2022/10/22 のログ
ご案内:「異邦人街 - 廃墟となった修道院の場所」にオダ・エルネストさんが現れました。
■オダ・エルネスト >
「おいおいおい、こいつは一体何があったっていうんだ。
私の修道院が……」
現代のキープアウトって立体映像技術なんだなぁ、とか膝から崩れ落ちる所作をしつつ考えた。
明日の生活も怪しい懐事情につい昔の杵柄、ではないが、
自分が神父だった事を思い出して慎ましやかな生活を求めて来れば、そこは完全無欠に廃墟。
黒い祭服に無駄に金色の十字架の装飾、聖書の代わりに実はなんか手に入れてしまった黒革装丁の『開かない』本。
祖国は世界魔術協会の本部はあるが、旧時代から宗教にも厚い国でもある。
そういう国であるからこういった服装も念の為に所持している。
そんな様子を見て寄ってきた現場監視をしていると思われる風紀委員の生徒と軽く話して状況を確認する。
「……はぁ、なるほど残留するモノから証拠とか集めてるのか。
確かに、事件の証拠を消される前に確認して見逃しがないかしばらくは現状維持するのは正しい判断だ。
私が犯罪者なら時間があれば残した証拠など消し去るために綺麗さっぱりさせてしまうからな」
この修道院の関係者であったオッダ神父としては、不在の間の情報を聞かねばならなかったのは自明の理。
なんでも近いうちに生活委員会の人員が修復か建て直しかに来るのだとか。
■オダ・エルネスト >
「さて、どうしたもんか。
マリーに無心しつつ賭博の片棒を頼もうと思っていたんだが」
生臭坊主もビックリな真っ黒神父であった。
「……家具とか含め全部燃えたんだろうか」
大事なことだ。
あの、私室にあったものとか。
「薄幸金髪美女の下着、見た目からは想像できぬ不運に見舞われているが絶えぬ笑顔。
売れそうじゃない……?」
周りに聞こえない程度に始まる皮算用。
「そろそろ探すか……♠」
そこまで派手に荒らさないのを前提に私物が残っていれば回収したい旨を伝えると礼拝堂方面は、現場っぽいので駄目だが私室側はOKが出た。
勝った!!第三部・完!!!
■オダ・エルネスト >
瓦礫の上を軽々とした足取りで危うげもなく進む。
こっちがアレでこっちがアレ。
以前、留守番していた頃のお陰で脳裏には廃墟になる前の状態が容易に思い浮かばせる事ができる。
となれば、
「ここが私室だ」
何度かここでスヤピ(就寝の意)したので間違いない。
「壁が崩れて完全に天井が落ちてきて潰れてるじゃん……」
次、建てるときは生活委員会の人に頼んで柱とかそういう耐久面に係わる構築は、極東方式にしてもらおうかな……地震とか色々と災害性能高いし。
良かったぜ、自分が留守の時の事件で。
死者はいないとかなんとかって話だし後で販売許可でも貰えば。
「あー……前に勝手に肌着使った時はガチギレしてたっけなぁ」
そんな事を思いながら瓦礫の下の隙間につま先を入れて、
「よっと……」
軽い掛け声でボールでも蹴り上げるように蹴り飛ばした。
■オダ・エルネスト >
退けてみれば、消火の際の水が残っていたり、紙類は半分燃えた痕があって更に水で悲惨な事になっている。
前に買ってきた本なんかもこの炭のどれかだろうか。
ベッドは残念なことに別の瓦礫で潰れてるのもあるが、その瓦礫を中心に燃えている。
防水対策のない電子機器なんかがあったらこの様子じゃお釈迦である。
「《南無三/アーメン》」
思わず十字を切っちゃったよ。
持ち主は死んじゃいないが。
「目的は、こちらですね」
運良く燃えず残っている箪笥様は放水のあと放置されていた影響か、
