2020/10/10 のログ
ご案内:「宗教施設群-修道院」にマルレーネさんが現れました。
■マルレーネ >
「懺悔・相談・不満・愚痴 全てお聞きします」
いつも通りの看板を掲げて、修道院で一人座って背伸びをするシスターが一人。
穏やかにお茶の時間を過ごしていた。
「しばらく間を空けちゃいましたから、あんまり来なくなっちゃいましたね。」
うーん、と唸るのは、金色の髪をした女性。
すっかり左の手にも力が入るようになり、目も元に戻ったのだが。
こういう場所は「この時間なら」「この場所なら」を当たり前に記憶してもらってこそ、相談に行く、という行動になりやすい。
つまり、1週間以上不在を続けて(その際に他の人に対応してもらったとしても)いれば、彼女に話を聞いてもらおう、という人は減るものだ。
仕方ない話だ。
ご案内:「宗教施設群-修道院」にリタ・ラルケさんが現れました。
■マルレーネ >
「………こう寒いと、海で遊んでいたのが遠い昔に感じますけど………。
いや、でも、ついこの間まで本当に暑かったんですよね。」
なんでそんなに急に寒くなるのか。
秋ってそんなに短いものでしたっけ。
とほほ、と肩を落として。
「………暖房器具って、こっちの世界どんなのがあるんでしょうね。
暖炉とか、あんまり見ませんけど。」
頬に指をあてて思考を深める。
■リタ・ラルケ >
そういえば、あの修道院はどうなっただろう。
それを思い出したのは、ひとえに単なる偶然に過ぎなかった。
ひと月ほど前のことだ。
異邦人街の一角にある修道院に住むシスターが、突如行方不明になる事件が起きた。
その後のことを、自分はついぞ知らない。そもひと月前にここを訪れたのだって、単なる興味の行き着いた末のことである。一時の気を引いた話を、あれこれ引きずるような性格ではない。
だから、そんな修道院のことを思いだしたのは、単なる偶然に過ぎないのである。
さて、そんなことを思い出してしまえば、興味がそちらに向くのは当然で。
いつも島の各地に足を向けているように、その修道院をいざ訪れてみれば。
「……雰囲気、変わってる?」
なるほど建物の見た目だけでいえば、自分の記憶とそう変わっているわけではない。しかしながらその雰囲気は、以前に来た時とは明確に異なっていた。
理由は、すぐに思い当たった。
「帰ってきたんだねえ。君達の主様」
この地に漂う、"光"の精霊が元気である。寂しがっていた様子であったのが記憶にあったから、なんとなくほっとした。
さて、何となく件のシスターはいるだろうかと、修道院の中を覗いてみる。別に懺悔だとか相談事とかがあるわけではないけど。
■マルレーネ >
自分がいない時期のことについては、代わりの神父くらいしか知らない。
まあ、近隣のマダムに人気だったことくらいか。
だからこそ、その間に尋ねてきていた人についても把握はできず。
それを申し訳ない、とまで思っていられないのだけれども。
「……おや。 何か御用ですか?
どうぞどうぞ、外は寒いですよ。」
よいしょ、と立ち上がる金色の髪をした女。
青い瞳は穏やかに、にこやかに中を勧める。
■リタ・ラルケ >
「んぁ」
施設の中にいた、金髪の女性に話しかけられる。件のシスターは彼女で間違いないだろう。
とはいえ、彼女がそうだったからといって、別にどうというわけでもない。強いて言うなら、一ヶ月前の事件の中心人物だったんだろうなあ、と頭の片隅に過る程度である。
「んー、用事ってほどではないんだよねえ。何となく来ただけだし。でもまあ、とりあえずお邪魔します」
だけどまあ、確かに寒いは寒い。嫌になるほどの夏の日差しもすっかり翳り、季節は秋に移ろい――にしては少し寒すぎるような気もするが――こうして歩いていると、手先なんかは結構辛くなってくる。
このまま帰るにしても、少し暖まっていくくらいはいいだろうか。そんなことを考えて、促されるまま修道院の中に入る。
シスター自身に興味も、まあないといえば嘘になるし。
■マルレーネ >
小さな少女が声をあげた。
特に用事もなく、好奇心の赴くままに扉から覗いたのだろう。
別にそれに対して目くじらを立てる人間でもない。
おいでおいで、と手を振って招き入れながら。
「ああ、別にいいんですよ。
用事でもなければ、気軽に寄ってくださいな。
ここには相談ごとに来る人が多いというだけですよ。」
