2020/07/08 のログ
ご案内:「異邦人墓地」にマルレーネさんが現れました。
マルレーネ > 異邦人街からある程度離れた場所に、そこはある。
ある意味、どこの管轄か難しいのだろう。宗教施設群からも離れた場所。
まばらに墓標が並ぶ荒地に、一人ぽつんと。


「……っふー……。」

静謐……というには風の音が強い場所で、穴を掘る女が一人。

異邦人のために作られた墓地。
その広い土地に点在する墓地のいくつかは外部の世界の流儀で作られた墓標やそれに準ずるもの。
だが、多くの異邦人は故郷に帰ることを考え、墓地のことまで考えが回らない。
そのため、多くは共通の規格で作られた墓地に順番に入っていくことになる。


彼女はその共通規格の墓地作りのお手伝いだ。
一人でシャベルをもって、さくり、さくりと地面を削り、土をどかす。

ご案内:「異邦人墓地」にレナードさんが現れました。
レナード > 異邦人なのだけれども、異邦人街にも、学生寮にも入っていない傾奇者。
とはいえ、その辺りに近づかないわけではない。
たまたまふらふらと歩いていると、土を掘り返す音がしたものだから、
つい興味をそそられるまま、そちらに足を向けてみた次第だった。

「……へえ、いつの間にシスターさんなんか居たわけ?」

辺りの様相は、語るまでもない墓地そのもの。
この存在自体を畏怖する奴らもいるけど、少年は違う。
彼らの眠る場所は避けつつ、墓地に立ち入った。

「こんな泥臭いことしてるなんて、見た目からはあんまり想像つかないけど。」

マルレーネ > 死を意識することは、そんなに珍しいことでもない。
旅をしている最中は。ここで終わりかと思うことだってしばしばだ。
崖から落ちた時は死んだと思ったなぁ……。

ただ、"ここで死ぬ"ことについてはまだ心の整理も、覚悟も出来ていない。


だから来た。

草をむしって、クモの巣を取って。
許可をもらえた場所をキレイにして。
ひたすらに穴を掘って。掘って。掘って。 自分の心が無になるまで―――………


「………おや、墓地に御用ですか?」

言葉を受けて、ハッとしたように我に返れば、穴からよいせ、っと這い出てきて、ぱんぱん、っと手を払って。

「いえいえ、こういった場所の手入れもお仕事の内ですからね。
 祈っていればいい、というわけでもないんです、多分。
 それに私、こう見えても頑丈で力持ちなんです。」

えへん、とそれなりに大きな胸を張って見せた後、何の御用でしょう? と尋ねて。

レナード > 「御用も何も、その辺通ってたら土掘る音が聞こえたし。
 一体何だろうなーっと、好奇心のままに見に来たわけ。
 そしたらびっくり、修道服着た人が土掘り返してんだもん。」

心に浮かんだそのままずばりを口にする。その言葉に嘘はないから淀みもない。
頑丈で力持ち、と彼女は言うが、恰好はやっぱり清廉さを表す修道服。
土弄りに似合う服じゃあないなあと訝しみ、首を左右にかしげるように眺める。
…それなりに大きな胸なのを強調されても、がんばって視線は向けなかった。

「……その服、なんかこだわりでもあったわけ?
 おめーが力持ちなのはいいとして、その服に土つけるのは……」

マルレーネ > 「なーるほど。 でも、そういうのは大事ですからね。
 流石にここではないでしょうけれど、お墓を泥棒するということだって実際ありうるわけですから。
 見に来て頂けて、それは助かります。
 ………墓地だとなかなか人は来ませんけど、だからこそ。」

微笑みながら、汗を軽く拭って。

「こだわり……。 ああ、まあ、あるといえば……ありますね。

 まず、こうやって関係者であることを示しておかないと、明らかに不審者になりますよね。」

首を少しだけ傾げながら、わかりやすい一つ目の理由を提示する。

「そして、とても大切な、たくさんの方が眠られている場所に触れるのですから、失礼の無い恰好で作業をしなければいけません。
 ……って、教わりまして。」

二つ目の理由を提示して。そこから、てへ、と舌を出した。

「最後に、私これしか服が無くて。」

てへぺろ。

レナード > 「……それもそうか………」

言われて納得。
確かに、身元が一目で分かるような服でなければ、墓荒らしと思われてもしかたないわけで。
失礼のない恰好で、というのも、それだけ真摯に対応したい気持ちの表れなんだなと思えば頷けるもの。
俯きながらそう考えて、もう疑う余地はないなと独り言ちていると…