やや朽ちる速度が早そうだったので今日ここにオダ神父が来るのは天命であったのだろう。
「間に合う、そういう宿命の元に私はいるのでしょうね」
思わず笑顔になってしまう。
ご案内:「異邦人街 - 廃墟となった修道院の場所」に安綱 朱鷺子さんが現れました。
■安綱 朱鷺子 > 「せやんなぁ、お天道様も今度は見逃しちゃくれんっちゅうのもあんたの宿命や」
真後ろから声を投げたらダウンしてくれへんかなぁ…。
こっそりついてったら案の定の犯行、流石に青筋も浮いてしまう。
その長駆は風紀からしたら変わり種、先日も仕置きしたお騒がせ男。
「火事場泥棒は歴とした窃盗罪やで。
ホラ両手出しや。話は本庁でこわぁいお兄さんがよぉく聞いてくれるから」
指に引っ掛けた手錠を、くるくる、くるくる…
今度こそこってり絞られればいいんだ、絞ったらオリーブオイルが出てきそうな奇人も流石に懲りるだろう。
■オダ・エルネスト >
後ろから声をかけられては、見に覚えのない罪状。
「怖いお兄さんだなんて酷い、私は優男の部類だと思っているが。
任せてください、風紀委員の方!私も協力します」
罪状に覚えはない。
であれば、逮捕されて話をする必要があるのは別の人間。
本庁で私に懺悔を聴いてやれという話と思ったのがこの男。
しかし、
「……その火事場泥棒の犯罪者はどこでしょうか?
うちのマリーと私の修道院のものを盗ろうなどと市中引き回し程度では彼女がすまさないでしょうね」
何かに納得するように頷きながら振り返る。
■安綱 朱鷺子 >
「 お ま え や ー !」
思わず顔面指さして声をあげ、翻った平手が虚空を叩いた。
「自分の普段の行い考えーや!なんや聖人みたいな爽やかスマイルしおってからに!
今日こそしっかり反省して…はっ」
手錠の回転が止まった。
風紀委員会の調書曰く。この男、嘘はつかないという。
否、事実と異なる発言はするのだが、嘘をつく意思はない…らしい。
ほんまに~?って思うが、ここまで自信満々に言われると本当のような気がしてくる。
ということは…
「えっ…てことはあんた、シスターとはそういう関係なん…?」
こそっ…。
秘密を隠す懺悔室もないから、掌をかざして口の戸にする。
…うちのマリー。年下のイケメンがお姉さまに親しげに口にするその顔。
もしかして、うちは別の事件に迫ってしまっているのかもしれん…!
■オダ・エルネスト >
思わず刺される指を避けつつそちらを見るが誰もいない。
「だ、誰だーーー!!!」
目に見えない!索敵魔術にも訓練で培った気配察知でも引っかからない……!
と焦って色々指さした方向をに仕掛けたが、
―――なんや聖人みたいな爽やかスマイルしおってからに。
『聖人みたいな爽やかスマイル』。
イコール。
自分。
答えは出た。
と思っていたら何やら驚いたように当然のことを聞いてくる。
そういう関係も何も。
「公にはしてなかったが、私とマリーはここで身を休めたこともある。
そういう関係だよ」
公にはマリーもオダもこの修道院の管理者には登録されていない。
相手の言葉を誤解していたことに気づいたが、相手も気づいた様子で自分たちの関係に触れるなら正直に答えねば失礼だし、
誤解は私だけではなくこの修道院の今後にもよろしくないだろう。
■安綱 朱鷺子 >
「修道院でご休憩を!?」
めっちゃデカい声出た。
ブンブンと周囲を確認した、こんなこと広く周知して良い話じゃない。
誰も…聞いとらんな、聞いとらんということにしとこう。
「背徳にも程があるやろ…あかんて神様が見てはるわ…とか言っちゃうやつやん…
ていうかなんでいきなり愛の十字架背負った話聞かされとるんや…?
