2019/02/15 のログ
ご案内:「宗教施設群/寂れた教会」にツクヨミさんが現れました。
■ツクヨミ > 時刻は夜を迎えてそう長くはない頃、
ツクヨミは何を思ったのか、スラムを抜け出して宗教施設の立ち並ぶこの地区へと足を運んだ。
地球上にあるありとあらゆる信仰が社(やしろ)や建築物として並んでいる。
もちろん異邦の信仰まで取り揃えられているこの地区は建物の形やシンボルが一種独特であった。
まるでたちの悪い映画セットみたいな街並みに迷い込んでしまったようでめまいがする。
色とりどりの煉瓦の建物の隙間を縫って、こじんまりとした寂れた教会―――自分のよく知るキリスト教じみた建物、
に出くわすと何気なくそちらへ足を運んだ。
■ツクヨミ > 蝶番の軋む音をたてながら両開きのドアを少し開いて中へ滑り込むと
埃っぽい空気に満たされた聖堂があった。
教壇も信徒席もがらんとして、一応小奇麗に並べてあるものの
しばらく誰も使ってないことがホコリの積もり方から窺えた。
一番前の席に近づいて、座席のホコリをさっと手で払うと席に座る。
汚れた手を拭うこと無く、ただ何となく座席へ座っただけだが
目の前に掲げられている十字架をじっと見上げた。
しん、と静まり返った夜の空気。吐息が白く曇る。
コートなんて上等なものは持っていなかったから、細い体には寒さがしみる。
■ツクヨミ > 世界で一番大きな宗教施設でもこんなに寂れたところがあるのならば
自分の祀り上げられているあのカルトなんて、大したことがないのだな
などと思ってしまう。
逃げ出そうと思えば、きっと逃げ出せるけど、でもどこへ逃げれば良いのかがわからなかった。
神様を模したものはあるのに、ツクヨミはちっとも神様を信じることが出来ない。
ご案内:「宗教施設群/寂れた教会」に暁 名無さんが現れました。
■暁 名無 > 『暁くん死にそうな顔してるからもう帰って寝な』
そんな通達がされ、今日も学校泊を覚悟していた名無は突然の自由に脳がバグっていた。
本来真っ直ぐ変えるべきところを、ふと廃教会に立ち寄ってみようなど思い付き、ぶらぶらと足の向くまま歩いて来て。
「あれ、なーんだ先客かい。
こんなとこ来るなんて物好きな奴も居たもんだな。」
最前列に人影を見つけ、ぶらりぶらりと歩きながら声を掛ける。
■ツクヨミ > 寒さに両手をすり合わせて、吐息を吐きかけていたところに
新たな来客が来て、ツクヨミはびっくりして肩を震わせる。
振り向いた先に、今にも倒れそうな顔色の大人が居てぶらぶらとこちらへ近づいてきていた。
「あ……」
とっさに逃げるか、考えて座席から腰を浮かせかける。
だが出入り口は相手の方にあるし、結局浮かせかけた腰を下ろして
そのまま足元に視線を落とした。
何を会話したら良いのかわからない。心臓がバクバクする。
「……こんばんは」
うつむいたまま、小さくそう呟いた。
聞く人が聞いたら、挨拶かどうかわかりかねるような小さな声であった。
■暁 名無 > 「えっ、俺そんなドン引きされるような顔色してる?」
一応仮眠摂ってから学校出てきたはずなんだけどな、と頭を掻きながら苦笑する。
相手の挙動不審が自分の体調不良の所為だと信じて疑わないというよりは、その辺の細かい事はあんまり気にする余裕がないといった態だ。
「おう、こんばんは。
寒くねえか、そんな恰好で。学生服ったって防寒はそン名に出来ねえだろ?
あ、タバコいい?」
消えそうな呟きにもへらりとした笑顔と共に応え、ついでに相手の出で立ちに眉を顰める。
もうちょっと暖かい格好した方がいいぞー、と言いつつ手には既にタバコが握られており。
■ツクヨミ > 慌ててふるふると頭を振り、別に暁の顔色にドン引きしたわけではないことを訴えた。
ぎゅっと手を握りしめたまま、膝の上に置いて地面を見つめる。
「コート、……持ってないから……」
寒いには違いないが、だからといって持ってないものは仕方ない。
煙草にはどうぞ、とまた小さく呟いて。
この人は何なのだろうか、とあまり回転の良くない頭を使って考える。
学生の多いこの島に置いて、大人はあまり姿を見ない。
だとすると教師、だったりするのだろうか。あるいは研究者とか……。
ちらちらと相手を窺いながら、自分の素性を尋ねられたりしたら厄介だと冷や汗をかく。
■暁 名無 > 「あー?このクソ寒いのにコート持ってねえのか?
