2020/09/24 のログ
ご案内:「常世神社」に出雲寺 夷弦さんが現れました。
出雲寺 夷弦 > 「……えっと、確かこう、だよな」


――右手で柄杓を持ち、左手を流す。
そろそろ涼しくなってきて、さっぱり清らかに冷たいその水に、手が冷える。
柄杓を左手に持ちかえ、右手を流す。
水が弾いて服が僅か湿るけど、清めの意味ならばと、そのまま続ける。
柄杓を右手に持ちかえ、左手に水を受け、口をすすいだら、左手をもう一度流す。
柄杓を縦にし、最後に残った水で柄杓の柄を流す。
……正直こういうところにある水で口を漱ぐのってどうなんだろう。そう思った。

そんな、見目に反して随分と丁寧な参拝をする、男子生徒がいる。
無論、此処まで来る前に、まず鳥居の前で一礼することも忘れてなかった。

いざ目の前にして、心中に"事情"で複雑さを抱かずにも居られなかったが。

「……ホント、俺はただ、普通にしてたいだけなんで、だから御挨拶だけでもって感じなんで……」

誰に言ってるのか、ちょっと引き攣った苦笑いを浮かべて呟いた。

出雲寺 夷弦 > 「……」

歩いてきて、目の前に賽銭箱。目の前には鈴。
手順を思い出して、まずは賽銭を出す。
――500円玉。ちょっとしたものだが、それを丁寧に入れてから、鈴を鳴らす。
手順を思い返す頻度は、その後はもう一度も必要ない。割とみんな知っているもので。

まずは二礼。頭を二度下げ、挨拶を送る。
そして二拍。手を二度打ち鳴らす。同じ年くらいの男の中でも、中々フルスイングで鳴らした。

そしてお祈り。願うことは口には出さないが。
心の中で、それはもう叫んだ。『普通の学生生活をさせてください』と。
それさえ、それさえ叶えば割と願い事なんて、ないといえば、まぁ、なくはないけど、それは別に神頼みというより自分自身の努力と根性と誠実さと勤勉さとその他エトセトラなのだが。
ともあれ、平穏無事をただ願い。

「――宜しくお願いします」

最後に、一礼を送った。