…ま、まあええわ、それなら不法侵入にはならんな…」
手元の端末は防水防火もしっかりしてて爆撃を食らっても壊れない特別性だ。
爆撃された後にこの端末だけは残っているとかよくあるからその耐久力はお墨付き。
そこにしっかりとオダ神父とシスターマリーの秘事は記録しとくで。
「ん~まぁ~…ここが恋人同士の愛の巣♥なのはわかったんやけど…
何しようとしてたん? 現場保全の関係上、そのままにしといてほしいんやけど…」
この神父が天命を受けたのは小物箪笥に見える。
そこにはもしかして大事な思い出が隠されていたりするのかな…
■オダ・エルネスト >
「あまり大きな声では言えませんが、普段神に仕え自分を律するからこそ
燃え上がることもあるのです」
いつだったか、秘湯を求めて青垣山に行った際に全裸で開放感を楽しんでる姿を見た時はシスターも大変だなぁと思ったものである。
「普段敬虔な信徒のたまにのことくらいならば、
心広い神ならばお許し下さることでしょう。」
その許しが愛の十字架というのならば、
「……これからも二人で背負って行くしかないでしょうね」
と聞こえるかどうかの声量で漏らす。
彼女の視線の先の箪笥をオダも見て。
「彼女の私物がそこには恐らくまだ残っているはずでして」
■安綱 朱鷺子 >
「聖職者が堂々と言っちゃアカンことをコイツ…」
いやでもちょっとわかるわ…と同調してしまう自分も大概だけど。
でも話を聞く限り清楚で綺麗なシスターさんが背理の悦びに溺れているなんて。
俄に信じがたいけど…これも調書として提出する必要がある。
「心広いっちゅーか…なんか局所的にゆるい感じの神様な感あるけど…
…そっかそっか!せやね、それやったら今回のことホント大変やったね。
怪我もヒドいみたいだし…御見舞ちゃんといってあげてな?」
恋人夫婦は二人三脚、先の長い旅に十字架は重い。
二人の前途を祝福しながら、とりあえず手袋を嵌めて箪笥を開けた。
「着替えとかやったら後から買ってもらうことになるけど…
荒らされた形跡は見たトコなし。何捜しとるん?」
■オダ・エルネスト >
「ははは、案外こういうところは違う宗教の人または無宗教の人の方が厳しく思っていそうですが、
どこでも長年いればそういう事があります」
納得が得られたのでどこの宗教でもそういう輩の一人や二人いるだろうとウィンクして告げる。
表で言わないだけだ。
中にはクソ真面目な人もいるけど。
「お見舞いに行くのなら彼女が大切にしている物が無事なのを確認して届けてあげたい。
私はそう思っているのですよ」
慈愛に満ちた顔で、そこに入っていると再度箪笥を見つつ、
しっかりとした声色で答えた。
■オダ・エルネスト > 「 肌着ですよ 」
■オダ・エルネスト >
無事に届けて、交渉して
あわよくばショップに写真と一緒に販売してひと稼ぎしてぇというのはあるが。
■安綱 朱鷺子 > 「 ぱんつ? 」
■安綱 朱鷺子 > 思わずシリアスな声と顔で受け答えしてしまった。
もしかしたらブラかもしれない。
でもなぜ…?
「なんかあるんか…?」
なんなら別に箪笥漁らずとも困らなさそうなものを。
見せろと言えば嬉し恥ずかし、男女の甘い蜜事を楽しめよう。
あえてそれをやらないということは…
「ふむ…着替えやったら新しく買ってあげて持ってって欲しいんやけどな…
でもここまで綺麗に残っとるの、考えてみると不自然やな…
……ここには何かある、うちの刑事のカンがそう言っとるわ」
端末を彼に渡す。
「写真撮ってや。一枚ずつ確認してこか」
■オダ・エルネスト >
「ええ、パンティーです。
昔の彼女は無頓着だったのかあまり同性として見てやらないであげてほしい肌着なのですが」
常世学園に来て交友が広まってからは少し派手なものも手に入れたりしてたようだが。
端末を受け取りつつ、箪笥を漁ろうとしている風紀委員の姿をまずは一枚撮ろう。
「ふむ……」
綺麗に撮れる。良い端末だ。
金ができたらこういう高性能なのを買おうと真顔で思った。
その真顔のまま、彼女の問いかけに答える。
「しかし、見目麗しい女性の下着を記録するのはあまりよろしくないのでは?