何だよそれ、ネグレクトされてんのか。それとも超貧乏?」
まあ何でも良いか、と煙草を咥えて火を着けて。
それからおもむろに自分が着ていたトレンチコート(冬の賞与で奮発した)を脱ぐと、軽く丸めて投げつける。
「タバコの匂いがすると文句言われるんでね。
一服終えるまで着てて良いぞ。って、うっわ寒ッッ!
お前この寒さでコートもなしにこんなとこ居んの?マゾ?」
寒さが気持ち良くなるのは危ないぞ、死ぬから。
そんなことを言いながら、ふわあと煙を吐き出した。
■ツクヨミ > ネグレクトでも貧乏でもない。(いや、金が無いのはその通りだけれども)
慌ててまた頭を振って否定する。
投げつけられたトレンチコートにびっくりして反射的に受け止めるが、
それをどうしたものかと悩んで開いた。
着ててもいい、なんて言われたのは初めてで暁とトレンチコートを見比べて
おっかなびっくりコートを肩にかけた。
「……あったかい……」
直前まで暁が着ていたせいもあって、体温がまだ残っている。
寒さに固まっていた体がホッとしたようにほぐれてきた。
でも、そうすると横の大人が寒いのではないだろうか。現に寒さを訴えている。
そっと座席から立ち上がると、煙草の煙も気にしないまま、
相手のそばに寄って、ぴったりと肩を寄せてコートを半分かけようとする。
じっと、怯えた動物のように桃色の瞳が、暁の顔を覗き込んで顔色をうかがった。
■暁 名無 > 「だっろー?
今季も寒くなるだろうからってわざわざ冬のボーナス半分使って買ったんだから。
それで暖かくなかったらもうね、消費者庁に駆け込みよ。」
そもそもそこまでボーナス額が多かったわけではない。
が、それでも名無の持つ衣服の中では最高額のコートである。家に置いとくと居候が勝手に着ていくからもう肌身離さず持ち歩いている代物だ。
そんな風に自慢げにしつつ、自身は自分の身体を抱き込む様にしながら寒さを耐えていたが、
「ああ?
おいおい、話聞いてたか。
コートにタバコの匂いつかない様に脱いだんだっつの。
……まあでも、サンキューな。」
名無を気遣ってか傍に寄って来た姿に、呆れた様に肩を竦めたが、寄り添われると流石に呆れを通り越した笑みを浮かべる。
こちらの様子を覗う姿に、ふぅん、と小さく鼻を鳴らして。
「なーにおっかなびっくりこっち見てんだ。
後ろめたいことでもあったのか?こんな寂れた教会なんか来てるくらいだ、人に聞かれたくねえ懺悔でもしに来たか。」
■ツクヨミ > 煙草の匂いがつくのと、寒いのと、どちらが嫌なのかツクヨミは判断できなかったため、
とりあえず大人に暖をとってもらうためにそばに寄ってみたのだがどうやらこれで正解らしい。
ふ、と薄く唇に笑みが乗る。
懺悔でもしにきたのか、と問われると首を傾げ、懺悔の意味を頭の中から引っ張り出してからまた首を振って否定した。
「……神様、いないかな、と思って……」
ぽつぽつと区切るように話す。
無論、本当に神様が目の前にいると信じていたわけではないし、探しに来たわけでもないのだが
そこまで説明するにはツクヨミ自身、会話がそれほど上手くできない。
しどろもどろになりながら、ふわふわと意志薄弱の瞳がさまよって
前方の十字架に目を留めて見上げる。
「…………、神様、なんて、いないんだね……」
■暁 名無 > 「カミサマねえ……」
すぅー、と細く長く煙を吐いてから、同じく十字架へと目を向ける。
相手の本心も何が言いたいのかも今一つ掴めないが、そもそもどうやら会話自体が得意でない様子は知れた。
それならまあこちらから話してけばいいか、とある種開き直って。
「まあ、お前が言う『神様』ってのがどんなもんかは分からんが……
もし此処みたいな教会で祈りをささげる様な神様なら、まあ、実体があるわけじゃねえだろうな。」
咥えたタバコから立ち上る煙を目で追いつつ
「神様、なんてのはとどのつまり人間が腑に落ちやすくするための機構、システムでしかねーんだ。
居るか居ないかでいえば、間違いなく居はしないだろうよ。
