2021/01/16 のログ
ご案内:「宗教施設群『破壊神の社』」に迦具楽さんが現れました。
ご案内:「宗教施設群『破壊神の社』」にリタ・ラルケさんが現れました。
ご案内:「宗教施設群『破壊神の社』」にサヤさんが現れました。
リタ・ラルケ >  
 柄にもなく緊張していた。
 というのは、「新年会」というものをついぞ知らなかったから、なのだろう。

 友達と一緒に新年を祝う――そもそも新しい年を祝うということすらも――ことが、自分にとっては初めてのことである。どころか、そも友達の家に遊びに行くというのも初めてである。
 ということはもちろん、迦具楽の家に行くことだって、初めてである。
 場所は聞いていた。し、宗教施設群であれば、幾度か行ったことはある。だから迷うことはなかったのだけれど。
『迦具楽』の名を――より正確に言えばそれとさらにもう三つほどほかの名前も一緒に――掲げる玄関先を見て、ああここだと顔を上げれば、そこには立派な一軒家。彼女のものでろう菜園と、何やら神様を祀っているのだろうか、黒い石の備えられた祭壇付き。
 ……思ったより大きいぞ。ここに住んでるのかあ、迦具楽。いいなあ。寮の自分の部屋だって、そりゃあ悪い場所ではないけれど。

「……っと、違う違う。迦具楽と、その同居人さん、だっけ」

 そして、もう一つ。
 件の同居人――確か名前は、『サヤ』と聞いていた――と会うのも、初めてだということ。
 迦具楽の、大切なひとと、そう聞いている。
 どういう人だろう。迦具楽から聞いた話なら、まあちょっと嫉妬深いけれど、迦具楽のことが大好きで、可愛くて、素敵なひと(惚気は多分に入っているだろうが)らしい。あと胸が大きい――変なこと思い出した。そこは関係……なくもないけど。

 ……仲良くできたら、いいな。

「……よし」

 頑張れ私、と。そんな風に少しだけ、気合を入れて。扉横に備え付けられたインターホンを、一度押した。

サヤ > 「あの、本当にいいんでしょうか……。敵襲かと思って襲ってきたりとか……しません、よね?」
迦具楽の友人を交えての新年会、その約束の時間が近づいて、玄関でクラッカーを構えながら、もう何度目かわからない質問を迦具楽に。

初めて会う相手にちょっとした悪戯を仕掛けようと言い出したのは石蒜、今はワクワクしながらサヤの中でリタ、と名前を聞いている迦具楽の友人を待っている。
扉を開けた瞬間火薬が爆発がしたら、自分なら即座に臨戦態勢に入る。

「そうでなくても嫌われたりしませんよね…?迦具楽さんがお世話になってる方に嫌われると、相当、その……心苦しいのですが……。」
一応腕によりをかけて作ったご馳走も用意してある、それで機嫌が直ってくれればいいのだが。
今更やめようとも言い出せず、もしかしたらやってくる本人以上に緊張しながら、クラッカーの紐を握って待機する。
扉越しに、時折迦具楽についていた匂いが微かに漂ってくる。
インターホンが鳴ると、ビクンと体を震わせた。
「い、いらっしゃいましたね。ええと、あ、開けてもらって、そこで紐を引くんですよね…?」

迦具楽 >  
「大丈夫大丈夫!
 思いっきりやっちゃって!
 そのために特大のを用意してるんだからさ!」

 しかも、用意されたクラッカーは巨大。
 音はともかく、かなりど派手にカラフルな紐を放出する。
 とはいえ、それなりに驚かれるかもしれないが。

「そんな事で嫌われないよ。
 安心して、歓迎してあげて」

 ぽんぽん、とサヤの肩を叩きながら、インターホンが鳴るのを待ってましたとばかりに。

「そうそう。
 タイミングを外さないようにね!」

 自分の分も構えつつ、扉の向こうにいる友人へと返事をする。

「いらっしゃーい!
 鍵は開いてるから入っていいよー!」

 そう、悪戯心全開で待ち構えながら、弾むような声で。
 

リタ・ラルケ >  
 もちろん、中でそんなやりとりが行われているとは露知らず。

「ん、わかったー、お邪魔しまーす」

 中から聞こえてきた迦具楽の声に、そう返しつつ。
 気の置けない友人の家、ということもあり、無警戒に扉を開けて入っていき――。

サヤ > 「あの、えと、は、はじめまして…ごめんなさい!」
扉を開けたリタが目にするのは楽しそうにクラッカーを構える迦具楽と、顔を背けて自らの行為に恐怖するたわわな体型をした巫女服の女性。
そして聞こえるのは挨拶と謝罪、直後、パァーン!!と大きさの割りに控えめな音と紙テープの束が襲いかかった。

迦具楽 >  
「ハッピーニューイヤー!」

 炸裂する二つの音!
 飛び散る色とりどりの紙色!