彼女はパンティーを大切にしているので怒られるようなことはしたくはないですね」
写真かぁ。
本人に一枚ずつ手に取ってもらって撮るのはいいな、この子天才だなとかしこまった顔で頷く。
■安綱 朱鷺子 >
「風紀委員っちゅうのは、そういうこともしないとあかんのよ。
ほんの僅かな閃きからな、事件のあらましや犯人の足取りを掴めることもあるんやで…」
下着の棚をどシリアスな顔で覗き込んでいる姿を撮影されたがそれどころではない。
絶対に追い詰めてやるぞパラドックス…
「時に踏み込む必要もあるけど、どのみちこうする必要もある場所や。
おかしいと思うやろ? こぉんなに派手に壊れて、なぁんも残ってないのに。
この箪笥だけ綺麗に残っとる…調べろって言っとるんや、多分神様がな」
早速ブルーシートを床に広げる。
調べたものをここに並べていけば、どこまで捜査が進んだか一目瞭然。
「ていうか昔の彼女とか知っとるんやな…そっか…
シスターさんを、あんたが 女 にしたんやね…
安心し。丁重に取り扱うわ。伸びたりしたら大変やもんな」
なんかどきどきするエピソードやな…
気合が入るというもの。とりあえず一枚目を広げてみた。
「一枚目や。とりあえず神父さんに所感を言ってもらって。
どう思う? レポ頼むわ」
一枚残らず調べたるで。
■オダ・エルネスト >
下着を綺麗に広げる風紀委員の女子。
なんだろう、めっちゃ背徳的だなと思いつつ。
広げるその腕を軽く掴む。
「貴方には貴方の職務があるのはわかります。
しかし、冷静に考えてみてください。
他人に普段見せないプライベートのものを知らないところで記録されて
貴方と同じ女性が以前と同じようにこの下着たちを宝物のように思えるでしょうか?」
胸の黄金の十字架に片手を添えてなんか語りだす。
「下着とは本来他人には秘めたるものです。
それを現場検証とは言え全て無許可に暴く行為が合法とは、私には思えません」
軽く首を横に振ってから
「それは最近買った下着ですね。比較的に綺麗で基本はサラシを巻いたりしてたんですがブラセットで購入したものですかね。
扶桑百貨店で売ってるのを見た覚えがあります」
しかしコメントは真面目にする。
■安綱 朱鷺子 >
「らんじぇりーは秘めたるお洒落にして最後の砦や」
掴まれた腕はそれで怖じけるようなか弱さはなかった。
安綱は「前線組」、その腕前を評価される風紀委員。
だから事件捜査能力は…まあ…お察しなのだが…
「その安全を調べて守るのも風紀委員の努めやとうちは思う」
その日の選ぶ楽しみにもし事件の手がかりが潜んでいたら。
穏やかな日常を楽しむためにもこれは大事なことだ。
神のお膝元での不徳もしもべを守るためであれば許されるはず。
彼女が日常に戻ってきた時、逢瀬に思いを馳せる甘いひとときを守るのが…
風紀委員の安綱朱鷺子の…
「ごめ…さすがにちょっとすらすら出てくるのは若干キショいとこあるわ…」
遠慮なしにぶつけられるレビューには思わずよくないねボタン(親指を下に向けたやつ)を押してしまいそうになるが、
ここで引き下がっては秩序の番人の名折れだ…あれ?
「うん? いまなんて言うた?」
■オダ・エルネスト >
言いたい事は分かる。
なんか、自分の新人時代思い出す感じがちょっとあるなーと思いつつ。
この変に真っ直ぐなところ、分かるなぁ
「しかし、下着の安全を確認するだけなら撮影しての記録はいらないのではないかな?
