ?
 じゃなきゃこんなトコ選ばないだろうし。
 話してみなよ。探すの手伝ってくれる人、居るかもよ。
 それでも君と、っていう人いるかも知れないし」

居なかったら、仕方ないから私が手伝うと付け加えて。

レナード > 「………次に……つなぐ、こと……」

問題の先送り。
でも、自分独りではなくて、子々孫々。
…悔しいけど、生まれてこなかった発想だった。

「……………いるのかな。
 慕ってくれる人……」

掠れたような、小さな笑みを含んだ声だった。

「…愛、とか……好きだって、どういう感情だったか…
 ……もう、分かんなくてさ………

 ―――……あぁ…、…そっか………」

あぁ、そうかと独り言ちる。
自分に足りないものが、分かってしまった気がしたから。

レナード >  
 
 
「……僕には、愛が分かんないんだ………」
 
 
 

レナード > 初めて至ったその答えに、呆けてしまう。
チープな三文小説でさえも出てくる、その言葉。単語。
それさえも自分には分からない、事実に。

ご案内:「【イベント】海水浴場 岩場」にレナードさんが現れました。
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朝槻 世海 > 「ま、私も分かってるとは言い切れないけどね」

その様子にちらりと視線を向けて、また海に視線を戻す。
世海は、雨夜賢瀬は、それを概念しか理解していない。
故に、それを教えることは出来ない。

「探してみなよ。教えてくれる人。
 呪いを解く方法も一緒に探してさ。
 二兎を追う者は、なんてただの諺だから」

ご案内:「【イベント】海水浴場 岩場」にレナードさんが現れました。
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レナード > 「……はは………」

今まで気づくことができなかった。

「馬鹿みたいだ……っ……」

言われるまで、気づくことができなかった。

「そんなことに気づかないで……ぼくは……っ……」

どうして? 考えるまでもない。

「………自分独りしかいないって、思い込んでたからか……」

嗤えてくる。
泣けてくる。
先の様なすすり泣きじゃないけど、こんな、こんな致命的な欠陥に気づいてしまったから。
色んな世界を渡り歩いてきた、たくさんの自分が脳裏によぎる。
…確かにそのどこにも、愛なんてなかった。