「いえーい!」

 何本ものカラフルな紐が、リタの上に降り注ぐだろう!
 なお、紙吹雪はない、お片付け簡単タイプだ。
 

リタ・ラルケ >  
 破裂音、降り注ぐ紙テープの束。
 カラフルな紐がこちらに飛んできて――それと同時に聞き覚えのない謝罪の声と、楽し気な迦具楽の声。
 そうか。そういう感じかあ。

 ……と、認識したのは、破裂音からおおよそ五つ数えた後のこと。
 至って普通に歓迎されるのかな、なんて考えていたところにそんなものが来たのだから、何が起こったのかと思考が止まった。

「……ぅぇ?」

 と。辛うじてそんなか細い声を出して。
 どういうことだろうと。驚いたのと考える余裕のないのとで、その場ですっかり固まっていた。

サヤ > 返ってくるのは驚きの声ではなく、無音。
恐る恐る、来訪者を見やれば、扉を開けた姿勢のまま固まっていた。
もはや言葉に出来ないほどの怒りに打ち震えているのではないか、という最悪の想像が頭をよぎる。

"ぅぇ?"という微かな声にそれが怒鳴り声でもあるかのように震え上がり、迦具楽の前に出て。
「あ、あの、これは、その、わ、私が、あの、いえ、正確には私の中のもう一人が、ええと…い、言い出したことです!
 か、迦具楽さんは準備を手伝ってくれただけで、あの、だから、そ、その……お、お怒りならばまず私に…!」
長い髪が乱れ舞うほどの速度で頭を何度も下げる。

迦具楽 >  
「あっはっはっは!
 リタってば呆然としてるー!
 うぇってなに、うぇって!」

 必死に謝りまくっているサヤをよそに、迦具楽は友人の様子にげらげらと笑っていた。

「いやあー、ごめんごめん。
 ちょっと驚かせ過ぎたかなぁ?」

 お腹を抱えて笑いながら、紙テープまみれになった友人から、テープを回収しつつ。
 

リタ・ラルケ >  
 ――徐々に落ちついて、思考が冷静になってくる。
 一つ。これは自分を驚かせるためになされたことである。
 一つ。大きな事件とか事故とか、何か危険なことがあるとか、そういう話ではない。
 一つ。発案はちゃんと聞くならこの人――の中のもう一人?――なんだろうけど、迦具楽は多分ノリノリでOKを出した。

「……いやあ。歓迎の仕方がねえ。びっくりした。変な声も出たし」

 笑いながら自分の身体に着いた紙テープを回収する親友をよそ目に、とりあえずこちらが申し訳なくなるくらいに謝り倒す女の人に「びっくりしただけだよ、大丈夫だから落ち着いて」と言って。

「えっと……とりあえず上がっていい、のかな」

 と。まだ何かあるのではないかという警戒心はあるものの、そう二人に聞いてみる。

サヤ > 「すみません、本当に、申し訳有りません、せっかくあの、新年会ということでご足労いただいたのに驚かせてしまって……。」
驚いただけ、ということでほっと胸をなでおろす。その胸は豊満であった。
こちらも手早く紙紐の束を回収して、ぐるぐると巻いて玄関隅に置いておく。後でなにかに使えるかもしれない。

「どうぞ、どうぞ、お待ちしておりました。拙い腕ですが料理も用意させていただきました、是非お楽しみください。」
軽く頭を下げて料理と座布団の用意された部屋へと腕を向ける。その仕草はまるで旅館の従業員のような、訓練の行き届いたものを感じさせるだろう。
そちらに皆で向かうならば、すり足で、全く足音を立てずに先導する。

迦具楽 >  
「そりゃあねえ、折角なんだし。
 忘れられないような第一印象は必要かなって」

 「くそー今の声、録音しておけばよかった」なんて言いながら、紙テープを丸めてその辺に転がすと、友人の手を取ろうとする。

「あ、料理は私が作ったのもあるんだよー!
 サヤにはかなわないけど、これでもそこそこなんだから。
 ほら、気楽に上がって上がって!」

 靴を脱ぐのも待たずに促すような勢いで。
 普段サヤと二人で使っているリビングへと連れて行こうとするだろう。
 

リタ・ラルケ >  
「……まあ、忘れられない、か」

 危うく戦闘態勢に移行しそうになったところはちょっと願い下げだけど。

「――ま、いいか。おじゃましまーす」

 とはいえ、一応親友の家である。これ以上はない――と思おう。

 靴を脱いで家に上がり、二人に着いてリビングに向かう。
 料理、かあ。どんなのがあるんだろうと、楽しみにして。

「そうだ、料理といえば。私も少しだけど、飲み物持ってきた。フルーツジュース、苦手じゃなきゃいいけど」

 さすがに手ぶらでは悪いかと思って、まあ飲み物くらいはと思って用意した。
 ちなみに原料から手作りしたものだ。といっても、魔術で実らせたものではあるけれど。

サヤ > お邪魔します、との声には
「いらっしゃいませ。」
とにこやかに応じる。本日初めて見せる、柔らかな笑顔。

リビングの大きなテーブル並べられた料理は、色とりどりの寿司を中心に、こちらの世界のおせち料理を詰め込んだお重が並べられている。
量は三人分とは思えないほどのものが敷き詰められていた。そして一角は、迦具楽の嗜好を知っているなら彼女によるものとわかる、刺激臭と鮮烈な赤い色の一角。