後々になって彼女がこれらを捨てると言い出したら、宝のようにしていた彼女が……
そんな姿を見ることが怖いのだよ」
この子も全てを暴くのが調査の全てではないと知る事も必要だ。
「ん?……扶桑百貨店で売ってるのを見た覚えがあります」
■安綱 朱鷺子 >
「むしろシスターさんがそこまでらんじぇりーに入れ込んでるっぽいのも
ちょっと印象変わるわ…会うたことないけど…」
写真から得られる情報だとシスター服にすごい防御力を発揮していた。
あんまり考えないようになっていたがその下のそのぉ…
首を横に振って丁重にたたみ、箪笥にしまい込んだ。
「ありがと。うん、そこやそこ。
そういや肝心なこと聞いてへんかったわ…」
振り返ると箪笥を背にした形になる。
「…なんでぱんつ確かめようとしてたん?」
■オダ・エルネスト >
肝心なこととして、聞かれた内容は何だそんなことかと思わず笑ってしまう。
今更そんな事を確認されるとは思わなかったのだ。
故に、思わず破顔してしまったのだ。
「すまない、決して馬鹿にしている訳じゃないんだ。
ただ、ちゃんと伝わってなかったようだったからしっかりと言葉にしなければならないと
そう思っただけなんだ」
笑みを軽く隠した手を退けると遠くを見るような目で箪笥を見る。
「ここは彼女と私の思い出で彼女にとって大切なものであれば、
私にとっても大切なものなんだよ。
それを彼女のところに持っていってあげたい」
廃墟となってしまった修道院を一瞥してから空をみた。
「ただ、それだけなんだよ」
■安綱 朱鷺子 >
「せやな…」
つられて空をみあげた。
割れた屋根からは空が覗き、鳥がいなないて飛んでいく。
その影が通り過ぎていくのを見送った。
とても感動的で、心温まる話だ。
「シスターさんも不安やと思うしな」
この男の証言は、
…著しく主体性に富みすぎていた。
そして嘘を吐かないということは。
この男はシスターさんと一緒に下着を買いに行く仲というわけでも、
シスターさん本人から下着の由来を聞いたわけでもなければ、
着替えを持っていくという身内のきづかいではなく、
本人に頼まれたわけでも何を言われたわけでもなく、
ただ彼自身が眺めたシスターという人間を分析した主観の上で、
『大事にしている下着を持っていってあげたい』という異常な動機で動いている…!
(さすがに売却までは彼に本物の愛があると思っているので感づいていない)
「…続きは署で聞かせてもらうわ。行くで」
はめそこねた手錠をあらためて彼の両腕に嵌めた。
今ここに別の事件が勃発しようとしていたのは確かなことだと確信した。
確信犯なのは彼のほうだけども。
■オダ・エルネスト >
手首に掛かった銀色。
こういうのは騒ぐと面倒というのは、既に何度か世話になって覚えた。
ならば。
「分かった。
今回は蕎麦とかがいいなぁ」
風紀ご飯は大体美味しいんじゃないかと思い始めてきた。
■安綱 朱鷺子 >
「取調室は飯屋やないんですけど!」
…逮捕状なし、現行犯とは認められず。
該当容疑者の証言については本件とは別の調書にまとめるが、
常習犯と対話しての安綱朱鷺子には混乱が見られた。
「違うて!あの男がシスターさんのぱんつを…!
うちは別に覗きたくて覗いたんやなくて…」
始末書一枚である。
天ぷら蕎麦、稲荷寿司付きは、不当逮捕の責任という形で奢らされることになり…
取り調べに立ち会った朱鷺子はたいそう釈然としない顔で萎れていたという。
ご案内:「異邦人街 - 廃墟となった修道院の場所」から安綱 朱鷺子さんが去りました。
ご案内:「異邦人街 - 廃墟となった修道院の場所」からオダ・エルネストさんが去りました。
ご案内:「異邦人街 - 廃墟となった修道院の場所」に角鹿建悟さんが現れました。
■角鹿建悟 > ――それから数時間後。何も知らない生活委員会の腕章を左腕に付けた、黒い作業着姿の男が姿を見せる。
「……ここが現場か……写真で確認はしていたが、派手にやられたものだ…。」
呟きながら、何時もの仏頂面で現場を見渡す。そんな男の目の下には色濃いクマが見えており。
何せ、この現場までに既に20件以上の仕事を一人で黙々とこなしてきている。
実際、気力も体力も限界に近いのだが――それで仕事の手を緩める事は絶対にしない。
それは己の矜持に反するし、そもそも男が手の抜き方というものを知らない。
「………?」
何か妙な”気配”の残滓を感じ――たような気がする。気のせいだろうか?