「はい?」

耳を疑った。
思わず顔を上げて、彼女の眼を見て。

「えっ。なにおめーそれ、一帳羅なわけ?
 雨とか打たれたら大変じゃん。この時期とか特に雨降りやすいのに。」

つい、想定しがちな余計な心配をしてしまったりして。

マルレーネ > 「替えはありますよ! 替えは! 大丈夫です!」

流石にそれは。
頬をちょっと赤くして手をひらひらと向けまして。汗だくになっていることも必死に言い訳をする要因ではあり。

「まだここに来たばかりなのもありますが。
 生まれてこの方、ほとんど毎日この格好でいるのもありまして。

 ………まあ、他の恰好をすることもあるんですが、それは大体お仕事のお手伝いとかですかね。

 あ………ずっと同じ恰好だと、ちょっと下に見られたりとか、そういうことってあるんですかね?」

もしかしてまずかったのかな、なんて顔で少年に尋ねてみる。

レナード > 「そ、そう…びっくりしたぁ………、あっ
 そっ!そうだろうと思ったし!!じょ、ジョークってやつだし!!」

まさか本当にこの服一枚で着まわしているのか、だなんて
本気で思い込んだ自分が恥ずかしくて、つい言葉を荒げてしまったり。

「……へえ、おめーも異邦人ってわけ。
 格好については、気にしなくていいと思うけど。」

ふすんと鼻を鳴らすと、にべもなく、あっさりとそう答える。

「そんなこと考えて生きてる余裕のあるやつなんて、どれほどいるのやらだし。
 それに……」

その先の言葉を続ける前に僅か、そっぽを向く様に顔を逸らす。

「……装いばっかりに気を取られて見誤る奴なんて、たかが知れてるし。」

マルレーネ > 「そ、そうですよね。 いやまあ、汗だくですし、そればっかりは流石に。
 いや。あんまり気にしない方では実際はあるんですけど。
 でもまあその、ある程度のラインっていうか。」

あっはっは、と照れ隠しで大きく笑って。
恥ずかしい恥ずかしい。

「……あ、そうです? ならよかった。
 こちらに来て、ようやく文化の違いに驚くことも減ったので。
 ……今まで気が付かなかったところで何かあったらどうしよう、なんて時々思っちゃうんですよね。」


うん、と静かに頷きを言葉に対して返し。

「……そうですね、まだまだ恵まれているのですから、頑張らないとですね。
 
 …う、確かにそれもまた事実。
 この格好が正装です、みたいに決めていったのがちょっと恥ずかしいですね。
 確かに、ちゃんとした心持ちでなければ、恰好だけ決めていても意味はないですし。
 正しい心持ちでなら、どんな格好でもよいですもんね。」

顔を手で覆いながら、うぅう、と耳まで赤くする。
言葉がなぜか自分に刺さる系シスター。

レナード > 「あっ、いや、別におめーを攻撃したつもりはねーし?!」

どうして自分が慌ててしまうのだろう。
思わぬ言葉の棘がさくさく刺さっちゃった様子を見て、慌ててフォローを入れようと。

「綺麗なおべべを着て裕福な生活をして…不自由なく生きてる奴でも、
 ボロボロで明日があるかわからねーような生活して…今にも死にそうなやつでも、
 実際死んじまえば、どっちもクソの詰まった肉の塊……そこは平等に出来てる。
 僕はそう思ってるから、見た目で判断なんてしたくないわけ。」

少し歪んだ死生観というのだろうか。
…それは、衣服や肌の下さえ見透してしまう特殊な自分の眼による影響もあるようだが。

「でも……少なくとも、おめーはその恰好をすることに、誇りを持ってるように見えたわけ。
 だから、無理に変えなくていい。そう思うし。
 正しい衣装とか、間違ってる衣装とかじゃない。
 自分はどうありたいかを考えた時に浮かんだ格好がそれなら、それでいーじゃん。」

まるで諭すような声色で、そう彼女に問いかける。
…なんで自分が釈迦に説法みたいなことをしてるんだろう?