「ありがとうございます、お茶を淹れようかと思っていたのですが、そちらをいただきましょう。」
とリタに上座を、迦具楽にその次の席を薦め、無音の足音で素早くキッチンからコップと湯呑を2つ持ってくる。

「申し遅れました、私はサヤと申します。迦具楽さんの所でええと……その、こ、こ、恋……あ、えと……か、家ぞ……いえ……こい、びと…、として、その……御厄介に、なっています。」
下座に座って、自分の身分について迦具楽をちらちらと見て言い直しながら、自己紹介をして頭を下げた。

迦具楽 >  
「へへ、いらっしゃい!
 フルーツジュースかあ、甘いのも爽やかなのも好きだからありがたいなあ。
 ささ、入った入った」

 そうしてリビングの中に連れ込んで、中に入ると。
 鮮やかなおせち料理の中に混ざる、赤い色。
 そして、入り口にも漂ってくる刺激臭。

「すごいでしょ、これサヤが作ったんだよ。
 あ、私が作ったのはあれね!」

 あれ、と言って指をさすのはテーブルの上の赤い一角。
 中華料理の有名どころが並んでいる。
 ただ、迦具楽にしては量が少なく見えるだろうか。

「あはは、――うん、恋人、としてね。
 なんか、慣れないなぁ」

 サヤの視線にぎこちなく、照れつつ返しながら、下座も上座も特に意識せず、ソファに座る。
 テーブルを挟むように並んだソファに、サヤと迦具楽がそれぞれ座った。
 

リタ・ラルケ >  
 進められるがままに中に入ると、その瞬間、ほんの少しだけれど刺激臭を感じる。
 おそらくそのもとは、テーブルの一角を占めている鮮やかな赤。
 見たところ中華料理なのだが、色と匂いが、なんだかアブない。あれって人が食べて平気なものなの。
 とはいえそれを除けば、豪華な正月料理の数々。見ているだけでもお腹が空いてくるような、目にも華やかな料理たちがテーブルの上を彩っていた。

「おー……すごい。料理、上手なんだ」

 自分はちゃんと料理をするほうではないので、そういうのは少し憧れる。

 とりあえず自分は進められるがままに上座――つまり迦具楽の隣、サヤと向かい合うような形でソファに座る。
 と、サヤからの自己紹介の後に次いで。

「……それじゃあ、私も。えっと、リタ。リタ・ラルケ。こことは違う世界から来て……色々あって、迦具楽の友達になった。その、よろしくね。私とも仲良くしてくれたら嬉しい、かな」

 そういえば、前に迦具楽から聞いたときは、一応「恋人」ということではなかったように思えたけど。
 あれから時間が経って、関係は進展したといってもいい、ということなのだろうか。それは一人の友人として嬉しく思う。

サヤ > 「いえいえ、"戦場生まれは剣を剣と知らず振るう"と言いま……あ、ええと、生活していくうちに自然と身に付くということです。」
どうしても不意に口から出るのは元いた世界の語彙。平易な言葉で言い直して謙遜。

迦具楽の隣に座ったリタには、案内したのが自分とはいえ、ほんの少ぉしだけ自分の居場所を取られたように感じて、一瞬目を伏せる。
「リタさんですね。私も、4年ほど前のことですが、こことは違う世界から来た異邦人です。
 こちらこそ、よろしくおねがいします、迦具楽さんの相談に乗っていただいていた、ということで、今の私達はリタさんなしではなかったかもしれます。
 深くお礼申し上げます。」
ソファの上で正座した奇妙な姿のまま、深々と頭を下げた。
二人の仲が進展したのは、アドバイスに迦具楽が従った部分も大きいだろう、名も知らぬ相談相手にいつも静かに感謝していたが、目前にするにあたって、どうしても感謝を示したかった。

「では、ご自由にお召し上がりください。迦具楽さんが作られた料理、美味しいですよ。私も出来うる限りをしましたので、お口に合えばよろしいのですが。」
にこやかに、刺激臭を放つ一角に、当然のように手を向けた。サヤの評価としては自分の料理より迦具楽のもののほうが高いのであった。

迦具楽 >  
「サヤの料理はほんと美味しいんだよー。
 私じゃなかったら、きっと太っちゃってたね!」

 そうして、隣に友人が座ると、隣を見ながら笑いかける。
 その表情は、サヤに向ける物とはまた少し違う親しさの篭った笑顔だろう。

 二人の自己紹介を聞きながら、それじゃあ、という事でコップを手に持って。

「よっし、新年の幸いを願って、乾杯!」

 と、音頭を取って。
 サヤが自分の料理を勧めようとすると、いやいや、と苦笑する。

「私のよりサヤの料理がいいって、ほら、なにが食べたい?」

 「取ってあげるよ」と、小皿と箸を手に、隣のリタと距離を詰める。
 肩が触れ合う距離まで近づいて、気安そうに。
 やっと遊びに来てくれた親友の世話を焼こうと。