レナード > 「……ねえ、ヨミ。
 そんな人、僕にも……探せる、かな……」

彼女の方へと、向き直る。
まるで、縋るような問いかけに聞こえたかもしれない。

朝槻 世海 > 「気付いたなら、探せるさ。
 ここ、色んな人がいるのは知ってるでしょ」

視線に気づけばそちらに顔を向ける。
夜の海のような光のない黒い瞳が、そちらに向けられる。

レナード > 「…………。
 自信、ないな………こんなのだから……」

視線を自分の膝元に落とす。
愛なんて、恋なんて、分からない自分だけど。
それでも受け入れてくれる相手がいるのだろうか、と。

でも、そうか。
自分が試してなかった、方法はまだあった。
…それだけでも、大きく違う。

「………でも……袋小路じゃないんだ………
 僕の進んできた道は…まだ、無駄じゃない……
 …袋小路じゃないんだ……っ……」

ぎゅう、と、膝を抱えるようにして、縮こまった。

朝槻 世海 > 「そ。やる前から諦めてちゃね。
 初めてに自信なんか誰だってないさ」

視線はまた海へ。

「ま、やってみなよ。
 私が発破かけたんだから、また話ぐらいは聞いてあげるからさ」

ガムを膨らます。

レナード > 「…………そうだね…。」

少年は、立ち上がる。
涙で汚れた目元を、腕で拭いながら。

「……ありがとう、ヨミ。

 僕はまだ……歩いて行けそうだ……」

彼女の方を向いて、礼を。
…初めて、穏やかに笑ったかもしれない。

朝槻 世海 > 「どういたしまして。程よく頑張りなよ」

そちらに顔を向ける。礼には手をひらひら。
目は相変わらずだが、口元が笑っている。

レナード > 「………。
 うん、そうするし。」

もう、大丈夫だ。

彼女のことは、気にかけない。
きっと、理由があってここにきたのだから。
なら、それを邪魔することはない。

「じゃあね、ヨミ。」

彼は戻っていく。
自らの日常へと。魂を擦り減らしてきた惨禍へと。
ただ、まだ終わっていないと言う強い心が、ここで生まれたから。

もう、大丈夫だ―――

ご案内:「【イベント】海水浴場 岩場」からレナードさんが去りました。
朝槻 世海 > 「ん。またね。いい話を期待してるよ」

去っていく姿を見送り。
独り岩場に残る黒い髪の女。

「海は行き止まりなんかじゃなく、船さえあれば無限に道があるんだ」

それは果てしないものではあるのだけれど。
独り言を呟く。

「まー、流石にこの時間に人が居るとは思わなかったなー」

人が居ると『変身』を行うのにちょっと困るのだ。
一度体が真っ黒になって……形が変わる。
岩場を離れるときには、雨夜賢瀬の姿になっていた。

ご案内:「【イベント】海水浴場 岩場」から朝槻 世海さんが去りました。
ご案内:「突堤」に阿須賀 冬織さんが現れました。
阿須賀 冬織 > 太陽の光がサンサンと降り注ぐ。
吹き抜ける潮風によって、晴天の真夏であるが肌は涼しく心地よい。

釣りとか全然やった事ないけどまあフィーリングでなんとかなるんじゃないかと参加を決意。
こうして絶好の釣り日和に――少なくともこの時間、この場所は――初めての釣りを体験することとなった。

「ちぇー、やっぱ電気使うの禁止かよ。……んー、どこで釣ればいいんだろ。
穴場なんてわかんねーし、他に人がいる場所でいっか。」

会場で道具を受け取って、軽く使い方を教わる。ダメもとで聞いてみたがやっぱり電気の使用はダメらしい。
自分の異能だし、かかった魚だけだしいいじゃん、なんて思うがまあ別に沢山釣りたいというよりは楽しみたいという目的なので従うことにする。
それはそうとやってみたくはあったが。

阿須賀 冬織 > さて、道具の使い方なんかはとりあえず分かったが、正直どこで釣るのがいいかとかは全くわからない。
素人が穴場を探そうとしても見つかるわけがないことは確実なので、人はそれなりにいるが突堤に行くことにした。
なんか釣りのイメージといえば突堤とかだしそこまで悪くないんじゃないだろうか。

別に沢山釣りたいわけではないが、楽しむにしても折角だから一匹くらいは釣ってみたいのだ。
てくてくと突堤まで歩き、隣いいですかと、近くにいた人に声をかけてから並ぶ。

下を見れば消波ブロックに押し寄せた波が白い泡を立てている。
ビーチとはまた違った海を眺めながら、慣れない手つきで餌を付け始める。

阿須賀 冬織 > 「ちょっとてこずったけどまあ、初めてだしこんなもんだよな。
……魚、釣れるといいんだけど。」

少々時間はかかったものの無事に餌を付けることができた。
釣れるだろうかといった期待と不安を抱きながら、釣り竿を持って海と向かい合う。

えいやっと、気合を入れて投げ入れる。
[1d6→4=4]
阿須賀 冬織 > 少しすれば釣り竿に感触が伝わる。おっ、これが来たということなのだろうか。
釣りあげるとそこには鮮やかな青色の魚が。

「これ、映画で見たことあるし、食用じゃねーよな……。」

その後も釣りをしている際に何回かヒットしたものの、釣れるたのは同じく鮮やかな食用とは思えない魚達。
あとは逃げられた。結構大きい反応もあったけどまあ初心者が上手く釣り上げることはできなかった。

「んー、こいつらどうするかな……。これ、流石に食べられなさそうだし……。
かといって折角釣ったから逃がすのもあれだし。……うーん。」

どうしようかと少し悩む。折角初めての釣りで釣った魚を逃がすのもなんだかもったいない気がした。
しばらく悩んで、とりあえず飼って見ることにした。見た感じ熱帯魚だから難易度は高そうだが、時間はたっぷりあるし、釣れた魚は元気そうだ。
後日、彼の部屋には大き目の水槽が置かれることになる。

ご案内:「突堤」から阿須賀 冬織さんが去りました。