ただ、有るか無いかで言うなら、間違いなく有りはする。」
■ツクヨミ > 暁が吐き出す煙草の煙を横目に見ながら、
彼の言う『神様』についての話を聞いている。
内容はところどころ、ツクヨミには難しくてわからないことも多いけれど
なんとなく、聞いていればわかるような気もしなくはない。
「……神様、有るっていうけど、信じてるの?」
ぱちぱちと大きな瞳が瞬いて暁を、十字架を見比べて尋ねる。
システムを信じるも何も、居もしないと言っているのだから信じては居ないのだろう。
でも有るということはどういうことだろうか、そう尋ねたいのだが言葉がうまく出てこない。
■暁 名無 > 「神様という個人あるいは存在が居る、ということは信じちゃいないが……
自分の頭じゃ処理が追いつかないような事、例えばとても酷い目に遭った、あるいはとても幸運な事に逢った……そういうものに神様のような超常の存在を見出すというのは自然な事だとは思う。
人間の特権みたいなもんだからな、そういった想像力は。」
幻想と冠してはいるものの、実在する生物に関して教鞭を取る名無にとって。
存在が立証されていない「神」という概念は信じるべきものではない。
「台風や山火事、津波や地震の自然現象を解明されるまでは神様としていたし、
未知の生物や奇形の生物を神様、として崇めてたっていう例もある。
神様という固有の存在は居ないとは思うが、有ると思うというのはそういうことさ。
・・
ここに有るんだよ、神様なんてのは。」
とんとん、と自分の頭を指で小突きながら、おどけた様に肩を竦めてみせる。
■ツクヨミ > 「……、よくわかんない……」
ぽつりとそんな言葉が出てしまう。
自分にはとてもひどい目にあったとか幸運にあったとかそういう大きな経験はないから
彼の言う想像力の中に神を見出すことが出来なかった。
とんとんと頭を小突いて指し示す暁に、ふたたびきょと、と瞳が見上げて
自身の頭を手で撫でてみても、神様を探すことは出来なかった。
とにかく、相手の言っていることは難しくてわからなかったとしても、話を聞くのは嫌いではなかったから
一旦自分の覚えられる範囲で相手の言葉を頭にしまっておくことにする。
でもどうせ、すぐに薬とか異能とかで記憶がめちゃくちゃにされてしまうだろうけど―――。
ひどく危うい手付きでトレンチコートを脱ぐと暁に返すために差し出した。
「僕、帰る……。えっと、……ありがと、」
トレンチコートを貸してくれたことにか、あるいは話をしてくれたことにか
とりあえずこういう時はお礼を言うべきなのだろう。
そうして、後にずれるように下がると、ぱっと走って教会の扉から駆け出してしまった。
人と会話したのは久しぶりだから、ひどく緊張して未だに心臓が痛い。
だが悪くはなかったと、思いながら宗教施設群を駆け去っていった。
ご案内:「宗教施設群/寂れた教会」からツクヨミさんが去りました。
■暁 名無 > 「そっか、悪いな。専門外なもんでな。」
聞こえた呟きに、悪びれた様子も無く笑う。
自分でも何言ってるのかと思う所が多々あった。教師としてこれは如何なものかと。
でも名無が教師であるのはあくまで放課後までの話。今はとっくに営業時間外である。
「おう、風邪引くんじゃねえぞ。
何なら家まで送っていってやろうか……って、早いな。」
返されたトレンチコートを羽織り、タバコを揉み消して。
俺も帰ろうか、と呟いてから改めて十字架を振り仰いで
「………。」
小さく息を吐くと、そのまま教会を後にしたのだった。
ご案内:「宗教施設群/寂れた教会」から暁 名無さんが去りました。
ご案内:「」にラフェニエレさんが現れました。
ご案内:「」にラフェニエレさんが現れました。
ご案内:「」にラフェニエレさんが現れました。
ご案内:「」にラフェニエレさんが現れました。
ご案内:「」にラフェニエレさんが現れました。
ご案内:「」にラフェニエレさんが現れました。
ご案内:「」にラフェニエレさんが現れました。
ご案内:「」にラフェニエレさんが現れました。