微笑みながら説明をしつつ、さてさて、とお茶を二人分に増やして用意。
温かい紅茶でも、と。
■リタ・ラルケ >
あまりの呆気なさに、一瞬面食らってしまう。いや、自分は詳しいことは知らないが、こう、なんというか、もう少し神聖な所という認識というか、こう単なる興味本位で訪れていい場所ではないというか。そんなイメージがあったのだが。
修道院とは、こういうものなのだろうか。それともここが特別なだけなのか。
「ん、あ……うん。……お邪魔します?」
無意識に口から発せられる、二回目の断り。いずれにせよ、歓迎してくれるなら変に遠慮する理由もないけれど。
「……結構、フレンドリーというか――なんというか、思ったより緩いんだね。仮にも宗教の施設だし、結構……戒律とか、厳しいイメージあったけど」
目の前で紅茶を用意してくれているシスターを眺めながら、そう言う。
だけどまあ、とても優しいひとではあるようだった。少なくとも見ず知らずであるはずの自分に、何の躊躇いもなく歓迎の準備をしてくれるくらいには。
■マルレーネ >
「あー、……そういうイメージもあるんですね。
私のところでは、こういった施設には毎日のようにたくさんの人が集まるイメージがあって。
すごい信じている人も、そうではない人も。」
思い出すように目を閉じながら、唇を開く。
そんなに昔のことではないのに、ずっと以前のことのように感じられて。
「それに、相談してくださいね、って看板かけておいて、ルールを守らなければ困ります! なんて、誰も来ないじゃないですか。」
と、微笑みかけて。紅茶のカップを二つ置く。
■リタ・ラルケ >
「……そっか。そういうものか」
言われてみれば、確かに。話を聞きますなんて掲げておきながらそこに入りにくければ本末転倒である。門戸の広さというものが、こういったところには大切なのだろう。
だけどまあ、如何せんこういうところは初めてなもので、今の自分は少し緊張している。あまり立ち振る舞いとかは崩れないようにと意識してはいるけれど。
家主(こういった表現が正しいかはともかく)より先に手を付けるのが憚られるのもあって、カップには未だ手を付けられていない。
「相談事、かあ。具体的にどんな話? ……というか、訊いても大丈夫かな、こういうの」
つと興味本位で、そんな疑問を投げる。
■マルレーネ >
「そういうものです。
まあ、その話を聞く人がちょっと怖かったりしたらどうにもならないですけどね。」
てへ、とちょっとだけ舌を出してウィンク一つ。
子供っぽい仕草をしながら紅茶を手に取って、まずは自分で一口。
うん、あったかくて甘い。
「じゃあ、この島で聞いた話ではない話、にしましょうか。
聞いた話については、その場所ではお話しませんからね。
例えば、……最近髪の毛が抜けるとか、眠れないとか。
神様はいるのか、って質問もありますし。
本当に思い質問もありますよ、罪を犯してしまったことを告白されたりとかも。」
■リタ・ラルケ >
ウインクを飛ばすシスターを見て、自分のシスターに対する評価を少し修正する。彼女は優しいけど、結構お茶目である。子どもっぽいと言ってもいい。いや年齢的には完全に子どもの自分が言うのもアレだけど。
対面のシスターが紅茶を口につけるのを見て、自分も追うように一口。淹れたての紅茶は、甘くて美味しかった。結構自分好みの味。
さて、彼女に話される悩み、はたしてどういうものかと聞いてみれば。
「ふうん……結構色々言われるんだ。罪の告白、っていうのは聞くけど……」
中々に、その内容は多様なようだった。思ったよりも身近な悩みを相談するものなんだな、と意外に感じた。むしろ、そんな日常で生まれたような些細な悩みや疑問を話の種に会いに来ている人もいるのだろうか、なんて思ったりもした。
……髪の毛が抜けるとか、眠れないとかは、むしろお医者さんに相談する話じゃないかなあ。
「そっか、そういうものなんだねえ……」
感心するような声を上げて、もう一口。うん、おいしい。
■マルレーネ >
「いろいろですよー。
それに、それらを含めて、なんでも聞く、がメインですからね。
悩みはあるけど、他人に「こうしろ」って言われたくない時もありますし。
警察に、とか、お医者さんに、とか。
行こうか悩む、ってところで止まってる人も多いですしね。