(…現場保全はされているようだし、何者かが入り込んだ?…ようにも思えないが。)
少し考え込むように宙を見上げるが、そこは俺が考えても仕方ないと直ぐに割り切る。
軽く、腕を回してからゆっくりと息を整えて銀色の双眸が現場全体を見据えるように。
「――設定範囲……構造物把握……逆算開始…………終了。」
ぶつぶつと呟きながら何かを測っているようだったが、そのまましゃがみ込んで。
右手を地面に付ければ、男の手の甲辺りに歯車時計のような模様をしたホログラフのようなものが現れる。
その長針と短針が、ゆっくりと反時計回りに回転を始めれば、そのまま視線は前へと向けて。
「――設定3分……っ……!」
くらり、と眩暈がした。寝不足、疲労、空腹、異能の酷使もあってか限界がやはり近いか。
■角鹿建悟 > (…いいや、まだ行ける……少なくとも、この現場を終わらせるまでは休むのは無しだ。)
最近は、”例の騒ぎ”で生活委員会や、自分も含めた修復や修繕の能力や術式を持つ者たちも大忙しだ。
――死人も出ていると小耳に挟んだが、自分には”何も出来ない”。
前々から思っているし口にも出しているが、自分には直す事しか出来ないしそれしか能が無い。
(……雑念は一度捨てろ。設定3分…誤差修正完了。一気に、だが確実に正確に…。)
思う事はあれど、それは無視して能力に全集中。元より一つの事に集中しか出来ない不器用さだ。
少しずつ、反時計周りに動く針の動きが速くなってくる。それに比例して――
「……っ…!……乱すな…一気には無理でも確実に…。」
銀色の瞳は、半ば虚ろなくらいに危ういが能力は確実に修復を開始している。
床も、壁も、天井も、調度品も、全てが全て”元通り”の形を取り戻し、元の位置へと綺麗に”巻き戻り”始めて。
(――遅い…この程度で集中が甘いのは駄目だろう)
表情は、やや苦しげながら落ち着いてはいる。だが内心では不満。直る速度が設定より些か遅い。
体力が限界近い?集中も乱れてきている?”だからどうした”、それで止まるか。
過去に、一度挫折した。その時に叱咤され、助言され、前よりはマシになっているだろう。
だが、それは男の根幹の歪みが矯正された訳では無い。だからまだ”折れない”。
■角鹿建悟 > 予定の3分経過して、直ったのは目測で7…いや6割か。矢張り能力の出力が落ちている。
時々、俯くようにして何かを堪えながらも、能力の発動は維持したまま”巻き戻し”を続行する。
「――修正、2…いや3分追加。……ゲホッ、…っ…。」
追加で左手を地面に付けて。こちらも手の甲部分に同じような歯車時計のホログラフ。
そちらも針が逆回りを始めて、急激に修復の速度が引き上げられていく。
その分、負担も倍になり…時々、咳き込みながらも修復を黙々と辛抱強く続けて。
―3分後―
「――終了……ゲホッ、…修復…完了、…だ。」
とうとう喀血までしてしまうが、口元を乱暴に拭いながら能力を解除する。
目の前には、見事なまでにきちんと”破壊される前”の状態にまで巻き戻された修道院。
虚ろな目付きと、目の下のクマは痛々しいが本人はそんな事はいちいち気にしていられない。
状態を確認――多少、素材強度を引き上げているがほぼ破壊前の形に戻された筈だ。
「……後は、最終チェっ…ク…を。」
眠気と空腹と疲労で、倒れそうになるが何とか持ち直す。が、今にもぶっ倒れそうな程に危なっかしい。