2020/09/06 のログ
ご案内:「浜辺」に杉本久遠さんが現れました。
ご案内:「浜辺」から杉本久遠さんが去りました。
ご案内:「【イベント】海水浴場 岩場」に黒髪の少年さんが現れました。
■黒髪の少年 > 海だ。
シーズンは過ぎたとはいえ、それは暦上でのこと。
観光客がまだ残暑を紛らわせるためにぽつぽつと海水浴を楽しんでいるその傍ら、そんな賑わいとは無縁の場所にそれは現れた。
日差しが照り付ける時間帯だが、それでもフードは目深に被った姿は変わらない
「…………。」
眼前に広がる岩場。
都合よく誰も来なさそうな雰囲気のそこ、確かに人の気配はない。
まあ、そうだろうと踏んでやってきたのもあるが。
ここに来たのは他でもない。
思い出しに来たのだ。
以前この場所であったことを、改めて、はっきりと。
■黒髪の少年 > 小高い岩をいくつか乗り越えて、岩場をするすると進む。
断片的に思い出せる記憶を頼りに、あの夜自分が居た場所へと。
「…………確か、この辺で……」
確か、そう、ここに居たはずだ。
自分はここに座り込んでいて……
同じように、座ってみようか。
『………きっと、人と同じ…幸せがほしかった……
でも…ぼくは、不老だから……人と同じ、時間じゃ生きられないから…っ……』
すると脳裏に、自分の言葉が過った。
等しく針でつつかれるような、そんな鋭い痛みのような感情が、走る。
間違いない、この場所だ。
この場所で、自分は………
■黒髪の少年 > 「…………。」
天を仰ぐ。
自分の他に、もう一人いたはずだ。
あのままで沈みゆく自分を、掬い上げた誰かが。
確か、確か―――
『探してみなよ。教えてくれる人。
呪いを解く方法も一緒に探してさ。
二兎を追う者は、なんてただの諺だから』
淀みに押し込んだその先から、少しでも自分の記憶を引き出そうとすると、今度は女性の声が過った。
■黒髪の少年 > 「………ぁあ……
確か、………そうだ、彼女は………」
深い海のように光の届かない眼をしていた、彼女。
『私は世海。まぁ誰でもいいと思うけどね』
「ヨミ…………
教えてくれる人、教えてくれる……僕に足りないもの……」
彼女の言葉から、自分に足りないものは何だったか。
固く封じられた記憶の淀みから手繰り寄せる様に少しずつ、少しずつ、引き出して……
■黒髪の少年 > 「………そうだ、それで………
僕は…彼女に言ったっけ………」
「……僕には、愛が分かんないんだって………」
「………今も、変わんないなぁ……」
■黒髪の少年 > 少年は天を仰ぐ。
僅か雲の差す、晴れ間。
眩しいくらいの光に、フード越しであっても掌でわずか遮ろうとさえする。
ここに来たことで、次に行くべき場所を自覚した。
きっと次の場所は、自分にとって辛い場所になるのは分かっている。
それでも、飲み干さねばならない。そのために、この世界に再び忍んで来たんだから。
清も濁も併せ呑む覚悟を決めねば、戻って来ていなかった。
……だが、その前に少し、休んでいってもいいだろう。
そうして暫くの間、岩場に紛れるように、ローブ姿の人物が座り込んでいた……
■黒髪の少年 > 「……よし、行こうか。」
少年は立ちあがる。
ローブに付いた砂を適当に払って、改めてフードを被り直す。
…日差し自体は遮れるから、これも案外悪くない。
「次は、第二教育塔……その屋上。
そこ最後にしようと思ってたけど………ここに来ちゃったから、行かなきゃならない……」
砂を擦る音を立てながら、ゆっくりと岩場を後にしていく。
次に向かうと決めた場所で、何があったか…受け入れなければならないと決意してしまったから。
「……残り、5か所。
あと5か所だ……頼むから、何も起きないでほしいし………」
口に出たその言葉は、心の奥底で望んでいることを表したものか、それともその裏返しか。
それは少年でさえも自覚しないまま、岩場から去っていった―――
ご案内:「【イベント】海水浴場 岩場」から黒髪の少年さんが去りました。