マルレーネ > 「あ、あはは、大丈夫大丈夫。大丈夫です。
 ちゃんと反省すべきところは反省して、しっかりしなきゃ、って思っただけです。」

頬をぱん、っと叩いて少しだけ気合を入れる。

「………まあ、それに関してはこの格好をしている以上、そうですね、とは言いづらいところではあるんですけど。
 でも、大切なのは生きているうちのことですからね。

 ………誇り。

 ………誇りだといいんですけどね。
 いやまあ、こ、このくらいにしときましょう。

 これだけ言って、次見た時に水着だったりウェイトレスのアルバイトとかしてたら、それはそれでとっても恥ずかしくなりそうですし!」


……――それは、誇りというよりは、縋りだ。

それは笑顔で覆いながら、偉そうに語ってから恥ずかしい恰好で出会うという落とし穴を察知する。

レナード > 「………………。」

水着、ウェイトレス……その体型で。
ほわんほわんほわん。

「…っ……!!
 ま、まあ、そうだし?自分がしたい恰好すりゃいーじゃん、ってハナシだし、うん……」

想像してしまい頬が赤くなってしまうものの、誤魔化すように相槌を打った。

「…おほん。
 ところで、シャベル、他にもないわけ?」

閑話休題、暗に土いじりを手伝わせろと言い始める。
彼はこの話題をこれ以上深堀すると危険であると察知したらしい。
主に、色んな想像をしてしまって、よくない。

マルレーネ > 「そ、……そうですね、自分がしたい恰好。
 ………何かあれば、またかんがえてみようかな、とは思ってるんですけどねー。」

あはは、と笑いながら。
それでも首を軽く横に振って。

「大丈夫ですよ、このお仕事、ちょっとした気持ちの整理のためにやっているだけなんで。
 終わらせることが目的、ではないんです。

 私はマルレーネという旅の………ああ、今はもう旅をしていませんでしたね。
 そこの宗教施設で修道院をしています。

 相談、文句、愚痴、不平、なんでもお聞きしますので、困ったらいつでも。」

穏やかな表情で微笑みかける。

レナード > 「……そっか。なら、僕が出張るまでもなさそーだし。」

終わらせることは目的ではない。
なら、それは全て彼女がしたくてやっていること。
そこに水を差すのは、本意ではない。

「……僕はレナード。
 学生だけど…学寮にも、異邦人街にも住んでない物好きだし。」

相談、文句、愚痴、不平……そう聞いて、表情を曇らせる。
そんな自分に気づいたのか、ふるふると顔を左右に振って。

「……ま、なんだし。
 言えば楽になるようなことがあったら……、行くかもしれねーし。」

それだけ、控えめな笑顔で彼女に伝えておこう。

「……じゃ、そろそろお暇するかな。
 ここで何やってるのかわかったから、僕は満足だし。」

マルレーネ > 「あはは、でも、その気持ちはありがとうございます。l
 レナードさん、………学園にもいらっしゃらないのですね。
 私は先ほどの通り。

 ただ、いわゆる歓楽街だとか、そちらの方の修道院にも出入りさせてもらっていますので。
 そちらでも顔は見るかもしれませんね。

 そうですよー、なーに、こう見えて人生経験はあったりなかったり。
 お姉さんにどーんと相談をしてきなさい! って言っておきましょう。」

どーん、と自分の胸を叩いてから、ぺろ、と舌を出してウィンク一つ。にひひ。

「あ、はい。
 ダメですよ、墓地にお化けが出るって言ったら。」

更に冗談を絡めつつ。

レナード > 「寮にはいないってだけだし。学園にはふつーに出入りしてるから…
 来るならそっちで会うことも、ありうるし?
 逆に、歓楽街はほとんど行ったことねーし……」