そこでこう、私に、いった方が、って言われるときっかけになったりとか。」
紅茶で体を温めながら、ゆっくりと体験談を語る。
「……ああ、そうそう。 私はマルレーネ、って言います。
マリーでいいですからね。」
■リタ・ラルケ >
「いや……思ったよりも面白いね。ありがと」
何というか、今日一日で大分修道院に対するイメージが変わった気がする。たまに思い立ったときにここに足を向けるのも悪くないかもしれないだろうか――趣味の散歩の目的地が、一つ増えた瞬間である。
つと、抱えたものを話してみようかとも思って、一瞬顔をしかめるけれど――止めた。自分は今ここで何かをするつもりはないのだ。
それに、なんというか。自分の抱えている悩みは、色々とごたごたとしていて上手く言葉にしづらいというのもある。
さて。シスターの名乗りを聞いて、あ、と思う。しまった、すっかり失念していた。
「……あ、そうだね。ごめんなさい、名前も言わずに。私はリタ。リタ・ラルケ。呼び方は……好きなようにどうぞ」
シスター――マリーに、そう名乗り返す。
■マルレーネ >
「あはは、じゃあ、リタさん。
学園の生徒さんなんです? 私も1年なんですよー。」
ころころと笑って、紅茶を飲み干してしまい。
「…ええ、ここには何もなくても来てもらって大丈夫ですよ。
とはいえ、相談がある人がきたら、そちらを優先させてもらいますけどね。」
何か相談なり愚痴があれば、いつでもいいですけどね。
と、付け加えて。
「まあ、………ここにいたり、ほかの場所の教会だったり施療院だったり、見回っていることも多いんですけどね。」
■リタ・ラルケ >
「え、うそ。マリーって同級生なんだ。結構落ち着いてるから、もう少し上かと」
結構離れていそうな感じなのに――とは思うが、これが学園のシステムである。一回り二回り、あるいはそれ以上年が離れている人が同級生であることなど、ことこの学園に限ってはそう珍しくはないのだ。
「まあ、また気が向いたら、かな。私もこの島、気の向くまま色々回ってるから、会えたら偶然って感じになると思うけど」
……もし、抱えた悩みが上手く言葉にできるようなことがあれば。気が向いたらでなく、そういう目的でここに来ることもあるのだろうか。
いずれにせよ、今の自分はそうではないのだが。
「……さて、あまり長居してもあれかな。私はそろそろ帰るよ。お茶、ごちそうさまでした」
残り一口となったカップの中の液体を喉に通して、おもむろに席を立つ。
■マルレーネ >
「あはは、私は異邦人という扱いでして。
この世界でいうならば、まだ本当に一年生ですよ。」
ころり、と笑いながら。 同じ1年にしてはほんとうに一回り以上離れているが。
「……ええ、そうですね。
私は逆に、よくここにいますから、いつでもお越し下さいね。」
微笑みながら、少しでも安心できるような言葉を投げかけて。
「………ええ、そうですね。 いきなり寒くなりましたから、あまり無理をせずに早く帰るようにしてくださいね。
ここから雨でも降ったら、もっと冷えますから。」
よいしょ、と立ち上がって。 入口の扉まで見送ってくれるシスター。
■リタ・ラルケ >
不思議なひとだ。
見ず知らずの他人、それも特に用事もなくここを訪れた自分を中に入れてくれたかと思えば、それだけでなくお茶まで出してくれた。
今、自分に向けて微笑む姿は大人のように思えるけど、その実結構子どもっぽい一面もある。初対面だというのに、この人は色々な表情を自分に見せていた。
純粋であるとは思った。良くも悪くも。
「そうだね。急に寒くなってきたし。風邪でも引いたら大変だしね」
入口まで見送ってくれるシスターに、声を掛ける。去り際に、
「マリーも無理しちゃだめだよ。君がどうかして寂しがるひとは多いんだ」
それだけは言っておく。今更、自分が言うことではないかもしれないけど。
マリーの方に寄っていた精霊たちは、ふよふよと彼女の傍らに身を寄せていた。
「それじゃあ。……また、ね。マリー」
肌寒さが肌を刺す空気の中、街の方へと足を向ける。
そのまま真っすぐ、常世寮の方へと戻っていく。どこかへ寄り道しようかという考えは、今日に限っては浮かぶことはなかった。
ご案内:「宗教施設群-修道院」からリタ・ラルケさんが去りました。
ご案内:「宗教施設群-修道院」からマルレーネさんが去りました。