2020/09/07 のログ
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」に紅葉さんが現れました。
紅葉 >  
一日の疲れを癒すにはどうするか?
───そう、美味い肉と美味い酒である。

紅葉 >  
ここは中央街にある焼肉店。
夕方から深夜まで営業しており、仕事帰りの人々に評判の店である。

店内のあちこちから聞こえてくる肉の焼ける音。
香ばしい匂いが充満し、熱気に溢れるこの場所で紅葉は一人焼肉を敢行していた。
ソロで焼肉店に入るのはなかなか度胸のいる行為と思われがちだが、酒が呑めれば問題はない。
むしろ、誰に憚ることなく肉をかっ喰らえるなんて素晴らしいことだ。

テーブルに並べられた皿の数々から肉を一枚取り、網に乗せる。
じゅう、と小気味良い音を立てて油が跳ねた。
続けて二枚、三枚と別の肉も乗せていき、焼けるのを待つ。

紅葉 >  
焼き上がりを待つ間に、予め頼んでおいた生ビールを一口。
嗚呼、この瞬間のために生きていると言っても過言ではない。
上機嫌で特製タレをタレ用の皿に注いでいく。
一つは濃い目の甘辛、もう一つはあっさり風味の醤油ダレ。
頃合いを見て網から下げた肉をさっと甘辛タレに通し、白米に乗せてから口へ運んだ。
じゅわ、と広がる肉の旨味とタレの風味。これだけで白米が進む進む。
口の中が脂っこくなったところで───生ビール。最高のコンボだ。

紅葉 >  
続けて二枚目は醤油ダレでいただく。
あっさりしている分、肉本来の味を存分に味わうことができる。
ビールもライスも一杯では足りない。ライスに関してはおかわり自由なので尚更だ。
途切れることのない追加注文で万全の肉焼き態勢を維持していく。

「うんまぁ……♪」

頬に手を添えて、笑顔で感想を漏らした。
周囲からも他の客たちの賑やかな声が聞こえてくる。
一人焼肉が素晴らしいなどと言ったが、大勢で楽しむ焼肉も良いものだ。
普段あまり他人と連れ合うことのない紅葉にとっては、先日の浜辺でのバーベキューが記憶に新しい。

「ああいうの……またやりたいなぁ」

誰に向けたわけでもなく、そんな呟きを漏らす。
そういえば、主催の女性は小さな施療院を営んでいると聞いた。
近い内に顔を出してみるのも良いかもしれない。

紅葉 >  
その後、女性一人とは思えない量を平らげて帰っていった。

ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」から紅葉さんが去りました。
ご案内:「裏常世渋谷」に桑原 梅乃さんが現れました。
桑原 梅乃 > 「おおう、油断したね」

双葉コーヒーで軽くお昼を食べて、さて噂集めでもしようとドアをくぐれば。
黄昏時のように赤い常世渋谷。

午前と午後の境界を原因として裏渋に呑まれてしまったらしい。
この時間に迷い込む例は少ないはずだ。
そうでなければ、渋谷中で行方不明が多発しているだろうから。
もともと梅乃はこの手の事象には巻き込まれやすい。最近自覚した。

さてどうしたものか。お守りの消費無しで裏入り出来たのは良いが……。

桑原 梅乃 > 振り向けばさっきまで居たコーヒー店は、怪しいドリンク屋になっていた。
黒い人影のようなものが並んで、思い思いのドリンクを選んでいる。
その手に持つカップの中身は、美味しそうにはとても見えない。

外から黒い影が近寄ってくる。ああ、此処にいたら入店の邪魔か。
とりあえず移動しよう。
そうして路上の方に移動する。

桑原 梅乃 > 路上に出た途端、おぞましい気配。

「うげ、この感じは……」

追跡型の呪詛だ。目標の位置をひたすらに追跡するだけのもの。
つまり、何かが追いかけてくる。迎え撃つしかあるまい。
偽装で見えなくしている刀に手を添えて、姿勢を低く構える。

「来るなら来い!」

桑原 梅乃 > 短い間隔で変な音がする。
なんとも言い難い音だが、文字にするなら「テケテケテケテケ」。
その音はこちらへ向かってくる。

「ああ、あいつ……」

刀をしっかりと握り、振り抜く準備。

ようやく姿が見えたのは、上半身だけのセーラー服の少女。
都市伝説由来の亡霊または怪異、"テケテケ"だ。

両腕だけで体を引きずり、可愛らしい笑顔で向かってくるそのスピードは、時速120km。
ぶつかればひとたまりもない。
無事でも呪詛を受けて、解呪されるまでは下半身不随になってしまうという。

桑原 梅乃 > 変わった対処方法としては、奴と競争するという方法もあるそうだ。
あれには走り屋気質があるらしく、追いつかれること無く逃げ切れば、その場で消滅するらしい。

まぁそんな備えはしていないので。
最小限の体捌きで回避しつつ、すれ違いざまに一刀。
相手の勢いをそのまま利用して斬る。

真っ二つになった怪異は、そのまま建物にぶつかって消滅する。

「"どうか安らかにお眠りください"」

手を合わせる。
あれは事故によって亡くなった人の亡霊が元になっているらしい。
この後処理に特に意味はないが、梅乃なりの気持ちの整理である。

桑原 梅乃 > この怪異相手には残心はを欠かしてはならないというのもある。
上手く仕留められなかった場合、クイックターンでまた向かってくる可能性があるのだ。
しかし今回はそんなことはなかった。

「ふいー……」

刀を振って黒い血を払い、鞘に収める。
怪異が居た場所に落ちているのは……黒ずんだお守り。
いわゆる呪われたお守りである。
しかしこれは久那土が扱っているものではないのを考えると……
生前ずっと持っていたのだろうか。

通常、一般的なお守りの有効期限は1年とされている。
1年という期限を設けることで、強く力を込めることが出来るらしい。
ただその期間が過ぎても、祈願の効力が切れているだけで込められた力は残っている。
その力を取り除くには修行が必要とのこと。だから、神社などに返納するのだ。

で、力は残っている故に、そのまま持っていても問題ないのだが……。
怪異などによって強い呪詛が付け入る事がある。
そうして出来るのがこの歪められたお守りだ。

桑原 梅乃 > 「……なるほどねぇ。持って帰って処理しなきゃね」

鞘の先端で、トンと小突いてから、拾い上げてポケットに仕舞う。

追跡の呪詛も無くなっている。他の怪異が寄ってくる気配もないようだ。
今回はこれで帰るとしよう。

近くの脱出用の御札を探して、歩き始めた。

ご案内:「裏常世渋谷」から桑原 梅乃さんが去りました。