ほとんど、なのであるにはある。
でも、いい思い出はまだないので、苦い顔。

「へぇー……?
 ま、話せるネタが見つかったら、その時はおとなしーく世話になるし。」

自信たっぷりな彼女を眺めながら、眼を細めて、小さく笑んだ。
なにか微笑ましいものを見る表情だ。

「ん。心配せずとも言わねーし。
 それに……出るなら見てみたいもんだし、お化け。
 僕の眼、ちょっと特別性だから試してみたくって。」

視えないものを視ようとしたらどうなるのか。
それ自体は単純な興味本位であるのだけど。
これからの時期はシーズン真っ盛りだからどうだろうか。

「それに、綺麗なシスターさんがちゃんとお祈りしてたって尾ひれつけて流しとけば、なーんの問題もないだろうしー?」

くすくす、こちらも冗談を混ぜ込みながら、踵を返して。

「じゃあね。」

歩き始めつつ、片腕を上げて、手をひらひら。
そのまま振り返ることもなく、墓地から立ち去って行ったのだった。

ご案内:「異邦人墓地」からレナードさんが去りました。
マルレーネ > 「綺麗?」

頬に手を当てて、えへへ。
人なりに、褒められればうれしいのだ。
へへへー、と満足げに手をひらひらと振って見送りつつ。


………新しい恰好かあ、でも、多分お仕事での衣装が精いっぱいなんだろうなあ。
そんなことをふわりふわりと考える。

ご案内:「異邦人墓地」からマルレーネさんが去りました。
ご案内:「異邦人街 裏通り」に神樹椎苗さんが現れました。
神樹椎苗 >   
 初めて訪れた異邦人街は、情報としては知っていても実際に目にすると驚きばかりだった。
 様々な価値観と様式が入り混じって、独特な街並みと空気を形成している。
 面白いことに、異世界の文化が入り混じっていても、調和がとれていた。

「しかも、思っていたよりずっと賑やかじゃねーですか。
 もっとこう、薄暗くて静かな場所だと思ってたんですけどね」

 賑わっているメインストリートから外れて、人通りが少ない静かな通りへと抜けだした。
 そこもまた、特有の匂いがあり、まさに異国へと訪れたような気分になる。

「なるほど、気分転換に来るにはわるくねーですね。
 探せば面白い本もありそうですね」

 異界、異世界の書物ともなれば、それが大した物でなくても読みごたえはあるだろう。
 異界の文字を解読しながらというのも悪くない。
 そんな事を考えながら、異界情緒あふれる通りを眺めて歩く。

神樹椎苗 >  
 のんびりと歩きながら、うっかり異邦人街で一番甘いという売り文句のお菓子を買ってしまった。
 小さな揚げ菓子のようなものだったのだが、一つ口に放り込んでみて、椎苗は一瞬卒倒しそうになった。

「――やべえ、意識が遠のいたのです」

 自分の舌に何が起きたのか、わからなかった。
 甘いとか、甘くないとか、そんな次元の話ではない。
 それは、言うなれば衝撃。

 味覚を暴力的な『甘い』という信号が駆け抜け、神経を蹂躙する。
 明らかに人間の味覚に向いた食べ物ではない。
 衝撃に驚いて飲み込んだからよかったものの、味わおうとしようものなら、味覚が破壊されつくすかもしれなかった。

「こんなもん、人間の子供に勧めてるんじゃねーですよ……」

 少しばかり異文化の恐ろしさを感じつつ、どこか座って落ち着けるところはないかと探し始めた。

ご案内:「異邦人街 裏通り」にNullsectorさんが現れました。
Nullsector >  
多くの文化と人とが入り乱れる闇鍋の様な場所、異邦人街。
異邦人たちの中でも女は妙に目立つ空気をしていた。
近寄りがたいとも言えるが、纏う空気感の違いなのか。
吐き出す煙草の白い煙が、煙草独自の臭いを醸し出す。
落ち着ける場所は何処か、右往左往と探している少女の前に
悠然とその女は現れた。
眼鏡の奥、常盤色の瞳が少女の顔を見下ろしている。

「……あんまり子供一人でうろちょろしてると、危ないよ。」

気だるげな忠告。煙草を二本指でとって、白い煙を吐きだした。

「向こう側に、ベンチがある。疲れたならそこで座りな。」